Artist: Tyler, The Creator
Album: Wolf
Song Title: Answer
概要
本楽曲は、タイラー・ザ・クリエイターの3rdアルバム『Wolf』(2013年)に収録された、彼のエモーショナルな一面が最も色濃く出た内省的な名曲だ。タイトル「Answer(応答してくれ)」が示す通り、電話に出ない3人の人物(自分を捨てた実の父親、亡くなった祖母、そして好意を寄せる女性)に向けた切実なメッセージが綴られている。父親への激しい憎悪と裏腹にある愛情への渇望、Odd Futureのメンバーたちの近況報告、そしてメランコリックなギターのループが、強がりでシニカルな彼の内面に潜む深い孤独と葛藤を見事に浮き彫りにしている。
和訳
[Chorus: Tyler, The Creator]
(Can we talk on the phone or something?)
(電話で話したりできないかな?)
'Cause when I call (When I call you on the phone)
だって俺が電話をかける時(君に電話をかける時)
I hope you pick up your phone
電話に出てほしいんだ。
I'd like to talk to you (Uh)
あんたと話がしたいんだよ(あぁ)
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
I hope you answer (Pick up the phone so we can talk, lil' bitch)
応答してくれたらいいのに(電話に出ろよ、話そうぜ、ビッチ)
Yeah, I hope you answer
あぁ、電話に出てほしいんだ。
I hope you answer (Pick up the phone so we can talk, lil' bitch)
応答してくれたらいいのに(電話に出ろよ、話そうぜ、ビッチ)
Yeah, I hope you answer ('Cause baby)
あぁ、電話に出てほしいんだ(だってベイビー)
'Cause when I call
俺が電話をかける時、
I hope you pick up your phone
電話に出てほしいんだ。
I'd like to talk to you (Yeah)
あんたと話がしたい(ああ)
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
[Verse 1: Tyler, The Creator]
Hey, Dad, it's me, uhm...
やあ、父さん、俺だよ、えーと...
Oh, I'm Tyler, I think I'd be your son
あぁ、俺はタイラー、あんたの息子だと思う。
Sorry, I called you the wrong name, see, my brain's splitting
悪い、名前を間違えて呼んじまった。ほら、頭が割れそうなんだ。
"Dad" isn't your name, see "Faggot"'s a little more fitting
「父さん」はあんたの名前じゃねえ。「オカマ野郎」の方が少しばかりしっくりくるぜ。
※Faggot=同性愛者への蔑称だが、ここでは自分を捨てた無責任な実父に対する強烈な侮蔑語として使用されている。
Mom was only twenty when you ain't have any fucks to spare
あんたが一切の思いやりも持たずに消えた時、オフクロはまだ20歳だった。
You Nigerian fuck, now I'm stuck with this shitty facial hair
このナイジェリア人のクソ野郎。おかげで俺はこのクソみたいなヒゲ面を持て余してるんだよ。
※Nigerian=タイラーの実父はナイジェリア出身。自身のルーツであると同時に、父親譲りの体毛の濃さを憎んでいる描写である。
Also stuck with a beautiful home with a case of stairs
それと、立派な階段がある美しい家も持て余してるぜ。
So you not being near fuckin' fire-started my damn career
だから、あんたがそばにいなかったことが、皮肉にも俺のキャリアに火をつけたんだ。
But fuck it, I got Clancy, he gave me the chance to see (Fuck you)
でもどうでもいい、俺にはクランシーがいる。彼が俺に景色を見るチャンスをくれたんだ(クソくらえ)
※Clancy=タイラーの長年のマネージャーであるクリス・クランシー。実父の代わりに彼を導いた「父親代わり」の人物。
A world I wasn't supposed to, I'm stoked that I didn't know you
俺が見るはずのなかった世界をな。あんたを知らずに育ってマジで良かったぜ。
But sucks you ain't give a fuck and consider a sperm donor now
でもあんたが俺を全く気にかけず、ただの精子提供者になり下がったのはクソだな。
Fuck is an Okonma? I'm changing my shit to Haley
「オコンマ」って何だよ? 俺は自分の苗字を「ヘイリー」に変えてやる。
※Okonma=タイラーの本名のラストネーム(Tyler Okonma)。父親の姓を捨て、自身のオルター・エゴである「Wolf Haley」を名乗ろうとするほどの嫌悪感を示している。
And I just ain't being passive, nigga
俺はただ受け身でいるわけじゃねえぞ、ニガ。
You a fuckin' faggot, nigga
あんたはクソみたいなオカマ野郎だ、ニガ。
Got a show on Monday, guess who ain't gettin' no passes, nigga?
月曜にショーがあるんだ。誰がバックステージパスをもらえないか当ててみろよ、ニガ?
But if I ever had the chance to ask this nigga
でも、もしこのニガに尋ねるチャンスがあって、
And call him
電話をかけたら、
I hope he answer
あいつが電話に出てくれればいいのに。
※強烈な憎悪を吐き出しながらも、最後の最後で「父親の声を聞きたい(自分を認めてほしい)」という本音と悲哀が漏れ出る核心のライン。
[Chorus: Tyler, The Creator & (Syd)]
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
Yeah, I hope you answer
あぁ、電話に出てほしいんだ。
'Cause when I call (When I call, baby)
だって俺が電話をかける時(電話する時、ベイビー)
I hope you pick up your phone (Please pick up)
電話に出てほしいんだ(お願いだから出てよ)
I'd like to talk to you
あんたと話がしたいんだよ。
(I hope you answer)
(応答してくれたらいいのに)
[Verse 2: Tyler, The Creator]
Suck my fucking dick and swallow this case of nuts
俺のディックをしゃぶって、この金玉の袋でも飲み込みな。
Ace hates your guts, I'm a selfish fuck
エースはあんたの腹の中(性根)を憎んでる、俺はワガママなクソ野郎さ。
※Ace=タイラーの初期のプロデューサー名義「Ace the Creator」のこと。Verse 2は、亡くなった彼の祖母に向けた報告となっている。
And I ain't sharing green as if I'm facing blunts
ハッパ(金)を分け与えるつもりはねえよ、まるで一人でブラントを吸い尽くすみたいにな。
※green=マリファナと現金(ドル札)のダブルミーニング。facing bluntsは一人でブラントを吸うこと。
Frank is out the closet, Hodgy's an alcoholic
フランクはクローゼットから出て(カミングアウトして)、ホッジーはアル中だ。
※Frank is out the closet=Odd Futureのメンバーであるフランク・オーシャンが2012年にバイセクシャルをカミングアウトしたことを指す。祖母にクルーの近況を伝えている。
Syd might be bipolar, but fuck it, I couldn't call it
シドは双極性障害かもしれない。でもどうでもいい、俺には判断できねえよ。
Supposed to be gone 'til November but quickly came back in August
「11月までお別れ」のはずだったけど、8月にすぐ戻ってきちゃったな。
※gone 'til November=Wyclef Jeanの1997年の同名ヒット曲からの引用。ツアーや多忙なスケジュールの暗喩。
I left two months through September to clearly remember all this
すべてをはっきり思い出すために、9月を通した2ヶ月間を離れて過ごしたんだ。
I would like to tell my grandma, but she just nostalgia
これをばあちゃんに教えたいけど、彼女はもうノスタルジア(思い出)にすぎない。
I'll call her number
彼女の番号に電話をかけるよ。
But she won't answer
でも、彼女は答えてくれない。
[Chorus: Tyler, The Creator & (Syd)]
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
Yeah, I hope you answer
あぁ、電話に出てほしいんだ。
'Cause when I call (When I call, baby)
だって俺が電話をかける時(電話する時、ベイビー)
I hope you pick up your phone
電話に出てほしいんだ。
(I'd like to talk to you)
(あんたと話がしたいんだよ)
I hope you answer
応答してくれたらいいのに。
[Verse 3: Tyler, The Creator]
You claim to hate my fuckin' guts
君は俺のことが大嫌いだと言い張る。
※Verse 3の宛先は、好意を寄せる女性(アルバム上のヒロインであるSalem、あるいは実在の人物)へと切り替わる。
But say I'm on a island in Thailand and I was wilding
でも、もし俺がタイの島にいて、そこでバカ騒ぎしてて、
And if I got stranded, had to man up and hold my nuts
もし足止めを食らって、男らしく腹を括らなきゃいけなくなって、
And hope that I could live off saltwater and fuckin' coconuts
塩水とクソみたいなココナッツだけで生き延びられるように祈る状況になったとしたら。
Phone ain't got no service, this 3G is fucking worthless
携帯は圏外で、この3G回線はマジで役立たずだ。
Day is getting dark like the area's turning urban
日が暮れて暗くなっていく、まるでこの辺りがアーバン(黒人街)に変わっていくみたいにな。
※dark(暗い)とurban(黒人層が多く住むインナーシティ)を掛けた、タイラー特有の不謹慎なブラックジョーク。
You'll be fuckin' nervous like me inside of a church is
君はクソほど不安になるはずだ、教会の中にいる俺みたいにな。
※タイラーは無神論者であり、宗教を度々批判している。「神聖な教会にいると落ち着かない」という性質を不安の比喩に用いている。
But, I'ma get in contact regardless, and
でも、俺は状況に関係なく君に連絡を取ろうとするだろう、そして、
I hope you answer
君が電話に出てくれればいいのに。
[Outro: Tyler, The Creator]
The last verse was about this girl, haha
最後のヴァースは、ある女の子についてだよ、ハハッ。
※恥ずかしさを隠すように、最後にネタばらしをして曲を締めくくっている。
