Artist: Dr. Dre (feat. The Lady of Rage, Kurupt & RBX)
Album: The Chronic
Song Title: Lyrical Gangbang
概要
1992年の金字塔『The Chronic』に収録された本作は、Dr. DreがDeath Row Recordsの誇る気鋭の新人ラッパーたち(The Lady of Rage、Kurupt、RBX)を大々的にフィーチャーしたマイクリレー・トラックである。Dr. Dre本人はラップせず、レッド・ツェッペリンの『When the Levee Breaks』のヘヴィなドラムブレイクを骨格とした硬質なビートの上で、3人が文字通り「リリックによる集団暴行(Lyrical Gangbang)」を展開する。サイプレス・ヒルのB-Realの声をサンプリングしたフックを挟みつつ、Rageの圧倒的なフロウ、Kuruptの鋭利なライミング、RBXの不気味で冷酷な世界観が交錯する。西海岸のニュースクールが誕生した瞬間を捉えた、ハードコア・ヒップホップの隠れた名曲だ。
和訳
[Intro]
This should be played at high volume
このレコードは大音量で再生されるべきだ。
Preferably in a residential area
できれば、閑静な住宅街でな。
※このアナウンスは、N.W.A.時代から続く「平穏な白人社会(住宅街)にゲットーの騒音と現実を叩きつける」というウェストコースト・ヒップホップの基本姿勢を端的に表している。
[Verse 1: The Lady of Rage]
Now I'ma kick up dust as I begin to bust
さあ、砂埃を巻き上げてブチかましてやるよ。
On the wick-wack, fucked up suckers you can't trust
信用ならねえ、クソダサくて(wick-wack)終わってる雑魚どもに向けてな。
When I kick up, I lick up, your face get smacked up
私が暴れ出せば、舐め尽くして、お前の顔面を引っぱたいてやる。
When I rack up, so all you motherfuckers just pack up
私がポイントを稼ぐ(ラックアップする)んだ、だからテメーらクソ野郎どもは荷物をまとめて消えな。
Or get slapped with the swiftness
さもなきゃ、一瞬でビンタを食らうことになるよ。
If you think you're swift with the gift, Merry Christmas
もし自分が才能(ギフト)に溢れてて素早い(swift)と思ってるなら、メリー・クリスマスだね。
Now stuff that in your stockin'
その才能とやらを、自分の靴下にでも詰め込んどきな。
I'm knockin' 'em out the box and
私は奴らを箱(リング)の外へノックアウトして、
Knockin' 'em out their socks and 'cause Robin is rockin'
靴下が吹っ飛ぶほどぶちのめす。だってロビンが最高にロックしてるんだから。
※「Robin」はThe Lady of Rageの本名(Robin Yvette Allen)。
Breakin' 'em down to the slab
奴らをコンクリートの床(slab)まで叩き潰す。
Takin' 'em down on their ass
奴らのケツから引きずり下ろしてやるよ。
Now what you wanna do? You wanna battle? Uh
さあ、どうしたい? バトルしたいのか? あぁ?
Send you up shit creek without a motherfuckin' paddle
テメーをパドル(オール)なしでクソの川に流してやるよ。
※「up shit creek without a paddle」は「絶体絶命の窮地に陥る」という英語の慣用句。
Rattle that brain, I'm not the same old plain Jane
その脳みそを揺さぶってやる。私はそこらの平凡な女(plain Jane)とは違うんだ。
Roll on you like a boulder, you're nothin' more than a grain
巨大な岩(ボルダー)みたいにお前を轢いてやる。お前なんかただの粒か、
Or a pebble, take it from the real rap rebel
小石にすぎない。リアルなラップの反逆者(レベル)から教訓を受け取りな。
Not Bushwick Bill but I can take it to that other level
Geto Boysのブッシュウィック・ビルじゃねえが、次元の違うレベルへ連れてってやる。
※Bushwick Billは過激な言動と猟奇的なホラーコア・スタイルで知られた小柄なラッパー。Rageは彼とは違うアプローチで狂気的なレベルに到達できると豪語している。
You think you got pull? Then pull it, uh
自分に引き金(pull)を引く度胸があると思ってるのか? なら引いてみな。
I got the trigger, so I figure you'll bite the bullet
私の方に引き金があるんだ、だからお前は銃弾を噛む(致命傷を負う)ことになるだろうね。
Then bite the dust and wipe the fuss
そして地面の埃を噛んで死に(bite the dust)、その騒ぎを拭き取りな。
Do what I must, and what I must is bust
私は自分のやるべきことをやる。私がやるべきこととは、撃つ(bust)ことだ。
A bubble or two, some trouble for you
泡を一つか二つ弾けさせて、お前にトラブルをもたらしてやる。
So skip to my Luger, Lady of Rage is comin' through
だから私のルガー(拳銃)にスキップしな、Lady of Rage様のお通りだ。
※アメリカの童謡『Skip to My Lou』と、ドイツ製の拳銃「Luger(ルガー)」をかけた秀逸な言葉遊び。
[Interlude: B-Real]
Some cool shit
クソヤバいシットさ。
※ラテン系ヒップホップの雄、Cypress HillのB-Realの音声をサンプリングしている。
Some cool shit
クソヤバいシットさ。
Boo-ya, spittin' out buckshots
ブーヤー(銃声)、バックショット(散弾)を吐き出すぜ。
[Verse 2: Kurupt]
I fears no one, I makes 'em cool off like the polar cap
俺は誰も恐れねえ。奴らを北極の氷(ポーラーキャップ)みたいに冷え上がらせて(死体にして)やる。
Clenchin' as the hits misses the roller's back
サツ(roller)の背中を銃弾がかすめる中、歯を食いしばる。
Pushin' packs to make a profit
利益を出すためにドラッグ(packs)を捌きまくる。
Diggy dope duck on the topic, so stop and give me my props, kid
ドープな話題のど真ん中(duck on the topic)にいるんだ、だから立ち止まって俺にリスペクト(props)を払いな、坊うず。
I'm livin' large like a fat bitch
俺は太ったビッチみたいに、デカく(豪華に)生きてるぜ。
So get back, bitch, I'm hard to bogart so the fact is
だから下がれ、ビッチ。俺からモノを奪う(bogart)のは難しいぜ、事実としてな。
This young black kid a mercenary, merciless
この若き黒人のガキは傭兵(マーセナリー)であり、無慈悲(マーシレス)なんだ。
Murderin' millions of niggas, so who's first to diss?
何百万ものニガどもを殺してきた。さあ、最初にディスってくる奴は誰だ?
They say I'm bad, so you'll find none worse than this
奴らは俺がワルだと言う。これ以上タチの悪い奴は見つからねえだろうな。
Chewin' motherfuckers up like a Hershey's Kiss
クソ野郎どもを、ハーシーのキスチョコみたいに噛み砕いてやるよ。
Put to sleep, lovin' the lyrics I leave in the minds of each
永遠の眠りにつかせながら、俺が一人一人の心に残すリリックを愛でてな。
Rough when flex, too complex, wrecks your mental piece
力を見せつける(フレックスする)時は荒々しく、あまりに複雑で、お前の精神を破壊(レック)する。
So feel the wrath, nigga, I rip in half, niggas
だから俺の怒り(ラース)を感じろ、ニガ。俺はニガどもを真っ二つに引き裂いてやる。
You're quick to talk shit, I whoop your ass, nigga
テメーはすぐ戯言を抜かすが、俺はテメーのケツを蹴り上げてやるよ、ニガ。
Then watch me blast, nigga, 'cause I'm the last nigga
そして俺がぶっ放すのを見な、ニガ。なぜなら俺は、
You wanna fuck with, so up your cash, nigga
お前が絶対に喧嘩を売りたくない最後のニガだからな。だから金を出しな、ニガ。
I make 'em stagger, I'm scandalous as Jimmy Swaggart
奴らをよろめかせるぜ、俺はジミー・スワガートみたいにスキャンダラスだからな。
※Jimmy Swaggartは1980年代に絶大な人気を誇ったテレビ伝道師だが、買春スキャンダルで失脚した人物。偽善や破天荒さの象徴として引用されている。
I'm a good tracker, scopin' your girl then watch me tag her
俺は腕のいい追跡者だ。お前の女に狙い(スコープ)を定め、俺が彼女を仕留める(tag)のを見な。
Pullin' steel like a stunt
スタントマンみたいに、平然と銃(steel)を抜く。
Shown like an ID card, nigga, no needs to front, so
IDカードみたいに見せつけてやるよ、ニガ。虚勢を張る(front)必要なんてねえ、だから、
Here to torment, I put track on crack
拷問するためにここに来た。俺はこのトラックにクラック(コカイン)を乗せる(最高にドープにする)。
And I'm strapped with a semi-tone milli-ten MAC
そして俺は、半音階(セミトーン)の10ミリ・マック(MAC-10)を携帯してるぜ。
※「semi-tone(半音)」という音楽用語と「semi-automatic(半自動)」を掛け、MAC-10サブマシンガンで武装していることを示している。
Yo, I breaks 'em off, I breaks 'em off, chief
ヨォ、俺は奴らをブチ壊してやる、ブチ壊してやるんだ、チーフ。
Deadly as Jason on Friday the 13th
「13日の金曜日」のジェイソンみたいに致命的にな。
[Interlude: B-Real]
A to the motherfuckin' K
AからクソったれなK(AK-47)へ。
[Verse 3: RBX]
Back in the days, niggas, they used to scrap
昔はな、ニガどもは素手で喧嘩(スクラップ)してたもんさ。
But now in '92, niggas, they pull their strap
だが今、92年じゃ、ニガどもはチャカ(strap)を抜く。
'Cause, um, police, them come wicked then them shoot niggas
なぜなら、警察が邪悪にやって来て、ニガどもを撃ち殺すからだ。
So niggas retaliate and start to loot
だからニガどもは報復し、略奪(ルート)を始める。
※1992年のロサンゼルス暴動(LA Riots)の背景にある、警察の過剰防衛に対するストリートのリアクションを説明している。
Execute, boot stompin'
処刑し、ブーツで踏みつける。
Black soldier here to teach and mold ya
黒人のソルジャーが、お前らに教え、型にはめてやるためにここにいる。
The innovator, dominator, narrator
革新者であり、支配者であり、語り部だ。
R-B to the motherfuckin' X, flex wicked
R-B、そしてクソったれなXだ。邪悪にフレックス(誇示)してやる。
Stylee, bump and be found and do bleed by a
このスタイル、ぶつかれば発見され、そして血を流すことになる。
Maniac with a gat
銃(gat)を持ったマニアック(狂人)の手によってな。
See, nowadays, niggas is like that
見な、最近じゃニガどもはみんなこんな感じさ。
I pull my trigger back, the bullets go
俺が引き金を引けば、銃弾が飛び出す。
Buh-buh-buh, now I'm on death row
バ・バ・バッ、これで俺は死刑囚監房(Death Row)行きだ。
※実際の死刑囚監房と、所属レーベルの「Death Row Records」をかけたダブルミーニング。
Fuck it, niggas goin' wild
知るかよ、ニガどもは野生に返ってるんだ。
Every night they shoot, it's like Beirut
毎晩奴らは撃ち合う、まるでベイルートみたいにな。
※内戦で荒廃し切ったレバノンの首都ベイルートを、LAのギャング抗争の比喩として用いている。
Maybe you should get a Kevlar vest for your chest
胸を守るためにケブラー製の防弾チョッキを着た方がいいかもな。
Anytime steppin' through my hood
俺のフッドに足を踏み入れる時はいつでも。
But that'll do you no good
だが、そんなもん着たって無駄さ。
One slug to your face, don't hate
顔面に鉛玉(slug)を一発ブチ込んでやる、恨むなよ。
You're gettin' smoked like wood
お前は薪(wood)みたいに煙に巻かれる(殺される)んだ。
Nasty nigga, bloody pumps, face flat
えげつないニガ、血まみれのポンプ(ショットガン)、地面に平伏した顔面。
On the concrete, here comes the white sheet
コンクリートの上、そこへ白いシーツ(死体用の布)がやって来る。
Mr. Coroner, caught with some yellow tape
検視官の旦那が、黄色い規制線(イエローテープ)を張るが、
But the murderers escape
殺人犯たちはとっくに逃亡した後さ。
Audi like five G's
5千ドルのアウディみたいにズラかるぜ。
※「Audi 5000(アウディ5000)」という車のモデル名と、「Outie(ここから出る、立ち去る)」をかけた90年代のスラング「Audi 5000(じゃあな、ズラかるぜ)」を用いた言葉遊び。
Lyrical gangbang but it's just a G thang
リリカルなギャングバング(集団暴行)さ、だがこれはただのG(ギャングスタ)の日常だ。
