UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Rolling Stone - The Weeknd 【和訳・解説】

Artist: The Weeknd

Album: Thursday

Song Title: Rolling Stone

概要

2011年のミックステープ第2弾『Thursday』に収録された本作は、重厚な電子音がひしめく初期作品群の中で一際異彩を放つ、アコースティック・ギターを基調とした切ないバラードである。歌詞の中でアベルが語りかける「君」とは、特定の恋人であると同時に、彼を最初期から支えてきたアンダーグラウンドのコアなファンベースそのものを指している。やがてメインストリームへと進出し、世界中から愛されるポップスターになることで、自身の「神秘性」が失われ、古参のファンが離れていくことへの強い恐怖と葛藤が赤裸々に綴られた、極めて自己言及的で予言的なマスターピースだ。

和訳

[Intro]
Ooh
(Ooh)

Yeah, yeah, yeah
(Yeah, yeah, yeah)

[Verse 1]
Now you're thinkin' 'bout it
今、君はそのことについて考えてるよな

Girl you're thinkin' 'bout it
なあ、君は考えてるんだろ

What we got here
俺たちの間にあるもの

How we fuckin' got here
俺たちがどうやってここまで来たのかってことを

They recognized
奴らは俺を認め始めた

They just recognize
世間がようやく気づき始めたんだ

I'm in a life without a home so this recognition's not enough
俺は帰る場所もない人生を生きてる、だからこんな承認だけじゃ到底足りないんだ

I don't care about nobody else
他の誰のことなんて、どうだっていい

'Cause I've been on these streets for too long, too long, too long
このストリートに、あまりにも長く居すぎちまったから

Baby, I've been on this too long
ベイビー、こんな生活を長く続けすぎたんだ

[Verse 2]
'Cause getting faded too long
ずっとハイになり続けてきたせいで
※「faded」はドラッグやアルコールで酩酊した状態を指す。

Got me on this rolling stone
今じゃこの「ローリング・ストーン(転がる石)」に乗っちまってる
※「rolling stone」はボブ・ディランの名曲などに代表される「定住せず彷徨う者」の比喩であると同時に、MDMA(エクスタシー)を摂取してハイになること(rolling)のダブルミーニングである。名声への階段を止まらずに転がり落ちていく(上がっていく)自身の状態を表現している。

So I take another hit
だから、もう一服キメるのさ

Kill another serotonin
セロトニンをまた一つ殺してやるんだ
※MDMAの摂取によって脳内のセロトニン(幸福感をもたらす神経伝達物質)が急激に放出され、その後枯渇する現象を指している。快楽と引き換えに精神をすり減らす自己破壊的なラインだ。

With a hand full of beans
手のひら一杯の錠剤と
※「beans」はエクスタシー(MDMA)の錠剤を指すストリート・スラング。

And a chest full of weed
胸いっぱいに吸い込んだウィード(大麻)でな

Got me singing 'bout a bitch
そいつが、俺にビッチの歌を歌わせるんだ

While I'm blowing out my steam
溜まった鬱憤を吐き出しながらさ

Yeah, I know I got my issues
ああ、俺が問題を抱えてることは分かってる

Why you think I fuckin' flow?
だからこそ、俺がこうして言葉を紡いでる(歌ってる)って思わないか?

And I'ma keep on smoking 'til I can't hit another note
俺は吸い続けるよ、これ以上、声が出なくなるまでな

[Chorus]
Ooh, but until then
ああ、でもその時が来るまでは

I got you, ooh
俺には君がいる

Baby, I got you, ooh
ベイビー、俺には君がついているから

Until you're used to my face
君が俺の顔に見慣れてしまって

And my mystery fades
俺の「神秘性」が消え去ってしまうまでは
※ミックステープ発表当時、一切の素顔やプロフィールを隠していたザ・ウィークエンドの匿名性(mystery)への言及。顔出しをしてメジャーなポップスターになれば、このミステリアスな魅力が失われ、初期からのファン(君)が離れていくのではないかという恐れを吐露している。

I got you, ooh
君は俺のものさ

[Verse 3]
So, baby, love me, oh
だから、ベイビー、俺を愛してくれ

Before they all love me
世界中の誰もが、俺を愛するようになる前に

Until you won't love me, oh
君が俺のことを、もう愛さなくなるその時まで

Because they'll all love me, ooh
だって、世間はみんな俺を愛するようになるんだから

I'll be different, oh
俺は変わっちまうだろうな

I think I'll be different, ooh
きっと、すっかり別の人間になっちまう

I hope I'm not different, oh
変わらないでいられたらって、願ってるけど

And I hope you'll still listen
そして、君がこれからも俺の歌を聴いてくれることを祈ってるよ
※初期の熱狂的なファンに向けた、切実なメッセージ。インディー・アーティストからメインストリームの巨大なスターへと変貌を遂げる直前の、アンビバレントな感情(成功への野心と、ファンを失うことへの恐怖)が完璧に表現された楽曲の核である。

[Chorus]
But until then
でも、その時が来るまでは

Baby, I got you, ooh
ベイビー、俺には君がついているから

I got you, oh, ohh
君がいるんだ

Girl, I still got you, oh-ohh
なあ、俺にはまだ君がいる

And I got you, ooh, woah
ずっと君のそばにいるさ

 

Thursday

Thursday

  • アーティスト:Weeknd
  • Republic
Amazon