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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Pigs - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator

Album: Wolf

Song Title: Pigs

概要

本作は、タイラー・ザ・クリエイターの3rdアルバム『Wolf』(2013年)に収録された、スクールシューティング(学校内銃乱射事件)と、いじめられっ子の復讐をテーマにしたダークで物議を醸すトラックである。アルバムのコンセプトにおいては、不良キャラクター「Sam」がなぜCamp Flog Gnawに送られることになったのか、その凄惨な過去(バックストーリー)を明かす重要な役割を担っている。周囲からのいじめ、継父との確執、孤独といった蓄積されたトラウマが爆発し、トレンチコートを着て学校を襲撃する暴挙に出る姿は、1999年のコロンバイン高校銃乱射事件を強く彷彿とさせる。音楽やゲームが青少年の暴力の原因とされる社会風潮を逆手に取り、「ただ注目してほしかっただけ」という切実な孤独を描き出した、Tylerのストーリーテリングの極致とも言える一曲だ。

和訳

[Verse 1]
Geek, fag, stupid loser, find a rope to hang
オタク、オカマ、バカな負け犬、首を吊るロープでも探してな。

I'm not bipolar, see I'm just known by those couple names
俺は双極性障害じゃない。ただ、そういういくつかの名前で呼ばれてるだけさ。

I wanna tell my pops but, shit, he'll probably say the same
親父に話したいけど、クソッ、あいつもたぶん同じことを言うだろうな。

Fuck
クソが。

Hated by everyone, that's the way it seems
みんなから嫌われてる、どうやらそういうことらしい。

I don't know what's shorter, his damn temper or my self-esteem
どっちが短いのか分からねえよ、あいつのクソ短い気性(短気)か、俺の自尊心か。

I sit in my room and I listen to tunes, I'm amused alone
部屋に座って音楽を聴く、俺は一人で楽しんでるんだ。

'Cause none of the cool kids would let me join a team
イケてる奴らは誰も俺をチームに入れてくれないからな。

Depression's on the stalk again
うつ病がまた忍び寄ってくる。

My best friend's an inhaler because it will not let me cough
俺の親友は吸入器だ、こいつがあれば咳き込まずに済むからな。
※タイラー自身が喘息持ちであり、吸入器を心の支えとしている孤独な描写。

Whenever I am losing oxygen, bully hand around my neck
俺が酸欠になりかけてる時でも、いじめっ子の手が俺の首を絞める。

'Cause he felt disrespected when I decided to talk again
俺がまた口答えしようとした時、あいつはコケにされたと感じたからだ。

I brought that on myself, see, I should know my place
自業自得ってやつだ、ほら、俺は自分の身の程を知るべきなんだよな。

But not at lunchtime, see, I know better than to show my face
でも昼休みは別だ。あいつらの周りに顔を出すようなバカな真似はしねえ。

Around them, but the day I do, it'll be everywhere
でも、もし俺が顔を出す日があったら、それは至る所でニュースになるぜ。

When I share these feelings finally, they gon' fucking care
ついに俺がこの感情を共有(爆発)させる時、連中も嫌でも気にすることになるからな。

[Hook]
Grab a couple friends, start a couple riots
数人のダチを集めて、暴動をいくつか起こしてやる。

Crash a couple (Planes, planes, planes)
(飛行機、飛行機、飛行機)をいくつか墜落させる。

Then, gather all the bullies, crush them motherfuckers
それから、いじめっ子たちを全員集めて、あのクソ野郎どもをぶっ潰すんだ。

Odd Future hooligans causing up a ruckus
オッド・フューチャーのフーリガンどもが大騒ぎを起こすぜ。

It's us, nigga
俺たちだぜ、ニガ。

I said it's us, nigga
俺たちだと言ってるんだ、ニガ。

[Verse 2]
Murder, murder, m-murder the last they heard of you
殺人、殺人、殺人、連中がお前について最後に聞いたのは、

Was when I... ("Uh") with all them burners, you
俺が…(あぁ)あの大量のハジキを持ってきた時だったな、お前は、
※burners=銃。学校襲撃の始まりを描写している。

Think that I'm some punk bullied bitch who ain't gon' trouble you
俺のことを、お前らに手出しできねえ弱虫のいじめられっ子だと思ってただろ。

Well, I'm gonna burst your bubble two times if you don't mind
悪いが、お前のその思い込み(バブル)を2回ほどぶち壊して(撃ち抜いて)やるよ。
※burst your bubble=幻想を打ち砕くという意味の慣用句だが、ここでは発砲(2発撃つ)を暗喩している。

Umm, "Who are you again?" I'm Samuel and that's Tyler
ええと、「お前誰だっけ?」って? 俺はサミュエル(サム)で、そっちはタイラーだ。
※アルバムのキャラクターであるSamuelが登場。同一人物内の別の人格が共謀している。

We came to get wild and style in these trench coats!
俺たちはこのトレンチコートを着て、暴れまくってスタイルを見せつけに来たんだ!
※1999年のコロンバイン高校銃乱射事件の犯人がトレンチコートを着ていたこと(トレンチコート・マフィア)への直接的な言及。

Don't start asking what's packing in these trench coats!
このトレンチコートの中に何が詰まってるかなんて聞くんじゃねえぞ!

Just know if you start acting, I'm grabbing for these trench coats! ("Umm")
もしお前らが妙な動きをしたら、俺はこのトレンチコートに手を突っ込むからな!(うーん)

My step-father called me a fag
継父は俺をオカマ野郎って呼んだ。

I'll show him a fag, and I'll light a fire up in his ass
俺が「fag(タバコ)」を見せてやるよ、あいつのケツに火をつけてな。
※fag=同性愛者の蔑称と、イギリス英語でタバコを意味するスラングを掛けた言葉遊び。

And recently, them assholes been fucking with me in class
最近、クラスのクソ野郎どもが俺をからかってきやがる。

So I'ma keep them motherfuckers there and make sure they pass, huh
だからあいつらをそこに留まらせて、確実に「パス(合格/死ぬ)」させてやるよ、なぁ。
※pass=テストをパスする(合格する)と、pass away(死ぬ)を掛けた不謹慎なジョーク。

My prom date, she dismissed my offer
俺のプロムの相手、あの子は俺の誘いを断りやがった。

So I'ma **** her and toss her in the principal's office (Tyler, I'll go with you)
だから俺は彼女を(ピー)して、校長室に放り込んでやる(タイラー、俺も一緒に行くぜ)
※ピー音で隠されているが、文脈から殺害(kill)やレイプなどの過激な言葉が入る。

Oh, now you wanna conversate with me, try to be my friend?
おや、今になって俺と会話して、友達になろうってのか?

(Where are my parents at?) Don't worry, you'll probably never see them again (Again!)
(私の両親はどこ?)心配すんな、たぶんもう二度と会えねえからさ(二度とな!)
※人質の生徒との会話。無慈悲な殺戮が行われている。

[Hook]
Grab a couple friends, start a couple riots
数人のダチを集めて、暴動をいくつか起こしてやる。

Crash a couple (Planes, planes, planes)
(飛行機、飛行機、飛行機)をいくつか墜落させる。

Then, gather all the bullies, crush them motherfuckers
それから、いじめっ子たちを全員集めて、あのクソ野郎どもをぶっ潰すんだ。

Odd Future hooligans causing up a ruckus
オッド・フューチャーのフーリガンどもが大騒ぎを起こすぜ。

It's us, nigga
俺たちだぜ、ニガ。

I said it's us, nigga
俺たちだと言ってるんだ、ニガ。

[Bridge]
Bum, bum, bum, bum, bum
バン、バン、バン、バン、バン。

Bum, bum, bum, bum, bum
バン、バン、バン、バン、バン。

Can we get this over?
早く終わらせられねえか?

Bum, bum, bum, burum-rum-rum-rum, bum, bum, bum
バン、バン、バン、ブルルン・ルン・ルン・ルン、バン、バン、バン。

Bum, bum, bum-bum-bum-bum, hehe
バン、バン、バン・バン・バン・バン、ヘヘッ。

Thank you
ありがとう。

We are the Sams, and we're dead—it's just four of us
俺たちはサムズだ、そして死んでる。俺たち4人だけさ。
※「Dead Sams」というSamのバンド名、またはコロンバイン事件のような悲劇的結末(犯人の自殺)を暗示している。

We come in peace, we mean no harm, and we're inglorious
俺たちは平和のために来た、危害を加えるつもりはない、俺たちは不名誉な存在さ。
※前作『Bastard』の収録曲「Inglorious」への言及。

We took their heads, but we just took back what they took from us
俺たちは奴らの首を取った。でもそれは、奴らが俺たちから奪ったものを取り返しただけだ。

I guess we lost ours...
どうやら、俺たちは自分たちを見失っちまったみたいだな…

[Verse 3]
Music had nothing to do with my final decision
俺の最終的な決断に、音楽なんて一切関係なかった。
※銃乱射事件の犯人が聴いていた音楽(マリリン・マンソンやエミネムなど)に責任を押し付けるメディアへの批判。

I just really wanted somebody to come pay me attention
俺はただ、誰かに俺のことを見て(構って)ほしかっただけなんだ。

But nobody would listen but stuffed animals that I had
でも、ガキの頃から持ってたぬいぐるみの動物たち以外、誰も話を聞いてくれなかった。

Since I was a kid, but I'm growing up, so they're missing
大人になるにつれて、そいつらもいなくなっちまったからな。

I didn't mean to hurt anybody, I'm sorry
誰かを傷つけるつもりはなかったんだ、ごめんなさい。

I wouldn't hurt a fly or consider joining the Army
ハエ一匹殺せないし、軍隊に入るなんて考えたこともない。

I'm hardly ever angry, Roger Rabbit framed me
普段は怒ることなんてほとんどないんだ、ロジャー・ラビットが俺をハメたんだよ。
※映画『ロジャー・ラビット(Who Framed Roger Rabbit)』に掛けたジョーク。責任逃れや現実逃避の言い訳。

Mama, I'm the same fucking kid that you made, see?
ママ、俺はあなたが産んだ、あの頃の子供のままだよ、分かるだろ?

I don't wanna go to jail, I just wanna go home
刑務所には行きたくない、ただ家に帰りたいんだ。

And I want them fucking kids at school to just leave me alone
学校のクソガキどもには、ただ俺を放っておいてほしいだけなんだよ。

And I... I hear helicopters, make 'em dip
俺は…ヘリコプターの音が聞こえる。追い払ってくれ。
※SWATや警察のヘリコプターが到着し、追い詰められている状況。

I'm fucking reloaded, I told you all that I ain't taking shit
俺はリロード(弾を装填)したぞ。誰の指図も受けねえって全員に言ったはずだ。

You better back up before this Mac start to lift up
このMac(銃)が持ち上がる前に下がった方がいいぜ。
※Mac=MAC-10(サブマシンガン)。

I'll pump it like my inhaler when asthma begin to act up
喘息の発作が出た時の吸入器みたいに、こいつをポンピング(連射)してやるよ。

The difference between us and our class is tan khakis
俺たちと俺たちのクラス(階級/授業)の違いは、黄褐色のカーキパンツさ。

I got ninety-nine problems and all of them's being happy
俺には99個の問題がある、そしてそのすべては「幸せになること」に関わってるんだ。
※Jay-Zの「99 Problems」をサンプリング。凶行に走った少年の唯一の願いがただ「幸せになりたい」ということだったという、あまりにも悲痛なパンチラインで締めくくられる。

 

WOLF

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