Artist: Tyler, The Creator (feat. Frank Ocean)
Album: Wolf
Song Title: Slater
概要
本楽曲は、タイラー・ザ・クリエイターの3rdアルバム『Wolf』(2013年)に収録された、彼の愛車であるBMX(自転車)「Slater」をテーマにしたトラックである。軽快でレトロなシンセサウンドに乗せて、自転車で郊外を走り抜ける情景が描かれる。リリックでは、「Yonkers」の大ヒットによって突如手にした名声や富への戸惑い、メディアからの批判、そして純粋に音楽やスケボーを楽しんでいた頃の情熱の喪失といった、彼のパーソナルな葛藤が赤裸々に語られている。アウトロでは盟友フランク・オーシャンが登場し、自転車に愛を囁くタイラーを「負け犬」とからかうことで、タイラーの持つ「ナード(オタク)っぽさ」と「孤独感」をシニカルかつ温かく強調している名曲だ。
和訳
[Chorus: Tyler, The Creator]
Me and Slater just hit a curb
俺とスレイターは縁石にぶつかったところだ。
※Slater=タイラーが愛用しているBMX(自転車)の名前。
Bunnyhop, zoning out, listening to N.E.R.D. (Star Trak)
バニーホップして、ぼーっとしながら、N.E.R.D.を聴いてる。(スター・トラック)
※Bunnyhop=自転車でジャンプするトリック。N.E.R.D.=タイラーが敬愛するファレル・ウィリアムス率いるグループ。Star Trak=彼らのレコードレーベル。
Made a couple thousand turds spitting written verbs
書き留めた言葉(ラップ)を吐き出して、数千のクソ(大金)を稼いだ。
Shit (What?), now I kick it in the 'burbs
クソッ(何だ?)、今じゃ俺は郊外(バーブス)でくつろいでるんだ。
[Verse 1: Tyler, The Creator]
Me? I'm from the slums, niggas who push a ton
俺か? 俺はスラムの出身だ、大量のクスリをさばくような連中のな。
※push a ton=大量の麻薬を売ることを指すストリート・スラング。タイラー自身はドラッグディーラーではないが、ヒップホップのステレオタイプを演じている。
Ton of drums, with foul flow, dirty mouth, like kissing bums
大量のドラムに、汚いフロウ、浮浪者とキスしたみたいな汚い口だ。
Mama done made her one, um, a witty son
オフクロは作り上げたんだ、えーと、機知に富んだ息子をな。
With no respect for women, so show me your titties, hun (What?)
女へのリスペクトなんてねえ、だからお前のおっぱいを見せな、ハニー。(何だと?)
You eighteen? Me? I'm twenty-somethin'
お前は18歳? 俺か? 俺は20代だ。
Okay, I'm twenty, but I'm soon to be twenty-one
分かったよ、俺は20歳だ、でもすぐ21歳になるぜ。
※本作『Wolf』の制作およびリリース当時のタイラーの年齢。
I wild out at shows, break shit, it should be fun
ショーじゃ暴れ回って、物をぶっ壊す、楽しいはずだぜ。
Venues are like pussy with me, "Should he come?"
ライブ会場は俺にとってプッシーみたいなもんだ、「彼に来てもらう(イッてもらう)べきか?」ってな。
※come=会場に「来る」ことと、射精(イく)ことのダブルミーニング。当時タイラーの過激なパフォーマンスにより、会場側が出演オファーを躊躇することがあった状況を皮肉っている。
I'ma wax that like the chapstick in my backpack for my black lips
俺の黒い唇のためにバックパックに入れてるリップクリームみたいに、ワックスを塗ってやる。
※wax=スケートボードを滑りやすくするために縁石にワックスを塗ること、または相手を打ち負かすという意味。
Then dip to Europe and come back with a stack of cheese
それからヨーロッパへ飛んで、札束(チーズ)を抱えて戻ってくる。
A stack of cheese for these rats, um, that mac and cheese
このネズミどものための札束さ、うーん、あのマック&チーズだ。
※rats=ネズミ(チーズが好き)と、周囲に群がる取り巻きやビッチを指すスラングのダブルミーニング。
New 'Preme shit got me feeling flyer than a bag of bees
Supremeの新作を着て、蜂の袋よりも最高に飛んでる(イケてる)気分だ。
※flyer=「イケてる」と「飛ぶ」を掛け、bag of bees(飛び交う蜂の群れ)で例えている。
Fuck critics ("How's your dick?") Shit, how's your knees?
批評家どもはクソくらえだ(「お前のディックの調子はどうだ?」)クソが、お前の膝の調子はどうなんだよ?
※散々批判してきたくせに、売れた途端に擦り寄ってきて膝をついている(フェラチオの体勢)批評家への強烈な侮辱。
Y'all on my dick more than my index when I take a pee (Damn)
お前ら、俺が小便する時の人差し指以上に、俺のディックに夢中じゃねえか。(クソッ)
※on my dick=人にしつこくまとわりつく、熱中するというスラング。
I came up with ''Rella'', ain't touch a bag of weed (Word?)
俺は「Rella」を思いついた、ハッパの袋には一切触らずにな。(マジで?)
※Rella=Odd Future名義のクレイジーなバンガー曲。ドラッグなしでもあんなヤバい曲を作れるという自慢。
Shit was doper than Whitney Houston's needs
ホイットニー・ヒューストンの欲求よりもドープ(ヤバい)だったぜ。
※薬物依存で亡くなったホイットニー・ヒューストンを引き合いに出した、タイラーらしい不謹慎なジョーク。
Golf Wang, that's the team to be, ayy
ゴルフ・ワン、所属すべきチームはそこだぜ、エイ。
Getting T.U., O.F., indeed
T.U.(ターン・アップ)してるぜ、O.F.(オッド・フューチャー)、間違いない。
We was missing Sweatshirt, like "Where's the hooded sleeve?"
俺たちはスウェットシャツがいなくて寂しがってた、「フードの袖はどこだ?」ってな。
※サモアの更生施設に送られて不在だったEarl Sweatshirtのことと、衣類のスウェットシャツを掛けている。
Okay, never mind, we found him, yeah
オーケイ、気にするな、あいつを見つけたぜ、イェー。
[Chorus: Tyler, The Creator]
Me and Slater just hit a curb
俺とスレイターは縁石にぶつかったところだ。
Bunnyhop, zoning out, listening to N.E.R.D.
バニーホップして、ぼーっとしながら、N.E.R.D.を聴いてる。
Made a couple thousand turds spitting written verbs
書き留めた言葉を吐き出して、数千のクソ(大金)を稼いだ。
Shit, now I kick it in the 'burbs
クソッ、今じゃ俺は郊外(バーブス)でくつろいでるんだ。
[Verse 2: Tyler, The Creator]
Guess I win, checks started cashing in
俺の勝ちみたいだな、小切手が換金され始めたぜ。
I stop rapping and start asking where my fucking passion is
俺はラップをやめて、自分の情熱がどこに行っちまったのか自問し始めるんだ。
Probably where that faggot went (Who?) Tyler talking father problems
たぶんあのオカマ野郎が行ったところだろうよ。(誰だ?)タイラーが父親問題について語ってるんだ。
※有名になり、かつてのような純粋な創作意欲を見失ってしまったことへの葛藤。
Shocking shit, he spit to popping topics in them gossip columns
ショッキングなシットさ、あいつはゴシップ欄の人気トピックになるようなことを吐き出してる。
I ain't ask for this, I did it out of boredom
こんなこと望んじゃいなかった、俺は退屈しのぎでやっただけなんだ。
Thought that roach was cool, he died and pushed me into stardom
あのゴキブリはクールだと思ったんだが、あいつは死んで、俺をスターダムに押し上げやがった。
※代表曲「Yonkers」のMVで生きたゴキブリを食べて話題になった出来事を指す。
Now; Ye's, PJs, sipping leche
今じゃ、イェー(カニエ・ウェスト)、プライベートジェット(PJ)、牛乳(レチェ)をすする日々だ。
Chips Ahoy, boy, listening to "Cowboy", ayy!
チップスアホイ(クッキー)だぜ、ボーイ、「Cowboy」を聴きながらな、エイ!
※Cowboy=本作『Wolf』に収録されている別の楽曲タイトル。
Boy, land in Melbourne and skate to Fitzroy, ayy!
ボーイ、メルボルンに降り立って、フィッツロイまでスケボーで走るぜ、エイ!
Aus' was awes', I enjoyed, boy
オーストラリアは最高(オウサム)だった、楽しんだぜ、ボーイ。
※Aus(オーストラリア)とawes(awesomeの略)で韻を踏む言葉遊び。
Y'all niggas played as a tot's toy
お前らニガは、ガキのおもちゃみたいに遊ばれてる(時代遅れだ)ぜ。
Have a good day as I annoy, oi
俺がイラつかせてやるから、良い一日をな、オイ。
[Chorus: Tyler, The Creator]
Me and Slater just hit a curb
俺とスレイターは縁石にぶつかったところだ。
Bunnyhop, zoning out, listening to N.E.R.D.
バニーホップして、ぼーっとしながら、N.E.R.D.を聴いてる。
Made a couple thousand turds spitting written verbs
書き留めた言葉を吐き出して、数千のクソ(大金)を稼いだ。
Shit, now I kick it in the 'burbs
クソッ、今じゃ俺は郊外(バーブス)でくつろいでるんだ。
[Verse 3: Tyler, The Creator]
Canons with panorama views
パノラマビュー機能付きのCanon(カメラ)だ。
My shoes that seen more vans than Mexicanas
俺の靴(Vans)は、メキシコ人(が乗るバン)よりも多くのVansを見てきたぜ。
※Vans(スニーカーブランド)と、メキシコからの不法移民が乗るバン(車)を掛けたジョーク。
Or crackers in Alabama
あるいは、アラバマ州の白人(クラッカー)どもよりもな。
G-O-to-the-L-F, this OF
G-OからL-Fへ、これがOFだ。
I opened up a store so I don't stress
俺は店をオープンした、ストレスを抱えないようにな。
※ロサンゼルスのフェアファックス・アベニューにオープンした彼自身のアパレルショップ「Golf Wang」のこと。
But, nigga, I (What?), mosh in gardens
でも、ニガ、俺は(何だ?)庭(マディソン・スクエア・ガーデンなど)でモッシュする。
Jazz punk shit, playing chords
ジャズ・パンクのシットさ、コードを弾きながら。
Making up shit, pardon my Dolly Partons
デタラメを作り上げる、俺のドリー・パートン(デカい胸=作り話)を許してくれ。
※Dolly Parton=巨乳で知られるカントリー歌手。胸(tits)=嘘(bullshit)の隠喩。
And I keep shartin'
それに俺はクソを漏らし(sharting)続ける。
※sharting=オナラと一緒にウンコを漏らすこと。才能やアイデアが止まらないことの下品な表現。
Hoodies with rectangles and different colors
長方形のボックスロゴと、色違いのフーディー。
※タイラーが愛用し、爆発的ブームを牽引したSupremeのパーカーのこと。
Niggas think I started kindergarten
ニガどもは、俺が幼稚園(色遊び)を始めたと思ってるんだ。
[Interlude: Tyler, The Creator, Frank Ocean & Both]
My bitch is on my handle bars
俺のビッチは、自転車のハンドルバーに乗ってる。
I just wanna ride my bike
俺はただ自転車に乗りたいだけなんだ。
Slater, Slater, Slater, Slater
スレイター、スレイター、スレイター、スレイター。
My bitch is on my handle bars
俺のビッチはハンドルバーに乗ってる。
Hair blowing in the wind
髪が風になびいてる。
Her freckles look like candy bars
彼女のそばかすはキャンディバーみたいだ。
※アルバムのヒロインであるSalemのそばかすの描写。
Hair blowing in the wind
髪が風になびいてる。
My bitch is on my handle bars
俺のビッチはハンドルバーに乗ってる。
I just wanna ride my bike
俺はただ自転車に乗りたいだけなんだ。
Slater, Slater, Slater, Slater
スレイター、スレイター、スレイター、スレイター。
My bitch is on my handle bars (Handle bars)
俺のビッチはハンドルバーに乗ってる(ハンドルバーに)
Hair blowing in the wind (Ooh)
髪が風になびいてる(オォ)
Her freckles look like candy bars (Shit)
彼女のそばかすはキャンディバーみたいだ(クソッ)
My cool summer never ends (Cool)
俺のクールな夏は永遠に終わらない(クールだ)
My bitch is on my handle bars
俺のビッチはハンドルバーに乗ってる。
Yeah (Bars, bars)
イェー(バー、バー)
Slater, Slater, Slater, Slater
スレイター、スレイター、スレイター、スレイター。
[Outro: Frank Ocean]
Oh my God, seriously? Mister Cool Guy, haha
オーマイガー、マジで? ミスター・クールガイさんよ、ハハッ。
You're talking to a fucking bike, loser
お前、クソ自転車に話しかけてるじゃんか、負け犬め。
※妄想の彼女(ビッチ)を乗せていると言いながら、実際には愛車の自転車に名前をつけて話しかけているだけのタイラーを、フランク・オーシャンがからかうオチ。
Hehe, oh, fuck
ヘヘッ、あーあ、クソッ。
