Artist: SZA (feat. Chance the Rapper)
EP: Z
Song Title: Childs Play
概要
SZAが2014年にTDE(Top Dawg Entertainment)からリリースした出世作となるEP『Z』に収録された、彼女のキャリア初期を代表するノスタルジックな名曲である。プロデューサーであるXXYYXXの楽曲「About You」を大胆にサンプリングしたアンビエントで浮遊感のあるビートに乗せ、SZAは幼少期の遊び(バービー人形や任天堂のゲーム)の無邪気さと、大人になって直面する現実の複雑さや悲劇(シェイクスピアの戯曲)を鮮やかに対比させている。客演には当時『Acid Rap』でブレイクを果たした直後のチャンス・ザ・ラッパーを迎え、言葉遊びを駆使しながら失われた純真さへの郷愁をラップしている。「現実からの逃避」と「本当の自分を知ってほしい」という願望が交錯する本作は、後の名盤『CTRL』へと繋がる彼女特有の赤裸々で内省的なソングライティングの原点と言える。
和訳
[Verse 1: SZA]
Ripping the heads off all my Barbie dolls
持ってたバービー人形の首を全部引っこ抜いてさ。
※バービー人形は「完璧な女性像」の象徴である。その首を物理的に引きちぎる行為は、社会から押し付けられる理想の女性像に対する幼少期からの反抗心と破壊衝動を表している。
Toss them to the side, get the convertibles
横に放り投げて、オープンカーのおもちゃで遊ぶの。
(Click, vroom) I like the way it rides up
(カチャ、ブルルン)その走りっぷりが好きなんだよね。
Ken had it all, Skipper wanted more than
ケンは全てを持ってたけど、スキッパーはそれ以上を望んでた。
※「Ken(ケン)」はバービーのボーイフレンド、「Skipper(スキッパー)」はバービーの妹のキャラクター。脇役であるスキッパーに自分を重ね、主役(ケンやバービー)の持つ特権や完璧な世界への嫉妬と渇望を描写している。
Watching from the sidelines, wish that she had it
ずっと端っこから見てて、自分もあんな風になれたらって願ってたの。
She wish that she had it
ああなれたらいいのにって。
[Chorus: SZA]
Here in your backyard, building a fantasy
あなたの家の裏庭で、ファンタジーを作り上げてるの。
※「裏庭」は子供にとっての安全な箱庭であり、現実世界の煩わしさから逃れるためのサンクチュアリ(聖域)として機能している。
Fuck reality, do you want to know, know me
現実なんてクソ食らえだし。ねえ、私のこと本当に知りたい?
Do you want to know me?
本当の私を知りたい?
[Verse 2: SZA]
Stuck in Nintendo, you're the controller
任天堂のゲームに夢中で、コントローラーを握るのはあなた。
※ゲームの主導権を相手に握られているという比喩を用いて、恋愛関係におけるパワーバランスの不均衡や受動的な自身の立場を示唆している。
Street Fighters and such
ストリートファイターとか、そんなゲーム。
I yelled "finish him"
「トドメを刺して!」って私が叫ぶの。
※格闘ゲーム『モータルコンバット』を代表する象徴的なフレーズ「Finish him!」からの引用。子供同士の無邪気な遊びの中にある残酷さを切り取っている。
(Down goes Frazier)
(フレージャーが倒れた!)
※1973年のボクシング世界ヘビー級タイトルマッチ、ジョージ・フォアマン対ジョー・フレージャー戦における伝説的な実況フレーズ。敗北や関係性の崩壊のメタファーとして機能している。
I yelled "finish him"
だから「トドメを刺して!」って叫んだの。
Come Desdemona, Othello and tragedies
デズデモーナやオセロみたいな悲劇がやってくる。
※シェイクスピアの悲劇『オセロ』の登場人物。嫉妬から妻デズデモーナを殺してしまうオセロの物語を引き合いに出し、無邪気な子供の遊びから、大人たちの複雑で破壊的な恋愛の現実へとテーマが完全に移行する。
Shakespearean sorrows, where do I begin?
シェイクスピアみたいな悲しみ、どこから話せばいいのかな?
Where do we begin?
私たち、どこから始めればいい?
[Verse 3: Chance The Rapper]
I got L's on my record
俺のレコード(記録)には敗北の傷が刻まれてるんだ。
※「L」はLoss(敗北・失敗)の意味。同時に「L's(エルズ)」はマリファナのジョイント(Blunt)のスラングでもあり、次のラインの「Weed(大麻)」に繋がるダブルミーニングとなっている。
Weed on the vinyl
アナログ盤の上にはハッパが散らかってて。
Keys open doors when them keys is albino
その鍵(コカイン)が真っ白なら、扉は開くんだよな。
※「Keys」はドアの鍵と「キログラム単位のコカイン(Kilos/Keys)」を掛けている。「albino(アルビノ/白化個体)」を用いてドラッグの純白さを表現した秀逸な言葉遊びである。
Now knock on my door when my stars is a Lionel
ライオネル・リッチーみたいにスターダムにのし上がったら、俺のドアをノックしてくれよ。
※「Lionel」は世界的スター歌手ライオネル・リッチーのこと。「星占い(Stars)」と「スター歌手(Star)」を掛けている。
I've been fishing for a minute, for a minnow
ずっと小魚(チャンス)を釣り上げようとしてたんだ。
Only I know that a pawn is a trade
ポーン(歩兵)がいずれ化けるってことは、俺だけが知ってる。
※チェスにおいて、最弱の駒である「ポーン」が敵陣の最奥まで進むと強力な駒に昇格できるルール(プロモーション)を指す。弱者が這い上がるストリートのハングリー精神を描写している。
And a rookie for a castle like tuition for a final
期末テストのために学費を払うみたいに、ルーク(城)を得るためにルーキーを差し出すのさ。
Playing hooky for a tassel, spend a minute on the minor
タッセル(卒業帽の飾り)のために学校をサボってさ、つまんないことに時間を費やしてた。
Wins on my window
窓ガラスには勝利(Wins)が映ってる。
Ash on my skin, when the record low temps for the wind blow
記録的な寒風が吹く中で、肌には灰が落ちるんだ。
Only write rhythm to the tardiest of tempos
俺は一番遅いテンポに合わせてリズムを書く。
Only ride shotgun when the car is a limo
リムジンに乗る時だけ、助手席に座るのさ。
Y'ar see
わかるだろ。
I crowd surf in a cypher
サイファー(ラップの輪)の中でクラウドサーフしてさ。
Scuba in my shower, take an Uber to my neighbors
シャワーの中でスキューバダイビングして、隣の家に行くのにUberを使っちゃう。
※チャンス特有のコミカルでシュールな誇張表現。子供のような豊かな想像力と、成功したラッパーとしての贅沢で怠惰な日常を重ね合わせている。
Used to pay the piper, till Peter picked it better
報いを受ける側だったけど、今じゃピーター・パイパーみたいに上手くやってる。
※「pay the piper(報いを受ける、費用を負担する)」という慣用句と、早口言葉で有名な架空の人物「Peter Piper(ピーター・パイパー)」を掛けたリリカルな表現。
Now the first thing you should tell is where the hell is all the paper
だから今一番に教えてほしいのは、その金(紙)がどこにあるかってこと。
But memories keep coming back
でも、思い出が蘇ってくるんだよ。
All the nights that we used to laugh
一緒に笑い転げてた、あの夜たちのこと。
Wanna know how I used to was, how I used to was
昔の自分がどんなだったか、知りたくなるんだ。
[Outro: SZA & Chance the Rapper]
Memories keep playing back, all the nights we used to love
思い出がずっと再生されてる。私たちが愛し合った、あの夜のすべてが。
(Here in your backyard, building a fantasy)
(あなたの家の裏庭で、ファンタジーを作り上げてるの)
Just wonder how I used to was, how I used to was
昔の私がどんなだったか、ただ気になっちゃって。
(Fuck reality, do you want to know, know me)
(現実なんてクソ食らえ。ねえ、私のこと本当に知りたい?)
Memories keep playing back, all the nights we used to love
思い出がずっと再生されてる。私たちが愛し合った、あの夜のすべてが。
(Do you want to know me?)
(私のこと、知りたい?)
Just wonder how I used to was, how I used to was
昔の私がどんなだったか、ただ気になっちゃって。
Memories keep playing back, all the nights we used to love
思い出がずっと再生されてる。私たちが愛し合った、あの夜のすべてが。
Just wondering how I used to was, how I used to was
昔の私がどんなだったか、ただ気になっちゃうんだよね。
Memories keep playing back, all the nights we used to love
思い出がずっと再生されてる。私たちが愛し合った、あの夜のすべてが。
Just wondering how I used to was, how I used to was
昔の私がどんなだったか、ただ気になっちゃうんだよね。
Memories keep playing back, all the nights we used to love
思い出がずっと再生されてる。私たちが愛し合った、あの夜のすべてが。
Just wondering how I used to was, how I used to was
昔の私がどんなだったか、ただ気になっちゃうんだよね。
