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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Pothole - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator (feat. Jaden)

Album: Flower Boy

Song Title: Pothole

概要

タイラー・ザ・クリエイターの5作目のアルバム『Flower Boy』(2017年)に収録された、彼の人間関係の断捨離と自己成長を自動車の運転に例えて描いた内省的なトラックである。客演にジェイデン・スミス(Jaden Smith)を迎え、マイルド・ハイ・クラブ(Mild High Club)のアレクサンダー・ブレッティンによるメロウなギターやベースが、70年代のジャズ・ファンクを彷彿とさせるサウンドを生み出している。人生というドライブにおいて、かつての仲間や偽善者たちを「ポットホール(道路のくぼみ)」に見立て、彼らに足元をすくわれないように我が道を進むという決意が歌われている。富や名声を得たことによる周囲との温度差や孤独感、そしてマネージャーであるクリスチャン・クランシーへの信頼など、タイラーの等身大な現状認識がリアルに綴られた一曲だ。

和訳

[Intro: Tyler, The Creator]
Shit
クソッ。

[Verse 1: Tyler, The Creator]
My mother warned me that some niggas ain't my right hand
オフクロは警告してくれたよ、「一部のニガはお前の右腕(腹心)にはならない」ってな。

To trust her, only my heart and that elder white man
オフクロと、俺自身の心と、あの年上の白人のオッサンだけを信じろって。

His name is Clancy, I fancy him, gotta give him props
彼の名前はクランシー、俺のお気に入りだ。彼にはリスペクトを送らなきゃな。
※Clancy=タイラーの長年のマネージャーであり恩人であるChristian Clancyのこと。

He half the reason why dealerships even let me cop
俺がカーディーラーで高級車を買えるのも、半分は彼のおかげだからな。

So now I'm speedin' and tryna drive away from the fact
だから今、俺はスピードを上げて、その「事実」から走り去ろうとしてるんだ。

That she was right, so I triple left, tryna double back
オフクロが正しかったって事実からな。だから左折を3回繰り返して、引き返そう(ダブルバック)としてる。
※左折を3回(トリプルレフト)すると、結果的に右折と同じになり、過去(元の場所)に戻ってしまうというドライブの比喩。

The streets are filled with some clues like how I ain't notice that? (Hey, how I ain't see that?)
ストリートには手がかりが溢れてたのに、どうして俺は気づかなかったんだ?(なぁ、どうして見えなかったんだ?)

Fuck it, I seen some familiar stuck in the cul-de-sac
クソッ、行き止まり(カルデサック)で立ち往生してる見慣れた顔を見つけちまった。
※cul-de-sac=袋小路。人生に行き詰まっているかつての仲間たちを指す。

I pull up, get out, what up? I wanna help
車を停めて、降りて、「調子はどうだ?」って声をかける。俺は助けたいんだよ。

But what you want for some, some niggas
でも、お前がいくら手を差し伸べようとしたって、一部のニガどもは、

Really don't want for themself
自分自身のためによくなろうとなんて全く思ってねえんだ。

Now do I stay? Do I go? That's my dilemma
さて、ここに残るべきか? それとも行くべきか? それが俺のジレンマだ。

And traffic is picking up, if I don't leave, I'ma get stuck (Skrt)
交通量も増えてきたし、ここを離れなきゃ俺まで渋滞に巻き込まれちまう(スカート)。
※足を引っ張る仲間に構っていると、自分自身のキャリアまで停滞してしまうという葛藤。

So I speed off, we talk barely and it seems awkward
だから俺は車を飛ばす。俺たちはほとんど会話もしないし、なんか気まずいんだよな。

And I heard through some words that you're off it
それに、お前がもう(音楽や努力を)やめちまったって噂も聞いたぜ。

I got too much drive, don't wanna steer off path
俺にはドライブ(推進力/運転)がありすぎるんだ、道を外れたくねえのさ。

And crash and get distracted
クラッシュして、気を散らされたくないんだよ。

But I listen to that weather man 'cause it might rain
でも、ウェザーマン(天気予報/忠告)には耳を傾けるぜ、雨が降るかもしれないからな。

Keep my windshield wipers prepared
ワイパーの準備は常に怠らねえ。

'Cause y'all throw so much shade (So much)
だってお前らは、めちゃくちゃ影(シェイド/悪口)を落としてくるからな(めちゃくちゃな)。
※throw shade(悪口を言う/嫌味を言う)と、雨雲が太陽を遮って落とすshade(影)を掛けたワードプレイ。

And I got jacket in trunk, but that's in the front
トランクにはジャケット(防寒具)を入れてあるぜ、まあトランクはフロント(前)にあるんだけどな。
※タイラーが愛用するポルシェやマクラーレンなど、ミッドシップやリアエンジンの高級スポーツカーはトランクが前部にあることのボースティング。

I also got power for both of us if you're ever in need of jump
もしバッテリーが上がった(助けが必要な)時があったら、二人分のパワー(電力/力)だってあるぜ。
※jump=車のバッテリーのジャンプスタートと、人生における手助けのダブルミーニング。

Just let me know, my nigga
いつでも知らせてくれよ、マイ・ニガ。

[Chorus: Jaden Smith & Tyler, The Creator]
I had to switch gears on 'em
あいつらの前でギアを切り替えなきゃならなかった。

Fishtail in the rearview mirror on 'em (Skrrt!)
バックミラーの中で、あいつらに向かってフィッシュテール(車のケツを振る)を見せつけてやる(スカート!)。

I had to switch gears on 'em
あいつらの前でギアを切り替えなきゃならなかった。

You know, swerve, left turn, steerin' wheel on 'em
分かるだろ、スワーブ(蛇行)して、左折して、あいつらにハンドルを切り返してやるのさ。

Nigga, that's a pothole, watch out for the pothole
ニガ、そいつはポットホール(道路のくぼみ)だ、ポットホールには気をつけろ。
※pothole=車のタイヤをパンクさせたり足回りを壊したりする道路の穴。ここでは、自分のキャリアの障害となる「有害な人間」のメタファー。

Watch out for the pothole, watch out for the pothole
ポットホールには気をつけろ、ポットホールには気をつけろ。

Look out for the pothole, watch out for the pothole
ポットホールに注意しろ、ポットホールには気をつけろ。

Watch out for the pothole, watch out for the pothole
ポットホールには気をつけろ、ポットホールには気をつけろ。

[Verse 2: Tyler, The Creator]
Snakes in the grass, but I walk
草むらにはヘビ(裏切り者)が潜んでる、でも俺は歩き続ける。

I got some new boots, on the back, it says GOLF
新しいブーツを手に入れたんだ、後ろには「GOLF」って書いてあるぜ。

So I be prepared for their bites, they're all talk
だから奴らが噛みついてきても準備万端だ、どうせ口先だけだからな。

I left the condom in the grass so fuck off
草むらにコンドーム(安全策)を置いてきたから、とっとと失せな。
※自分の身を守るプロテクション(ブーツとコンドーム)の比喩。

Watchin' Clarence in a mansion with nobody in it
誰もいない大豪邸で、アニメの『クラレンス』を観てる。
※成功して豪邸を手に入れたが、孤独であることの描写。

Young successful nigga, ride McLaren with no windows tinted
若くして成功したニガ、スモークを貼ってないマクラーレンを乗り回す。
※有名になっても顔を隠さず、オープンに生きていることの誇示。

I drive by piggies when I'm in it 'cause it feels amazin'
それに乗ってサツ(豚ども)の横を通り過ぎるんだ、最高の気分だからな。

The irony is I stopped eatin' bacon
皮肉なことに、俺はベーコン(豚肉)を食うのをやめたんだけどな。
※警察を指すスラングのpiggiesと、タイラー自身が肉(ベーコン)を食べない食生活を送っていることを掛けたジョーク。

Don't get it twisted, nigga, I'm still hungry, oh, he lonely
勘違いすんなよ、ニガ、俺はまだハングリー(貪欲)だ。あぁ、あいつは孤独なんだ。

All my friends talk about their hoes and tenderonies
友達はみんな、自分たちのビッチや可愛い女(テンダローニー)の話ばかりしてる。

And all I can show 'em is a couple cars and more things
でも俺が奴らに見せられるのは、数台の車と、

That I've made in the couple past month, he's on, please
過去数ヶ月で稼いだ(作り上げた)いろんなモノくらいだ。あいつは絶好調さ、頼むぜ。
※恋愛話に花を咲かせる友人たちに対し、自分は物質的な成功しか語るものがないという空虚さの吐露。自身のセクシュアリティをオープンにできていない状況も示唆している。

Everyone is a sheep, me, a lone wolf
みんなが羊なら、俺は一匹狼(ローンウルフ)だ。
※自身が率いていたクルー「Odd Future Wolf Gang」からの引用。

Nobody gon' make a peep 'cause everyone wants some wool
誰も文句(メェー)なんて言わねえよ、だってみんなウール(恩恵/金)が欲しいからな。

Since everyone is a sheep, not everyone here is cool
みんなが羊ってわけだから、ここにいる全員がクールなわけじゃねえ。

Man, I'd rather drown in a pool by myself
なぁ、俺は一人でプールで溺れ死んだ方がマシだぜ。

Than fuck with their fleece
奴らのフリース(羊の毛皮/偽善)と関わるくらいならな。

See, man, T-Man fans be seesaw
ほら、T-Man(俺)のファンはシーソーみたいに揺れ動くんだよ。

Wind blows, they go, which way, who knows?
風が吹けば、あいつらは流される。どっちの方向に? 誰にも分からねえよ。

One day, "Fuck, no," the next day, "Okay"
ある日は「クソ、最悪だ」って言って、次の日には「オーケー、最高だ」って言うんだ。
※音楽性やファッションの変化に対するファンの気まぐれな評価への苦言。

But fuck y'all, I know that T is four for four
でもお前らなんてクソくらえだ、T(俺)は「4戦4勝」だって分かってるからな。
※過去のアルバム4作(Goblin, Wolf, Cherry Bomb, そして本作Flower Boy)すべてが傑作であるという絶対的な自信。

I just want that garden and that Batmobile
俺はただ、あの庭と、あのバットモービルが欲しいだけなんだ。

Good health, success, time on earth worthwhile
健康と、成功と、この地球での価値ある時間がな。

Find somebody who love me and raise a couple of lizards
俺を愛してくれる誰かを見つけて、数匹のトカゲを飼って育てたい。
※ラッパーとしての派手な生活ではなく、愛する人と静かに暮らすというタイラーのささやかで純粋な夢。

But my vehicle's good for now, that's in a couple of miles
でも今のところ、俺の車(人生)は順調だ。それはまだ数マイル先(未来)の話だからな。

Now keep it pushin', nigga
さあ、このまま進み続けようぜ、ニガ。

[Chorus: Jaden Smith & Tyler, The Creator]
I had to switch gears on 'em
あいつらの前でギアを切り替えなきゃならなかった。

Fishtail in the rearview mirror on 'em (Skrrrrrt!)
バックミラーの中で、あいつらに向かってフィッシュテールを見せつけてやる(スカート!)。

I had to switch gears on 'em
あいつらの前でギアを切り替えなきゃならなかった。

You know, swerve, left turn, steerin' wheel on 'em
分かるだろ、スワーブして、左折して、あいつらにハンドルを切り返してやるのさ。

Nigga, that's a pothole, watch out for the pothole
ニガ、そいつはポットホールだ、ポットホールには気をつけろ。

Watch out for the pothole, watch out for the pothole
ポットホールには気をつけろ、ポットホールには気をつけろ。

Look out for the pothole, watch out for the pothole
ポットホールに注意しろ、ポットホールには気をつけろ。

Watch out for the pothole, watch out for the pothole
ポットホールには気をつけろ、ポットホールには気をつけろ。

[Instrumental: Alexander Brettin]
Ooh, ooh, ooh, ooh
ウー、ウー、ウー、ウー。

Ooh, ooh, ooh, ooh
ウー、ウー、ウー、ウー。

Ooh, ooh, ooh
ウー、ウー、ウー。

[Outro: Alexander Brettin & Tyler, The Creator]
Fuck, okay, next one, alright–?
クソッ、オーケー、次のテイクだ、いいか?
※スタジオでのセッションの様子がそのまま収録されている。

Do-do-do-do-do-do
ドゥドゥドゥドゥドゥドゥ。

Gotta watch out for the potholes
ポットホールには気をつけなきゃな。

Ooh, said watch out for the potholes
ウー、ポットホールには気をつけろって言ったんだ。

Haha
ハハッ。