Artist: SZA
Album: Ctrl
Song Title: Anything
概要
2017年の歴史的デビューアルバム『CTRL』に収録された、ドナ・サマーの1976年のディスコ・クラシック「Spring Affair」をサンプリングしたアップテンポなナンバーだ。軽快でバウンシーなビートとは裏腹に、歌詞では「自分の羞恥心や理性を殺してでも、相手の望む完璧な女になりたい」という自己犠牲的な願望が綴られている。相手のペースに合わせることに疲弊し、隣にいても自分の存在を見てくれない恋人に対して「私が生きていることすら気付いていないんでしょ」と問い詰める姿は痛ましくも生々しい。自己評価の極端な低さと、相手に完全に従属することでしか愛を得られないと思い込むToxic(有毒)な共依存関係を見事に描写した、アルバムの核心を突く重要なトラックである。
和訳
[Intro]
Maybe I should kill my inhibition
私のこのブレーキ(羞恥心)、壊しちゃった方がいいのかな。
※「inhibition(抑制、羞恥心)」。自分を抑え込んでいる理性を殺すことで、相手の望む「都合のいい女」に完全に染まろうとする自己破壊的な衝動が冒頭から露わになっている。
Maybe I'll be perfect in a new dimension
別の次元(世界)に行けば、私は完璧な人間になれるのかも。
※ありのままの今の自分を肯定できず、「別の次元」という非現実的な逃避先に、相手から愛される「完璧な自分の姿」を思い描いている。
[Pre-Chorus]
Maybe I should pray a little harder
もう少しだけ、熱心にお祈りするべきなのかな。
※神や運命といった、自分ではコントロールできないものに縋るしかない無力感と自己不信の表れ。
Or work a little smarter
それとも、もう少し賢く立ち回るべき?
※「work smarter, not harder(がむしゃらにではなく、賢く働け)」というビジネス等の格言の引用。恋愛においてもっと上手く立ち回れない不器用な自分への苛立ちである。
This time, baby, promise I have learned my lesson, ooh
今度こそね、ベイビー。ちゃんと反省して学んだって約束するから。
※「learn my lesson(教訓を得る、懲りる)」。過去の失敗(彼を怒らせた、あるいは愛想をつかされた理由)を自分のせいだと抱え込み、必死に許しを請うToxicな共依存の典型的な心理だ。
[Chorus]
Down for the ride, down for the ride
あなたが乗るなら、私も乗るよ。
※「down for the ride」は「(相手の)計画や提案に何でも乗る、付き合う」というスラング。自分の意志を放棄し、相手の人生という乗り物にただ同乗しようとする極端な従属姿勢。
You could take me anywhere
私をどこへでも連れて行ってよ。
※前行に続き、行き先(二人の未来)の決定権を完全に相手に委ねてしまっている。
Do-do-down for the ride, down for the ride
あなたの行くところなら、どこまでも付き合うから。
You could take me anywhere
どこへでも連れて行って。
I hope you will, I hope you will, I hope you will
そうしてくれますように、そうしてくれますようにって、願ってるの。
※「I hope you will (take me anywhere)」。主体性の欠如と、相手からの愛や導きをひたすら受動的に待つしかない哀愁が漂う。
[Verse]
Keepin' up is hard to do
あなたに追いつくのって、本当にしんどい。
※「Keep up(ついていく)」。相手の気まぐれなペースや、要求される理想の女性像に合わせ続けることへの激しい疲弊。
Even harder feeling heavy, steady chasin' you
心が重くなるのはもっとしんどいし、ずっとあなたを追いかけ続けるのもね。
Beep-beep, why are you lookin' around? You lonely?
ビーッ、ビーッ。なんでキョロキョロ周りを見てるの? 寂しいの?
※「Beep-beep」は車のクラクションや警告音。自分が隣にいるのに、他の女性や別の刺激を探している(lookin' around)相手への不安と皮肉である。
I feel you comin' down like money
あなたが降ってくるのを感じるの、まるで空から降るお金みたいに。
※自分にとって彼がどれほど価値があり、また同時に「すぐになくなってしまう(使われて消えてしまう)」不確かな存在であるかを示唆する秀逸なメタファー。
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
※楽曲の核心をつくライン。隣にいるのに存在を認識されていない(透明人間にされている)ような、究極の孤独と承認欲求の渇望。
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
[Pre-Chorus]
Maybe I should pray a little harder
もう少しだけ、熱心にお祈りするべきなのかな。
Or work a little smarter
それとも、もう少し賢く立ち回るべき?
This time, baby, promise I have learned my lesson, ooh
今度こそね、ベイビー。ちゃんと反省して学んだって約束するから。
[Chorus]
Down for the ride, down for the ride
あなたが乗るなら、私も乗るよ。
You could take me anywhere
私をどこへでも連れて行ってよ。
Do-do-down for the ride, down for the ride
あなたの行くところなら、どこまでも付き合うから。
You could take me anywhere
どこへでも連れて行って。
I hope you will, I hope you will, I hope you will
そうしてくれますように、そうしてくれますようにって、願ってるの。
[Outro]
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
Do, do you even know I'm alive?
ねえ、私が生きてるってこと、わかってる?
Do, do you even know I, I—
ねえ、私のこと…
Do you know I'm alive?
私が生きてるってこと、気づいてる?
Do, do you even know?
ねえ、わかってるの?
※返事のない問いかけがフェードアウトしていくこのアウトロは、彼女の悲痛な叫びが結局相手には届いていない(無視されている)という残酷な現実をリスナーに突きつけている。
