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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Babylon - SZA (feat. Kendrick Lamar) 【和訳・解説】

Artist: SZA (feat. Kendrick Lamar)

EP: Z

Song Title: Babylon

概要

2014年にTDE(Top Dawg Entertainment)からリリースされたEP『Z』のリードトラックであり、レーベルメイトであるケンドリック・ラマーを客演に迎えた重要曲だ。タイトルである「Babylon(バビロン)」は、旧約聖書において罪と退廃、そして神の怒りによって滅ぼされる都市の象徴である。SZAは自身の自己破壊的な傾向、他者への不信感、そして「ダディ・イシュー(父親との関係から生じる心理的葛藤)」を赤裸々に告白し、自らを「十字架に架けて(Crucify me)」と歌う。ケンドリックの自己内省的でダークなヴァースと交わり、恋愛における罪悪感とToxicな殉教者コンプレックスが深く彫り込まれた、初期SZAのダークな精神世界を堪能できるネオソウル・ナンバーである。

和訳

[Refrain]
Crucify, cru-crucify me
私を十字架に架けてよ、磔にして。
※「Crucify(十字架に架ける)」は、キリストの磔刑を指す。自分が犯した罪(自己破壊的な行動やToxicな恋愛)に対する罰を求める、殉教者コンプレックス的なメタファーである。

Crucify, cru-cru
十字架に架けてよ。

[Verse 1: SZA]
I can't recall the last time I took, advice from anyone
最後に誰かのアドバイスを素直に聞いたのなんて、いつだったか思い出せない。

Shaped like a figure eight, who trusts pretty girls anyway?
数字の8みたいな体型だけどさ、そもそも可愛い女の子の言うことなんて誰が信じるの?
※「figure eight」は砂時計のような理想的なカーヴィーボディのこと。外見的な魅力(pretty girls)はあっても、内面が伴っていない自分への強烈な自己嫌悪と、世間へのシニカルな視点が表れている。

And I can't recall the last time I took advice from anyone
誰かの忠告を聞き入れたことなんて、もうずっとないし。

I'm sure I'll be the death of me
きっと私自身が、私を破滅させる原因になるんだろうな。
※自己破壊的(Self-destructive)な本質の吐露。自分のToxicな行動が最終的に自分自身を滅ぼすことを自覚している。

And I can't recall the last time I took love from anyone
最後に誰かからの愛を受け入れたのがいつかも、思い出せない。

I called daddy, who's got one anyway? Not me
パパって呼んでみたけど、そもそもパパなんている? 私にはいないけど。
※父親の不在や機能不全家族からくる「ダディ・イシュー(Daddy issues)」への言及。愛情を素直に受け取れない根本的な原因が、幼少期の愛情の欠落にあることを示唆している。

Are you hating yourself? Do you really hate me?
あなたも自分が嫌いなの? 本当に私のことが憎い?

Are you hating yourself?
自分のこと、嫌いになってない?

[Chorus: SZA]
Was it worth it? Would you do it again?
それだけの価値あった? また同じこと繰り返すの?

Aren't you tired (of) always makin' amends? Oh
いっつも罪滅ぼしばかりしてて、疲れちゃわない?
※「makin' amends」は償いをすること。お互いに傷つけ合い、謝罪を繰り返す泥沼のようなToxicな関係への疲弊である。

I know you hate me now (Here)
今のあなたは、私のこと憎んでるよね。(ほら)

I bet you hate me now (Here)
絶対、私のこと嫌いになってるはず。(ほら)

Bring on the thorny crown (Here)
茨の冠を持ってきてよ。(ここに)
※「thorny crown(茨の冠)」はイエス・キリストが十字架に架けられる際に被らされたもの。自らの罪に対する罰と苦痛を甘んじて受け入れようとする姿を描く。

Cru—
十字架に—

[Verse 2: Kendrick Lamar]
Cross my heart then I hope to die
心に誓うよ、嘘なら死んでもいい。

With a peace of mind (A peace of mind)
心に平穏を抱いたままね。(平穏を)

Piece together my brain
俺の脳みそをパズルみたいに繋ぎ合わせるんだ。

Soon as this beat rewinds (Beat rewind)
このビートが巻き戻る瞬間にさ。(巻き戻る時に)

Nitrogen and propane
窒素とプロパンガス。
※爆発性の高い化学物質。危険で不安定な精神状態や、関係性の爆発的な危うさを暗示している。

I spike your drink at times (Turn up, turn up)
時々、お前の酒にクスリを盛るんだ。(アガれ、アガれ)
※「spike a drink」は酒に密かにアルコールや薬物を混ぜること。相手を自分のコントロール下に置こうとする、あるいは狂気の世界へ引きずり込もうとする有毒な行為のメタファー。

I make it hard to swallow this game
このゲームを飲み込むのを難しくしてやる。

You throw up every line (Every line)
お前は俺の言葉(ライン)を全部吐き出すんだ。(全部な)

I notice people got Napoleon complexes
世の中の奴らがナポレオン・コンプレックスを抱えてることに気付いたよ。
※「Napoleon complex」は、背の低い人が過剰に自己主張し、攻撃的になる心理的傾向。虚勢を張る人々への冷ややかな視線。

That's my confession (Yeah, that)
それが俺の懺悔さ。(ああ、そうだ)

You said that we're equal, but I know you're beyond guessin'
俺たちは平等だってお前は言ったけど、俺にはわかるぜ。お前が予想を超えてヤバいってことが。

That I'm beyond desperate (Yeah, that)
俺が予想を超えて絶望してるってこともな。(ああ、そうだ)

6AM on a Friday mornin', my darkest hours
金曜の朝6時、俺の最も暗い時間。

Them heartless hours, my apartment is lost in a coffin
無情な時間帯さ、俺のアパートは棺桶の中に沈んでる。
※「coffin(棺桶)」は孤独で閉塞感のある部屋の比喩。重度の抑うつ状態と死のイメージが漂う。

I'm dead to the world like I popped me a couple downers
ダウナー系のクスリを何錠かキメたみたいに、俺は世界に対して死んでるんだ。

Down & Out on my luck
ツキにも見放されて、完全に落ちぶれちまった。

Salt water all on my tux and I call, she don't pick up
タキシードは塩水(涙)まみれ、電話をかけても彼女は出ない。

Then I fall when summer's endin'
そして夏の終わりに、俺は堕ちていく。

I mean, there's no pretendin'
つまりさ、もう誤魔化しは効かないんだよ。

I'm stuck in my ways and you're offended, that's life
俺は自分のやり方に固執して、お前はそれに腹を立てる。それが人生さ。

That's you, this me, that vice
それがお前で、これが俺。そしてそれが「悪習」ってもんだ。

You're wrong, I'm right, that's right
お前が間違ってて、俺が正しい。そうさ。

I belong somewhere on ice
俺は氷の上のどこかにいるべきなんだ。

I'm cold, and my new blood type?
俺は冷え切ってる。俺の新しい血液型は何かって?

Even colder, cold shoulder
さらに冷たい、「コールド・ショルダー(冷たい態度)」さ。

Born Sinner, you know? Cole showed us!
生まれながらの罪人(Born Sinner)ってやつさ。J. Coleが教えてくれただろ!
※J. Coleの2013年のアルバム『Born Sinner』からの引用。SZAの歌うキリスト教的な「罪と罰(Babylon, Crucify)」のテーマに、ヒップホップ的な文脈から見事に呼応している。

I have nothin' to lose
俺にはもう失うものなんて何もない。

My dark side been well in-tuned
俺のダークサイドは、完全にチューニングが合ってるんだ。

A Gemini will show them faces
双子座(ジェミニ)は色んな顔を見せるからな。
※ケンドリック自身の星座(6月17日生まれ)。二面性があり、光と闇を行き来する複雑な内面を星座になぞらえている。

And this here just one of my moods, Babylon
で、これは俺の気分のひとつに過ぎないのさ、バビロン。

[Chorus: SZA]
Was it worth it? Would you do it again?
それだけの価値あった? また同じこと繰り返すの?

Aren't you tired of always makin' amends?
いっつも罪滅ぼしばかりしてて、疲れちゃわない?

I know you hate me now (here)
今のあなたは、私のこと憎んでるよね。(ほら)

I bet you hate me now (here)
絶対、私のこと嫌いになってるはず。(ほら)

Bring on the thorny crown (here)
茨の冠を持ってきてよ。(ここに)

Crucify me
私を十字架に架けて。

[Refrain: SZA]
Crucify, cru-crucify me
私を十字架に架けてよ、磔にして。

Crucify, cru-cru
十字架に架けてよ。

Crucify, cru-crucify me
私を十字架に架けてよ、磔にして。

Crucify, cru-cru
十字架に架けてよ。

[Verse 3: SZA]
I'm really over the cryin' thing, wipin' my tears
泣くのなんて、もうウンザリ。自分の涙を拭うことにもね。

Who cries anyway? Spread like disease all over me
そもそも誰が泣くのよ? 病気みたいに私の中に広がっていく。

We did ungodly ghastly things, last night I mean
私たち、神にも背くようなおぞましいことをしちゃったよね、昨日の夜の話。
※「ungodly(神を恐れぬ、邪悪な)」。タイトル「Babylon(背徳の都市)」に直結する、性的なあるいは道徳的に破綻した行為への言及。

Who's God anyway? You're mine any day
ていうか神様って誰? あなたはいつだって私のものなんだし。
※前行の「神に背く」という意識から一転、「神なんて関係ない、あなたを支配しているのは私だ」という極端なエゴと支配欲(Toxicな独占欲)への飛躍。

It's burning, take me
燃えているわ、私を連れてって。
※バビロンが炎に包まれて滅びる情景と、罪悪感や欲望の炎で身を焦がす自身を重ねている。

I wanna feel your power, this final hour, tell me
あなたの力を感じたいの、この最後の時間に。ねぇ、教えて。

Are you losing yourself? Will you lose it for me?
あなたも自分を見失ってる? 私のために理性を捨ててくれる?

Are you losing yourself?
ねえ、自分を見失ってる?

[Chorus: SZA]
Was it worth it? Would you do it again?
それだけの価値あった? また同じこと繰り返すの?

Aren't you tired of always makin' amends?
いっつも罪滅ぼしばかりしてて、疲れちゃわない?

I know you hate me now (Here)
今のあなたは、私のこと憎んでるよね。(ほら)

I bet you hate me now (Here)
絶対、私のこと嫌いになってるはず。(ほら)

Bring on the thorny crown (Here)
茨の冠を持ってきてよ。(ここに)

Crucify me
私を十字架に架けて。

[Refrain: SZA]
Crucify, cru-crucify me
私を十字架に架けてよ、磔にして。

Crucify, cru-cru
十字架に架けてよ。

Crucify, cru-crucify me
私を十字架に架けてよ、磔にして。

Crucify, cru-cru
十字架に架けてよ。