Artist: Tyler, The Creator (feat. Lil Wayne)
Album: Flower Boy
Song Title: Droppin’ Seeds
概要
タイラー・ザ・クリエイターの5作目のアルバム『Flower Boy』(2017年)に収録された、わずか1分弱の短いインターリュード的なトラックである。客演には前作『Cherry Bomb』の「SMUCKERS」に引き続き、タイラーが敬愛するリル・ウェイン(Lil Wayne)を迎えている。この楽曲の最大の魅力は、ウェインがアルバム全体のコンセプトである「花」「種」「庭」「虫」といった植物や自然のメタファーを、彼特有の猥雑な下ネタやストリートのボースティング(自慢)へと見事に変換し、一筆書きのような怒涛のワードプレイを披露している点だ。短いながらも、ヒップホップ界屈指のリリシストであるウェインの天才的なセンスが凝縮された小品である。
和訳
[Intro: Lil Wayne]
Mula
ムーラ。
※Mula=Lil Wayneが率いるレーベル「Young Money」の別称、または「金」を意味するスラング。
[Verse: Lil Wayne]
Like Adam in the Garden of Eve
エデンの園(イヴの庭)にいるアダムみたいにな。
※聖書の「エデンの園(Garden of Eden)」と最初の女性「イヴ(Eve)」を掛け、女性の身体(庭)にいる自分(アダム)を表現している。
My bitch got an apple bottom and she swallow my seeds
俺のビッチはアップル・ボトム(リンゴみたいな良いケツ)で、俺の「種」を飲み込むんだ。
※apple bottom=女性の丸くて大きな尻。前行のエデンの園の「禁断の果実(リンゴ)」と掛けており、seeds(種)は精子のメタファー。
Follow my lead, fire I breathe, water my seed
俺に続け、俺は火を吹き、自分の種に水を与える。
And sit back and watch money grow on trees
そして深く腰掛けて、木から金(緑の葉)が育つのを眺めるのさ。
Droppin' seeds like classics, these hoes drop they asses
クラシック(名曲)みたいに種を落として(ドロップして)いく、このビッチどもはケツを落とす(振る)んだ。
I drop a seed in her panties if it smell like pansies
パンジーみたいな(いい)匂いがするなら、彼女のパンティーに種を落としてやるよ。
I'm a banshee in her panties, nigga, ask your mammy
彼女のパンティーの中じゃ、俺はバンシー(叫ぶ妖精)さ。ニガ、お前のママに聞いてみな。
Never played golf, but got a driver and a Caddy
ゴルフなんてやったことねえが、ドライバーとキャディは持ってるぜ。
※タイラーのブランド名「Golf Wang」に掛けた秀逸なパンチライン。driver=ゴルフクラブ/運転手、Caddy=キャディ/キャデラック(高級車)のダブルミーニング。
Whole squad slammin' like Onyx, you know, Sticky Fingaz
クルー全員がオニックスみたいにスラム(暴れる/激しくヤる)してる、分かるだろ、スティッキー・フィンガーズだよ。
※90年代のハードコア・ラップグループOnyxのヒット曲「Slam」と、メンバーのSticky Fingazを引用。Sticky Fingazには「大麻の樹脂(あるいは女性の愛液)でベタつく指」という意味も込められている。
Some drop science, I'm droppin' English
「サイエンス(知識)」を落とす奴もいるが、俺は「イングリッシュ(言葉巧みなラップ)」を落とすぜ。
※drop science=ヒップホップのスラングで「知識や真実を広める」こと。イングリッシュは「英語」と「ビリヤード等でボールにかける回転(スピン)」のダブルミーニング。
Even if Tyler named the song "Flower"
たとえタイラーがこの曲を「Flower」って名付けたとしても、
No seeds in the bud, still don't trust bugs
バド(大麻のつぼみ)に種はねえが、それでもバグ(虫)は信用しねえよ。
※質の高い大麻(bud)には種(seeds)が含まれていないことと、bugsを「虫(Flower Boyのテーマ)」と「盗聴器・警察の密告者」に掛けた言葉遊び。
Drop them down
落としてやれ。
[Chorus: Tyler, The Creator & Lil Wayne]
Droppin' seeds on these niggas, they can't fuck with the boy (Mula)
このニガどもに種(才能/影響)を落としてる、奴らはこのボーイ(俺)には敵わねえよ。(ムーラ)
I'm droppin' seeds on these bitches for the love of the sport
スポーツ(遊び)への愛のために、このビッチどもに種を落としてる。
I'm droppin' seeds, got this garden, flowers poppin', of course
種を落としてる。この庭を持ってて、もちろん花が咲き乱れてるぜ。
I'm droppin' seeds, motherfucker, Weezy Baby the boy, yugh
俺は種を落としてるんだ、クソ野郎ども。ウィージー・ベイビー(Lil Wayne)・ザ・ボーイだ、ヤッ。
※最後はLil WayneのアイコニックなAd-lib(Yugh)で曲が締めくくられる。
