Artist: Eminem
Album: The Slim Shady LP
Song Title: Lounge (Skit)
概要
『The Slim Shady LP』に収録された、わずか46秒のミュージカル風スキットである。エミネムとプロデューサーのベース・ブラザーズが、場末の安っぽいラウンジ・シンガーになりきって甘い歌声を披露している。しかし、ムーディーなメロディとは裏腹に、歌われている内容は「女の子にマジックマッシュルームを飲ませてバッドトリップさせてしまった」という最悪な事態である。この短い歌は、直後に続く楽曲『My Fault』(ドラッグの過剰摂取で発狂する少女を描いたストーリーテリング曲)のコーラス部分をラウンジ調にセルフカバーしたものであり、アルバムのダークでコミカルな世界観をシームレスに繋ぐ、狂気に満ちた秀逸な前振りとして機能している。
和訳
For all the ladies out there
世のすべてのレディーたちへ捧げるぜ。
※フランク・シナトラのような往年のラウンジ・シンガーを気取った、ロマンチックで甘い語り口調。これが直後に続く悲惨な描写との強烈なギャップを生み出している。
I never meant to give you mushrooms, girl
お前にマッシュルーム(幻覚キノコ)をキメさせるつもりなんてなかったんだ、ガール。
※次曲『My Fault』のサビの引用。レイブパーティーでスーザンという少女に誤って過量のマジックマッシュルームを与えてしまった出来事を指している。
I never meant to bring you to my world
お前を俺の(イカれた)世界に引きずり込むつもりもなかったんだよ。
※「俺の世界」とは、スリム・シェイディの狂気や薬物乱用が日常化している、過酷でアンダーグラウンドな環境を暗に示している。一般人の少女には耐えられない世界である。
And now you're lying in the corner, crying
なのに今、お前は部屋の隅っこでぶっ倒れて泣き喚いてるじゃねえか。
※過剰摂取(オーバードーズ)による強烈な幻覚とパニック発作(バッドトリップ)に陥った少女の姿。軽快なピアノとジャジーな伴奏に乗せて深刻な事態を歌い上げる、エミネムの悪趣味なブラックユーモアの極致だ。
