Artist: JAY-Z & Kanye West
Album: Watch the Throne
Song Title: New Day
概要
2011年発表のアルバム『Watch the Throne』に収録された内省的な名曲だ。Wu-Tang ClanのRZAが手掛けたビート上で、Nina Simoneの名曲「Feeling Good」の重厚なサンプルを響かせながら、両者が「まだ見ぬ我が子(息子)」に向けた切実なメッセージを綴っている。Kanye Westは自身の傲慢さや過去の炎上騒動を自虐的に振り返り、「自分のような人間にはならないでほしい」と願う。一方のJAY-Zは、自身の名声が子供の人生を狂わせる恐れを危惧しつつ、自分を捨てた父親と同じ轍は絶対に踏まないと固く誓う。頂点を極めたラッパーたちの抱える孤独、後悔、そして次世代への親心が交錯するエモーショナルな一曲である。
和訳
[Intro: Nina Simone & Kanye West]
Yeah, uh
イェー、アー。
Sun in the sky, you know how I feel
空に輝く太陽、私がどんな気分か分かるでしょう。
※ジャズ・シンガーNina Simoneの1965年の名曲「Feeling Good」からのサンプリング。
Me and the RZA connect
俺とRZAのコネクト(共演)だ。
※Wu-Tang Clanの事実上のリーダーであり、伝説的プロデューサーであるRZAがビートメイクに参加している。
Breeze driftin' on by
そよ風が通り過ぎていく。
Yeah, me and the RZA connect
ああ、俺とRZAの共演だ。
Breeze driftin' on by
そよ風が通り過ぎていく。
Uh
アー。
It's a new life for me, yeah
これは私にとって新しい人生、そう。
It's a new dawn, it's a new day
新しい夜明け、新しい一日。
It's a new life for me, ooh
私にとっての新しい人生。
Uh
アー。
And I'm feeling good
そして、最高の気分よ。
Yeah, uh
イェー、アー。
[Verse 1: Kanye West]
And I'll never let my son have an ego
俺は絶対に息子にエゴ(傲慢さ)を持たせたりしない。
He'll be nice to everyone wherever we go
どこに行こうと、誰に対しても親切な男にするんだ。
I mean, I might even make him be Republican
いや、いっそ共和党員に育て上げるかもしれないな。
So everybody know he love white people
そうすりゃ、あいつが白人好きだって世間も分かってくれるだろ。
※2005年、Kanyeがテレビの生放送で「ジョージ・ブッシュ(共和党大統領)は黒人のことを気にかけていない」と発言し物議を醸した事件に対する痛烈な皮肉。息子には自分のような世間との摩擦を避けるため、いっそ白人社会に迎合する保守的な人間になってもいいと自虐している。
And I'll never let him leave his college girlfriend
大学時代の彼女と別れるような真似もさせない。
And get caught up with the groupies in the whirlwinds
グルーピーたちの渦に巻き込まれるようなこともな。
※名声を得た後、無名時代から支えてくれた婚約者(アレクシス・ファイファー)と別れ、多くのセレブやモデルと浮名を流した自身への深い後悔を滲ませている。
And I'll never let him ever hit the telethon
それに、チャリティー番組(テレソン)にも絶対に出させない。
I mean, even if people dyin' and the world ends
たとえ人が死に絶えようと、世界が終わろうとだ。
※前述したハリケーン・カトリーナの被災者支援チャリティー番組(テレソン)での大統領批判を指す。正義感から行動しても、結果として世間から猛烈なバッシングを浴びるという痛ましい経験則である。
See, I just want him to have an easy life, not like Yeezy life
なあ、俺はあいつに楽な人生を送ってほしいんだ。Yeezy(俺)みたいな波乱万丈な人生じゃなくてな。
Just want him to be someone people like
ただ、みんなから好かれる人間になってほしい。
Don't want him to be hated all the time, judged
四六時中嫌われたり、批判(ジャッジ)されたりしてほしくないんだ。
Don't be like your daddy that'd never budge
絶対に意見を曲げない(妥協しない)、お前の親父みたいな男にはなるな。
And I'll never let him ever hit a strip club
それから、ストリップクラブにも絶対に行かせない。
I learned the hard way, that ain't the place to get love
俺は痛い目を見て学んだんだ、あそこは愛を見つける場所じゃないってな。
And I'll never let his mom move to LA
息子の母親をLAに引っ越させることもしない。
Knowin' she couldn't take the pressure, now we all pray
彼女がプレッシャーに耐えられないのは分かってる。だから今、俺たちは祈るんだ。
※ロサンゼルスのパパラッチやメディアの狂騒が精神を崩壊させることを危惧している。当時のパートナーであったアンバー・ローズとの関係破綻の要因も重なっているとされる。
[Interlude: Nina Simone & JAY-Z]
Sun in the sky, you know how I feel
空に輝く太陽、私がどんな気分か分かるでしょう。
Breeze driftin' on by
そよ風が通り過ぎていく。
Breeze driftin' on by
そよ風が通り過ぎていく。
It's a new life for me, yeah
これは私にとって新しい人生、そう。
Me and the RZA connect
俺とRZAのコネクトだ。
It's a new life for me, ooh
私にとっての新しい人生。
Me and the RZA connect
俺とRZAのコネクトだ。
And I'm feeling good
そして、最高の気分よ。
Yeah
イェー。
[Verse 2: JAY-Z]
Sorry, junior, I already ruined ya
悪いな、ジュニア。俺はもうお前の人生をめちゃくちゃにしちまった。
'Cause you ain't even alive, paparazzi pursuin' ya
だってお前はまだ生まれてもいないのに、もうパパラッチに追われてるんだからな。
※当時、妻のビヨンセが第一子(後のブルー・アイビー)を妊娠中であり、胎児の段階からメディアの狂乱の的になっている異常な状況を嘆いている。
Sins of a father make your life ten times harder
親父の罪(名声)のせいで、お前の人生は10倍ハードになる。
I just wanna take ya to a barber
俺はただ、普通にお前を床屋に連れて行きたいだけなのに。
※黒人コミュニティにおいて、父親が息子を理髪店(バーバー)に連れて行くことは男同士の重要な絆を深める儀式の一つだが、スーパースターゆえにそんな日常すら叶わない孤独を表現している。
Bondin' on charters, all the shit that I never did
チャーター機で絆を深める、俺が子供の頃に絶対できなかったような経験だ。
Teach you good values so you cherish it
まともな価値観を教えてやるから、それを大事にするんだぞ。
Took me twenty-six years to find my path
俺は自分の道を見つけるまでに26年かかった。
※JAY-Zがデビューアルバム『Reasonable Doubt』をリリースし、ドラッグディーラーから抜け出して確固たる成功を掴んだのが26歳の時である。
My only job is cut the time in half
俺の唯一の仕事は、お前が迷うその時間を半分に縮めてやることだ。
So at thirteen, we'll have our first drink together
だから13歳になったら、初めて一緒に酒を飲もう。
Black bar mitzvahs, mazel tov, mogul talk
ブラック・バル・ミツワー(ユダヤ教の成人式)だ、「マゼル・トフ(おめでとう)」ってな。そして大物(モーグル)の会話をしよう。
※バル・ミツワー(Bar mitzvah)はユダヤ教における13歳の少年の成人式。JAY-Zは黒人社会における「大人の入り口」としてこの年齢を挙げ、マゼル・トフ(ユダヤ系の人々が使う祝辞)を用いて祝福すると語る。
Look a man dead in his eyes
男の目ん玉を真っ直ぐ見て。
So he know you talk truth when you speak it
自分が真実を話していることを、相手に分からせるんだ。
Give your word, keep it
言葉に出した約束は、必ず守れ。
And if the day comes I only see him on the weekend
そして、もし週末しかあいつ(息子)に会えない日が来たとしても。
I just pray we was in love on the night that we conceived him
せめてあいつを授かった夜だけは、俺たちが愛し合っていたことを祈るよ。
※JAY-Zとビヨンセが将来的に離婚し、親権争いの末に週末しか子供に会えなくなる最悪の事態を想定した、極めてリアルで感傷的なライン。
Promise to never leave him even if his mama tweakin'
あいつの母親(ビヨンセ)が狂っちまった(関係がこじれた)としても、絶対にあいつを見捨てないと誓う。
'Cause my dad left me and I promise never repeat him
なぜなら、俺の親父は俺を捨てた。俺は絶対に同じ過ちを繰り返さないと誓ってるんだ。
※JAY-Zが幼少期に父親(アドニス・リーブス)に捨てられたトラウマへの直接的な言及。負の連鎖を自分の代で断ち切るという強い決意である。
Never repeat him, never repeat him
絶対に親父みたいにはならない、絶対に繰り返さない。
[Outro: Nina Simone]
Sun in the sky, you know how I feel
空に輝く太陽、私がどんな気分か分かるでしょう。
Breeze driftin' on by
そよ風が通り過ぎていく。
Breeze driftin' on by
そよ風が通り過ぎていく。
It's a new life for me, yeah
これは私にとって新しい人生、そう。
It's a new dawn, it's a new day
新しい夜明け、新しい一日。
It's a new life for me, ooh
私にとっての新しい人生。
And I'm feeling good
そして、最高の気分よ。
Sun in the sky, you know how I feel
空に輝く太陽、私がどんな気分か分かるでしょう。
Breeze driftin' on by, you know how I feel
そよ風が通り過ぎていく、私の気分が分かるでしょう。
Breeze driftin' on by, you know how I feel
そよ風が通り過ぎていく、私の気分が分かるでしょう。
It's a new life for me, yeah
これは私にとって新しい人生、そう。
It's a new dawn, it's a new day
新しい夜明け、新しい一日。
It's a new life for me, ooh
私にとっての新しい人生。
And I'm feeling
そして、最高の……。
Birds flyin' high, you know how I feel
高く飛ぶ鳥たち、私がどんな気分か分かるでしょう。
