Artist: Tyler, The Creator
Album: IGOR
Song Title: ARE WE STILL FRIENDS?
概要
グラミー賞を受賞した傑作アルバム『IGOR』の物語を締めくくる、痛切で美しい最終トラックだ。アル・グリーン(Al Green)の1972年の楽曲「Dream」をサンプリングしたソウルフルなサウンドに乗せ、激しい愛憎の果てに「まだ友達でいられるか?」と問いかける、未練と受容が入り混じったIGORの心理を描写している。敬愛するファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)を客演に迎え、恋愛関係が終わっても相手との繋がりを断ち切りたくないという切実な願いが込められている。特筆すべきは、この曲の最後に鳴らされる歪んだシンセのノイズが、アルバム1曲目「IGOR'S THEME」の冒頭のベース音と完璧に繋がるループ構造になっている点だ。失恋を受け入れようとしながらも、また同じ執着の渦へと戻っていくような、美しくも残酷な円環を完成させる名曲である。
和訳
[Intro: Tyler, The Creator & Al Green]
Dream
夢を見てる。
Just dream
ただの夢さ。
Long ago, long ago, long ago
ずっと昔、ずっと昔のこと。
Dream
夢を見てる。
Just dream
ただの夢さ。
※アル・グリーンの「Dream」からのサンプリング。過去の美しかった思い出が「ただの夢」のようになってしまった喪失感を示している。
[Chorus: Tyler, The Creator]
Are we still friends? Can we be friends?
俺たち、まだ友達でいられるか? 友達になれるか?
Are we still friends? I've got to kno—
俺たち、まだ友達でいられるか? 知らなきゃ気が済まねえん—
Know
気が済まねえんだよ。
If we can still see each other
まだお互いに顔を合わせられるのか。
Shake your hand, say hi
握手して、「やあ」って挨拶できる関係でいられるのか。
Long ago, long ago, long ago
ずっと昔、ずっと昔のことみたいだ。
[Verse 1: Tyler, The Creator]
I can't stop you, I can't rock too
君を止めることはできねえ。一緒にロック(楽しむ)することもできねえ。
I've been back there and I can not die too
あそこ(どん底)に戻ってたまるか、かと言って死ぬわけにもいかねえんだ。
※失恋の辛さから過去の暗い精神状態(初期のタイラーの作品に見られるような鬱屈とした状態)には戻りたくないという葛藤。
But I've got to know
でも、確かめておきたいんだよ。
[Chorus: Tyler, The Creator]
Are we still friends? Can we be friends?
俺たち、まだ友達でいられるか? 友達になれるか?
Are we still friends? Can we be (Can we be friends?)
俺たち、まだ友達でいられるか? 俺たち(友達になれるか?)
Are we still friends? Can we be friends? (Yeah)
俺たち、まだ友達でいられるか? 友達になれるか?(イェー)
Are we still friends?
まだ友達のままでいられるか?
[Instrumental Interlude]
[Chorus: Tyler, The Creator]
(La-la-la-la-la-la-la)
(ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ)
Are we still friends? Are we still friends?
俺たち、まだ友達でいられるか? まだ友達のままか?
Are we still friends? Are we still friends?
俺たち、まだ友達でいられるか? まだ友達のままか?
Are we still friends? (Friends, friends)
俺たち、まだ友達でいられるか?(友達、友達で)
I said, are we still friends? (Friends, friends)
なぁ、俺たちはまだ友達のままか?(友達、友達で)
Are we still friends? (Friends, friends, friends, friends, friends)
俺たち、まだ友達でいられるか?(友達、友達、友達、友達で)
[Verse 2: Tyler, The Creator & Pharrell Williams]
Don't get green skin (Green skin), keep contact (Keep contact)
緑色の肌(嫉妬)になんてなるな(嫉妬するな)。連絡は取り合おうぜ(連絡してくれ)。
※green skin=「嫉妬」を意味する慣用句「green with envy」のメタファー。アルバム中盤「NEW MAGIC WAND」での「My eyes are green(俺の目は緑色=激しく嫉妬している)」から連なる表現であり、元恋人への嫉妬心を抑えようとする心理変化を表している。
Don't say, "Goodbye, smell you later" (Later)
「さよなら、またな」なんて言うなよ(またな)。
※smell you later=90年代のアメリカのシットコム『ベルエアのフレッシュ・プリンス』などで使われた「じゃあな(See you later)」という別れのスラング。完全に縁を切られることをひどく恐れている。
Nah, I can't
いや、俺には無理だ。
I don't want to end this season on a bad episode, nigga, nah
このシーズンを胸糞悪いエピソードで終わらせたくねえんだよ、マジで、いやだね。
※恋愛関係をテレビドラマの「シーズン」に見立てている。最悪の結末(絶交)を避け、せめて穏やかな関係(友達)として最終回を迎えたいという未練と願い。
Bouncing off things and you don't know how you fall
色んなものにぶつかって、自分がどう落ちていくのかも分からねえ。
※ここからファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)のヴォーカルパート。感情が乱高下し、自分自身をコントロールできていない状態を客観的に指摘している。
Your power is drained, so you cannot go through walls
パワーは吸い取られちまって、壁を通り抜けることもできねえ。
You're caught in this matrix, don't know where you play it
このマトリックス(仮想現実・迷宮)に囚われて、どこでゲームすりゃいいのかも分からねえんだ。
You hate it, it could be your favorite if you make it your friend
お前はそれを嫌ってるが、もし「それ」と友達になれりゃ、お気に入りになるかもしれねえぜ。
※ファレルからのメンター的なアドバイス。「それ」とは失恋の痛みや現在の最悪な状況のこと。苦しみから逃げるのではなく、受け入れて向き合う(友達になる)ことで、いつか人生の良い糧(お気に入り)に変えられるという前向きなメッセージだ。
[Chorus: Tyler, The Creator]
(Friends)
(友達に)
Are we still friends? (This can't end)
俺たち、まだ友達でいられるか?(こんなの終わらせられねえよ)
Are we still friends? (I still wanna say hi)
俺たち、まだ友達でいられるか?(まだ「やあ」って挨拶したいんだ)
Are we, are we, are we, are we still friends?
俺たちは、俺たちは、まだ友達でいられるのか?
Oh, woah
オー、ウォウ。
[Outro: Tyler, The Creator]
Can't say goodbye (Yeah, ah, ah)
さよならなんて言えねえよ(イェー、アー、アー)。
Can't say goodbye, goodbye (Woo)
さよならなんて言えねえ、さよならなんて(ウー)。
※曲の最後は、悲痛な叫び声とともにギターの歪んだノイズがブツッと切れて終わる。この最後のサウンドは、アルバム1曲目「IGOR'S THEME」の冒頭のシンセベース音と全く同じキー・同じトーンで繋がるように設計されている。IGORが完全に未練を断ち切れたわけではなく、再び同じ執着や新たな恋のループに陥ることを示唆する、コンセプチュアルな仕掛けである。
