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The Message - Nas 【和訳・解説】

Artist: Nas

Album: It Was Written

Song Title: The Message

概要

Nasの2ndアルバム『It Was Written』(1996年)の実質的なオープニングトラックであり、ヒップホップ史に残るクラシックの一つだ。Stingの名曲「Shape of My Heart」の哀愁漂うギターフレーズをサンプリングしたトラック上で、Nasはニューヨークのストリートにおける冷酷な現実や裏切りを映画のワンシーンのように描写している。また、本作は「NYのキング」を宣言するラインや、同郷のJay-Z(レクサスのTVセットに対する言及)や2Pacに対するサブリミナル・ディスが含まれているとされ、当時のシーンに大きな波紋を呼び、のちの歴史的なビーフの火種にもなった。デビュー作『Illmatic』の呪縛から脱却し、よりマフィア的な世界観(マフィオソ・ラップ)へと踏み出したNasの野心と冷徹な視座が詰まった重要曲である。

和訳

[Verse 1]
Fake thug, no love, you get the slug
フェイクなギャングスタめ、愛なんかねぇよ、鉛玉(銃弾)を食らいな。

CB4 Gusto, your luck low, I didn't know 'til I was drunk though
お前は映画『CB4』のガストみたいなモンだ。運の尽きだな。酔っ払うまで気づかなかったぜ。
※CB4 Gusto=1993年のヒップホップ・コメディ映画『CB4』の主人公。ギャングの経歴をでっち上げて売れっ子ラッパーになったキャラクターであり、ストリートの出身を偽るフェイクなラッパーを揶揄している。

You freak niggas played out, get fucked and ate out
お前らみたいな変態野郎はもう用済みだ。痛い目見て食い物にされちまえ。

Prostitute turned bitch, I got the gauge out
売春婦がビッチに成り下がったな。俺はショットガンを構えてるぜ。
※gauge=ショットガン(12ゲージなど)のこと。

96 ways I made out
96通りの方法で俺はやり遂げた。

Montana way, the Good F-E-L-L-A, verbal AK spray
トニー・モンタナのやり方、グッドフェローズ、言葉のAK(アサルトライフル)を乱射してやる。
※Montana way / Good F-E-L-L-A=映画『スカーフェイス』の主人公トニー・モンタナと、映画『グッドフェローズ』のこと。マフィア映画のアイコンを引き合いに出し、自身のストリートでの権威とリリシストとしての凶暴性を示している。

Dipped attache, jump out the Range, empty out the ashtray
アタッシュケースを抱えてレンジローバーから飛び出し、灰皿をひっくり返す。

A glass of 'Zé make a man Cassius Clay
グラス一杯のアリゼを飲めば、男はカシアス・クレイ(モハメド・アリ)みたいに強気になれるのさ。
※'Zé=フランスのリキュール「Alizé(アリゼ)」。当時のヒップホップシーンで大流行していた酒。Cassius Clay=伝説のボクサー、モハメド・アリの旧名。

Red dot plots, murder schemes, 32 shotguns
赤いレーザーポインターでの照準、殺人計画、32丁のショットガン。

Regulate with my thuns, 17 rocks gleam from one ring
ダチと一緒にシマを仕切る。一つの指輪には17個のダイヤが輝いてるぜ。
※thuns=NYクイーンズ周辺のスラングで「仲間」「兄弟」のこと。rocks=ダイヤモンド。

Then let me let y'all niggas know one thing
それじゃあ、お前らに一つだけ教えてやろう。

There's one life, one love, so there can only be one King
人生は一つ、愛は一つ、だからキングも一人しか存在しねぇんだ。
※one King=「NYのキングは俺だ」というNasの堂々たる宣言。当時シーンの頂点を争っていたThe Notorious B.I.G.に対する牽制とも解釈された。

The highlights of livin', Vegas-style, roll dice in linen
人生のハイライトだ。ラスベガス・スタイルで、リネンのスーツを着てダイスを振る。

Antera spinnin' on Millenniums
ミレニアム(マツダ・ミレーニア)に履かせたアンテラのホイールが回る。

20G bets I'm winnin' 'em, threats I'm sendin' 'em
2万ドルの賭けでも俺の勝ちだ。奴らには脅しを送ってやる。
※20G=20,000ドル。GはGrand(1000)の略。

Lex with TV sets—the minimum, ill sex adrenaline
テレビ付きのレクサスなんて最低限の装備だ。ヤバいセックスでアドレナリンが出まくるぜ。
※Lex with TV sets=当時Jay-Zが楽曲で「レクサスにテレビを積んでる」と自慢していた成金的アピールを「最低限(the minimum)」だと揶揄したとされる歴史的ライン。これが後年のNasとJay-Zの熾烈なビーフの引き金の一つになったと言われている。

Party with villains, a case of Demi-Sec to chase the Henny
悪党どもとパーティーだ。ヘネシーのチェイサーにモエのドゥミ・セック(シャンパン)を1ケース開ける。

Wet any clique with the semi TEC, who want it?
セミオートのTEC-9でどのクルーも血祭りにあげてやる。誰か食らいたい奴はいるか?

Diamonds I flaunt it, chickenheads flock, I lace 'em
ダイヤモンドを見せびらかせば、ビッチどもが群がってくる。俺はそいつらを着飾ってやるのさ。
※chickenheads=頭を上下に振る様子から転じた、軽い女性やビッチを指すスラング。

Fried, broiled with basil, taste 'em
揚げて、バジルを添えて炙る。味わってみな。

Crack they legs way out of formation
あいつらの脚を不自然な角度までパカっと開かせてやる。

It's horizontal how I have 'em fuckin' me in the Benz wagon
ベンツのワゴンの中で、女どもを横に寝かせてヤッてるんだ。

Can it be Vanity from Last Dragon? Grab your gun, it's on though
映画『ラスト・ドラゴン』のヴァニティか? まあ銃を持て、抗争の始まりだ。

Shit is grimy, real niggas buck in broad daylight
ストリートは汚ねぇんだ。本物のワルは白昼堂々とブッ放す。

With the broke MAC, it won't spray right
ぶっ壊れたMAC-10じゃ、まともに弾も出ねぇだろうけどな。

Don't give a fuck who they hit as long as the drama's lit
トラブルが盛り上がりさえすれば、誰に弾が当たろうが知ったこっちゃねぇ。

Yo, overnight thugs bug ‘cause they ain't promised shit
よぉ、一夜漬けのチンピラどもがイキってるぜ。あいつらには何の保証もねぇからな。

Hungry-ass hooligans stay on that piranha shit
腹を空かせたクソガキどもは、ピラニアみたいに何にでも食いつくのさ。

[Refrain]
I never sleep, 'cause sleep is the cousin of death
俺は決して眠らない。睡眠は死の従兄弟だからな。
※sleep is the cousin of death=Nas自身の1stアルバム『Illmatic』に収録された代表曲「N.Y. State of Mind」からのパンチラインのセルフクォート(引用)。ストリートでは一瞬の油断(睡眠)が命取りになるという残酷な真理を表現している。

I ain't the type of brother made for you to start testin'
俺はお前らが試しに手を出していいようなタマじゃねぇんだよ。

I never sleep, 'cause sleep is the cousin of death
俺は決して眠らない。睡眠は死の従兄弟だからな。

I ain't the type of brother made for you to start testin'
俺はお前らが試しに手を出していいようなタマじゃねぇんだ。

I never sleep, 'cause sleep is the cousin of death
俺は決して眠らない。睡眠は死の従兄弟だからな。

I ain't the type of brother made for you to start testin'
俺はお前らが試しに手を出していいようなタマじゃねぇんだよ。

I never sleep, 'cause sleep is the cousin of death
俺は決して眠らない。睡眠は死の従兄弟だからな。

I ain't the type of brother made for you to start testin'
俺はお前らが試しに手を出していいようなタマじゃねぇんだ。

[Verse 2]
I peeped you frontin'
お前が強がってイキってるのを見てたぜ。

I was in the Jeep, sunk in the seat, tinted, with heat, beats bumpin'
俺はジープのシートに深く沈み込んでた。スモークガラスで、チャカを懐に、ビートをガンガン鳴らしてな。

Across the street, you was wildin', talkin' about how you ran the Island in '89
道の向こう側でお前は騒いでた。「89年にはライカーズ島(刑務所)を仕切ってた」なんてほざいてな。

Layin' up, playin' the yard with crazy shine
派手に着飾って、刑務所の庭で幅を利かせてたんだってな。

I cocked the baby 9, that nigga gravy mine, clanked him
俺はベイビー・ナイン(9mm拳銃)の撃鉄を起こした。あいつの金は俺のもんだ。一発食らわせてやった。

What was he thinkin' on my corner when it's pay-me time?
集金の時間だってのに、俺のシマで何考えてやがったんだ?

Dug 'em, you owe me, cousin, somethin' told me "Plug him!"
探りを入れてやった。「お前、俺に借りがあるよな、兄弟」。何かが俺に「撃っちまえ!」って囁いたんだ。

So dumb, felt my leg burn, then it got numb
バカだったよ。自分の脚が燃えるように熱くなって、それから感覚がなくなった。

Spun around and shot one, heard shots and dropped, son
振り返って一発撃ち返した。銃声を聞いて、俺は倒れちまったんだ、兄弟。

Caught a hot one, somebody take this biscuit 'fore the cops come
熱い鉛玉をもらっちまった。サツが来る前に、誰かこのビスケット(銃)を持ってってくれ。
※biscuit=銃(特に拳銃)を指すストリート・スラング。

Then they came, askin' me my name, what the fuck?
それからサツが来て、俺の名前を聞きやがった。ふざけんな。

I got stitched up, it went through, left the hospital that same night, what
傷を縫われたよ。弾は貫通してたから、その日の夜には病院を出てやったぜ、どうだ。

Got my gat back, time to backtrack
俺の銃を取り戻した。さあ、復讐の時間だ。

I had the drop, so how the fuck I get clapped?
俺の方が先手を取ってたはずなのに、なんで俺が撃たれたんだ?
※had the drop=相手より有利な状況にある、先手を取るという意味。

Black was in the Jeep watchin', all he seen speed by was a brown Datsun
ブラック(仲間)はジープの中から見てたが、茶色のダットサンが走り去るのを見ただけだ。

And yo, nobody in my hood got one
なぁ、俺のフッドにあんな車持ってる奴は一人もいねぇんだよ。

That clown nigga's through, blazin' at his crew daily
あのピエロ野郎はもう終わりだ。毎日のようにあいつのクルーにブッ放してやる。

The 'Bridge touched me up severely, hear me?
ブリッジ(クイーンズブリッジ)での生活が俺をこれほどタフに育て上げたんだ、聞こえるか?
※'Bridge=Nasの地元、ニューヨーク・クイーンズ地区の全米最大規模の公営住宅「クイーンズブリッジ団地(Queensbridge Houses)」のこと。

So when I rhyme, it's sincerely yours
だから俺がラップする時、それは「敬具(心からの真実)」なんだ。

Be lightin' L's, sippin' Coors on all floors in project halls
プロジェクト(低所得者層公営住宅)の廊下で、どの階でもマリファナに火をつけて、クアーズ(ビール)をすする。
※lightin' L's=「L」はブラント(葉巻の中身を抜いてマリファナを詰めたもの)のこと。

Contemplatin' war, niggas I was cool with before
戦争(抗争)について考えを巡らせる。昔は仲が良かった奴らのこととかな。

We used to score together Uptown, coppin' the raw
昔はアップタウンで一緒につるんで、純度の高いコカインを仕入れたりしたもんだ。
※coppin' the raw=「raw」は未カットの純度の高い麻薬(コカインやヘロイン)を指す。

But, uh—a thug changes, and love changes
でもよ、悪党だって変わるし、愛だって変わっちまう。

And best friends become strangers (Word up)
そして、親友も赤の他人になっちまうのさ。(間違いないぜ)

[Refrain 2]
Y'a–Y'all know my steelo
お前ら、俺のスタイル(やり方)を知ってるだろ。
※steelo=スタイル(style)を意味するスラング。

Ther–Ther–Ther–Ther–There ain't an army that could strike back
俺に反撃できるような軍隊なんて存在しねぇ。

Y'a–Y'all know my steelo
お前ら、俺のスタイルを知ってるだろ。

Ther–Ther–Ther–Ther–There ain't an army that could strike back
反撃できる軍隊なんて存在しねぇんだよ。

Y'a–Y'all know my steelo
お前ら、俺のスタイルを知ってるだろ。

Ther–Ther–Ther–There ain't an army that could strike back
俺に反撃できる軍隊なんていねぇ。

Y'a–Y'all know my steelo
お前ら、俺のスタイルを知ってるだろ。

There ain't an army that could strike back
反撃できるような軍隊なんて存在しねぇんだ。

[Outro: Nas & (AZ)]
Thug niggas
悪党どもへ。

Yo, to them thug niggas gettin' it on in the world, you know?
よぉ、世界中でサヴァイブしてる本物のハスラーどもへ、だろ?

To them niggas that's locked down
ムショにぶち込まれてる兄弟たちへ。

Doin' they thing, survivin', ya know'm sayin'?
やるべきことをやって、生き抜いてる奴らへ、言ってる意味わかるか?

To my thorough niggas, New York and worldwide
ニューヨークから世界中まで、俺の筋金入りの仲間たちへ。

Yo, to the Queensbridge Militia
よぉ、クイーンズブリッジの民兵(フッドの仲間)たちへ。

'9-6 shit, The Firm clique
96年のシットだ。The Firmのクルーだぜ。

Illmatic, nigga, It Was Written though
『Illmatic』だぜ、兄弟。だが『It Was Written』(すべては運命)なんだよ。

It's been a long time comin'
ここまで来るのに長い時間がかかったな。

Y'all fake niggas, tryin' to copy
俺の真似をしようとしてるフェイクな奴らよ。

Better come with the real though, fake-ass niggas, yo
もっとリアルなもんを持ってこいよ、このクソフェイク野郎ども。

(They throw us slugs, we throwin' them back, what)
(あいつらが鉛玉を撃ち込んでくるなら、俺たちも撃ち返してやる、どうだ)

Bring the shit, man! Live, man!
かかってこいよ! 現場でな!

(Fuck that, son, word up) '9-6 shit
(そんなの関係ねぇよ、兄弟、間違いない)96年のシットだ。