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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Garden (Say It Like Dat) - SZA 【和訳・解説】

Artist: SZA

Album: Ctrl

Song Title: Garden (Say It Like Dat)

概要

2017年の歴史的名盤『CTRL』に収録された、SZAの極端な自己肯定感の低さと恋人への切実な依存心を赤裸々に描いたミッドテンポのR&Bトラックだ。タイトルの「Garden」は旧約聖書のエデンの園を暗示しており、全裸(ありのままの自分)を見られることへの恥じらいと恐怖がテーマとなっている。「本当の私を知ったら、あなたは私を愛さなくなる」というインポスター症候群的な不安を抱えながらも、嘘でもいいから愛の言葉で自分を繋ぎ止めてほしいと願う痛切な心情が綴られている。アウトロにはSZAの祖母ノーマの力強い肉声がサンプリングされており、他者の評価に怯える孫娘(そしてリスナー)へ「自分を持て」という気高いメッセージを提示している。

和訳

[Verse 1]
Need you for the old me, need you for my sanity
昔の私を思い出させてくれるあなたが必要なの、正気を保つためにもね。

Need you to remind me where I come from
私がどこから来たのか、あなたに教えてほしいの。
※自分が何者であるかを見失いがちな彼女にとって、恋人が自己のアイデンティティ(ルーツ)を繋ぎ止めるアンカー(錨)の役割を果たしている。

Can you remind me of my gravity?
私の引力を思い出させてくれない?

Ground me when I'm tumblin', spiralin', plummetin' down to Earth
転がり落ちて、螺旋を描いて、地球に墜落しそうな私を、ちゃんと地面に繋ぎ止めてよ。
※「Ground me」は「地に足をつかせる、落ち着かせる」という意味。感情が暴走しパニック状態に陥る自分をコントロールしてほしいという切実な依存である。

You keep me down to Earth
あなたは私を現実に引き戻してくれる。

Call me on my bullshit
私のクソみたいな嘘をちゃんと叱ってよね。
※「Call someone on their bullshit」は相手の嘘やごまかしを指摘すること。自分を甘やかすだけでなく、悪い部分を正してくれる関係性を求めている。

Lie to me and say my booty gettin' bigger even if it ain't
嘘でもいいから、「お尻大きくなったね」って言ってよ、全然そんなことなくても。
※身体的特徴(お尻の大きさ)への強いコンプレックス。直前で「嘘を叱って」と言いながら、自分のコンプレックスに対しては「嘘をついて安心させて」と願う、人間らしい矛盾が露わになっている。

Love me even if it rain
雨の日だって私を愛して。

Love me even if it pain you
たとえそれがあなたを傷つけることになっても、愛してほしいの。

I know I be difficult (Right)
私がめんどくさい女だってことはわかってる。(でしょ?)

You know I be difficult (Right)
あなたも、私がめんどくさいってわかってるよね。(でしょ?)

You know it get difficult to
こういうのって、難しくなっちゃうのもわかってる。

[Chorus]
Open your heart up
あなたの心を開いてよ。

Hopin' I'll never find out that you're anyone else
あなたが「私の思っていた人」とは違う誰かなんてこと、一生知らずに済めばいいのにって願ってる。

'Cause I love you just how you are
だって、私はそのままのあなたが大好きなんだから。

And hope you never find out who I really am
それに、私の「本当の姿」も、あなたに一生バレなきゃいいなって思ってるの。
※エデンの園(Garden)で禁断の果実を食べ、互いの裸(恥部)を知ってしまうことへの恐怖。自分を取り繕っているという自覚(インポスター症候群)が非常に強く出ている。

'Cause you'll never love me, you'll never love me
だって知っちゃったら、あなたは絶対に私を愛してくれない、絶対に愛してくれないから。

You'll never love me, but I
絶対愛してくれないってわかってる、でもね、

Believe you when you say it like that (Say it like that)
あなたが「そんな風に」言ってくれると、信じちゃうの。(そんな風に言って)

Oh, do you mean it when you say it like that? (Say it like that)
あぁ、そんな風に言ってくれる時、それって本気なの?(そんな風に言ってよ)

Oh, I believe you when you say it like that (Say it like that)
あぁ、あなたが「そんな風に」言うと、本当に信じちゃうんだから。(そんな風に言って)

You must really love me
きっと私のこと、本当に愛してくれてるんだよね。
※相手の言葉が嘘かもしれないと疑いながらも、不安をかき消すためにその愛の言葉(Say it like that)にすがりつく、痛切な盲目状態。

[Verse 2]
For real, I'm not playing no games
マジで、駆け引きなんてしてないの。

Boy, we're back and forth
ねえ、私たち行ったり来たりしてるよね。

I need your support now (Now, now, now, now, now)
今すぐあなたの支えが必要なの。(今、今、今、今すぐ)

In case you call my phone one more 'gain
もしあなたがもう一回電話してくれたら。

Got no panties on
私、ノーパンで待ってるよ。
※極度の不安や孤独から、セックス(肉体的な繋がり)を交渉材料にして相手の気を惹こうとする自己破壊的なアプローチ。

I need your support now (Now, now, now, now, now)
今すぐあなたの支えが必要なのよ。(今、今、今、今すぐ)

I know you'd rather be laid up with a big booty
本当はお尻のデカい女とイチャイチャ寝てたいんでしょ、わかってるよ。

Probably hella positive 'cause she got a big booty (Wow)
きっとその子はお尻がデカいから、めちゃくちゃポジティブなんだろうね。(ワオ)
※他者との比較による激しい劣等感。「お尻が大きい=自信があってポジティブ(自分とは真逆)」という極端な飛躍が、彼女の精神的な不安定さを物語っている。

I know I'd rather be paid up
私は愛よりお金をもらってる方がマシかもって思うけど。

You know I'm sensitive 'bout havin' no booty
私がお尻ないこと気にしてるの、知ってるくせに。

Havin' nobody, only you, buddy
私には誰もいない、あなたしかいないのよ。

Can you hold me when nobody's around us?
周りに誰もいない時、私を抱きしめてくれる?

[Chorus]
Open your heart up
あなたの心を開いてよ。

Hopin' I'll never find out that you're anyone else
あなたが「私の思っていた人」とは違う誰かなんてこと、一生知らずに済めばいいのにって願ってる。

'Cause I love you just how you are
だって、私はそのままのあなたが大好きなんだから。

And hope you never find out who I really am
それに、私の「本当の姿」も、あなたに一生バレなきゃいいなって思ってるの。

'Cause you'll never love me, you'll never love me
だって知っちゃったら、あなたは絶対に私を愛してくれない、絶対に愛してくれないから。

You'll never love me, but I
絶対愛してくれないってわかってる、でもね、

Believe you when you say it like that (Say it like that)
あなたが「そんな風に」言ってくれると、信じちゃうの。(そんな風に言って)

Oh, do you mean it when you say it like that? (Say it like that)
あぁ、そんな風に言ってくれる時、それって本気なの?(そんな風に言ってよ)

Oh, I believe you when you say it like that (Say it like that)
あぁ、あなたが「そんな風に」言うと、本当に信じちゃうんだから。(そんな風に言って)

You must really love me
きっと私のこと、本当に愛してくれてるんだよね。

[Break]
(Heart up)
(心を開いて)

(Never find out that you're—)
(あなたが本当は…なんて、知らずに済めば)

(Heart up)
(心を開いて)

(Heart up)
(心を開いて)

(Never find out that you're—)
(あなたが本当は…なんて、知らずに済めば)

[Outro: Granny]
You don't have shit to say to me, I ain't got shit to say to you
あんたが私に言うことなんて何もないし、私もあんたに言うことなんて何もないわ。

(And that's the truth)
(それが真実よ)

And step, and step on
だから前へ進むの、歩き続けるのよ。

Also you Black heffa, yeah, you, you stand your ground
それとね、そこの生意気な黒人の小娘、そう、あんたよ。自分の信念を曲げちゃダメ。
※「Black heffa」は親しみを込めた若い女性への呼びかけ(Heifer=若い雌牛から転じたスラング)。SZAの祖母であるノーマが、孫娘やリスナーに向けて「自分をしっかり持て」と力強くエンパワーメントしている。

'Cause I, I feel the same way
だって、私も同じように感じてるから。

If you don't like me, you don't have to fool with me
私のことが気に入らないなら、無理に関わらなくていいの。

But you don't have to talk about me or treat me mean
でもね、私の陰口を叩いたり、意地悪したりする必要もないでしょ。

I don't have to treat you mean
私もあんたに意地悪する必要なんてないんだから。

I just stay out of your way
ただ、あんたの邪魔にならないところにいるだけ。

That's the way we work that one
そうやって私たちは、物事を上手くやっていくのよ。
※他者の評価(恋人の愛や世間の目)に依存して苦しむSZAに対し、「嫌なら関わらなくていい、自分らしく堂々と生きろ」という世代を超えた自立の教訓。自己肯定感の揺らぎに対するひとつの解答を提示してアルバムの世界観を補強している。

 

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