Artist: Kendrick Lamar
Album: untitled unmastered.
Song Title: untitled 08 | 09.06.2014.
概要
本作は『untitled unmastered.』のラストを飾る、2014年9月6日録音のグルーヴィーなファンク・トラックである。Thundercatのベースとファルセットが光るこの曲は、「Blue faces(新紙幣の100ドル札、転じて悲しそうな顔)」をテーマに、金や物質主義に執着する現代の若者(アメリカ社会)の姿を描いている。
前半では、手っ取り早く金を稼ぐこと(ファスト・マネー)に走る黒人たちの葛藤や自己憐憫を綴る。しかしVerse 3では、ケンドリックが南アフリカのケープタウンを訪れた際、現地の貧しい住人から「お前らアメリカの黒人が抱える悩み(家賃やドラッグ)なんて、俺たちの過酷な現実に比べたらクソみたいなもんだ」と一喝されるという衝撃的なストーリーが展開される。自己憐憫を捨て、困難の中でも力強く生きることを説く、痛烈なメッセージ・ソングだ。
和訳
[Intro: Thundercat]
Ooh, ooh, ooh
ウー、ウー、ウー。
Ooh, ooh, ooh
ウー、ウー、ウー。
[Chorus: Kendrick Lamar, Thundercat, Kendrick Lamar & Thundercat]
Why so sad?
なんでそんなに悲しそうなんだ?
※悲しい顔(blue faces)と100ドル新紙幣(青い帯が入っていることからblue facesと呼ばれる)を掛けたワードプレイが曲のテーマ。
Walking around with them blue faces (Ooh)
その「ブルー・フェイス(100ドル札/悲しい顔)」をぶら下げて歩き回ってる。
She said I'm down on my luck
彼女は「ツキに見放された」って言ってた。
And it's something I gotta have (Ooh)
「どうしても手に入れなきゃいけないものがあるの」ってな。
"Blue faces"
「ブルー・フェイス(金)」だよ。
I hit the bank today, and told them "Color me bad" (Ooh)
今日銀行に行って、「俺をバッドな色に染めてくれ(金を下ろしてくれ)」って言ってやった。
※90年代のR&Bグループ「Color Me Badd」と、青い札束を手に入れることを掛けている。
Blue faces (Ooh)
ブルー・フェイス(100ドル札)。
Get that new money, and it's breaking me down, honey
その新しい金を手に入れて、それが俺を壊していくんだ、ハニー。
[Verse 1: Kendrick Lamar, Thundercat]
Two tears in the bucket, I cry with you, uh
バケツに落ちる2粒の涙、俺も一緒になって泣いてやるよ。
※Two tears in a bucket, fuck it(バケツの涙なんて気にすんな、クソくらえだ)というストリートの格言をもじっている。
But I could never lie with you (Ooh)
でも、お前と一緒に横たわる(妥協する)ことなんて絶対にできねえ。
I could never afford not to afford (Ah)
「余裕がない」状況を許容する余裕なんて、俺には絶対になかった。
I could never put my plans to the side with you (Ooh)
お前と一緒に、自分の計画を後回しにすることなんて絶対にできなかった。
I could never see a red light
俺には赤信号(ストップ)なんて見えなかった。
Like a deer with a headlight (Ah, Ooh)
ヘッドライトに照らされた鹿のようにな。
※危険が迫っていても立ち止まることができなかった、あるいは目標(光)に向かって一直線だった様子。
I freeze up when I re-up (Ah, Ooh)
俺はブツ(麻薬)を仕入れる(re-up)時、身がすくんで(freeze)た。
See, I barely have patience (Ooh, ah, ah)
ほら、俺には忍耐力なんてほとんどなかったからな。
And you're relating (Ah, ah, Ooh)
でお前も、それに共感してるんだろ。
Only the moment to complete us
俺たちを完全にしてくれるのは、ほんの一瞬(快楽や金が入った瞬間)だけ。
Why you hate to work for it? (Ah)
なんでお前は、そのために働くのを嫌がるんだ?
The reason I never went to work for it (Ooh)
俺がまともに働こうとしなかった理由か。
See a 9-to-5 was so jive turkey (Ha, ooh, ah)
9時5時の仕事なんて、マジでイケてない(jive turkey)と思ってたからさ。
But when Thanksgiving came, that check didn't hurt me (Ah, Ooh)
でもサンクスギビング(感謝祭)が来た時、その(まともに働いて得た)小切手は俺を傷つけやしなかった。
※jive turkey(七面鳥=バカな奴)とThanksgiving(七面鳥を食べる日)を掛けたワードプレイ。真面目に働くことを馬鹿にしていたが、実はそれが一番確実な方法だと気づいた。
You plead the fifth, I read the Fifth Amendment (Ooh)
お前は黙秘権(the fifth)を行使するが、俺はアメリカ合衆国憲法修正第5条(The Fifth Amendment)を読み上げる。
We both criminals with bad intentions (Ooh)
俺たちはどっちも、悪意を持った犯罪者さ。
They say time heals all (Ah)
「時間がすべてを解決する」って奴らは言うが。
But if I can shortcut
でも、もし近道できるなら。
My success, Corvettes by tomorrow (Ah, Ooh)
俺の成功、明日にはコルベット(高級スポーツカー)を手に入れるってな。
Wait a minute!
ちょっと待て!
[Chorus: Kendrick Lamar, Thundercat, Kendrick Lamar & Thundercat]
Now, why you so sad? (Ah, ah, ooh, ah, ah, ah, ooh)
なぁ、なんでそんなに悲しそうなんだ?
Walking around with them blue faces (Ooh)
そのブルー・フェイスをぶら下げて歩き回ってる。
She said I'm down on my luck
彼女は「ツキに見放された」って言ってた。
And it's something I gotta have (Ooh)
「どうしても手に入れなきゃいけないものがあるの」ってな。
"Blue faces" (Ooh)
「ブルー・フェイス」だよ。
I hit the bank today, (ah, hah) and told them "Color me bad" (Ooh)
今日銀行に行って、「俺をバッドな色に染めてくれ」って言ってやった。
Blue faces (Ooh)
ブルー・フェイス。
Get that new money, (ooh, ah, ah) and it's breaking me down, honey
その新しい金を手に入れて、それが俺を壊していくんだ、ハニー。
Ooh!
ウー!
[Verse 2: Kendrick Lamar, Thundercat]
My home girl got a credit card scam (Ah, ah)
俺のホームガールは、クレジットカード詐欺に手を出した。
She got a scholarship to college, but she don't give a damn
大学の奨学金をもらってたのに、そんなの気にしちゃいねえんだ。
Intuition got a broke bitch wishin' (Ah, Ooh)
直感が、金のないビッチに(一攫千金の)夢を見させたのさ。
She tell me this on the phone with the noodles in the pan (Ooh)
鍋でヌードル(安いインスタント麺)を煮ながら、電話で俺にそう言ってきたよ。
I know you, woman, I console you, woman (Ooh)
お前のことは分かってる、慰めてやるよ。
You feel like the universe owes you, woman (Ah, Ooh)
お前は、この宇宙全体がお前に借りがある(自分が報われて当然だ)って感じてるんだろ。
Oh, the anticipation, of hoping you could make it
あぁ、お前が成功できるんじゃないかっていうその期待。
Bitches don't prosper chasing education (Ooh)
「学歴(エデュケーション)を追いかけたって、ビッチは成功しないわ」ってな。
But you're talented, and can't handle it
でもお前には才能があるのに、それを上手く扱えてない。
And your homegirls can't be your manager (Ah, ah, Ooh)
お前のダチどもが、お前のマネージャーになれるわけねえだろ。
365 times four, plus more
365日×4年(大学の期間)、さらにそれ以上。
If you can't get it right, tell me, do you got the stamina? (Ah, ah, Ooh)
もし上手くいかなかった時、お前にそれを耐え抜くスタミナはあるのか?
But shit, ain't no money like fast money (Ah, ooh, Ooh)
だがクソッ、ファスト・マネー(手っ取り早く稼ぐ金)ほど美味い金はねえよな。
Even today I'm considered a crash dummy (Ah, ah, Ooh)
今日でさえ、俺はクラッシュ・ダミー(衝突実験の人形=使い捨ての存在)だと思われてる。
A rapper chasing stardom, how can I fast forward? (Ha, Ooh)
スターダムを追いかけるラッパー。どうすれば早送り(ファスト・フォワード)できる?
My accolades better than all them (Ah, Ooh)
俺の栄誉(アコレード)は、あいつらの誰よりも優れてるんだぜ。
[Chorus: Kendrick Lamar, Thundercat, Kendrick Lamar & Thundercat]
Why you so sad? (Ah, ah, ooh, ah, ah, ah, ooh)
なんでそんなに悲しそうなんだ?
Walking around with them blue faces (Ooh)
そのブルー・フェイスをぶら下げて歩き回ってる。
She said I'm down on my luck
彼女は「ツキに見放された」って言ってた。
And it's something I gotta have (Ooh)
「どうしても手に入れなきゃいけないものがあるの」ってな。
"Blue faces"
「ブルー・フェイス」だよ。
I hit the bank today, and told them "Color me bad" (Ooh)
今日銀行に行って、「俺をバッドな色に染めてくれ」って言ってやった。
Blue faces (Ooh! Ooh)
ブルー・フェイス。
Get that new money, and it's breaking me down, honey
その新しい金を手に入れて、それが俺を壊していくんだ、ハニー。
Ooh, ah, ah!
ウー、アー、アー!
[Verse 3: Kendrick Lamar, Thundercat]
I wrote this song looking at a broke home baby (Broke home baby) (Ooh)
俺は、崩壊した家庭(ブローク・ホーム)の赤ん坊を見ながらこの曲を書いた。
You know the poverty stricken, the little broke-born babies (Broke-born babies) (Ooh)
分かるだろ、貧困に打ちのめされた、貧しい生まれの小さな赤ん坊たちさ。
Somebody yell "Kendrick American, they sho' is crazy" (Ah, ah) (Ooh)
誰かが叫んだ、「アメリカ人のケンドリック、あいつらマジでイカれてるぜ」ってな。
※南アフリカのケープタウンを訪れた際、現地の黒人がアメリカの黒人(ケンドリック)に向かって放った言葉。
And I said “why?" (Ooh, mm, mm)
俺は聞いた、「どうしてだ?」って。
Then he looked me in the eye, and said "Nigga, you fucked up
すると彼は俺の目を見て、こう言ったんだ。「ニガ、お前らは腐ってるよ。
You're banking on good luck, you wishing for miracles
幸運(グッドラック)ばかり当てにして、奇跡を願ってやがる。
You never been through shit, you're crying hysterical" (Ooh)
お前ら、本当の地獄(シット)なんて経験したことないくせに、ヒステリックに泣き喚いてる」
"You settle for everything, complain about everything
「お前らは何にでも妥協して、何にでも文句を言う。
You say you sold crack, my world amphetamine" (Ooh)
お前はクラック(コカイン)を売ったって言うが、俺の世界じゃアンフェタミン(覚醒剤)だ」
Your projects ain't shit, I live in a hut, bitch
「お前らのプロジェクト(公営団地)なんて大したことねえよ、俺は小屋(ハット)に住んでるんだぜ、ビッチ」
"I'm living to keep warm, you living to pay rent" (Ooh)
「俺は『暖を取る(生き延びる)』ために生きてるが、お前らは『家賃を払う』ために生きてる」
"I prayed my way through by waiting on Allah
「俺はアラー(神)を待ちながら、祈ることでこの道を切り抜けてきた。
You played your way through, by living in sci-fi" (Ooh)
お前らはSF(サイファイ=空想の物質世界)に生きることで、この道を遊んで切り抜けてきたんだ」
"Bullshitting yourself, you talking to strangers" (Ah, ah)
「自分自身に嘘をつき(Bullshitting)、見知らぬ他人と話してる」
"Same thing goes for the ones you came with" (Ah, ah)
「お前と一緒に来た奴らだって同じだ」
"When y'all came on the boat, looking for hope
「お前らが希望を求めて、あの船(奴隷船)に乗ってやって来た時。
※歴史的にアフリカからアメリカへ連行された奴隷の歴史を指している。
And all you can say is that you're looking for dope
それなのにお前らが口にするのは、『ドープ(麻薬)』を探してるってことだけだ」
These days ain't no compromise
「今の時代、妥協なんてあり得ねえ。
And your pain ain't mines half the time
それに、お前らの痛みなんて、俺から見りゃ半分も痛みじゃねえんだよ。
A brand new excuse ain't shit to me" (Ah, ah)
真新しい言い訳なんて、俺にとってはクソほどの価値もねえ」
"Bitch, I made my moves, with shackled feet"
「ビッチ、俺は両足に足枷(シャックル)をはめられたまま、自分の行動を起こしてきたんだ」
※アメリカの黒人が抱える「貧困」や「差別」を、アフリカの絶対的な貧困と対比させ、自己憐憫に陥るアメリカの黒人文化を痛烈に批判するアフリカ人の視点。
Cape Town! (Ah, ah, ooh)
ケープタウン!
[Bridge: Kendrick Lamar, Thundercat]
In today's day and age, we practice the self-pity of taking the easy way out (Ah, ah, ooh, ah, ah, ah, ooh) (Ooh)
今のこの時代、俺たちは「安易な道」を選ぶという自己憐憫(セルフピティ)を実践してしまっている。
You wait on them, him, and her (Ooh)
お前は奴らを、あいつを、彼女を待っている(他人に依存している)。
But when a blessing takes too long, that's when you go wrong (Ooh)
でも、神の祝福が来るのが遅すぎると感じた時、お前は道を外れてしまうんだ。
You selfish motherfucker (Ah, ah, ooh, ah, ah, ah, ooh)
この身勝手なクソ野郎どもめ。
[Chorus: Kendrick Lamar, Thundercat, Kendrick Lamar & Thundercat]
Why so sad? (Ah, ah, ooh, ah, ah, uh, ooh)
なんでそんなに悲しそうなんだ?
Walking around with them blue faces (Ooh)
そのブルー・フェイスをぶら下げて歩き回ってる。
She said I'm down on my luck
彼女は「ツキに見放された」って言ってた。
And it's something I gotta have (Ooh)
「どうしても手に入れなきゃいけないものがあるの」ってな。
"Blue faces"
「ブルー・フェイス」だよ。
I hit the bank today, and told them "Color me bad" (Ooh)
今日銀行に行って、「俺をバッドな色に染めてくれ」って言ってやった。
Blue faces (Ooh)
ブルー・フェイス。
Get that new money, and it's breaking me down, honey (Uh, ah)
その新しい金を手に入れて、それが俺を壊していくんだ、ハニー。
[Outro: Kendrick Lamar]
Ooh! Ah, ah, ah, uh, ah ah, uh, ah, ooh, ooh
ウー!アー……
Pimp-pimp (Hooray!)
ピンプ・ピンプ(万歳!)
