Artist: Nas
Album: It Was Written
Song Title: Street Dreams
概要
Nasの2ndアルバム『It Was Written』(1996年)からの大ヒットシングル。Eurythmicsの80年代の名曲「Sweet Dreams (Are Made of This)」のフレーズを大胆にサンプリング(歌い直し)し、トラックは2Pacの「All Eyez on Me」と同ネタであるLinda Cliffordの「Never Gonna Stop」のベースラインを使用している。本作は、麻薬密売や高級車といった「ストリートの夢(Street Dreams)」に魅了されるゲットーの若者たちのリアルな野心と悲哀を描いた物語だ。富と引き換えに払う代償や、抜け出せないフッドの連鎖を冷徹かつシネマティックに描写しており、Nasが単なるリリシストから、マフィオソ・ラップの語り部へと進化したことを証明する象徴的な一曲である。
和訳
[Intro]
Uh, what, what, uh
あぁ、何だ、何だ、あぁ。
[Chorus]
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てるのさ。
※Eurythmics「Sweet Dreams (Are Made of This)」の有名なコーラスラインのオマージュ。原曲の「Sweet」を「Street」に置き換え、ゲットーの若者にとっての成功の象徴を歌い上げている。
Niggas push Bimmers and 300 E's
ハスラーたちはビーマーや300Eを乗り回す。
※Bimmers=BMW。300 E's=メルセデス・ベンツ300E。当時のストリートで成功したドラッグディーラーたちがこぞって乗っていた高級車の代名詞。
A drug dealer's destiny is reachin' a key
ドラッグディーラーの運命は、1キロのブツ(コカイン)を捌くことに行き着く。
※key=キログラム(Kilo)のこと。キロ単位のコカインを扱うことは、密売人にとって一つの到達点(成功)を意味する。
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てる。
Shorties on they knees for niggas with big cheese
女たちは、大金を持った野郎の前に跪くのさ。
※Shorties=ここでは若い女性のこと。big cheese=「大物」や「大金」を意味するスラング。金を持った男に群がり、フェラチオ(on they knees)をする様子を描写している。
Who am I to disagree?
俺にそれを否定する権利なんてあるか?
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
[Verse 1]
My man put me up for the share, one-fourth of a square
ダチが俺にシノギを回してくれた。四半分のスクエア(ブロック)だ。
※square=四角く圧縮されたコカインの塊(通常1キログラム)を指す。その4分の1(約250グラム)を託され、密売ビジネスのより大きなステップに足を踏み入れたことを示している。
Headed for Delaware with one change of gear
着替えを一つだけ持って、デラウェアに向かった。
Nothin' on my mind but the dime sack we blazed
頭ん中にあるのは、俺たちが吸った10ドルのハッパのことだけだ。
※dime sack=10ドル分の少量のマリファナ。
With the glaze in my eye, that we find when we crave
渇望した時に見せる、あのギラついた目つきをしてな。
Dollars and cents, a fugitive with two attempts
ドルとセント(金銭)のことだけを考えてる。未遂を2回起こした逃亡者さ。
Jakes had no trace of the face, now they drew a print
サツは俺の顔の痕跡を掴めなかったが、今は似顔絵を描きやがった。
※Jakes=警察を指すストリート・スラング。
Though I'm innocent 'til proven guilty
有罪が確定するまでは無罪だけどな。
I'ma try to get filthy, purchase a club and start up a realty
俺は死ぬほど稼いで(filthy rich)、クラブを買い取って、不動産業を始めるつもりだ。
For real, G, I'ma fulfill my dream
マジだぜ、G(兄弟)。俺は自分の夢を叶えてみせる。
If I conceal my scheme, then precisely I'll build my cream
もし俺の計画を上手く隠し通せたら、確実に俺のクリーム(金)を築き上げられる。
※cream=Wu-Tang Clanの「C.R.E.A.M. (Cash Rules Everything Around Me)」に由来する「お金」を意味するスラング。
The first trip without the clique
クルー抜きでの最初の取引だ。
Sent the bitch with the quarter brick, this is it
女にクォーター・ブリック(1/4キロのコカイン)を持たせて行かせた、いよいよだぜ。
※警察の目をかいくぐるため、怪しまれにくい女性を運び屋(ミュール)として使っている生々しい描写。
Fresh face, NY plates, got a crooked eye for the Jakes
見慣れねぇ顔で、NYナンバーの車。サツの動きには目を光らせてるぜ。
I want it all, ArmorAll Benz and endless papes
全部手に入れてやる。アーマーオールで磨き上げたベンツと、無限の札束をな。
※ArmorAll=自動車用の艶出しコーティング剤のブランド。papes=ペーパー(紙幣)。
God's sake, what a nigga gotta do to make a half a million
神様よ、50万ドル稼ぐために、黒人は一体どうすりゃいいんだ?
Without the FBI catching feelings? (What, uh)
FBIに目をつけられずにな。(どうなんだよ)
※catching feelings=通常は「感情移入する」「怒る」などを意味するが、ここではFBIが「怪しんで過剰に反応する(捜査に乗り出す)」ことを指す。
[Chorus]
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てるのさ。
Niggas push Bimmers and 300 E's
ハスラーたちはビーマーや300Eを乗り回す。
A drug dealer's destiny is reachin' a key
ドラッグディーラーの運命は、1キロのブツを捌くことに行き着く。
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てる。
Shorties on they knees for niggas with big cheese
女たちは、大金を持った野郎の前に跪くのさ。
Who am I to disagree?
俺にそれを否定する権利なんてあるか?
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
[Verse 2]
From Fat Cat to Pappy, niggas see the cat
ファット・キャットからパピーまで、ストリートの奴らはその現実を見てきた。
※Fat Cat to Pappy=1980年代にクイーンズ地区を牛耳っていた伝説的な麻薬王、ロレンツォ・"ファット・キャット"・ニコルズと、彼と手を組んでいたリー・"パピー"・メイソンのこと。Nasの地元の歴史的背景。
Twenty-five to flat, push a thousand feet back
25年の実刑から終身刑、一気に1000フィートも突き落とされるような感覚だ。
※Twenty-five to flat=「25年から終身刑(25 to life)」という重い刑期のこと。麻薬ビジネスの代償の大きさを語っている。
Holding gats wasn't making me fat, snitches on my back
チャカ(銃)を握ってても俺は豊かにはなれなかった。サツの犬どもが背後に迫ってたしな。
Living with Moms, getting it on, flushing crack down the toilet
お袋と同居してて、シノギをこなしながら、ガサ入れの時はクラックをトイレに流した。
Two sips from bein' alcoholic
あと2口飲めばアル中になっちまうギリギリのライン。
Nine-hundred-ninety-nine thou' from bein' rich
金持ちになるには、まだ99万9千ドル足りねぇ。
※「100万ドル(金持ちの基準)には全然届かない」という底辺のハスラーの現実を自嘲気味に表現している。
But now, I'm all for it
でも今、俺は本気で狙いにいってる。
My man saw it like Dionne Warwick
俺のダチはディオンヌ・ワーウィックみたいに未来を見通してたんだ。
※Dionne Warwick=アメリカの有名歌手。90年代に「サイキック・フレンズ・ネットワーク」という超能力電話占いのホストを務めていたことから、「予知能力がある」ことのメタファーとして使われている。
A wiser team for a wiser dream we could all score with
より賢いチームで、より賢い夢を追う。それなら俺たち全員で大金を稼げるはずだ。
The cartel, Argentina coke with the nina
カルテル、アルゼンチン産のコカイン、そしてニーナ(9mm拳銃)を手元にな。
※nina=9mm口径のピストルを女性名に見立てたスラング。
Up in the hotel, smokin' on Sessamina
ホテルに上がって、セサミーナ(極上のハッパ)を吸う。
※Sessamina=Sensimilla(種なしでTHC濃度の高いマリファナ)をもじったスラング。
Trina got the fishscale between her
トリーナの股の間には、フィッシュスケールが隠してある。
※fishscale=魚の鱗のようにキラキラと輝く、純度の高い高品質なコカインのこと。女性の股間に隠して密輸・運搬している。
The way the bitch shook her ass, yo, the dogs never seen her
あのビッチのケツの振り方ときたら。麻薬探知犬だって気づきやしねぇよ。
She got me back living sweeter, fresh Caesar
彼女のおかげで、俺の生活はまた甘く(リッチに)なった。髪型はフレッシュなシーザーカットだ。
Guess, David Robinson's, Walle' moccasins
ゲスの服、デビッド・ロビンソンのバッシュ、ワラビーのモカシンを履いてな。
※David Robinson's / Walle' moccasins=NBA選手デビッド・ロビンソンが広告塔だったNikeのハイカットスニーカーや、Wu-Tang Clanらも愛用したクラークス(Clarks)のワラビーブーツ。当時のNYストリートの最先端ファッション。
Bitches blow me while I'm hoppin' in the drop-top BM'
屋根を開けたBMWに乗り込む間に、ビッチどもが俺にしゃぶりつく。
Word is bond (Uh), son (What)
間違いないぜ、兄弟。
I had that bitch down on my shit (What, uh) like this (Word)
あのビッチを俺のモノに跪かせてやったんだ、こんな風にな。(マジで)
[Chorus]
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てるのさ。
Niggas push Bimmers and 300 E's
ハスラーたちはビーマーや300Eを乗り回す。
A drug dealer's destiny is reachin' a key
ドラッグディーラーの運命は、1キロのブツを捌くことに行き着く。
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てる。
Shorties on they knees, for niggas with big cheese
女たちは、大金を持った野郎の前に跪くのさ。
Who am I to disagree?
俺にそれを否定する権利なんてあるか?
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
[Verse 3]
Growing up project-struck, looking for luck, dreaming
プロジェクト(公営団地)の底辺で育ち、運を求めて、夢を見ていた。
Scoping the large niggas beaming, check what I'm seeing
ダイヤを光り輝かせている大物たちを観察して、俺の目に入るものをチェックしてた。
Cars, ghetto stars pushing ill Europeans
高級車。ヤバいヨーロッパ車を乗り回すゲットーのスターたち。
G'ing, heard about them old timers OD'ing
ギャングスタの真似事をして、昔の連中がオーバードーズ(薬物過剰摂取)で死んだって話を聞く。
Young, early 80's, throwing rocks at the crazy lady
若かりし頃、80年代初頭。イカれた女に石を投げてたガキの頃。
Worshipping every word them rope-rocking niggas gave me
極太のロープチェーンを揺らしてるハスラーたちの言葉を、神の言葉みたいに崇めてたんだ。
The street raised me up giving a fuck
ストリートが俺を育てた。周りのことなんか知ったこっちゃなかった。
I thought Jordans and a gold chain was living it up
ジョーダンのスニーカーとゴールドチェーンを手に入れることが、最高の人生(成功)だと思ってた。
I knew the dopes, the pushers, the addicts, everybody
ヘロイン、売人、ジャンキー、俺は全員知ってたよ。
Cut out of class just to smoke blunts and drink noddy
学校をサボっては、ブラントを吸って酒(ノディ)を飲んでた。
※drink noddy=アルコールや薬物で「うとうとする(nod off)」状態になること、または安酒を指す。
Ain't that funny? Getting put on to crack money
笑えねぇか? クラックマネーを稼ぐ道に引きずり込まれるなんてな。
With all the gunplay, painting the kettle black hungry
銃撃戦が日常になり、腹を空かせながら真っ黒な罪に手を染めていく。
※painting the kettle black=ことわざ「The pot calling the kettle black(五十歩百歩)」のもじり。ここでは「自らも真っ黒な悪行に染まっていく」ことを示唆している。
A case of beers in the staircase, I wasted years
団地の階段でビールをケースごと空けて、俺は何年も無駄にした。
Some niggas went for theirs, flipping coke as they career
中には自分の人生を切り開こうと、コカインの密売をキャリアに選んだ奴らもいた。
But I'm a rebel, stressing to pull out of the heat, no doubt
だが俺は反逆者だ。サツの目を掻い潜り、絶対にこの熱(修羅場)から抜け出すために必死にもがいてるんだ。
With Jeeps tinted out, spending, never holding out
フルスモークのジープに乗って、金を使いまくる。決して出し惜しみはしねぇ。
(Uh, what, what, uh)
(あぁ、何だ、何だ、あぁ)
[Chorus]
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てるのさ。
Niggas push Bimmers and 300 E's
ハスラーたちはビーマーや300Eを乗り回す。
A drug dealer's destiny is reaching a key
ドラッグディーラーの運命は、1キロのブツを捌くことに行き着く。
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てる。
Shorties on they knees, for niggas with big cheese
女たちは、大金を持った野郎の前に跪くのさ。
Who am I to disagree?
俺にそれを否定する権利なんてあるか?
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てるのさ。
Niggas push Bimmers and 300 E's
ハスラーたちはビーマーや300Eを乗り回す。
A drug dealer's destiny is reaching a key
ドラッグディーラーの運命は、1キロのブツを捌くことに行き着く。
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
Street dreams are made of these
ストリートの夢は、こんなもんで出来てる。
Shorties on they knees, for niggas with big cheese
女たちは、大金を持った野郎の前に跪くのさ。
Who am I to disagree?
俺にそれを否定する権利なんてあるか?
Everybody's looking for something
誰もが何かを求めて這いずり回ってるんだ。
[Skit]
Gunshot
※銃声
"Yeah nigga, what?!"
「おう、どうだコラ!」
"Oh, shit!"
「クソッ!」
"Queensbridge, boy, what?! Yo, what?!"
「クイーンズブリッジだぞコラ!どうだ!」
"Yo, they shot dun, dawg!"
「おい、あいつらダチを撃ちやがったぞ!」
"Yo, yo, lets get the hell outta here y'all, I don't give a fuck-"
「おい、ここからズラかるぞ、知ったこっちゃねえ——」
(Ongoing screaming)
※悲鳴が響き続ける
"Look! We on his back right now
「見ろ! 今あいつのすぐ後ろにいるぞ。
We gotta get the hell outta here, yo!"
早くここから逃げなきゃヤバいって!」
"I want some more nigga, come on!"
「もっとブチ込んでやるよ、来いよ!」
"Yo, come on run, yo!"
「おい、早く走れって!」
"Watch out, man, yo watch out, watch out, nigga!"
「気をつけろ、おい、気をつけろってば!」
"Yo, yo hol' up, hol' up, hol' up!"
「おい、待て、待てって!」
"Yo, I twisted that kid, right?"
「俺、あのガキをヤッた(撃ち殺した)よな?」
"Yeah the hell you did, man"
「あぁ、間違いなくヤッたよ」
"Yo why you-"
「おい、なんでお前——」
"Yo, yo, come on though"
「おい、いいから来いって」
(Oh, shit)
(クソッ)
"Yo, we gotta got up outta here, yo"
「マジでここから離れなきゃヤバい」
"You think somebody peeped that?"
「誰かに見られたと思うか?」
"Yo, hell yeah, I'm saying, yo, as long as we get rid o-
「あぁ、当たり前だろ! だから俺が言ってるのは、とにかくこのチャカを——
Get rid of the heat, yo!"
このチャカ(銃)を処分するんだよ!」
※heat=銃(特に殺人に使われた凶器)を指すストリート・スラング。
"Fuck that!"
「ふざけんな!」
"Get rid of the heat, yo"
「銃を捨てろって言ってんだよ」
Gunshot
※銃声
"C'mon, c'mon, I'm through that shit, c'mon"
「来いって、もうこんなのはゴメンだ、早く来いよ」
"We gotta bounce, yo!"
「ズラかるぞ!」
"Let's bounce!"
「ズラかろうぜ!」
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