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Tron Cat - Tyler, The Creator 【和訳・解説】

Artist: Tyler, The Creator

Album: Goblin

Song Title: Tron Cat

概要

本楽曲は、アルバム『Goblin』(2011年)において、前曲「Nightmare」の終盤でその存在が明かされたタイラーの最狂の別人格「Tron Cat」が主導権を握り、ラップを展開する問題作である。初期Odd Futureの代名詞とも言える「ショック・バリュー(意図的に嫌悪感や衝撃を与えて注目を集める手法)」の極致であり、レイプ、殺人、死体損壊といった猟奇的な描写から、クリス・ブラウンのDV事件やハイチ大地震、マイケル・ジャクソン、ナチスに関する不謹慎なジョークまで、メインストリームの倫理観を徹底的に蹂躙するリリックが詰め込まれている。当時の彼がメディアや社会に対して抱いていた反発と、自身の複雑な精神状態を、極端なダーク・ユーモアとホラーコアの手法で暴走させたカルト的な一曲だ。

和訳

[Intro: Syd & Tyler, The Creator]
La-la-la, la
ラ・ラ・ラ、ラ。

La-la-la
ラ・ラ・ラ。

Ahh
アァ。

[Verse: Tyler, The Creator & Tyler, The Creator as Dr. TC]
Satan's gettin' jealous of the wolves, the demons say they preferrin' us
サタンが俺たち狼に嫉妬してるぜ、悪魔どもは俺たちの方がお気に入りだってよ。
※wolves=タイラーが率いるクルー、Wolf Gang(Odd Future)のこと。彼らの悪行が地獄の悪魔すら凌駕しているという描写。

Books on not givin' a fuck is what they're referring us (Wolf Gang)
「一切気にしない(Fuck)」ための教本として、連中は俺たちのことを紹介してやがる。(ウルフ・ギャング)

Wolves, I know you heard of us, we're murderers
狼たちさ、噂は聞いてるだろ、俺たちは人殺しだ。

And young enough to get the fucking priest to come and flirt with us (Bitch)
それに、クソ神父が言い寄ってくるくらいには、まだ若くてピチピチだぜ。(ビッチ)
※カトリック教会の神父による児童性的虐待スキャンダルを揶揄したブラックジョーク。

You niggas rap about fucking bitches and getting head
お前らニガは「ビッチとヤってフェラされる(getting head)」ってラップするけど、

Instead, I rap about fucking bitches and gettin' heads
その代わり、俺は「ビッチとヤって、その生首を手に入れる(gettin' heads)」ってラップするんだ。
※ヒップホップのクリシェである「get head(オーラルセックスを受ける)」を複数形にして、文字通り「死体の首を手に入れる」という猟奇的な意味にすり替えた秀逸なワードプレイ。

While you niggas stacking bread, I can stack a couple dead
お前らニガが札束(パン)を積み上げてる間に、俺は死体をいくつか積み上げられるぜ。
※bread=お金を指すスラング。

Bodies, making red look less of a color, more of a hobby (Ah)
死体の山さ。「赤」ってのをただの色じゃなくて、もはや趣味の領域にしてやってる。(アァ)
※血の海を日常的な趣味として楽しんでいるという狂気。

I'm not a rapper, nor a rapist, nor a racist
俺はラッパーでも、レイプ魔でも、レイシストでもねえよ。

I fuck bitches with no permission and tend to hate shit
許可なくビッチどもとヤって、いろんなもんを憎む傾向があるだけだ。
※「レイプ魔ではない」と言いつつ直後にレイプ行為を肯定する矛盾。自らを型に嵌める社会への反発。

Brag about the actions in a rhymin' pattern matter
その行いを、韻を踏んだパターンで自慢してやる。

Then proceed to sat her down when I go splatter in her chatterbox
それから彼女を座らせて、そのおしゃべりな口(チャッターボックス)の中にスプラッター(精液)をぶちまけてやるよ。

Atta boy, Odd Future, you're not in our categore
いい子だ、オッド・フューチャー。お前らは俺たちのカテゴリーには入らねえよ。
※categore=category(カテゴリー)とgore(ゴア・残虐表現)を掛けた造語。

Torture with the super soaker at the Asian liquor store
アジア系の酒屋で、スーパーソーカー(水鉄砲)を使って拷問してやる。
※L.A.の暴動などで標的になりやすいアジア系移民の経営する酒屋のステレオタイプな描写。

This the type of shit that make a Chris Brown want to kick a whore
クリス・ブラウンが娼婦を蹴り飛ばしたくなるようなシットだぜ。
※2009年にR&B歌手のクリス・ブラウンが、当時の恋人リアーナに暴行を加えた事件を面白半分のパンチラインにしている。

That make songs about the wet blockers when it rains and pours (Umbrella)
雨が土砂降りの時に、濡れるのを防ぐもんについての曲を作るような女をな。(アンブレラ)
※リアーナの大ヒット曲「Umbrella」に言及し、先ほどの暴行事件のジョークをさらに補強している。

I hate this, screamin', "Fuck patience"
こんなのクソ喰らえだ、「忍耐なんて知るか」って叫んでやる。

Got a nigga shakin' like the calmest fucking Haitian (Ha-ha)
一番落ち着いてるハイチ人みたいに、ニガをガタガタ震えさせてやったぜ。(ハハッ)
※2010年に発生し甚大な被害を出したハイチ大地震(Haitian earthquake)の被災者を揶揄する極めて不謹慎なライン。

After chronic masturbation, askin' where Mary Kate went
慢性的なマスターベーションの後に、メアリー=ケイトがどこに行ったか尋ねる。
※Mary Kate=女優のメアリー=ケイト・オルセン。彼女の摂食障害などのゴシップをからかっている可能性がある。

I want to be the reasons why all lesbians hate dick (Hate dick)
俺は、すべてのレズビアンがディックを憎む理由になりたいんだ。(ディックを憎む)
※自分の凶悪な性暴力が原因で、女性が男性器を恐れるようになることを望むという異常な欲求。

I make this damn Bullwinkle the red moose
このクソなブルウィンクルを、赤いヘラジカにしてやるよ。
※Bullwinkle=アメリカのアニメ『ロッキーとブルウィンクルの大冒険』のヘラジカのキャラクター。血で赤く染めるという意味。

Game of duck-duck-duct tape with a dead goose
死んだガチョウと一緒に「ダック・ダック・ダクトテープ」のゲームだ。
※子供の遊び「Duck, duck, goose(ハンカチ落としのようなゲーム)」と、誘拐に使うガムテープ(duct tape)を掛けた言葉遊び。

She runnin' 'round this motherfucking dungeon, her legs loose (On God)
彼女はこのクソ地下牢を逃げ回ってる、足はガクガクだぜ。(マジで)

Until I accidentally get the saw to her head, oops
俺がうっかり、彼女の頭にノコギリを当てちまうまでな。おっと。

Victim, victim, honey, you're my fifth one (La, la)
犠牲者、犠牲者、ハニー、君で5人目だ。(ラ、ラ)

Honey on that toppin' when I stuff you in my system (La, la)
俺のシステム(胃袋)にお前を詰め込む時は、ハチミツをトッピングしてやるよ。(ラ、ラ)
※カニバリズム(食人)の描写。

Rape a pregnant bitch and tell my friends I had a threesome (La, la)
妊婦のビッチをレイプして、ダチには「スリーサムだった」って自慢してやる。(ラ、ラ)
※胎児を「もう一人の人間」とカウントする、ホラーコアにおける最悪レベルのブラックジョーク。

You got a fucking death wish? I'm a genie, it'll get done
死にたい(死の願い)のか? 俺は魔人(ジーニー)だ、叶えてやるよ。

Nice to meet you, but it's more pleasant to eat you
はじめまして、でもお前を食う方がもっと楽しいぜ。

With a leaf of salad and some dressin' pourin' out a teacup
サラダの葉っぱと、ティーカップから注いだドレッシングを添えてな。

Bitch, I'm Tyler, The Creature, suck your feet up like a beach of leeches
ビッチ、俺はタイラー・ザ・クリーチャー(化け物)だ。ビーチのヒルみたいにお前の足を吸い尽くしてやる。

Rubber more than the fucking bottom of a sneaker
スニーカーの底(ラバー)よりも多くのコンドーム(ラバー)を使ってるぜ。

Jeeper the fucking creeper, get your daughter and keep her
ジーパーズ・クリーパーズだ。お前の娘を捕まえて、監禁してやる。
※Jeepers Creepers=2001年のホラー映画、およびそこに登場する都市伝説の怪物。

In the jeeps where the Wolf Gang rides around deeper
ウルフ・ギャングが深く乗り回すジープの中にな。

Take her to Ladera, now she's scared and you're embarrassed
彼女をラデラに連れて行く。今頃彼女は怯えて、お前は恥をかいてるだろうよ。
※Ladera Heights=タイラーの出身地であるL.A.の高級住宅街。

Filled with terror, chop her legs off and tell her to run some errands (Bitch)
恐怖でいっぱいにさせて、足を切り落とした上で、「お使いに行ってこい」って命令してやる。(ビッチ)

Put her eyes in a canteen, take her to the Berrics
彼女の目玉を水筒に入れて、ベリックスに連れて行く。
※The Berrics=L.A.にある有名なプライベート・スケートパーク。

Stare at Steve, say it costs ten to fuck Eric
スティーブをじっと見つめて、「エリックとヤるには10ドルかかるぞ」って言ってやる。
※Steve BerraとEric Koston=The Berricsの創設者であるプロスケーター2人への名指しのジョーク。

Put her in the lake, her body sinks great, now it's time to fish her like Derek
彼女を湖に放り込む、死体は見事に沈んでいく。さあ、デレクみたいに彼女を釣り上げる時間だ。

Satan says we're dangerous, we're trading kids for angel dust
サタンが「お前らは危険だ」って言うぜ。俺たちはガキをエンジェルダスト(PCP)と交換してるからな。

And snuff and sniff, and now that Michael Jackson's tryin' to suck our dick
嗅ぎタバコを吸ってスニッフする。今じゃマイケル・ジャクソンが俺たちのディックをしゃぶろうとしてやがる。
※児童への性的虐待疑惑があったマイケル・ジャクソンに対する不謹慎なジョーク。

Hippopot the fucking llamas, dead bodies, cheerleadin' squaders
カバにラマ、死体の山、チアリーダーの部隊。
※意味不明な単語の羅列で、彼の中の狂気と混沌を表現。

Gave the team a bunch of fucking bees and the Keke Palmer
チームには大量の蜂と、キキ・パーマーを与えてやった。
※Keke Palmer=アメリカの女優・歌手。2006年の映画『Akeelah and the Bee(ドリームズ・カム・トゥルー)』の主演であり、「Bee」繋がりでのダジャレ。

They will never catch him or catch up
連中は絶対に彼(タイラー)を捕まえられないし、追いつけねえよ。

They asked me what it was, I told them fuckers it was ketchup
「これは何だ(血か)?」って聞かれたから、連中に「ケチャップだよ」って言ってやった。

Nutty like my Chex Mix, she bleedin' from her rectum
Chex Mix(スナック菓子)みたいにナッツ(狂って)るぜ、彼女は直腸から血を流してる。

Odd Future wolves stirrin' ruckus, throwin' sets up, yeah (Wolf Gang)
オッド・フューチャーの狼たちが騒ぎを起こし、ハンドサインを掲げてるぜ、ああ。(ウルフ・ギャング)

This the type of shit that make children break in apartments
これはガキどもがアパートに押し入るようなシットだ。

When you tell a fucking orphan you don't love them 'til they heart thin (I hate you)
クソ孤児に向かって、心がすり減るまで「愛してない」って言い続ける時にな。(お前なんか大嫌いだ)

Starve her 'til I carve her then I shove her in the Rover
彼女を切り刻むまで飢えさせて、それからレンジローバーに押し込む。

Where I cut her like a barber with a Parkinson's disorder
そこで、パーキンソン病の理髪師みたいに彼女を切り刻んでやるんだ。
※パーキンソン病の症状である手の震えにより、ハサミを持つ手が制御できずメチャクチャに切り刻んでしまう様子を描いた、悪趣味極まりない比喩。

Store her in a portable freezer with me to Portland
携帯用の冷凍庫に彼女を保存して、ポートランドへ持っていく。

Catch me with a bunch of fucking Mexicans crossin' the border (Arriba)
メキシコ人どもの群れと一緒に国境を越える俺を見つけてみろよ。(アリーバ)

I'll be the only wetback who ain't really touched the water
俺は水に触れたこともない、唯一の「ウェットバック」になるだろうよ。
※wetback=川を泳いで密入国してくるメキシコ人に対する蔑称。黒人であるタイラーが川を渡らずに密入国するという不条理なジョーク。

'Cause I'll be too fucking busy tryna flirt with Jesus daughter (Fuck Mary)
だって俺は、ジーザスの娘を口説くのにクソ忙しいからな。(マリアなんてクソ喰らえ)

I'm awesome, and I fuck dolphins
俺は最高だ、イルカともヤッてやる。

Sicker than the starvin' Nigerian kids barfing (Blegh)
飢え死に寸前のナイジェリアのガキがゲロを吐くよりもシック(病気/ヤバい)だぜ。(オエッ)

Odd Future, Wolf Gang, Nazi bar mitzvah
オッド・フューチャー、ウルフ・ギャング、ナチスのバル・ミツワーだ。
※Nazi(反ユダヤ主義)とBar mitzvah(ユダヤ教の成人式)という、絶対に相容れない矛盾した概念をぶつけることで、タブーを笑い飛ばしている。

With your sister at the bar playin' leg and arm twister
バーでお前の妹と、手足を絡ませるツイスターゲームをやってるぜ。

Evident that I'm the shit, I'm the Pooh like Tigger dick
俺が最高(the shit)なのは明らかだ。ティガーのディックみたいに、俺はプー(The Pooh=ウンコ)だからな。
※the shit(最高)とshit(ウンコ)を掛け、『くまのプーさん』のキャラクター(Pooh=ウンコと同音)を使って下品な言葉遊びを展開。

I got these cracker doctors saying, "Yeah, Bob, this nigga's sick"
白人(クラッカー)の医者どもに「ああ、ボブ、このニガは病気(狂ってる)だ」って言わせてるよ。
※cracker=白人に対する蔑称。

Animal safari, if I offend you, I'm sorry
アニマル・サファリだ。もしお前を怒らせたなら、ごめんな。

Because I'm the blackest skinhead (Skinhead) since India Arie (India Arie)
だって俺は、インディア・アリー以来の、最も黒いスキンヘッドだからさ。(インディア・アリー)
※India Arie=R&Bシンガー。彼女の代表曲「I Am Not My Hair」でスキンヘッドになったことと、ネオナチ的な白人至上主義者を指す「スキンヘッド」を皮肉交じりに掛けている。

I don't smoke weed, so no need for the matches
俺はウィード(大麻)は吸わねえ、だからマッチは必要ねえよ。

I said "Fuck coke" and now I'm snortin' Hitler's ashes
「コカインなんてクソ喰らえ」って言った結果、今じゃヒトラーの遺灰をスニッフしてるぜ。
※「ショック・バリュー」の極みとも言える歴史的タブーに触れる強烈なパンチライン。

I plan on either dying for suicide or my asthma
俺の死因の計画は、自殺か、それとも持病の喘息のどっちかだ。

Being the only bastard in a box logo casket (Casket)
ボックスロゴの棺桶に入る、唯一のクソ野郎になるのさ。(棺桶)
※box logo=タイラーが愛用するSupremeの象徴的なデザイン。

Rashes on my dick from licks of shishkabob Sagets
ボブ・サゲットのシシカバブを舐めたせいで、俺のディックに発疹ができちまった。
※Bob Saget=ホームコメディ『フルハウス』の父親役などで知られる俳優。彼の下品なスタンドアップ・コメディのスタイルに影響を受けていることを示唆。

In some Kanye West glasses screaming out, "Fuck faggots"
カニエ・ウェストみたいなサングラスをかけて、「オカマ野郎どもクソ喰らえ」って叫んでる。
※Kanyeのシャッターシェード・サングラスのこと。初期のホモフォビックな発言の連続。

Catch me in my attic taking photos of my dad's dick
屋根裏部屋で、親父のディックの写真を撮ってる俺を見つけてみろよ。
※父親不在のトラウマを抱えつつ、異常な性癖を誇張して表現している。

Drop the beat here to make it extra climactic
ここでビートを落とせ、さらにクライマックスっぽくするためにな。
※メタ的な指示。トラックの音が消え、アカペラ状態になる。

[Outro: Tyler, The Creator as Dr. TC]
What the fuck?
一体何なんだ?

I, I'm speechless, that was—fuck
私、私は言葉を失っているよ。あれは…クソッ。

Shit, Tyler, you're- you're gonna need some help
クソ、タイラー、君には…君には助けが必要だ。

I'm not a—fuck it, different subject
私は…いや、クソッ、話題を変えよう。

How's that girl you were tellin' me about?
前に話していた、あの女の子のことはどうなったんだ?
※Dr. TC(タイラーの良心)でさえ、「Tron Cat」のあまりの異常さと狂気に耐えきれず、治療を放棄して無理やり別の話題(恋愛話)に逃げている。

 

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