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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Gotta Have It - JAY-Z & Kanye West 【和訳・解説】

Artist: JAY-Z & Kanye West

Album: Watch the Throne

Song Title: Gotta Have It

概要

2011年リリースの歴史的ジョイントアルバム『Watch the Throne』に収録され、JAY-ZとKanye Westの圧倒的なケミストリーと阿吽の呼吸が堪能できる一曲だ。プロデュースはThe Neptunes(Pharrell WilliamsとChad Hugo)が手掛け、ファンクの帝王ジェームス・ブラウンの楽曲群(「Don't Tell It」など)のボーカルフレーズを細かくチョップした、中毒性の高いビートが特徴である。リリックでは、白人社会からの偏見やメディアのバッシングを一蹴し、黒人としての規格外の成功(富や名声)をユーモアを交えて豪語している。当時マイアミ・ヒートで結成され全米から強烈なヘイトを浴びていた「ビッグスリー(レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイドら)」への言及や、両者の地元(ブルックリンとシカゴ)への誇りなど、トップに君臨する者特有の余裕と鋭いパンチラインが詰まった痛快なバウンス・チューンである。

和訳

[Intro: Kanye West & James Brown]

Turn my headphones up
ヘッドフォンの音量を上げてくれ。

Louder
もっとデカくだ。

Uh-huh, uh-huh
アハ、アハ。

What you need, what—what you need
お前が必要なもの、お前が求めてるものを。

I got what you need, what—what you need
俺が持ってるぜ、お前が必要なものを。

What you need, what—what you need
お前が必要なもの、お前が求めてるものを。

I got what you need
俺が与えてやるよ。
※ジェームス・ブラウン(James Brown)の楽曲からの声ネタのサンプリング。音楽シーンやリスナーが求めている「本物のサウンド」を自分たちが提供するという宣言でもある。

[Verse 1: Kanye West & Jay-Z]

Hello, hello, hello, hello, white America, assassinate my character
ハロー、白人中心のアメリカ社会よ。俺のキャラクター(人格)を暗殺(抹殺)してみろよ。
※Eminemの楽曲「White America」や彼が受けたバッシングを彷彿とさせるライン。メディアや保守層からの黒人スターに対する偏見・攻撃へのKanyeの皮肉である。

Money matrimony, yeah, they tryna break the marriage up
俺と金との結婚生活。ああ、奴らはその縁を裂こうと必死だ。

Who gon' act phony or who gon' try to embarrass ya?
誰が偽物ぶって、誰がお前を陥れようとしてるって?

I'ma need a day off, I think I'll call Ferris up
一日休みが必要だな、フェリスにでも電話するか。
※1986年の映画『フェリスはある朝突然に(Ferris Bueller's Day Off)』の主人公、ズル休みの天才であるフェリス・ビューラーへの言及。

Bueller had a Muller, but I switched it for a Mille
ビューラーはフランク・ミュラー(Muller)を持ってたが、俺はリシャール・ミル(Mille)に乗り換えたぜ。
※映画の主人公(Bueller)と高級時計のフランク・ミュラー(Franck Muller)で韻を踏み、さらに超高級時計であるリシャール・ミル(Richard Mille)へとアップグレードしたというJAY-Zのフレックス。

'Cause I’m richer, and prior to this shit, was movin' free base
だって俺の方が金持ちだし、こんなラップをやる前はフリーベース(コカイン)を売りさばいてたからな。

Had a conference with the DJs (Yeah?), Puerto Rico, three days
DJたちと会議をしたぜ(マジで?)、プエルトリコで3日間な。

Poli with the PDs, now they got our shit on replay
番組ディレクター(PD)たちと政治(ポリティクス)をして、今じゃ俺らの曲がヘビロテ(リプレイ)されてるってわけさ。
※PD(Program Director)との交渉(Poli=Politics)でラジオのオンエア権を勝ち取るという、音楽業界の裏側での立ち回りを明かしている。

Sorry I'm in pajamas, but I just got off the PJ
パジャマ姿で悪かったな、さっきPJ(プライベートジェット)から降りたばっかなんだ。
※Pajamas(パジャマ)とPJ(Private Jet)の頭文字を掛けたワードプレイ。

And last party we had, they shut down Prive
この前パーティーを開いた時は、クラブの「プリヴェ(Prive)」をシャットダウンさせた(貸し切った)んだぜ。
※Priveはマイアミにあった高級ナイトクラブ。

Ain't that where the Heat play? (Yup)
それってヒートがプレーしてる街じゃなかったか?(ああ)
※マイアミを本拠地とするNBAチーム「マイアミ・ヒート(Miami Heat)」のこと。

Niggas hate ballers these days (Yup)
最近の連中はボーラー(成功者/バスケ選手)を目の敵にするよな(ああ)。

Ain't that like LeBron James?
それってまるでレブロン・ジェームズみたいだな?

Ain't that just like D-Wade? Wait
ドウェイン・ウェイドみたいなもんか? ちょっと待てよ。
※当時マイアミ・ヒートで「ビッグスリー」を結成し、ヒール(悪役)として全米中から凄まじいヘイトを浴びていたレブロンとウェイドの状況を、世界中からバッシングされながらも頂点に立つ自分たち(Jay & Kanye)の姿に重ね合わせている。

[Interlude: James Brown]

What you need, what—what you need
お前が必要なもの、お前が求めてるものを。

I got what you need, what—what you need
俺が持ってるぜ、お前が必要なものを。

What you need, what—what you need
お前が必要なもの、お前が求めてるものを。

I got what you need
俺が与えてやるよ。

[Verse 2: Jay-Z & Kanye West]

What's up, what's up, what's up, what's up, motherfucker? Where my money at?
おい、おい、調子はどうだ、クソ野郎? 俺の金はどこにあるんだ?

You gon' make me come down to your house where your mommy at
お前の母親がいる実家まで、俺に乗り込ませる気かよ。

Mummy wrap the kids, have 'em cryin' for they mommy back
ガキ共をミイラ(マミー)みたいに縛り上げて、母親(マミー)を返してくれって泣かせてやるよ。
※Mommy(母親)とMummy(ミイラ)を掛けた、ストリート上がりのJAY-Zらしい冷酷かつユーモラスな脅し文句。

Dummy that your daddy is, tell him I just want my racks
お前の親父みたいなマヌケ野郎に伝えな、俺はただ自分の札束(ラックス)が欲しいだけだってな。
※racksは1000ドルの束(大金)を指すスラング。

Racks on racks on racks (Racks)
札束の上に札束、さらに札束だ(大金)。
※Yung Chrisのヒット曲「Racks」からの引用。

Maybachs on 'Bachs on 'Bachs on 'Bachs on 'Bachs
マイバッハの上にマイバッハ、さらにマイバッハだ。
※超高級車マイバッハを何台も所有しているという究極のフレックス。

Who in that? Oh shit, it's just Blacks on Blacks on Blacks
あの中(高級車)に乗ってるのは誰だ? おいおい、黒人だらけじゃねえか。
※白人の富裕層が独占していた超高級車に、成功した黒人たち(Blacks on Blacks)が乗っているという人種的・社会的な下克上を表現している。

Hundred stack, how you get it? Nigga, layin' raps on tracks
10万ドル(ハンドレッド・スタック)をどうやって稼いだかって? トラックにラップを乗せただけさ、兄弟。

I wish I could give you this feeling, I'm planking on a million
この最高の気分をお前らにも味あわせてやりてえよ。俺は100万ドルの上でプランキング(うつ伏せ)してるんだ。
※当時ネットで流行していた、色々な場所でうつ伏せになって写真を撮る「プランキング(planking)」という遊びを取り入れている。100万ドルの札束の山の上でそれをやっているという規格外の自慢。

I'm riding through your hood, you can bank I ain't got no ceiling
お前のフッド(地元)をドライブしてやるよ。俺の車に屋根がない(天井知らずだ)ってことに賭けても(バンク)いいぜ。
※オープンカー(天井がない)に乗っていることと、自分たちの富や成功に「限界(天井)がない」ことを掛けた秀逸なダブルミーニング。bankには「賭ける(確信する)」という意味がある。

Made a left on Nostrand Ave, (Right), we in Bed-Stuy
ノストランド・アベニューを左に曲がる(ああ)、俺たちはベッドスタイに着いたぜ。
※Nostrand AveとBed-Stuy(ベッドフォード・スタイベサント)は、JAY-Zの出身地であるニューヨーク・ブルックリンの地名。

Made a right on 79th, I'm coming down South Shore Drive
79丁目で右に曲がる、サウス・ショア・ドライブを下っていくぜ。
※79th StreetとSouth Shore Driveは、Kanye Westの出身地であるイリノイ州シカゴのサウスサイドの地名。

I remain Chi-Town, Brooklyn 'til I die
俺たちは死ぬまで、シカゴ(Chi-Town)とブルックリンを背負い続けるのさ。
※互いのルーツ(地元)への愛と誇りを再確認し、どれだけ成功してもストリート出身であるという掟を示している。

[Outro: James Brown]

Take 'em on home
あいつらを家に帰して(黙らせて)やれ。

I got what you need, what—what you need
俺が持ってるぜ、お前が必要なものを。

Take 'em on home
あいつらを家に帰してやれ。

What you need, what—what you need
お前が必要なもの、お前が求めてるものを。

I got what you need, what—what you need
俺が持ってるぜ、お前が必要なものを。

Take 'em on home
家に連れて帰ってやれ。

Tryna hurt my name, huh?
俺の名前を汚そうとしてるのか?
※メディアやアンチが彼らの名声を傷つけようとすることへの、王者としての最終的なアンサーとしてジェームス・ブラウンの声が響く。

 

Gotta Have It

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