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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

PUPPET - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator

Album: IGOR

Song Title: PUPPET

概要

本作は、タイラー・ザ・クリエイターの傑作アルバム『IGOR』の第7トラックであり、恋に落ちた主人公(IGOR)が相手への異常な依存状態に陥り、自らの自由意志を失っていく様を描いた楽曲だ。タイトルの「PUPPET(操り人形)」が示す通り、相手の都合のいいようにコントロールされ、自己を見失ってしまった虚無感と恐れがテーマとなっている。客演にはカニエ・ウェストがクレジットなしで参加しており、彼の不明瞭で断片的なヴァースが、主人公の混乱しきった心理状態を音響的に表現している。終盤に挿入されるナレーションが、この有害な関係からの「目覚め」を予感させる、アルバムのストーリー構成において極めて重要な一曲である。

和訳

[Intro: Tyler, The Creator]
Ayo
エイヨォ。

[Verse 1: Tyler, The Creator]
I wanna talk, I wanna call you and talk
話したい、電話して話したいんだ。

I wanna walk to your front door and knock
君の家の玄関まで歩いて行って、ノックしたい。

After I start my vehicle
車のエンジンをかけた後にさ。

Drive to your city 'cause we live an hour apart
君の街まで車を飛ばす。俺たちは1時間離れた場所に住んでるからな。

Land at your driveway and put it in park
君の家のドライブウェイに着いて、パーキングに入れる。

Then do the third line of this verse
それから、このヴァースの3行目の行動をするんだ。
※メタ的な表現。3行前の「I wanna walk to your front door and knock(玄関まで歩いてノックする)」という行動を指している。

Then back to my house and we pack up our bikes
それから俺の家に戻って、自転車を準備して。

And we ride through the park, chase the sun
公園の中を走り抜けて、太陽を追いかけるんだ。

God, that's all I want, other than air
なあ神様、俺が欲しいのはそれだけなんだ。空気以外にはね。

Oxygen and financial freedom, yeah
あとは酸素と、経済的な自由くらいさ、イェー。

I want your company, I need your company
君のそばにいたい、君が一緒にいてくれないとダメなんだ。
※company=「会社」ではなく「同席すること」「一緒にいること」を意味する。病的とも言える相手への依存を如実に表している。

I want you to want from me
君にも俺を求めてほしい。

I can't maneuver without you next to me
君が隣にいないと、上手く身動きも取れねえよ。

It's so complex to me
俺にとっては、すごく複雑なんだ。

[Verse 2: Tyler, The Creator]
What do you need? Do you need bread?
何が必要だ? 金(パン)が要るのか?
※bread=お金を意味するスラング。相手の気を引くために何でも差し出そうとする盲目的な態度を示している。

Do you need this? Do you need a hug?
これが要るか? ハグしてほしいか?

Do you need to be alone?
一人になりたいのか?

I could wrap this up and get the fuck away instead
なんなら、こんなの切り上げて、とっとと消えてやることだってできるぜ。

What is your wish? It can be granted
君の願いは何だ? 俺が叶えてやるよ。

You're number one, one on my list
君はナンバーワンだ、俺のリストのトップなんだよ。

See, I am Santa, where is Rudolph?
ほら、俺はサンタクロースだぜ、ルドルフ(トナカイ)はどこにいる?
※相手の願いを何でも叶える自分をサンタクロースに、相手を導き手である赤鼻のトナカイ(ルドルフ)に例えている。同時に、ルドルフがいないとソリ(自分自身)を動かせないという依存関係も暗示している。

You're parasitic, I do not have self-control
君はパラサイト(寄生虫)みたいだ、俺は自分で自分をコントロールできねえ。

I am startin' to wonder, is this my free will or yours? (Yours, yours, yours)
疑問に思い始めてるよ、これは俺の自由意志なのか、それとも君のものなのか?(君の、君の、君の意志さ)。

[Chorus: Tyler, The Creator & Kanye West]
I'm your puppet
俺は君の操り人形(マペット)だ。

You control me
君にコントロールされてる。

I'm your puppet
俺は君の操り人形だ。

I don't know me
もう自分のことも分かんねえ。

(Did I wait too long?) I'm your puppet
(俺は待ちすぎたのか?)俺は君の操り人形だ。

(Did I wait too long?) You control me
(俺は待ちすぎたのか?)君に操られてる。

(Did I wait too long?) I'm your puppet
(俺は待ちすぎたのか?)俺は君の操り人形だ。

(Did I wait too long?) I'm lonely
(俺は待ちすぎたのか?)俺は孤独だ。

'Cause I'm your puppet (Puppet, oh)
だって俺は君の操り人形だから(マペット、ああ)。

You control me (Control me)
君にコントロールされてる(操られてる)。

I'm your puppet (Puppet)
俺は君の操り人形だ(マペット)。

I don't know
分かんねえよ。

I'm your puppet
俺は君の操り人形だ。

(Did I wait too long?) You control me
(俺は待ちすぎたのか?)君にコントロールされてる。

(Puppet, puppet)
(マペット、マペット)。

[Verse 3: Kanye West]
You lost, son, and you've been tryna find your way to me
お前は迷子になってるんだな、坊主。そして俺への道を見つけようとしてる。
※カニエ・ウェストのヴァース。意図的に不明瞭でノイジーなミックスが施されており、主人公(IGOR)の頭の中で鳴り響く混沌とした思考、あるいはカニエ自身の無意識のつぶやきを表現している。

Ayy, to me, he's on somethin' that I hate to see
エイ、俺から見りゃ、あいつは俺の嫌いなモンにハマっちまってるよ。

A to Z, nah, son, I'm gonna take a breathe
AからZまで。いや、坊主、俺はちょっと一息つくぜ。

Run a 'thon, I just stop and I'ma take the breathe
マラソンみたいに走ってきた。ちょっと立ち止まって、一息入れる。

...on a...
……で……

...on a...
……で……

First, light the weed
まずは、ウィード(マリファナ)に火をつけな。

First...
まずは……

(Got me by the string) First...
(君に糸で操られてる)まずは……

(Got me by the string) First, get the weed
(君に糸で操られてる)まずは、ウィードを手に入れろ。

(Got me by the string, oh, Lord)
(君に糸で操られてるんだ、ああ、神様)。

[Outro: Kanye West, Tyler, The Creator & Jerrod Carmichael]
(La, la-la-la, la-la-la) Breathe on a song
(ラ、ラララ、ラララ)歌の中で息を吸って。

(La-la-la) Breathe on a song
(ラララ)歌の中で息をして。

(La-la, la-la, la-la-la) Breathe on a song
(ララ、ララ、ラララ)歌の中で息を吸うんだ。

(Cut me loose)
(俺を解放してくれ)。
※cut me loose=操り人形の「糸を切る」ことから転じて、拘束や有害な関係から「解放する」「手を切る」という意味。

(La-la-la)
(ラララ)。

(La-la, la-la, la-la-la)
(ララ、ララ、ラララ)。

(He gotta, cut me loose, yeah, yeah, yeah, yeah)
(あいつが、俺の糸を切って自由にしてくれねえと、イェー、イェー、イェー、イェー)。

But at some point, you come to your senses
だが、ある時点で、お前は正気を取り戻すんだ。
※ナレーターであるジェロッド・カーマイケルによる重要なセリフ。come to one's senses=「正気に戻る」「目が覚める」。狂信的な愛に溺れていたIGORが、ついにこの有害な関係の異常さに気づき始める瞬間を示唆している。

 

Igor

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