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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

WHAT’S GOOD - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator

Album: IGOR

Song Title: WHAT’S GOOD

概要

本作は、グラミー賞受賞アルバム『IGOR』の第9トラックであり、悲嘆に暮れていた主人公(IGOR)が突如として攻撃的かつエゴイスティックな本来の姿を取り戻す、アルバム内の強烈な転換点となる楽曲だ。前半では、自身を神になぞらえるほどの肥大化した自己愛と、ラップゲームにおける圧倒的な自信を凶暴なビートに乗せて誇示している。後半(Part II)では、イギリスの気鋭ラッパー・slowthaiの不気味なコーラスを背景に、タイラー自身が2018年に経験したテスラ車での凄惨な交通事故(ニアミス)の生還劇を回想している。死の淵を彷徨った体験を経て、「自分は唯一無二の存在だ」と再確認する、強烈な生命力と狂気が交錯するハイライト的ナンバーである。

和訳

[Part I]

[Verse 1]
Turn my lights on
照明をつけろ。

How the fuck you quiet with the mic on?
マイクが入ってんのに、なんでお前らはダンマリなんだ?

I don't get anxiety, you Sam Bowie-ass niggas
俺は不安になんてならねえよ、お前らサム・ブーイみたいな奴らとは違ってな。
※Sam Bowie=1984年のNBAドラフトでマイケル・ジョーダンの直前(全体2位)で指名されたものの、度重なる怪我で大成しなかった選手。期待外れなラッパーたちを彼に例えている。

I just get my Mike on
俺はマイクのモードに入るだけだ。
※Mike=マイク(Microphone)のスイッチを入れることと、前述のサム・ブーイと同年のドラフトでマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)がブレイクしたように、自分がゲームを支配するというダブルミーニング。

Y'all said I wouldn't go nowhere, I took the detour
お前ら俺がどこにも行けないって言ってたな。俺はただ回り道をしただけだ。

When you see the someone in the crack right by the seashore?
海辺のすぐそばの割れ目で、誰かを見かけた時?

When you see them brand new le Fleurs on the floor?
フロアに並んだ、真新しい「le FLEUR」を見た時か?
※le Fleur=タイラーが手掛けるファッションブランドおよびコンバースとのコラボシューズライン「GOLF le FLEUR*」のこと。成功の証拠を提示している。

If the cops ask my name, bitch, I'm Igor
もしサツに名前を聞かれたら、ビッチ、俺はイゴール(IGOR)だ。

[Chorus]
Yeah, ayo
イェー、エイヨォ。

Yeah, yeah
イェー、イェー。

Let's go, let's go, I ain't playin' around
行くぞ、行くぞ、俺は遊びでやってんじゃねえ。

Red nose, red nose, all you niggas is clowns
赤い鼻、赤い鼻、お前らは全員ピエロだ。

Niggas turning it up, well, shit, I'm tearing it down
奴らが盛り上げてるって? クソ、俺は全部ぶっ壊してやるよ。

Hard to believe in God when there ain't no mirrors around
周りに鏡がないと、神の存在を信じるのが難しくなるぜ。
※鏡に映る自分自身こそが「神」であるという、極端に肥大化したエゴと自己愛を示す本作屈指のパンチラインである。

What's up?
調子はどうだ?

[Bridge]
Uh-huh, ayo
アーハ、エイヨォ。

Uh-huh
アーハ。

Yeah, yo
イェー、ヨォ。

Bitch
ビッチ。

[Verse 2]
Running 'til the rims fall
リム(ホイール)が吹っ飛ぶまで走り続ける。

Had them niggas and the cops looking jigsaw
連中やサツどもを、ジグソーパズルみたいに困惑させてやったぜ。

I done fucked around and turned into the big dog
好き放題やってたら、いつの間にかビッグ・ドッグ(大物)になっちまった。

Better get God, get caught? Bitch, I think not
神に祈りな。捕まるかって? ビッチ、そんなわけねえだろ。

Yeah, new suit, new boots, same nigga, like what?
イェー、新しいスーツに新しいブーツ、でも中身は同じ野郎さ。どうだ?
※『IGOR』期のタイラーの象徴的なビジュアルである、派手なカラーのスーツにおかっぱ頭、ブーツというスタイルを指している。

Lukewarm-ass niggas always wanna talk
生ぬるい野郎どもに限って、いつもベラベラ喋りたがる。

I'm hot, I'm heat to the core like Earth
俺は熱いぜ、地球みたいにコア(核)まで熱を持ってるんだ。

Don't touch, don't go, niggas might get buck
触るな、近づくな。連中は暴れ出すかもしれねえからな。

[Chorus]
Yo (Igor, Igor)
ヨォ(イゴール、イゴール)。

Ayo (Igor, Igor)
エイヨォ(イゴール、イゴール)。

Uh-huh, yeah
アーハ、イェー。

Let's go, let's go, I ain't playin' around
行くぞ、行くぞ、俺は遊びでやってんじゃねえ。

Red nose, red nose, all you niggas is clowns
赤い鼻、赤い鼻、お前らは全員ピエロだ。

Niggas turning it up, well, shit, I'm tearing it down
奴らが盛り上げてるって? クソ、俺は全部ぶっ壊してやるよ。

Hard to believe in God when there ain't no mirrors around
周りに鏡がないと、神の存在を信じるのが難しくなるぜ。

What's up?
どうした?

[Interlude]
Whoop, uh-huh
ウープ、アーハ。

Yeah, bitch
イェー、ビッチ。

Yeah
イェー。

[Part II]

[Intro: slowthai]
I see the light
光が見える。

Now didn't I tell you motherfuckers
なあ、お前らクソ野郎どもに言わなかったか?

Um, I see the light
ああ、光が見えるんだ。

To pay attention and to keep your motherfucking eyes glued to the man that's in front of you?
ちゃんと注意を払って、目の前にいる男からそのクソみたいな目を離すなってな?

I see the light
光が見える。
※I see the light=臨死体験時の「光」や、真実への目覚めを意味する。タイラーの交通事故からの生還を予感させる不気味なイントロダクションである。

That's what the fuck I expect all y'all motherfuckers to do
それが、俺がお前ら全員に期待してることなんだよ。

I see the light
光が見える。

[Verse 3: Tyler, The Creator & slowthai]
Dracula, Dracula, Dracula
ドラキュラ、ドラキュラ、ドラキュラ。

Suck me first, I might get back at ya (I see the light)
先に俺の血を吸ってみな、俺もお前を吸い返すかもしれねえぞ(光が見える)。

Is that shit clear? Check the aperture
はっきり見えてるか? 絞り(アパーチャー)を確認しな。
※aperture=カメラのレンズの絞り。「視界・状況をはっきりと見極めろ」という意味。

Hahahahaha, I can't laugh at ya (I see the light)
ハハハハハ、お前のことは笑えねえよ(光が見える)。

This the shit that make you nervous
これはマジでお前をビビらせる代物だぜ。

'Bout to go buck wild, nigga, Steve Irwin (I see the light)
クソほど暴れ回ってやるよ、スティーブ・アーウィンみたいにな(光が見える)。
※Steve Irwin=ワニと格闘する姿で有名になったオーストラリアの環境保護運動家。「クロコダイル・ハンター」。命知らずな狂気を表現している。

Sick of that 'Claren talk, I'm on my third one
マクラーレンの話はもうウンザリだ、俺はもう3台目に乗ってんだからよ。

Niggas talkin' reckless, I never heard 'em (I see the light)
連中が無責任な噂話をしてるが、俺の耳には全く入ってこねえ(光が見える)。

[Chorus: slowthai]
I see the light
光が見える。

I see the light
光が見える。

I see the light
光が見える。

(Buck, don't touch, though, my niggas might get buck, don't touch, though)
(暴れるぞ、でも触るな、俺のダチが暴れ出すかもしれねえ、でも触るな)。

I see the light
光が見える。

(Buck, don't touch, though, my niggas might get buck, don't touch, though)
(暴れるぞ、でも触るな、俺のダチが暴れ出すかもしれねえ、でも触るな)。

I see the light
光が見える。

[Verse 4: Tyler, The Creator & slowthai]
That car crash couldn't take me (Woo, ha)
あの交通事故でも、俺の命は奪えなかった(ウー、ハ)。
※2018年10月にタイラーが起こしたテスラ・モデルXでの衝突事故を指している。居眠り運転により駐車中の車に激突したが、奇跡的に無傷だった。

Green haired angels all around me (Uh)
緑色の髪をした天使たちが俺を囲んでるんだ(アー)。
※『IGOR』期のタイラーは金髪または緑色のウィッグを着用していることが多く、自分自身や自身の分身が守護天使になっているという自己愛的な表現。

No answer why, no tears to cry, bitch, I'm alive (I see the)
理由は分からねえし、流す涙もねえ。ビッチ、俺は生きてるぞ(光が…)。

That wasn't my endpoint like v-neck
あれは俺のエンドポイント(終点)じゃなかった。Vネックみたいにな。
※Vネックの先端(endpoint)が首元で止まるように、自分の人生はまだ底(終点)に達していないというワードプレイ。

I ain't have nobody to cheat on, I cheat death
俺には浮気(チート)する相手なんかいねえ。俺がチートしたのは「死」だ。

New album, no repeat, I reset
新しいアルバム、リピートはしない、俺はリセットする。

Everything I deliver special like G. Dep
俺が届けるものは全部「スペシャル」だ、G. Depみたいにな。
※G. Dep=Bad Boy Recordsに所属していたラッパー。彼の代表曲「Special Delivery」からの引用。

Two of 'em, I total, Kima, Pam
俺は2台の車をオシャカ(トータル)にした、キーマとパムみたいにな。
※Bad Boy Recordsに所属していたR&Bグループ「Total」のメンバーであるKimaとPamを掛けている。

Me and death, the universe played middle man
俺と「死」の間に、宇宙が仲介役(ミドルマン)として入ってくれたんだ。

Quick nap, kick back like horse, eyes shut
ちょっとのうたた寝、馬みたいに蹴り返されて、目は閉じたまま。

Loud sound, no scratch
凄まじい轟音がしたけど、かすり傷一つねえよ。

Motherfuckers really thought I died
クソ野郎どもはマジで俺が死んだと思ったらしいな。

Hoping they could take a spot
俺のポジションを奪えるんじゃないかって期待してただろ。

Nigga not knowing that I'm one of one
連中は分かっちゃいねえんだ、俺が唯一無二(1 of 1)の存在だってことを。

And they some Helen Keller-ass niggas
あいつらはヘレン・ケラーみたいな奴らだからな。
※見えないし聞こえない(タイラーの才能や真実に気づかない)ヘイターたちを揶揄している。

And I got my eyes open, now I see the
でも俺の目はガン開きだ、今ならはっきりと見えるぜ。

[Outro: slowthai & Jerrod Carmichael]
Light
光が。

I see the light
光が見える。

You never wanna meet a motherfucker like me
俺みたいなクソヤバい奴には、お前ら絶対に出会いたくないだろうな。

I see the light (I said)
光が見える(言っただろ)。

I see the light
光が見える。

I see the light
光が見える。

I don't know what's harder, letting go or just being okay with it
どっちが難しいのか分からねえよ。「手放す」ことなのか、それとも「ただそれを受け入れる」ことなのか。
※ジェロッド・カーマイケルによるナレーション。アルバムの終盤に向けて、相手をコントロールしようとする執着(=IGOR)から脱却し、失恋を「受け入れる」フェーズへと向かう心理的葛藤を表現している。

 

Igor

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