Artist: Metro Boomin (feat. 21 Savage, Kodak Black, Travis Scott)
Album: NOT ALL HEROES WEAR CAPES
Song Title: No More
概要
Metro Boominのアルバム『NOT ALL HEROES WEAR CAPES』(2018年)に収録された、Travis Scott、Kodak Black、21 Savageという現代トラップシーンを代表する3人を迎えた極めて内省的な一曲だ。テーマは「名声の代償」と「薬物依存の底知れぬ闇」である。莫大な富と成功を手に入れた彼らだが、ストリートで負ったトラウマや人間関係の崩壊による心の痛みを癒やすため、リーンや鎮痛剤(パーコセット)、モリーなどのドラッグに溺れていく姿が赤裸々に描かれている。「No More(もうこれ以上は無理だ)」という切実なフックが示す通り、物質的な豊かさとは裏腹に精神が限界を迎えているラッパーたちのリアルな苦悩を、Metroのダークでメランコリックなビートが包み込んでいる。
和訳
[Intro: Travis Scott]
You know the comedown, we really feeling soothing
薬の抜け際、俺らはマジで心地よさを感じてるんだ。
※comedown=ドラッグの効き目が切れてくる時の状態。通常は気分の落ち込みを伴うが、ここではその後のリラックスした(soothing)状態を指している。
The come-up got 'em all oozing
成り上がっていく過程で、奴らはみんな滲み出ちまった。
※come-up=成功への道のり、成り上がり。
Took a one way to take it out of Houston
ヒューストンから抜け出すために、片道切符を手に入れた。
※Houston=Travis Scottの地元であり、リーン(咳止めシロップ)文化の発祥地。
Took the Metro and we was still boomin'
メトロに乗って、俺らはまだブームを起こしてる(大成功してる)ぜ。
※プロデューサーである「Metro Boomin」の名前を、地下鉄(Metro)と勢いがある状態(boomin')に掛けた言葉遊び。
[Chorus: Travis Scott]
I just pour 'til I can't pour no more
もうこれ以上注げなくなるまで、俺はシロップを注ぎ続けるんだ。
※pour=リーン(プロメタジン・コデイン入りシロップ)をスプライトなどの炭酸飲料に注いで混ぜる行為。
I slow down but it ain't slow no more
ペースを落とそうとするが、もうスローダウンできねえ。
※リーンの効果である「ダウナー(動作や思考が遅くなる)」状態と、人生のペースを遅くしたいという願望のダブルミーニング。
I stack up 'cause it don't fold no more
札束を積み上げるぜ、もう折りたためないくらい分厚いからな。
※don't fold=ポケットに入らないほど大量の現金(100ドル札)を持っている状態の誇示。
I pour up 'til I can't pour no more
もうこれ以上注げなくなるまで、俺はシロップを注ぎ続けるんだ。
I slow down but it ain't slow no more
ペースを落とそうとするが、もうスローダウンできねえ。
I stack up 'cause it don't fold no more
札束を積み上げるぜ、もう折りたためないくらい分厚いからな。
[Verse 1: Kodak Black]
Nowadays, I be on ecstasy when I'm bored
最近じゃ、退屈な時はエクスタシーをキメてるんだ。
I don't even know who keep it real anymore
もう誰が本物(リアル)なのかすら分からねえよ。
All that living fast, pour the lean, make me slower
生き急ぐ毎日、リーンを注いで、俺の歩みを遅くしてくれ。
You know I ain't that nigga to be played, do your homework
俺が遊ばれるようなタマじゃねえって分かってるだろ、ちゃんと調べとけよ。
If I could do it all over, I'd make the same mistakes
もし人生をやり直せたとしても、俺は同じ過ちを繰り返すだろうな。
All that fucking over made me who I am today
散々やらかしてきたからこそ、今の俺があるんだ。
Slidin' Maybach with the drapes, you can't see me pass
カーテン付きのマイバッハで滑走する、俺が通り過ぎるのをお前らは見えねえよ。
※Maybach with the drapes=後部座席にプライバシー用のカーテン(drapes)が付いた超高級車マイバッハ。
I was in the school on a C class
学校にいた頃は、Cクラス(成績がC)の生徒だったのにな。
※成績の「Cクラス」と、ベンツの「Cクラス」、そして現在の「マイバッハ」を対比させた見事なライン。
I tried the Perky but it ain't work, and I'ma still pop 'em
パーキーを試したが効き目がない、それでも俺は飲み続けるぜ。
※Perky=オピオイド系鎮痛剤パーコセット。耐性がついて効かなくなっても依存から抜け出せない苦悩を描写。
Drinking purple, smokin' purp, I need to see about it
紫のシロップを飲み、紫のハッパを吸う、どうにかしなきゃな。
※purple=リーンのこと。purp=Granddaddy Purpleなどの紫色の高品質なマリファナ。
All that pain, I'm poppin' molly like an antibiotic
この痛みのせいで、俺はモリーを抗生物質みたいに飲んでるんだ。
※molly=MDMA。精神的な痛みを和らげるために、本来は処方薬ではないモリーを治療薬(抗生物質)のように乱用している。
I can't help it, I'm a zombie, I can't heal my heartache
どうしようもねえ、俺はゾンビだ、心の痛みを癒やせねえんだよ。
[Chorus: Kodak Black]
I pop pills 'til I can't feel no more
何も感じなくなるまで、俺は錠剤を飲み続ける。
Tryna be sane but I can't hold no more
正気でいようとしてるが、もう持ちこたえられねえ。
I wanted fame but I don't know no more
名声を求めてたはずなのに、今はもう何が何だか分からねえよ。
I pop pills 'til I can't feel no more
何も感じなくなるまで、俺は錠剤を飲み続ける。
Tryna be sane but I can't hold no more
正気でいようとしてるが、もう持ちこたえられねえ。
I wanted fame but I don't know no more
名声を求めてたはずなのに、今はもう何が何だか分からねえよ。
[Verse 2: 21 Savage]
Tried love but I can't no more (Nah)
愛してみようとしたが、もう無理だ(なあ)。
Tryna find loyalty, it ain't no more (Nah)
忠誠心を探そうとしたが、そんなもんはもうどこにもねえよ(なあ)。
Told myself I wasn't gonna drink no more (On God)
もう酒(リーン)は飲まないって自分に言い聞かせたのに(神に誓って)。
It's like the styrofoam glued to me though (Straight up)
発泡スチロールのカップが俺の手にくっついて離れねえんだ(マジで)。
※styrofoam=リーンを飲むために使われる二重にした発泡スチロールのカップ(ダブルカップ)。
I feel weak for using drugs to ease the pain (21)
痛みを和らげるためにクスリを使ってる自分が情けねえよ(21)。
From the street, concrete in my vein (Straight up)
ストリートの出身だ、俺の静脈にはコンクリートが流れてる(マジで)。
※ストリートの過酷な環境で育ち、冷酷でタフになった(血の代わりにコンクリートが流れている)という比喩。
Lil bit of change make a nigga change (On God)
少しの小銭(変化)で、人間は変わっちまうんだ(神に誓って)。
※change=「小銭/金」と「人が変わる」ことのダブルミーニング。
Different tax bracket but my number still the same (Facts)
税率区分(収入)は変わったが、俺の番号(本質)は変わっちゃいねえ(事実だ)。
※tax bracket=所得税の税率区分。大金持ちになっても、昔からの電話番号(あるいは地元・仲間へのスタンス)を変えていないことを示している。
I done seen dope turn a nigga who had hope
希望を持っていた奴が、ドープ(麻薬)のせいで変わっちまうのを見てきた。
To a nigga with no hope, hung himself by a rope (Straight up)
希望を失った奴に変わり、最後はロープで首を吊っちまうんだ(マジで)。
No joke 'cause he didn't know the ropes
冗談じゃねえ、あいつはやり方(ロープ)を知らなかったからな。
※know the ropes=「コツを知っている」「やり方をわかっている」というイディオムと、前行の「首吊りのロープ」を掛けた痛烈なワードプレイ。
And he served an undercover, judge gave his ass a boat (Facts)
潜入捜査官にブツを売っちまって、裁判官から「ボート(長期刑)」を食らった奴もいる(事実だ)。
※boat (boatload)=「大量の」という意味のスラングで、ここでは長期間の刑務所行きを指す。
I done seen fame turn a nigga on his bro
名声のせいで、仲間を裏切る野郎をこの目で見てきた。
Turn a bitch into a nigga, nigga turned into a ho (21)
ビッチが男みたいに振る舞い、男がビッチみたいになっちまうんだ(21)。
Identity crisis, people don't know who they is
アイデンティティの崩壊だ、みんな自分が何者なのか分かってねえ。
'Cause these bitches act like niggas
ビッチどもが野郎みたいに振る舞って。
And these niggas act like hoes (Straight up)
野郎どもがビッチみたいに振る舞うからな(マジで)。
Shooting for the moon but the stars just fine (21)
月を狙って撃つ(高みを目指す)が、星に届いただけでも十分だ(21)。
※「Shoot for the moon. Even if you miss, you'll land among the stars.(月を目指せ。たとえ外れても、星の中に着陸できる)」という有名な格言の引用。
Tryna make a dollar and I'm short nine dimes (21)
1ドル稼ぎたいのに、まだ9ダイム(90セント)足りねえんだ(21)。
※nine dimes=90セント。つまりまだ10セントしかなく、目標には程遠いハスリングの道のりの厳しさを表している。
You know I'm a hustler, I'ma grind 'bout mine (21)
俺がハスラーだってこと分かってるだろ、自分のために這い上がるぜ(21)。
Long as I got Metro, nigga I'm gon' shine
メトロが俺についてる限り、俺は輝き続けるんだ。
[Chorus: 21 Savage, Travis Scott, & Kodak Black]
I sip drank until I can't no more
もうこれ以上飲めなくなるまで、俺はシロップをすする。
Pour up the lean until I can't no more
もうこれ以上注げなくなるまで、リーンを注ぎ続けるんだ。
One more cup, I think I just might snore
あともう一杯飲んだら、いびきをかいて寝ちまいそうだ。
I sip drank until I can't no more
もうこれ以上飲めなくなるまで、俺はシロップをすする。
Pour up the lean until I can't no more
もうこれ以上注げなくなるまで、リーンを注ぎ続けるんだ。
One more cup, I think I just might snore
あともう一杯飲んだら、いびきをかいて寝ちまいそうだ。
I just pour 'til I can't pour no more
もうこれ以上注げなくなるまで、俺はシロップを注ぎ続けるんだ。
I slow down but it ain't slow no more
ペースを落とそうとするが、もうスローダウンできねえ。
I stack up 'cause it don't fold no more
札束を積み上げるぜ、もう折りたためないくらい分厚いからな。
I pop pills 'til I can't feel no more
何も感じなくなるまで、俺は錠剤を飲み続ける。
Tryna be sane but I can't hold no more
正気でいようとしてるが、もう持ちこたえられねえ。
I wanted fame but I don't know no more
名声を求めてたはずなのに、今はもう何が何だか分からねえよ。
[Outro]
(Lord, save the world
(神よ、世界を救いたまえ。
Lord, save the world
神よ、世界を救いたまえ。
Lord, save the world)
神よ、世界を救いたまえ)
Lord, save the world (Lord, save the world)
神よ、世界を救いたまえ(神よ、世界を救いたまえ)。
Lord, save the world (Lord, save the world)
神よ、世界を救いたまえ(神よ、世界を救いたまえ)。
From this hunger for power (Lord, save the world)
この権力への渇望から(神よ、世界を救いたまえ)。
From certain destruction's hour
確実な破滅の時から。
Motherfuckers cannot listen to that fuckin' save the world shit
クソ野郎どもは、「世界を救う」なんて戯言を聞いちゃいねえよ。
※アウトロの後半では、神聖なコーラスを遮るように荒々しい声(ヴィラン)が語り始める。ヒップホップシーンを「救済」しようとするMetro Boominのアルバムのコンセプトに反発する声である。
No, I don't like it
いや、俺はそんなの気に食わねえ。
We are totally against that shit
俺らはそんな戯言には完全反対だ。
You stream it, iPhone or your phone, whatever
iPhoneでもお前の携帯でも、何でもいいからストリーミングしろ。
I'm taking the shit and I'm here to tell you
俺はこの場を乗っ取って、お前らに言ってやる。
I'm here to keep rap the fucking same
俺はラップを今のまま(クソみたいな現状のまま)に保つためにここにいるんだ。
He's trying to save it, I'm not
あいつ(Metro)はラップを救おうとしてるが、俺は違う。
You'll all be heroes
お前らはみんなヒーローになればいいさ。
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