Artist: Tyler, The Creator
Album: Wolf
Song Title: WOLF
概要
本楽曲は、タイラー・ザ・クリエイターが2013年にリリースした3rdアルバム『Wolf』のオープニングを飾る表題曲だ。前作『Goblin』のダークなホラーコア路線から一転し、ファレル・ウィリアムスやジャズからの影響を色濃く反映した美しくメロウなコード進行が際立っている。しかし、その甘美なトラックとは裏腹に、ボーカルは「お前はビッチだ」と暴言を連発するというタイラーらしい強烈なコントラストを描き出している。後半のスキットでは、本作の舞台となる架空のサマーキャンプ「Camp Flog Gnaw」の情景が描かれ、新入りの「Wolf」、攻撃的な古株の「Sam」、そしてカウンセラーの「Dr. TC」という彼自身の異なる人格たちが登場する。アルバム全体を通して展開される、WolfとSamの対立というコンセプト・ストーリーの幕開けを告げる重要なイントロダクションである。
和訳
[Intro]
You are a ho, you are a ho
お前はビッチだ、お前はヤリマンだ。
(Fuck) You
(クソ)お前だよ。
Fuck you, fuck you, fuck you, fuck him
クソ喰らえ、お前も、お前も、あいつもクソ喰らえだ。
Fuck everything else that I can see
俺の目に入るもん全部クソ喰らえだ。
I know, fuck you, I hate you so fuckin' much
分かってるさ、クソが、お前のことなんてマジで大嫌いなんだよ。
I know you think I'm crazy
俺のこと頭おかしいって思ってんだろ。
'Cause I think you're a fuckin' fag (Hahaha)
だって俺はお前がクソみたいなオカマ野郎だと思ってるからな(ハハハッ)
※fag=同性愛者への蔑称。初期タイラーの作品で頻繁に使用されるスラングだが、ここでは美しいジャズコードのメロディに乗せてこうした暴言を心地よさそうに歌い上げることで、意図的な違和感とシニカルなユーモアを生み出している。
[Skit: Tyler, The Creator as Dr. TC, Sam, and Wolf]
"Sam, the music sounds good, man! You've been practicing!"
「サム、音楽いい感じじゃないか! 練習してたんだな!」
※Dr. TCの声。前作までは精神科医だったが、本作では架空のサマーキャンプのカウンセラー(指導員)として登場する。Samはキャンプにいるバンドマンの少年(タイラーの別人格のひとつ)である。
"Thanks"
「サンキュー」
"Sam, this is Wolf
「サム、こちらはウルフだ。
He's new here"
彼はここの新入りだよ」
※Wolf=本作の主人公であり、これもタイラーの別人格。少し抜けていて、喘息持ちのオタクっぽいキャラクターとして描かれる。
"What's up, dude?"
「調子どう、よろしくな?」
※Wolfの声。
"Wolf, this is Sam
「ウルフ、こっちはサムだ。
Sam and his band have been here at Flog Gnaw for a while
サムと彼のバンドは、ここ『Flog Gnaw』にもうしばらくいるんだ。
※Flog Gnaw=タイラーが率いるクルー「Wolf Gang」のアナグラム。のちに彼が主催する実在の大型音楽フェス「Camp Flog Gnaw Carnival」の由来にもなった。
Sam's gonna show you around while I fill out these last minute field trip slips, alright?
私がこの遠足の承諾書を書き終えるまで、サムにここを案内してもらいなさい、いいかい?
Now you guys have fun"
さあ、二人とも楽しんで」
"So, you guys are into jazz?"
「へえ、君らジャズが好きなの?」
※WolfがSamのバンドの演奏(楽曲前半のインスト部分を指している)を聴いて話しかける。
"Look
「おい、よく聞け。
Wolf, Prairie Dog, Ronzell—whatever the fuck your name is
ウルフだろうが、プレーリードッグだろうが、ロンゼルだろうが、お前のクソみたいな名前が何であれな。
We don't fuck with you or anybody else here, alright? You stay the fuck out of our way and we'll stay out of yours, capisce?"
俺たちはお前とも、ここにいる他の誰とも馴れ合うつもりはねえ、いいか? 俺たちの邪魔をすんじゃねえぞ、そしたら俺らもお前の邪魔はしねえ。分かったか?」
※capisce=「分かったか?(Understand?)」を意味するイタリア語由来のスラング(マフィア映画などでよく使われる)。Samの好戦的で縄張り意識の強い性格が表れており、この後Salemという女の子を巡って展開される2人の熾烈なビーフを暗示している。
