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Pigs on the Wing, Pt. 2 - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: Animals

Song Title: Pigs on the Wing (Part 2)

概要

1977年発表の極限の社会風刺アルバム『アニマルズ(Animals)』のエンディングを飾る、ロジャー・ウォーターズによるアコースティック・ナンバーの後半である。冷酷な資本主義を「犬」「豚」「羊」に喩え、徹底的な人間不信と搾取の連鎖を描き出した本作において、このわずか1分半の小曲はアルバムにおける唯一の「救い」として機能している。オープニングの「Part 1」では「もし互いへの思いやりがなければ」という仮定でディストピアへの扉を開いたが、この「Part 2」では「互いを思いやる心(愛)があるからこそ、この残酷な世界を生き抜ける」という個人的な着地点を見出している。重圧(石)に潰されることなく、空から監視する権力者(豚)の脅威から身を守るためのシェルターは、結局のところ、他者との真実の繋がりしかないという、ウォーターズの人間への微かな希望と哀愁が込められた見事なエピローグである。

和訳

[Verse: Roger Waters]
You know that I care what happens to you
君の身に何が起ころうと、僕が気にかけているってことは分かっているだろう。
※「Part 1」の「If you didn't care...(もし君が気にかけず)」に対する明確なアンサー。人間性を剥奪する資本主義社会において、他者への純粋な「愛(思いやり)」だけが最後に残された人間性の証明となる。当時のウォーターズの妻、キャロラインへのパーソナルなメッセージでもある。

And I know that you care for me too
そして、君も僕を気遣ってくれていることを、僕は知っている。

So I don't feel alone or the weight of the stone
だから、僕はもう孤独を感じないし、あの石の重圧を感じることもない。
※「stone(石)」は、アルバム全体(特に「Dogs」と「Sheep」)を貫く「社会的な重圧、孤独、死へと引きずり込む力」のメタファー。愛という個人的な絆が存在することで、ついにそのシステムの呪縛から解放されたことを示している。

Now that I've found somewhere safe to bury my bone
僕の骨を埋めるための、安全な場所を見つけたのだから。
※「bury my bone」は犬が骨を隠す習性に掛けた言葉遊びであると同時に、自分が安住できる「拠り所(ホーム)」を見つけたという安堵の表現。過酷な闘争社会で牙を剥いていた哀れな「犬」が、愛する者の前でだけは安息を得るという痛切な着地である。

And any fool knows a dog needs a home
そしてどんな馬鹿にだって分かるはずさ、犬には帰るべき家が必要なんだって。

A shelter from pigs on the wing
空飛ぶ豚たちから身を守るための、隠れ家がね。
※「pigs on the wing」は、空から大衆を監視し搾取する権力者や、社会の不条理そのものを指す。残酷で狂気に満ちた世界(動物農場)のシステム自体を変えることはできなくとも、愛する人との小さな「繋がり(シェルター)」を築くことで、人間はどうにか狂わずに生きていける。圧倒的な絶望の果てにたどり着いた、ささやかだが力強いレジスタンスの宣言としてアルバムは幕を閉じる。

 

Pigs On the Wing, Pt. 2

Pigs On the Wing, Pt. 2

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