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Niggas in Paris - JAY-Z & Kanye West 【和訳・解説】

Artist: JAY-Z & Kanye West

Album: Watch the Throne

Song Title: Niggas in Paris

概要

2011年の歴史的ジョイントアルバム『Watch the Throne』に収録され、グラミー賞も受賞した本作は、ヒップホップ史上最も熱狂を生んだアンセムの一つである。タイトルが示す通り、かつてストリートで過酷なハスラーとして生きた黒人(Niggas)である彼らが、世界的なファッションと芸術の中心地である「パリ」で王のように振る舞うという「究極の成功(フレックス)」をテーマにしている。Hit-Boyが手掛けた不穏かつ重低音が響くビート上で、JAY-Zは自身のドラッグディーラー時代の過去と現在の規格外の富を対比させ、Kanye Westはハイブランドやポップカルチャーを交えたユーモア溢れるラインを展開する。映画からの大胆なサンプリングや、「That shit cray」という流行語を生み出した点も含め、シーンに多大な影響と衝撃を与えた名曲だ。

和訳

[Intro]

We're gonna skate to one song, one song only
俺たちが滑る曲は一つ、この一曲だけだ。
※ウィル・フェレル主演のコメディ映画『Blades of Glory(俺たちフィギュアスケーター)』のセリフからのサンプリング。

Ball so hard, motherfuckers wanna fine me
派手に遊び(稼ぎ)すぎて、あいつら俺に罰金を科そうとしやがる。
※Ballは「派手に稼ぐ・豪遊する」と「バスケをする」のダブルミーニング。NBAで危険なプレーや派手なパフォーマンスをした選手に罰金(fine)が科されることに掛けている。

[Verse 1: JAY-Z]

So I ball so hard, motherfuckers wanna fine me
俺が派手に稼ぎすぎるから、あいつら俺に罰金を科そうとしやがる。

But first niggas gotta find me
だが、まずは俺を見つけてみろってんだ。
※fine(罰金を科す)とfind(見つける)で韻を踏んでいる。パリの高級ホテルなどに雲隠れしているため、誰も自分を捕まえられないという余裕の表れである。

What's fifty grand to a motherfucker like me? Can you please remind me?
俺みたいなヤツにとっての5万ドル(約750万円)って何だ?誰か教えてくれよ。
※5万ドルの罰金など、ビリオネアのJAY-Zにとっては痛くも痒くもないという強烈なフレックス。

(Ball so hard) This shit crazy
(派手にいくぜ)マジでイカれてる。

Y'all don't know that don't shit faze me
お前らは何も分かっちゃいない、俺は何が起きても動じないんだ。

The Nets could go 0 for 82
ネッツが0勝82敗(全敗)したとしても。

And I'd look at you like this shit gravy
俺はお前を見て「余裕だぜ(美味しいもんだ)」って顔をするだけさ。
※当時JAY-ZはNBAチーム「ニュージャージー・ネッツ(現ブルックリン・ネッツ)」の共同オーナーであった。「gravy」は肉汁ソースのことだが、スラングで「余裕」「ボーナス(楽な金)」を意味する。

(Ball so hard) This shit weird
(派手にいくぜ)なんか変な気分だ。

We ain't even 'posed to be here
そもそも俺たちは、こんな場所(パリの頂点)にいるはずの人間じゃなかった。
※ゲットーでの過酷な環境から生き延び、世界的な成功を収めたことへの感慨と、白人至上主義的なハイエリートのコミュニティに黒人である自分たちが君臨していることの異質さを表現している。

(Ball so hard) Since we here
(派手にいくぜ)でも、せっかくここに来たんだから。

It's only right that we'd be fair
正当に振る舞う(楽しむ)のが筋ってもんだろ。

Psycho, I'm liable to go Michael, take your pick
サイコパスだ。俺は「マイケル」みたいになっちまうかもな、どれか選んでみな。

Jackson, Tyson, Jordan, Game 6
ジャクソン、タイソン、それとも第6戦のジョーダンか。
※同年代の黒人のアイコンであり、各分野の頂点を極めた「マイケル(マイケル・ジャクソン、マイク・タイソン、マイケル・ジョーダン)」たちを挙げている。Game 6はジョーダンが1998年のNBAファイナル第6戦で劇的な逆転シュートを決めた伝説の試合を指す。

(Ball so hard) Got a broke clock
(派手にいくぜ)ぶっ壊れた時計をつけてるんだ。

Rollies that don't tick-tock
チクタク鳴らないロレックス。

Audemars that's losing time
時間が狂っちまうオーデマ・ピゲ。

Hidden behind all these big rocks
デカいダイヤ(岩)に埋もれて、針が見えないからな。
※時計が壊れているのではなく、文字盤を覆い尽くすほどの大量のダイヤモンド(rocks)が装飾されているため時間が見えない、という規格外の自慢。

(B-ball so hard) I'm shocked too
(派手にいくぜ)俺だって驚いてるさ。

I'm supposed to be locked up too
本当なら、俺もムショにぶち込まれてるはずの人生だったんだ。

You escaped what I escaped
もしお前が、俺がくぐり抜けてきたあの修羅場を逃れられたなら。

You'd be in Paris getting fucked up too
お前だってパリで最高に酔っ払って(ハメを外して)るはずさ。
※ドラッグディーラー時代の危険や、死と隣り合わせのストリートから抜け出した奇跡を振り返っている。

(B-ball so hard) Let's get faded
(派手にいくぜ)最高にハイになろうぜ。

Le Meurice for like six days
ホテル・ル・ムーリスに6日くらい滞在して。
※Le Meurice(ル・ムーリス)はパリにある歴史的な超高級ホテル。

Gold bottles, scold models
ゴールドのボトルを開けて、モデルたちに説教を垂れる。

Spillin' Ace on my sick J's
イカしたジョーダン(スニーカー)にアルマンド(シャンパン)をこぼしながらな。
※AceはJAY-Zが所有していた高級シャンパンブランド「Ace of Spades(アルマン・ド・ブリニャック)」のこと。J'sはAir Jordan。

(Ball so hard) Bitch, behave
(派手にいくぜ)ビッチ、行儀よくしな。

Just might let you meet Ye
もしかしたらYe(カニエ)に会わせてやるかもしれないぜ。

Chi-Town's D. Rose
シカゴのD・ローズ。
※当時NBAシカゴ・ブルズの絶対的スター選手だったデリック・ローズ(Derrick Rose)のこと。同じくシカゴ出身のKanye Westと重ねている。

I'm moving the Nets, BK
俺はネッツをブルックリン(BK)に移転させるんだ。
※実際にJAY-Zはニュージャージー・ネッツの本拠地を自身の地元であるニューヨークのブルックリンに移転させ、「ブルックリン・ネッツ」を誕生させるという歴史的偉業を成し遂げた。

[Chorus: JAY-Z & Kanye West]

Ball so hard, motherfuckers wanna fine me
派手に遊びすぎて、あいつら俺に罰金を科そうとしやがる。

That shit cray, that shit cray, that shit cray
マジでクレイジー、ヤバすぎるぜ。
※crayはcrazyの略。この曲の大ヒットにより、日常的なスラングとして世界中で定着した。

B-ball so hard, motherfuckers wanna fine me
派手に遊びすぎて、あいつら俺に罰金を科そうとしやがる。

That shit cray, that shit cray, that shit cray
マジでクレイジー、ヤバすぎるぜ。

[Verse 2: Kanye West & JAY-Z]

She said, "Ye, can we get married at the mall?"
彼女が言ったんだ、「Ye、私たちショッピングモールで結婚できないかしら?」って。

I said, "Look, you need to crawl 'fore you ball"
俺は言った、「おい、派手に遊ぶ(走る)前に、まずは這い方を覚えな」

Come and meet me in the bathroom stall
トイレの個室で俺と会おうぜ。

And show me why you deserve to have it all
お前がすべてを手にするに相応しいってことを、俺に証明してみせろ。

(Ball so hard) That shit cray (That shit cray), ain't it, Jay?
(派手にいくぜ)マジでクレイジーだろ、なあJay?

(B-ball so hard) What she order (What she order), fish fillet?
(派手にいくぜ)あの子が注文したのは、なんだ?フィッシュフィレ(フィレオフィッシュ)か?
※パリの超高級レストランにいるにもかかわらず、マクドナルドの庶民的なメニュー「フィレオフィッシュ」を頼む女性の教養のなさをからかっているKanyeらしいユーモア。

(B-ball so hard) Your whip so cold (Your whip so cold), this old thing?
(派手にいくぜ)「あなたの車、超クールね」「ああ、この古いポンコツのことか?」
※whipは車のこと。他人が見れば超高級車でも、Kanyeにとってはただの「古い持ち物」に過ぎないというフレックス。

(Ball so hard) Act like you'll ever be around motherfuckers like this again
(派手にいくぜ)俺たちみたいなヤバいヤツらと、また一緒にいられるかのように振る舞ってみな。

Bougie girl, grab her hand
気取った女、そいつの手を掴む。
※Bougieはブルジョワ(Bourgeois)の略で、高級志向や気取っている人を指すスラング。

Fuck that bitch, she don't wanna dance
あんなビッチはクソくらえだ、踊る気すらないらしい。

Excuse my French, but I'm in France, haha, I'm just sayin'
汚い言葉(フレンチ)を使って悪かったな、まあ俺は今フランスにいるんだけどよ、ハハッ。
※「Excuse my French」は「汚い言葉(fuckなど)を使ってごめん」という英語の慣用句だが、実際にフランス(パリ)にいる状況と掛けた見事なジョーク。

Prince Williams ain't do it right, if you ask me
ウィリアム王子はやり方が分かっちゃいない、俺に言わせりゃな。

'Cause I was him, I would have married Kate and Ashley
だって俺が彼なら、ケイトとアシュレーの2人とも結婚してたぜ。
※ウィリアム王子がケイト・ミドルトン(キャサリン妃)と結婚したことと、双子のセレブ姉妹「メアリー=ケイト・オルセン」と「アシュレー・オルセン」を掛けている。1人のケイトで満足せず、双子両方を手に入れるというKanyeらしい奔放な発想。

What's Gucci, my nigga? What's Louis, my killer?
調子はどうだ(グッチ)兄弟?何してんだ(ルイ)相棒?
※「What's good?」をGucciに、「What's doing?」をLouis (Vuitton) に置き換え、ハイブランドで韻を踏んだ独特の挨拶。

What's drugs, my dealer? What's that jacket, Margiela?
ドラッグってなんだよ、ディーラー?そのジャケットは何だ、マルジェラか?

Doctors say I'm the illest 'cause I'm suffering from realness
医者たちは俺が一番重病(最高にヤバい)だと言う。なぜって、俺は「リアルすぎる」という病に苦しんでるからな。
※illは「病気」と「最高にイケてる」のダブルミーニング。自分が本物(real)すぎるがゆえに世間とのズレが生じているというKanyeの自己認識。

Got my niggas in Paris and they going gorillas, huh
パリに俺の仲間(Niggas)が集まって、ゴリラみたいに暴れまわってる(熱狂してる)ぜ、ハッ。
※going gorillas(ゴリラになる)=狂気乱舞する、ブチ上がる、という意味のスラング。

[Interlude]

I don't even know what that means
それがどういう意味か、自分でも分かんねえよ。

No one knows what it means, but it's provocative
誰にも意味なんて分からない。でも、挑発的じゃないか。

No, it's not, it's gross
いや、違うわ、ただの下品よ。

Gets the people going
だからこそ、みんな熱狂するんだろ。
※再び映画『Blades of Glory』からのサンプリング。自分たちの音楽や言動が、意味不明であっても大衆を熱狂させるというメタ的な言及になっている。

[Chorus: JAY-Z]

Ball so hard, motherfuckers wanna fine me
派手に遊びすぎて、あいつら俺に罰金を科そうとしやがる。

B-ball so hard, motherfuckers wanna fine me
派手に遊びすぎて、あいつら俺に罰金を科そうとしやがる。

[Outro: Kanye West, JAY-Z & Both]

You are now watching the throne
お前らは今、王座(トップの景色)を目撃している。

Don't let me get in my zone
俺をゾーンに入らせるな。

Don't let me get in my zone
俺を本気にさせるなよ。

Don't let me get in my zone
俺をゾーンに入らせるな。

These other niggas is lyin'
他のラッパーたちは嘘ばっかだ。

Actin' like the summer ain't mine
この夏は俺のものじゃない、なんてフリをしてやがる。

(I got that hot bitch in my home)
(俺の家にはイケてるビッチがいるんだ)

You know how many hot bitches I own?
俺がどれだけイケてる女を抱えてるか、知ってるか?

Don't let me get in my zone
俺をゾーンに入らせるな。

Don't let me get in my zone
俺を本気にさせるなよ。

Don't let me get in my zone
俺をゾーンに入らせるな。

Don't let me get in my zone
俺を本気にさせるなよ。

The stars is in the building
スターたちがこの建物(会場)に集まってる。

They hands is to the ceiling
みんな天井に向かって手を挙げてるぜ。

I know I'm 'bout to kill it
俺が今から完全にブチかますって、分かってるんだ。

How you know? I got that feeling
なぜ分かるかって?そんな気がビンビンしてるからさ。

You are now watching the throne
お前らは今、俺たちの王座を目撃している。

Don't let me into my zone
俺をゾーンに入らせるなよ。

Don't let me into my zone
俺を本気にさせるな。

(I'm definitely in my zone)
(間違いなく、俺はもうゾーンに入っちまってる)

 

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