Artist: Tyler, The Creator
Album: Goblin (Deluxe Edition)
Song Title: Untitled 63
概要
本楽曲は、タイラー・ザ・クリエイターのデビューアルバム『Goblin』(2011年)のデラックス版に収録されたボーナストラックであり、言葉(リリック)を持たないインストゥルメンタル楽曲である。過激な暴力描写や猟奇的なホラーコアが渦巻くアルバム本編とは打って変わり、彼が敬愛するファレル・ウィリアムス(The Neptunes)やジャズ・コードからの影響を色濃く感じさせる、メロウで浮遊感のあるシンセサウンドが展開されている。タイトル「Untitled 63」は、当時のビート制作において保存された「63番目の名もなきスケッチ」であることを示唆している。当時の彼はショック・バリュー(過激さ)ばかりが取り沙汰されがちであったが、本楽曲のような洗練されたトラックメイクは、彼が単なる悪童ではなく、のちの『Flower Boy』や『IGOR』で完全に開花することになる極めて高い音楽的素養を持った天才プロデューサーであることを静かに証明している。
和訳
[Instrumental]
※本楽曲にはリリックが存在しない。前述の通り「63番目の無題ビート」として制作されたこのトラックは、タイラーのコード進行への執着と、ジャジーなエレピやシンセサイザーのレイヤーを純粋に楽しむための音楽作品である。アルバム全体を通して内面に抱える狂気や葛藤を激しい言葉で吐き出し尽くした後に配置されることで、リスナーに不思議な余韻とチルな安らぎを与える美しいアウトロとして機能している。
