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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

The Set Up - Nas 【和訳・解説】

Artist: Nas

Album: It Was Written

Song Title: The Set Up

概要

Nasの2ndアルバム『It Was Written』(1996年)に収録された、極上のストーリーテリング・トラックである。同郷クイーンズブリッジの盟友であるMobb DeepのHavocがプロデュースとフックを担当し、不穏で冷たいビートを提供している。本作のテーマは、タイトルが示す通りの「The Set Up(罠・ハニートラップ)」。仲間の命を奪われたNas(Escobar)とAZ(Sosa)が、冷酷な二人の女殺し屋(VenusとVicious)を使い、標的を誘惑させてホテルで暗殺させるという、まるでマフィア映画のワンシーンのような復讐劇を緻密に描写している。90年代ニューヨーク・ヒップホップにおける「マフィオソ・ラップ」の完成形の一つと言える傑作だ。

和訳

[Intro: Nas & (Havoc)]
Uhh (Yeah, yeah, yeah)
あぁ。(イェー、イェー、イェー)

Q.B. since 1933 (No doubt)
1933年からのQ.B.(クイーンズブリッジ)だ。(間違いない)
※1933年=クイーンズブリッジ・プロジェクトが建設・計画された時期を指し、自分たちのフッドの歴史の長さを強調している。

To '96 ('96, motherfucker)
96年までな。(96年だ、マザファッカー)

Check this shit
これを聞きな。

('96, Escobar 600)
(96年、エスコバル600だ)
※Escobar 600=Nasのオルターエゴである「Nas Escobar」と、成功者の象徴であるメルセデス・ベンツの最高級車「S600」を掛け合わせた呼称。

Check this shit!
これをチェックしな!

[Verse 1: Nas]
My mind set, son got wet, I'm vexed really
覚悟は決まったぜ。仲間が血祭りにあげられて、俺はマジでブチギレてる。
※got wet=「血で濡れる」、つまり銃で撃たれたり刺されたりすることを意味するストリート・スラング。

They snatched off his Rolex, smacked his bitch silly
奴らはあいつのロレックスをひったくり、連れのビッチをボコボコにしやがった。

Why niggas actin' illy? Word to Will, he 'bout to feel it
なんであいつらはあんなイカれた真似をしたんだ? ウィル(仲間)に誓って、痛い目見せてやる。

I feel it, we should've been dealt wit' it
俺は分かってる、とっくに奴らを始末しておくべきだったってな。

Them niggas sour, they put too much flour in their coke
あのクソ野郎どもは僻んでるんだ。自分たちのコカインに小麦粉を混ぜすぎてるからな。
※flour in their coke=利益を水増しするために、コカインに小麦粉などを混ぜて純度を下げる(カットする)こと。質の悪いドラッグを売っているため金がないという痛烈なディス。

And got the nerve to wonder why they broke!
それで「なんで俺たちは金がねえんだ」なんて不思議がってやがる図太さだぜ!

While we was gleamin', niggas was schemin', seen the ill Bimmers beamin'
俺たちが輝いてる間、奴らは企んでたのさ。ヤバいビーマー(BMW)が光を放ってるのを見てな。

Triple-beam and doublin' cream had 'em fiendin'
トリプルビーム(天秤)で計って、金を倍に増やしてる俺たちを見て、奴らは欲しくてたまらなくなったんだ。

To get they fingers on a dose-ah, I called Sosa
奴らが俺たちのシノギに手を出そうとしたから、俺はソーサに電話した。
※Sosa=映画『スカーフェイス』のアレハンドロ・ソーサに因んだ、AZ(The Firmのメンバー)の別名。

"Sosa, these niggas hit the God, bring the toaster
「ソーサ、あの野郎どもが俺たちの仲間(ゴッド)をヤりやがった。トースターを持ってこい。
※toaster=銃(発砲時に熱を持つことからヒーターとも呼ばれる)のスラング。

Meet me in the Bridge, I'm 'bout to go loca"
ブリッジ(Q.B.)で落ち合おうぜ、俺はマジで狂いそう(loca)だ」

Left my rat beggin' me to stay and stroke her
「行かないで抱いて」とすがる女を振り切って出てきた。

He came through with two fly bitches (Uh)
ソーサは2人のイケてるビッチを連れて現れた。

Venus and Vicious with two MAC's inside the Volvo, what up, god? I'm still sober
ヴィーナスとヴィシャス。ボルボの中にMAC(サブマシンガン)を2丁積んでな。どうした兄弟?俺はまだシラフだぜ。

I need some Henn' to bend me over
ブッ飛ぶためにヘネシーが必要だな。

My nigga Hav' got a soldier, it's gettin' down, it's goin' down, kid (I got this, I got this)
ダチのHavoc(ハヴォック)も兵隊(仲間)を連れてる。いよいよだ、ブチかますぞ、兄弟。(俺に任せな)
※Hav'=この楽曲のプロデューサーであり、Mobb DeepのメンバーであるHavocのこと。

I heard he might not live, I'm holdin' back tears
やられた仲間は助からないかもしれないって聞いた。俺は涙を堪えてるんだ。

Told these broads to put it in gear
この女どもに、ギアを入れろ(仕事の準備をしろ)と伝えた。

With two females that don't smile, diggin' their style
笑いもしない冷酷な2人の女、俺はそのスタイルが気に入ったぜ。

Yo, what up, son? These niggas done started somethin' wild (What up?)
よぉ、どうした兄弟? あの野郎ども、とんでもねえ暴挙に出やがったな。(調子はどうだ?)

You know the clique well, Ramel with the gold in his grill
あいつらのクルーならよく知ってるだろ、金歯(グリル)を入れたラメルとかな。

Tried to get a name holdin' the steel, I paid attention to the females
チャカを握って名前を上げようとしやがった。俺は女たちに意識を向けた。

Maintained bitches when it get real
マジな修羅場になっても、このビッチたちは冷静さを保ってた。

Sos' pulled me close and told me the deal
ソーサが俺を引き寄せて、作戦を教えた。

He said both hoes'll peel, spray shots and reload and still handle the wheel
あいつ曰く、この2人の女は服を脱ぎ(罠にかけ)、銃を乱射してリロードし、それでも逃走用のハンドルを握れるらしい。

Point 'em out, smoke a Phill' then chill
標的を指差し、フィリーズ(葉巻)を吸って落ち着け。

I laid back — Escobar status (Yeah), knowin' The Firm got it cornered
俺はエスコバルのステータスでくつろいだ。The Firmが完全にシマを牛耳ってるのを知ってたからな。

We on it, shit we was born wit'
俺たちはやるぜ、こいつは生まれつきの素質(冷酷さ)ってやつさ。

[Chorus: Havoc]
Spark the lye, Q.B.C. yo, it's do or die
ハッパに火をつけろ、クイーンズブリッジ・クルー、やるか死ぬかだ。

In this business of trifeness
このクソみたいに冷酷なビジネスの世界じゃな。

I finesse this (Finesse this), Boyardee, we chef shit
俺が上手くさばくぜ。ボヤルディみたいに、俺たちが極上のブツを調理(シェフ)する。
※Boyardee=Chef Boyardee(シェフ・ボヤルディ)はアメリカで有名な缶詰パスタのブランド。「コカインを純度高く調理する(Chef)」という麻薬密売のメタファーとして使われている。

Perfect shit, Albert Einstein minds connect wit'
完璧なシットだ。アルベルト・アインシュタイン級の頭脳が繋がってる。

Dangerous sons, step back, let the TEC lift
危険な野郎どもだ、下がってな。TEC(銃)を持ち上げろ。

Lift you up, bless you with a shorty then we set you up!
お前を宙に浮かせて(撃ち殺して)やる。女をあてがって、罠にハメて(Set Up)やるよ!

Spark the lye, Q.B.C. yo, it's do or die
ハッパに火をつけろ、クイーンズブリッジ・クルー、やるか死ぬかだ。

In this business of trifeness
この冷酷なビジネスの世界じゃな。

We finesse this (Finesse this), Boyardee, we chef shit
俺たちが上手くさばくぜ。ボヤルディみたいに、極上のブツを調理する。

Perfect shit, Albert Einstein minds connect wit'
完璧なシットだ。アインシュタイン級の頭脳が繋がってる。

Dangerous sons, step back, let the TEC lift
危険な野郎どもだ、下がってな。TECを持ち上げろ。

Lift you up, bless you with a shorty then we set you up!
お前を宙に浮かせてやる。女をあてがって、罠にハメてやるよ!

[Verse 2: Nas]
"Hold it right there, pull over!" That nigga right there inside the Rover (Right there)
「そこで止まれ、車を寄せろ!」 あいつだ、あのレンジローバーの中にいる野郎だ。(あそこだ)

I knew he'd be right here, I told ya
あいつがここにいるって分かってたぜ、言った通りだろ。

Let's get him now, look at him smile, Ice Bulova
今すぐヤッてやろうぜ。笑ってやがるのを見ろよ、ダイヤまみれのブローバ(時計)をつけてな。

Polo pullover, big links and rockin' boulders
ポロのプルオーバーに、極太のチェーンとデカいダイヤを揺らしてる。

He's stuntin' after he left my man like that
俺の仲間をあんな目に遭わせておきながら、見せびらかすようにイキってやがる。

Without a fair chance to fight back, but I'll be right back!
反撃する公平なチャンスも与えずにだ。だが、すぐに倍返しにしてやる!

He never seen us, Sos' gave the MAC to Venus and Vicious
あいつは俺たちに気づいてない。ソーサがMAC(銃)をヴィーナスとヴィシャスに渡した。

Lookin' delicious, handle your bidness
「美味そう(セクシー)」に見えるぜ。仕事(ビジネス)をこなしてこい。

And step to him, shake your ass, try to screw him
奴に近づいて、ケツを振って、誘惑してみろ。

Do what you gotta do to get to him
奴の懐に入るために必要なことは何でもやれ。

A tight Parasuco with young faces
タイトなパラスコのデニムを穿いた、若い顔立ちの女たち。
※Parasuco=90年代にストリートで流行したタイトなシルエットが特徴のデニム/アパレルブランド。

Can turn niggas Buttafuoco of all ages (Yeah)
どんな年齢の野郎でも、ブッタフオーコみたいに発情させちまうのさ。
※Buttafuoco=ジョーイ・ブッタフオーコ(Joey Buttafuoco)。90年代初頭に未成年の少女と不倫関係になり、その少女が彼の妻を銃撃した大スキャンダル(エイミー・フィッシャー事件)の当事者。若い女性に目がくらんで破滅する男の代名詞として使われている。

They was amused by the way they walked, way they talked
奴らは女たちの歩き方や話し方にすっかり魅了されてた。

Only if they knew these girls'll sprayed New York
この女たちがニューヨーク中で銃を乱射する殺し屋だってことを、奴らが知っていればな。

If they've had to, heard him ask Venus, "Could I have you?"
必要とあらばな。奴がヴィーナスに「お前を俺のモノにしてもいいか?」って聞いてるのが聞こえたぜ。

He jumped out a Jeep, heard her tell him, "Don't grab, boo!" (What up, boo? What up? What up?)
奴がジープから飛び出すと、女が「掴まないでよ、ベイビー!」って言うのが聞こえた。(どうしたの、ベイビー?どうした?)

They started chattin', was only 'bout a minute flat when
奴らは話し始め、きっちり1分も経たないうちに、

They jumped in the back of the Jeep laughin'
笑いながらジープの後部座席に乗り込んだ。

We followed 'em, pollyin', he thought the hoes were Somalian
俺たちは奴らを尾行して、密かに話し合った(ポリー)。奴はあの女たちをソマリア系だと思ってたらしい。

Probably when they hit the Holiday Inn
おそらく、奴らがホリデイ・イン(ホテル)に着いた頃、

I grabbed the phone and called the Mobb and 'em
俺は電話を掴んで、Mobb Deepの連中を呼んだ。

We laid low about a hour or so, these bitches movin' too slow
俺たちは1時間ほど身を潜めていた。あのビッチども、動きが遅すぎるぞ。

We both holdin', what if them wild hoes started foldin'?
俺もソーサもチャカを握りしめてる。もしあのイカれた女たちがビビって日和ったらどうする?

Sosa said, "Say no more", we started rollin'
ソーサは「もう言うな」と言い、俺たちは車を出した。

Before we got in, they must've shot him
俺たちが踏み込む前に、女たちが奴を撃ったに違いねえ。

Security wildin', there the girls go, hurry up, we out in
警備員が慌てふためいてる。あそこに女たちがいるぞ。急げ、ズラかるぞ。

The 940, me, Sosa and two shorties
940(ボルボ)の中、俺とソーサ、そして2人の女。

The punk niggas got murdered in the orgy!
あのクソ野郎どもは、乱交パーティーの最中に殺されたってわけさ!

[Chorus: Havoc & Female]
Spark the lye, Q.B.C. yo, it's do or die
ハッパに火をつけろ、クイーンズブリッジ・クルー、やるか死ぬかだ。

In this business of trifeness
この冷酷なビジネスの世界じゃな。

We finesse this, Boyardee, we chef shit
俺たちが上手くさばくぜ。ボヤルディみたいに、極上のブツを調理する。

Perfect shit, Albert Einstein minds connect wit'
完璧なシットだ。アインシュタイン級の頭脳が繋がってる。

Dangerous sons, step back, let the TEC lift
危険な野郎どもだ、下がってな。TECを持ち上げろ。

Lift you up, bless you with a shorty then we set you up
お前を宙に浮かせてやる。女をあてがって、罠にハメてやるよ。

[Outro: Female]
(All day, baby, all day)
(一日中よ、ベイビー、一日中ね)

Q.B.C., Queensbridge, motherfucker
クイーンズブリッジ・クルーだ、マザファッカー。

Ropin' niggas up, 'cause our clique is thick
野郎どもを縛り上げる。私たちのクルーは層が厚いからね。

Another day, another dollar
また一日が過ぎて、また金を稼ぐ。

More money, more murder
金が増えれば、殺しも増える。

Fuck this shit! Q.B. up in the house
こんなのクソ食らえよ! Q.B.がここを取り仕切ってるわ。