Artist: Eminem & Paul Rosenberg
Album: The Slim Shady LP
Song Title: Paul (Skit)
概要
エミネムの長年のマネージャーであり弁護士でもあるポール・ローゼンバーグが初めてアルバムに登場した、わずか15秒の象徴的なスキットである。本作『The Slim Shady LP』の過激すぎる内容に対し、弁護士の立場から「少し内容を抑えられないか」と留守番電話に忠告を残すという構成だ。エミネムの猟奇的なアルターエゴ「スリム・シェイディ」の暴走と、それに頭を抱える常識人ポールの構図は、以降の『The Marshall Mathers LP』や『The Eminem Show』、『Kamikaze』など、ほぼすべてのアルバムで定番のランニングギャグ(お約束)として機能することになる。保守層からの批判を事前に予期し、自らエンターテインメントとして昇華してしまうエミネムのクレバーな自己防衛機制が垣間見える、ヒップホップ史において最も有名なスキット(寸劇)の一つだ。
和訳
Em, what's going on?
エム、どうなってるんだ?
This is Paul Rosenberg, your faithful attorney at law
こちらはお前の忠実な顧問弁護士、ポール・ローゼンバーグだ。
※ポール・ローゼンバーグはエミネムの共同マネージャーであり、のちに共にレーベル「シェイディ・レコード(Shady Records)」を創設する最重要人物。本作では「忠実な弁護士(faithful attorney at law)」と名乗ることで、狂気的な世界観に対する「良識ある大人の代弁者」としての役割を強調している。
Listen, I listened to the rough copy of your album
なあ、お前のアルバムのラフ版(完成前の音源)を聴かせてもらったよ。
And, uh, y'know, I've just got to be honest with you
それで、あー、なんというか、お前には正直に言っておかなきゃならない。
Can you tone it down a little bit?
内容をもう少しだけマイルドに(トーンダウン)できないか?
※殺人、薬物乱用、同性愛嫌悪、ポップカルチャーへの無差別攻撃など、非道徳的なテーマがオンパレードの本作に対する、弁護士としての切実な懇願である。このポールの常識的な忠告を完全に無視し、さらに過激な手法で暴走し続けるのがスリム・シェイディの基本スタイルだ。
Because there's only so much I can explain
いくら俺でも、世間に弁明(カバー)できることには限界があるからな。
Give me a call
折り返し電話をくれ。
