UGMKM

Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Prom - SZA 【和訳・解説】

Artist: SZA

Album: Ctrl

Song Title: Prom

概要

2017年のデビューアルバム『CTRL』に収録された、80年代のシンセポップやダンスミュージックの要素を取り入れたアップテンポなトラックだ。曲名である「Prom(プロム)」はアメリカの高校生にとって青春の象徴であり、同時に大人への階段を登る儀式でもある。軽快なビートとは裏腹に、歌詞では「大人になりきれない自分」への焦燥感や、将来への不安(ピーターパン症候群)、そして未熟な自分を見捨てきれない恋人への罪悪感が赤裸々に綴られている。映画『オズの魔法使い』のメタファーを用いた現実逃避の描写など、モラトリアム期から抜け出せない20代女性のリアルな葛藤と自己嫌悪を見事に表現した、オルタナティヴR&Bの隠れた名曲である。

和訳

[Verse 1]
Fearin' not growin' up (Growin')
大人になれないんじゃないかって、怖いのよ。(成長できないって)
※いつまでも精神的に成熟できない自分に対する、強迫観念に近い焦燥感が冒頭から吐露されている。

Keepin' me up at night (At night)
そのせいで夜も眠れないの。(夜も)

Am I doin' enough? (Enough)
私、ちゃんとやれてるのかな?(十分に)

Feel like I'm wastin' time, oh, yeah
ただ時間を無駄にしてるだけな気がして。あぁ、そうね。

[Pre-Chorus]
Promise to get a little better as I get older
年をとれば、もう少しマシになるって約束する。

And you're so patient, you're sick of waitin'
あなたはすごく我慢強いけど、待つことにはもうウンザリしてるよね。

Promise to do better
もっとちゃんとするって約束するから。

Should've, could've, probably wanna let me go
本当は私のこと、見捨ててしまいたいんでしょ。

But you can't, oh
でも、あなたにはできないんだよね、あぁ。
※自分のだらしなさを自覚しつつ、見捨てられない相手の優しさに甘えてしまうToxic(有毒)な共依存関係が描かれている。

[Chorus]
Right now, I feel it pourin', I need a little bit
今、雨が土砂降りみたいに降ってる気がするの、少しだけ時間が必要なの。
※「pourin'(土砂降り)」は、大人になるプレッシャーや不安が感情のダムから溢れ出している状態のメタファー。

Just a little bit, just a little bit
ほんの少しだけ、少しだけね。

Right now, I feel it pourin', I need a little bit
今、雨が土砂降りみたいに降ってる気がするの、少しだけ時間が必要なの。

Just a little bit, just a little bit
ほんの少しだけ、少しだけね。

Please don't take, don't take it personal
お願いだから、あなたのせいだなんて個人的に受け取らないで。

Like I know you usually do
いつものあなたなら、気に病んじゃうって分かってるけど。

Please don't take, don't take it personal
お願いだから、個人的に受け取らないで。

Like I know you usually do
いつものあなたみたいにね。

[Post-Chorus]
Please, please
お願い、お願いだから。

Don't take it personal
あなたのせいだなんて思わないで。

Don't take it personal
個人的に受け取らないでよ。

Darling, like I know you will, ooh
ダーリン、あなたがどうせそうするって分かってるけどさ。

[Verse 2]
Forget to call your mama on the weekend
週末にママに電話するのも忘れちゃって。

You should put yourself in time out
自分を反省部屋(タイムアウト)にでも閉じ込めるべきよね。
※「time out」は子供が悪いことをした時に反省させるための罰。自分をまだ「罰が必要な子供」として客観視している。

(Sh-sh-shame, sh-sh-shame on you)
(恥を知りなさい、本当に恥ずかしい)

But lately you've been feelin' so good
でも最近、あなたといるとすごく気分が良くて。

I forget my future, never pull out
自分の将来のことなんて忘れちゃうし、抜け出せなくなるの。

(Sh-sh-shame, Sh-sh-shame on me)
(恥を知りなさい、本当に恥ずかしい私)

Baby, the money'll make it easier for me
ベイビー、お金があればもっと楽になるのかな。

To run and hide out somewhere
どこかに逃げて、隠れるためのね。

(So far away)
(ずっと遠くに)

Hoppin' through poppy fields
ケシの花畑をピョンピョン跳ね回って。

Dodgin' evil witches
悪い魔女たちを避けながら。

These houses keep droppin' everywhere
そこら中に家が降ってくるのよ。
※映画『オズの魔法使い』からの引用。「ケシの花(眠りや忘却、あるいはドラッグの暗示)」「悪い魔女」「空から降ってくる家(ドロシーの家が魔女を潰したエピソード)」は、大人になる責任から目を背け、ファンタジーや現実逃避の世界に逃げ込もうとする心理状態を見事に表したGenius的なメタファーである。

[Pre-Chorus]
Promise to get a little better as I get older
年をとれば、もう少しマシになるって約束する。

And you're so patient, you're sick of waitin'
あなたはすごく我慢強いけど、待つことにはもうウンザリしてるよね。

Promise to do better
もっとちゃんとするって約束するから。

Should've, could've, probably wanna let me go
本当は私のこと、見捨ててしまいたいんでしょ。

But you can't, oh
でも、あなたにはできないんだよね、あぁ。

[Chorus]
Right now, I feel it pourin', I need a little bit
今、雨が土砂降りみたいに降ってる気がするの、少しだけ時間が必要なの。

Just a little bit, just a little bit
ほんの少しだけ、少しだけね。

Right now, it's really pourin', I need a little bit
今、本当に土砂降りみたいに降ってるの、少しだけ時間が必要なの。

Just a little bit, just a little bit
ほんの少しだけ、少しだけね。

Please don't take, don't take it personal
お願いだから、あなたのせいだなんて個人的に受け取らないで。

Like I know you usually do
いつものあなたなら、気に病んじゃうって分かってるけど。

Please don't take, take it personal (Please don't take it)
お願いだから、個人的に受け取らないで。(受け取らないで)

[Outro]
Like winter's fall on us, heavy
まるで冬が私たちに降りかかってきたみたい、すごく重い。

Take it off me, oh, it hurts
私からこれをどかしてよ、あぁ、痛いよ。

Rainin', I can't stand this
雨が降ってる、もう耐えられない。

Snow is fallin' on me, oh, it hurts
雪が私の上に降り積もるの、あぁ、すごく苦しい。
※「冬・雪(Winter, Snow)」は、大人になるという厳しい現実やプレッシャーの象徴。モラトリアムの終わりがもたらす重圧に押し潰されそうになっている等身大の弱音が、痛切に吐き出されて曲が終わる。

 

Ctrl