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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Doves in the Wind - SZA (feat. Kendrick Lamar) 【和訳・解説】

Artist: SZA (feat. Kendrick Lamar)

Album: Ctrl

Song Title: Doves in the Wind

概要

2017年の歴史的名盤『CTRL』に収録された、TDEのレーベルメイトであるケンドリック・ラマーを客演に迎えた重要曲である。女性の性(Pussy)という強烈なワードをあえて何度も連呼し、それに翻弄され、あるいは軽く扱う男性たちの滑稽さを痛烈に批判している。映画『フォレスト・ガンプ』を引き合いに出し、体目的ではなく純粋な愛情こそが真の繋がりを生むことを説きつつも、自身もまた性に奔放になりたいという矛盾を隠さない。女性の性を「風の中の鳩(Doves in the wind)」のように自由で手の届かないものとして美しく描き出し、現代のフェミニズム的なエンパワーメントと等身大の欲望が交錯する、オルタナティヴR&Bの傑作だ。

和訳

[Verse 1: SZA]
Real niggas do not deserve pussy
本物の男は、プッシーをもらう資格なんてないのよ。

Meaning it's more you see right through walls
壁の向こうまで見透かせるってこと。

Ain't talkin' about pussy
プッシーの話をしてるんじゃないの。

Meaning you deserve the whole box of chocolates
あなたは、箱いっぱいのチョコレートをもらう資格があるってことよ。

Come with me
私と一緒に来て。

Forrest Gump had a lot goin' for him
フォレスト・ガンプには、たくさんのいいことがあったよね。

Never without pussy
プッシーなしではいられなかったわけじゃない。

You know, Jenny almost gave it all up for him
ジェニーだって、彼のためにすべてを捧げようとしたでしょ。

Never even pushed for the pussy
彼からプッシーを強要したことなんて、一度もなかったのに。
※映画『フォレスト・ガンプ』からの引用(「人生はチョコレートの箱のようなもの」という名台詞)。無欲で純粋なフォレストが結果的にジェニーの心と体を得たことを引き合いに出し、体目的で近づいてくる男たちを批判している。

Where's Forrest now when you need him?
必要な時に、フォレストはどこにいるの?

Talk to me, talk to me, hey, ayy, hey
ねえ、私に話しかけてよ。

[Chorus: SZA]
Attention, all you niggas, all you bitches
そこの男たちも、女たちも、ちょっと聞いて。

Sit back and relax your mind, just ride, just ride
リラックスして、心を落ち着かせて。ただ波に乗ってよ。

Sit back and relax, you'll find just why, just why (Why)
リラックスすれば、きっと理由がわかるから。

Sit back, relax, just ease your mind, just ride (Ride, ride, ride)
座って、リラックスして、心を休めて波に乗るのよ。

You are now watching MADtv
あなたは今、MADtvをご覧になっています。
※『MADtv』は90年代後半から00年代にかけて放送されたコメディ番組。ここから始まる寸劇(あるいはケンドリックのコミカルなヴァース)へのユーモラスな導入である。

[Verse 2: Kendrick Lamar]
Niggas'll lose they mind for it, wine for it, dine for it (Pussy)
男たちはそのために正気を失い、ワインを注ぎ、ディナーを奢る(プッシー)

Spend time for it, see no colored line for it (Pussy)
時間を費やし、人種の壁すら越える(プッシー)

Double back, handicap, and go blind for it (Pussy)
引き返し、ハンデを負い、そのために盲目になる(プッシー)

Pussy got endless prisoners, pussy always revengin' her
プッシーには無限の囚人がいて、プッシーは常に復讐を果たしている。

Pussy is calculatin' and good pussy is rather dangerous
プッシーは計算高く、上質なプッシーはむしろ危険だ。

Pussy can be so facetious, the heavyweight champ
プッシーは冗談めかして、ヘビー級チャンピオンになる。

Pussy is so undefeated, let's amen to that
プッシーは無敗だ、それにはアーメンと言っておこう。
※ケンドリックは「Pussy」という単語を連呼しながら、男性がいかに女性の性に支配され、翻弄されているかをコミカルかつ哲学的に描写している。

I mean, the pump fakes on the Facebooks
つまり、Facebookでの虚勢や。

And the screw face when the bae look
女の子が見てる時の、渋い顔作り。

Won't get you no pussy
そんなのじゃ、プッシーは手に入らないぜ。

I mean, the fake chains and the code names
つまり、偽物のチェーンや、イキったコードネーム。

For insecure, gon' reassure you not to get pussy (You not to get)
そんな自信のなさじゃ、プッシーは手に入らないって念押ししてるようなもんだ。

You overcompensate too much for the pussy
お前らはプッシーのために、過剰に補いすぎてるんだよ。

You like to throw all kinda shade for the pussy
プッシーのために、ありとあらゆる陰口(shade)を叩きたがる。

See, that's what pussy niggas do
ほら、それがプッシー・ニガ(弱虫な男)のやることだ。

I know the ways of a pussy, I see pussy lookin' at you
俺はプッシーのやり方を知ってる。プッシーがお前を見てるのがわかるぜ。
※ここでは「Pussy」を「弱虫・臆病者」という意味の侮蔑語としてダブルミーニングで使い、体面ばかりを気にする男たちを痛烈に皮肉っている。

How many niggas get mistaken for clitoris in a day?
一日に何人の男が、クリトリスと間違えられてるんだ?

How many sentiments you make before runnin' pussy away?
プッシーが逃げていくまでに、お前はどれだけ感傷的なセリフを吐くんだ?

How many times she gotta tell you that dick is disposable?
男のイチモツなんて使い捨てだって、彼女に何度言われりゃ気が済むんだ?

But if she fuck a young nigga like me, it's over for you
でも、彼女が俺みたいなイケてる奴とヤッたら、お前はもう終わりだぜ。

Solána, middle fingers up, speak your truth
ソラーナ、中指を立てて、お前の真実を語ってやれ。
※ソラーナ(Solána)はSZAの本名。「speak your truth(自身の真実を語れ)」は、アルバム『CTRL』のコアテーマでもある、ケンドリックからの強烈なパスだ。

[Verse 3: SZA]
You could never trivialize pussy
プッシーの価値を、絶対に軽く見たりしちゃダメよ。

But a bum nigga like you would try it (Pussy)
でも、あなたみたいなダメ男(bum nigga)は、それを軽く扱おうとするのよね。

I know what you really 'bout
あなたが本当はどういう人間か、私にはわかってる。

High-key, your **** is weak buddy (Pussy)
はっきり言って、あなたの〇〇(モノ)は弱っちいからね、相棒。(プッシー)
※「High-key(はっきり言って、マジで)」。強がっている男性の性的能力や人間的な弱さを容赦なく刺しに行く、SZAのToxicな魅力が全開のライン。

It's only replaced by a rubber substitute
ゴム製のオモチャで代用できるレベルだし。

We ain't feelin' you, oh
全然感じないのよ。

I think I caught a vibe, kinda feel a nigga
なんだかいい雰囲気かも。ちょっとあなたのこと、いいなって思い始めてる。

You could touch the booty if you like, I ain't trippin' on ya
よかったらお尻触ってもいいよ、別にキレたりしないから。
※「trippin'(過剰反応する、キレる)」。男性をこき下ろした直後に急に誘惑するような態度を見せる、感情の振り幅と小悪魔的な駆け引き。

(Such a nice girl, SZA)
(SZAって、なんていい子なんだ)

I'm really tryna crack off on the headboard
マジでベッドのヘッドボードが壊れるくらい、激しくヤりたいのよ。

And bust it wide open for the right one
運命の人のためなら、思いっきり脚を開いてあげるのに。

Is you that for me?
あなたが私のその人になってくれるの?

'Cause if you that for me
だって、もしあなたがそうなら…

[Bridge]
Like doves in the wind, hey, hey
風の中の鳩みたいにね。

Pussy like doves in the wind, hey, hey
風の中を舞う鳩のようなプッシーよ。

Pussy like doves in the wind
風に舞う鳩のようなプッシー。
※「Doves(白い鳩)」は平和や純潔の象徴。「風の中の鳩」のように、女性の性は自由で美しく、男たちの思い通りにはならないという詩的なメタファーである。

[Chorus]
I will make you beg for it (Attention, all you niggas)
私にすがって、乞い願うようにさせてあげる。(そこの男たち、聞いて)

I wanna see you crawl (All you bitches)
あなたが這いつくばる姿が見たいの。(女たちも)

I'll give you all of me and I won't stop, not a little bit
私のすべてをあげる。少しも立ち止まったりしない。

(Sit back and relax your mind, just ride, just ride)
(リラックスして、心を落ち着かせて。ただ波に乗って)

Make you beg for it, I wanted to do it all
乞い願うようにさせてあげる。私は全部やってみたかったのよ。

(Sit back and relax, you'll find just why, just why)
(リラックスすれば、きっと理由がわかるから)

Unfortunately, you couldn't get your shit together
でも残念ながら、あなたはちゃんとしてくれなかったじゃない。

(Sit back, relax, just ease your mind, just ride)
(座って、リラックスして、心を休めて波に乗るのよ)

(Ride, ride, ride)
(乗るのよ)

You are now watching MADtv
あなたは今、MADtvをご覧になっています。

[Outro: Mommy]
We take things, and my influence so far, and then it's out of my hands.
私たちは物事を受け止めるけど、私の影響力なんてそこまでよ。あとは私の手から離れてしまう。

And, you know, while as I said it can be scary, it can also be a little bit comforting.
そしてね、前にも言ったように、それは怖いことでもあるけど、同時に少し安心することでもあるの。

Because I've learned that when I get to that point, and I can acknowledge, "Okay, Audrey, that's as much as you can do," I can actually let it...
だって私は学んだのよ。そこまで辿り着いて、「わかったわ、オードリー。これがあなたの限界ね」って認められたら、実際には手放すことができるんだって…
※SZAの母親オードリーの肉声。「コントロールを手放すこと」の恐怖(1曲目『Supermodel』での発言)から一歩進み、自分の限界を認めて「手放すことの安堵感」へと至る、アルバムの精神的な成長を示す重要な語りである。

 

Ctrl