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The Joy - JAY-Z & Kanye West (Feat. Curtis Mayfield) 【和訳・解説】

Artist: JAY-Z & Kanye West (Feat. Curtis Mayfield)

Album: Watch the Throne (Deluxe Edition)

Song Title: The Joy

概要

本作は元々、Kanye Westが2010年に展開した無料配信企画「G.O.O.D. Friday」で発表された楽曲であり、後に『Watch the Throne』のデラックス版ボーナストラックとして収録された。90年代のブーンバップを牽引した伝説的プロデューサーPete RockとKanyeが共同でビートを手掛け、ソウルの巨星Curtis Mayfieldの名曲「The Makings of You」(1970年)を大胆かつソウルフルにサンプリングしている。スタジアム級の壮大なトラックが多い同アルバムの中で、本作は古き良きヒップホップへの回帰(レトロ)を意図した異色の存在だ。リリックでは、Kanyeが中絶や父性への葛藤を赤裸々に語り、JAY-Zは過酷なゲットーで自分を育ててくれた母グロリアへの愛と、幼少期に聴いたソウルミュージックへのノスタルジーを叙情的に綴っている。黒人音楽の偉大な遺産(ルーツ)と、トップラッパーたちの人間臭い内面が交差する味わい深い一曲である。

和訳

[Chorus: Curtis Mayfield, Pete Rock & Charlie Wilson]
Add a little sugar (Ow), honeysuckle and (Woo)
少しの砂糖と、ハニーサックル(スイカズラ)を加えて。

A great big expression of happiness
大きな幸せの表現さ。

Boy, you couldn't miss (Uh-huh, uh-huh)
なあ、君なら見逃すはずがない。

With a dozen roses (Ayy, uh, Mr. West)
1ダースのバラの花束と。

Such would astound you (Pete Rock)
きっと君を驚かせるようなもの。

The joy of children laughing around you (Uh)
君の周りで笑う子供たちの「喜び(The Joy)」。

These are all the makings of you (Woo)
これらすべてが、君という人間を形作っているんだ。
※Curtis Mayfieldの楽曲「The Makings of You」からのサンプリング。

[Verse 1: Kanye West & Pete Rock]
I do it for the forefathers, yeah, the street authors
俺は先人たち、つまりストリートの作家(ラッパー)たちのためにやってるんだ。

That are now A&Rs in the cheap office
今じゃ安っぽいオフィスでA&R(レコード会社の担当)になっちまった奴らのためにな。

Rappers that never got signed, but they keep offers
契約は勝ち取れなかったが、オファーは絶えなかったラッパーたち。

Girls that's way too fine for us to keep off us
俺たちが手を出さずにはいられないくらい、イイ女たちのためにもな。

Gave her a handshake only for my man's sake
ダチの顔を立てるためだけに、彼女とは握手だけで済ませたよ。

She in her birthday suit 'cause of the damn cake
あの子は「ケーキ(金)」のせいで、「バースデースーツ(全裸)」になってるぜ。
※birthday suit(全裸)とcake(金/誕生日ケーキ)を掛けたワードプレイ。

Now it's crumbs all over the damn place (Uh-huh)
今じゃ、そこら中にパン屑(札束の端した金)が散らばってる。

And she want me to cum all over her damn face
そして彼女は、俺に顔射してほしいって言うんだ。

I never understood Planned Parenthood
俺は「計画出産(プランド・ペアレントフッド)」ってやつが全く理解できなかった。

'Cause I never met nobody planned to be a parent in the hood
だって、フッド(地元)で計画的に親になろうとするヤツなんて見たことねえからな。
※Planned Parenthood(全米家族計画連盟)の名称と、貧困層における無計画な妊娠の現実を皮肉交じりに掛けている。

Taking refills of that Plan B pill
プランB(アフターピル)の処方箋をおかわりする。

Another shorty that won't make it to the family will
また一人、家族の遺言状に名を残すことのない子供(命)が消えていく。

If I don't make it, can't take it, hope the family will
もし俺が成功しなかったら(死んだら)、耐えられない。家族が遺産(意志)を継いでくれることを祈るよ。

They ain't crazy, they don't know how insanity feel
あいつらは狂っちゃいない、本当の狂気(インサニティ)がどんな気分か分かっちゃいないんだ。

Don C. just had a shorty, so it's not that bad
ドン・Cに子供が生まれたばっかりだから、まあそこまで悪くはないけどな。
※Don CはKanyeの長年のマネージャーであり親友。彼の子供の誕生を祝っている。

But I still hear the ghosts of the kids I never had
でも俺にはまだ、生まれることのなかった子供たちの幽霊の声が聞こえるんだ。
※中絶によって失われた命への罪悪感と、まだ父親になれていない自分自身の苦悩を吐露する、非常に重くパーソナルなライン。

[Chorus: Curtis Mayfield, Pete Rock & Charlie Wilson]
Add a little sugar (Woo), honeysuckle and (Come on)
少しの砂糖と、ハニーサックルを加えて。

A great big expression of happiness (Ow)
大きな幸せの表現さ。

Boy, you couldn't miss (Uh-huh, uh)
なあ、君なら見逃すはずがない。

With a dozen roses (Ayy, uh, Kanye)
1ダースのバラの花束と。

Such would astound you (Pete Rock)
きっと君を驚かせるようなもの。

The joy of children laughing around you (Uh)
君の周りで笑う子供たちの「喜び」。

These are all the makings of you (Yeah)
これらすべてが、君という人間を形作っているんだ。

[Verse 2: Kanye West]
No electro, no metro
エレクトロでも、メトロ(洗練された都会派)でもない。

A little retro, ah, perfecto
少しレトロなスタイル、ああ、完璧(ペルフェクト)だぜ。
※当時のエレクトロニックな流行から一線を画し、Pete Rockプロデュースによる90年代のソウルフルなブーンバップ(Boom Bap)回帰を宣言している。

You know the demo, your boy act wild
デモの通りさ、俺はワイルドに振る舞うぜ。

You ain't get the memo? Yeezy's back in style
メモ(通知)を受け取ってないのか? Yeezy(俺)のスタイルが戻ってきたんだよ。

Now one room got Gidget, the other got Bridget
一つの部屋にはギジェットがいて、もう一つの部屋にはブリジットがいる。

What's more tripped out, dawg, is they sisters
さらにヤバいのはな、兄弟。あいつら姉妹なんだよ。

Nah, you ain't listen, they Black, they sisters
いや、分かってねえな。あいつらは黒人の姉妹なんだ。

They mama named 'em after white bitches
母親が、白人のビッチみたいな名前をあいつらに付けたのさ。
※GidgetやBridgetといったステレオタイプな白人女性の名前を持つ黒人姉妹と遊んでいるという、Kanyeらしいコミカルな小話。

So next time you see me on your fallopian
だから次に俺がお前の卵管(女)に乗っかってるのを見た時は。

Though the jewelry's Egyptian, know the hunger's Ethiopian
ジュエリーはエジプトの王みたい(に豪華)だが、俺のハングリー精神はエチオピア人並みだってことを知っておけ。
※ファラオのようなエジプトの豪奢な金装飾と、80年代のエチオピア大飢饉(ハングリー)を対比させた、物議を醸すほど強烈なパンチライン。どれだけ富を得てもハングリー精神は失っていないという主張。

Stupid questions like, "Is he gon' be dope again?
こんなアホな質問が飛び交う。「あいつはまたドープな曲を作れるのか?」

Have you seen him? Has anybody spoke to him?"
「あいつを見たか?誰かあいつと話したヤツはいるか?」ってな。
※テイラー・スウィフト事件による大バッシング後、ハワイに引きこもってアルバム制作をしていた時期の世間の噂を指している。

This beat deserves Hennessy
この極上のビートには、ヘネシーがふさわしい。

A bad bitch, and a bag of weed, the Holy Trinity
イイ女、それにハッパの袋。これが俺の「三位一体(ホーリー・トリニティ)」さ。

In the mirror where I see my only enemy
鏡の中に、俺の唯一の敵(自分自身)が見える。

Your life's cursed? Well, mine's an obscenity
お前の人生は呪われてるって? まあ、俺の人生なんて放送禁止用語(卑猥)レベルだからな。

[Chorus: Curtis Mayfield, Pete Rock, Charlie Wilson & Jay-Z]
Add a little sugar (Woo), honeysuckle and (Come on, red lights)
少しの砂糖と、ハニーサックルを加えて。

A great big expression of happiness (Ow)
大きな幸せの表現さ。

Boy, you couldn't miss (Let that thing roll, uh-huh, uh)
なあ、君なら見逃すはずがない。(そのまま転がせ)

With a dozen roses (Ayy, uh, Kanye)
1ダースのバラの花束と。

Such would astound you (Pete Rock, uh)
きっと君を驚かせるようなもの。

The joy of children laughing around you (Uh)
君の周りで笑う子供たちの「喜び」。

These are all the makings of you (Yeah, ow)
これらすべてが、君という人間を形作っているんだ。

[Verse 3: Jay-Z & Pete Rock]
This is my mama's shit
こいつは俺の母ちゃんが好きだった曲だ。
※Curtis Mayfieldの楽曲は、JAY-Zの母親世代が好んで聴いていた70年代ソウルのクラシックである。

I used to hear this through the walls in the hood when I was back on my pajama shit (Uh-huh)
まだガキでパジャマを着てた頃、フッドの壁越しによくこの曲が聴こえてきたもんさ。

Afros and marijuana sticks (Woo)
アフロヘアーに、マリファナのジョイント。

Seeds in the ganja had it poppin' like the sample that I'm rhymin' with
ガンジャの種が、俺が今ラップしてるサンプルのレコードみたいにパチパチ音を立ててた。
※昔の質の悪いマリファナには種が混じっており、燃やすとパチパチと音がした。それを古いアナログレコード特有のノイズ(ポップ音)と掛けている秀逸なライン。

Pete Rock (Uh), let the needle drop
ピート・ロック、針を落としてくれ。

I seen so much as a kid, they surprised I don't needle pop (Uh-huh)
ガキの頃に散々なモンを見てきたから、俺が注射器(ニードル)を打ってないのがみんな驚きらしいな。
※レコードの「針(needle)」を落とすことと、ゲットーに蔓延していたヘロインの「注射針(needle)」を掛けている。

Takin' sips of Pop's six-pack of Miller nips
親父のミラー(ビール)の6缶パックから、少し拝借して飲んでたっけな。

Pink Champale, Ballantine Ale
ピンクのシャンペール、バランタイン・エール。
※当時の低所得者層の黒人コミュニティでよく飲まれていた安酒の銘柄。

Ballys on my feet help me balance out well (Woo)
足元のバリー(Bally)の靴が、俺のバランスをうまく取ってくれた。

That and the shit I used to balance on the scale
それと、俺が昔「秤(スケール)」の上でバランスを取ってたあのヤクのおかげでな。
※高級靴のBallyとバランス(balance)、そしてドラッグを量る秤(scale)を用いたJAY-Zお得意のドラッグディーラー時代のメタファー。

I got it honest from the parties from my mama's
俺のこの性質は、母ちゃんのパーティーから正直に受け継いだもんさ。

Virgin Marys tried to judge her, I'm like, "Where are them Madonnas now?"
聖母マリア気取りの女たちが母ちゃんをジャッジしようとしたが、俺は「そのマドンナ(聖女)たちは今どこにいるんだ?」って感じさ。
※女手一つでJAY-Zを育てた母を非難していた偽善的な近所の女性たちへの痛烈な皮肉。

Give all glory to Gloria (One-two, okay)
すべての栄光(グローリー)を、グロリアに。
※JAY-Zの最愛の母、グロリア・カーターへの最大の敬意と感謝。

They said you raised that boy too fast
「あの男の子を急いで大人にしすぎた」って、周りはあんたに言ったけど。

But you was raising a warrior
あんたは一人の「戦士(ウォリアー)」を育て上げてたんだ。

We victorious, they'll never take the joy from us, uh (One-two, okay)
俺たちは勝利した(ヴィクトリアス)。あいつらに、俺たちの「喜び(Joy)」は絶対に奪えやしないさ。

[Outro: Kid Cudi & Pete Rock]
Keep your hands up, get 'em high now (It's Pete Rock, Kanye)
両手を挙げて、高く掲げな。

Don't let them take your fire
あいつらに、お前の炎(情熱)を奪われるな。
※G.O.O.D. Musicの仲間であるKid Cudiがボーカルで参加し、エモーショナルなアウトロを飾っている。

Keep your hands up, get 'em high now (One-two, okay)
両手を挙げて、高く掲げな。

Don't let them take your fire
あいつらに、お前の炎を奪われるな。

Keep your hands up, get 'em high now (It's Pete Rock, Kanye)
両手を挙げて、高く掲げな。

Don't let them take your fire
あいつらに、お前の炎を奪われるな。

Keep your hands up, get 'em high now, yeah (One-two, okay)
両手を挙げて、高く掲げな、イェー。

It's Pete Rock, Kanye
ピート・ロック、カニエだ。

One-two, okay
ワン・ツー、オーケー。

It's Pete Rock, Kanye
ピート・ロック、カニエだ。

One-two, okay
ワン・ツー、オーケー。

It's Pete Rock, Kanye
ピート・ロック、カニエだ。

One-two, okay
ワン・ツー、オーケー。

It's Pete Rock, Kanye
ピート・ロック、カニエだ。

One-two, okay
ワン・ツー、オーケー。

 

The Joy (feat. Curtis Mayfield)

The Joy (feat. Curtis Mayfield)

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