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Another Brick In The Wall, Pt. 2 - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: The Wall

Song Title: Another Brick In The Wall (part II)

概要

1979年発表の巨大なロック・オペラ『ザ・ウォール(The Wall)』の中核をなし、ピンク・フロイドにとって唯一の全米・全英1位を獲得した最大のヒット・シングルである。前曲「The Happiest Days Of Our Lives」で描写されたサディスティックな教師たちに対する、生徒たちの鬱屈した怒りと反逆の叫びがテーマとなっている。プロデューサーのボブ・エズリンの提案によって導入されたディスコ調の強靭なビートと、イズリントン・グリーン学校の生徒たちによる無垢にして不敵な大合唱が、非人間的な教育システム(思想統制)への強烈なアンチテーゼとして機能している。主人公ピンクの心に「抑圧」という名のレンガが決定的に積み上げられる瞬間を描き出した、ロック史に燦然と輝く反権威主義のアンセムだ。

和訳

[Intro]
[Verse 1: Roger Waters & David Gilmour]
We don't need no education
俺たちに教育なんて必要ない。
※二重否定(don't need no)を用いた労働者階級的なブロークン・イングリッシュ。「押し付けられた画一的な教育」に対する子供たちの本能的な拒絶である。

We don't need no thought control
俺たちに思想統制なんて必要ない。
※個性をすり潰し、体制に従順な「歯車」を大量生産する公教育のシステムを、明確に「思想統制(ファシズム)」と断じている。

No dark sarcasm in the classroom
教室に陰湿な皮肉はいらない。
※前曲で描写された、生徒の弱みをクラスの前で嘲笑する教師たちのサディスティックな態度に対する直接的な抗議。

Teacher, leave them kids alone
教師よ、子供たちを放っておいてくれ。

[Pre-Chorus: Roger Waters & David Gilmour]
Hey, teacher, leave them kids alone
おい、教師よ。子供たちを放っておけ。

[Chorus: Roger Waters & David Gilmour]
All in all, it's just another brick in the wall
結局のところ、それも壁を形作るもう一つのレンガに過ぎないのさ。
※学校教育における抑圧もまた、主人公ピンクが外界の苦痛から自己を隔離するために築き上げる「精神の壁」を高くする要因(レンガ)の一つであるという絶望的な帰結。

All in all, you're just another brick in the wall
結局のところ、あんたも壁に埋め込まれた一つのレンガに過ぎないんだ。
※「you」は教師を指す。生徒を虐圧する教師自身もまた、さらに上位の権力(あるいは家庭内の妻)から抑圧され、社会という巨大な壁(システム)に組み込まれた無自覚なレンガの一つであるという残酷な事実の突きつけである。

[Verse 2: Islington Green School Students]
We don't need no education
僕たちに教育なんて必要ない。
※実際の小学生たち(イズリントン・グリーン学校の生徒たち)による大合唱。無垢な子供たちの声で歌われることで、抑圧への反逆がよりリアルで強烈な社会性を持つに至った。

We don't need no thought control
僕たちに思想統制なんて必要ない。

No dark sarcasm in the classroom
教室に陰湿な皮肉はいらない。

Teachers, leave them kids alone
先生たち、子供たちを放っておいてよ。

[Pre-Chorus: Islington Green School Students]
Hey, teacher, leave us kids alone!
ねえ先生、僕たちを放っておいてよ!

[Chorus: Islington Green School Students]
All in all, you're just another brick in the wall
結局のところ、先生も壁に埋め込まれた一つのレンガに過ぎないんだ。

All in all, you're just another brick in the wall
結局のところ、先生も壁に埋め込まれた一つのレンガに過ぎないんだ。

[Guitar Solo]
[ギター・ソロ]
※デヴィッド・ギルモアが1954年製レスポール(ゴールドトップ)で弾き出した、ロック史に残る名ギター・ソロ。抑圧から解放された子供たちのエネルギーが、ブルージーかつ劇的なトーンで天空へと放たれていくような圧倒的なカタルシスをもたらしている。

[Outro: Roger Waters]
Wrong, do it again
間違っている、もう一度やり直せ。
※スコットランド訛りの教師の高圧的な怒声が再び響く。子供たちの反逆の叫びも虚しく、結局は強固な学校システムの中に再び飲み込まれていく不気味なエンディングである。

Wrong, do it again
間違っている、もう一度やり直せ。

If you don't eat your meat, you can't have any pudding
肉を食べない奴には、プリンはやらんぞ。
※イギリスの伝統的な食卓の風景に擬えた脅し。「おとなしく体制(肉)に従わなければ、ご褒美(プリン)は与えられない」という、飴と鞭による大衆コントロールのメタファー。

(Wrong, do it again)
(間違っている、もう一度やり直せ)

How can you have any pudding if you don't eat your meat?
肉も食べないで、どうしてプリンがもらえると思うんだ?

(Wrong, do it again)
(間違っている、もう一度やり直せ)

(If you don't eat your meat)
(肉を食べない奴には)

You, yes, you behind the bike sheds, stand still, laddie
お前だ、そう、自転車置き場の後ろにいるお前! じっと立っていろ、小僧!
※学校の死角(自転車置き場の裏)で隠れてタバコを吸ったり、体制から逃れようとしている生徒を執拗に監視・摘発する教師の姿。管理社会におけるパノプティコン(全展望監視システム)的な恐怖を描き出している。

(If you don't eat your meat, you can't have any pudding)
(肉を食べない奴には、プリンはやらんぞ)

(How can you have any pudding if you don't eat your meat?)
(肉も食べないで、どうしてプリンがもらえると思うんだ?)

(You, yes, you behind the bike sheds, stand still, laddie)
(お前だ、そう、自転車置き場の後ろにいるお前! じっと立っていろ、小僧!)

 

Another Brick In the Wall, Pt. 2 (Remastered)

Another Brick In the Wall, Pt. 2 (Remastered)

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