Artist: Metro Boomin (feat. Gucci Mane)
Album: NOT ALL HEROES WEAR CAPES
Song Title: 10AM/Save the World
概要
本作は、アトランタを代表するプロデューサーMetro Boominのデビューソロアルバム『NOT ALL HEROES WEAR CAPES』(2018年)の幕開けを飾る重要な一曲だ。当時、SNS上のプロフィール画像を消去し事実上の「引退」をほのめかしていたMetroに対し、トラップ界のゴッドファーザーであるGucci Maneが「100万ドルを渡して辞めないように説得した」というリリック("Gave Metro a million, told him not to quit")がハイライトである。前半の「10AM」ではGucci Maneが早朝からハスリングに励むストリートの日常と絶対的な富をラップし、後半の「Save the World」では、ヒップホップシーンを救済する「ヒーロー」としてのMetro Boominの帰還を荘厳なオーケストレーションとともに祝福している。アトランタ・トラップの歴史と、二人の強固な絆を象徴するアンセムだ。
和訳
[Intro: Gucci Mane]
Yeah
イェー。
Yeah, good mornin', America
イェー、おはようさん、アメリカ。
Huh, came so far
ハッ、ずいぶん遠くまで来たもんだ。
'Times just wake up, man
時々目を覚まして思うんだよ。
You know, just look at the water
水面を見つめてな。
Put on the water
ダイヤを身に纏いながら。
※water=スラングで「純度の高いダイヤモンド」や「ジュエリー」を指す。海や湖などの本物の水辺の景色と、自身の身につけた大量のジュエリーの輝きを掛けている。
[Chorus: Gucci Mane]
The sun ain't even up yet, I'm thinkin' 'bout the check (Wop)
日が昇る前から、金の計算をしてるぜ(ワップ)。
※check=小切手、転じて「大金」のこと。WopはGucci Maneの愛称(Guwop)から。
Woke up in the mornin', bust down me a brick
朝起きてすぐに、ブリックを捌くんだ。
※bust down=(薬物などを)小分けにする、または宝石を散りばめること。brick=1キログラムのコカインの塊を指すストリート・スラング。
Gave Metro a million, told him not to quit (True)
メトロに100万ドル渡して「辞めるな」って言ってやった(マジな話だ)。
※2018年に一時的に引退を仄めかしていたMetro Boominに対し、Gucci Maneが実際に大金を積んで音楽活動の継続を説得したという有名なエピソードを指している。
East Atlanta, Zone 6, Gucci really rich (Rich)
イースト・アトランタ、ゾーン6、グッチはマジで金持ちだ。
※Zone 6=アトランタ東部の警察管轄区で、Gucci ManeやFutureなど数多くのラッパーを輩出してきたフッド(地元)。
Plus, they keep bud in the kitchen, fuck some eggs and grits
それにキッチンにゃマリファナを常備してる、卵やグリッツなんかクソ食らえだ。
※bud=マリファナのこと。grits=アメリカ南部の伝統的な朝食メニュー(トウモロコシの粥)。普通の朝食を作る代わりにドラッグを調理(計量・小分け)しているという、トラップハウスの日常を描写している。
Jimmy Henchman with the shipment, I sold a lot of shit
ジミー・ヘンチマン並の出荷量、俺は死ぬほどブツを売ってきた。
※Jimmy Henchman(James Rosemond)=悪名高き元ヒップホップ・マネージャーであり、大規模なコカイン密輸組織のボスとして有罪判決を受けた実在の人物。彼のように大量のドラッグを流通させていたという比喩。
Heard I killed a man allegedly, but I didn't bust a head (Hah)
俺が人を殺したって噂されてるが、俺は誰も撃っちゃいねえよ(ハッ)。
※2005年、Gucci Maneは自宅に押し入ってきたPookie Locを正当防衛で射殺している。この事件を指しつつも、「自分の手を汚さずとも片付けられる」という解釈や、法的には無罪(殺人罪は正当防衛により取り下げ)になったことを示唆している。
The way they mixin' up the medicine, I might just grow some dreads (Uh)
あいつらの薬の混ぜ方を見てると、俺もドレッドヘアを伸ばしたくなるぜ(アー)。
※medicine=咳止めシロップ(プロメタジン・コデイン)とスプライトなどを混ぜたドラッグ「リーン(パープル・ドリンク)」のこと。リーン文化の強い南部ヒューストンのラッパーたちや、Lil Wayne、Futureなどのドレッドヘアのラッパーたちを連想させる。
[Verse 1: Gucci Mane]
It's a bad bitch on the elevator, I'ma let her in
エレベーターにイイ女がいる、乗せてやるよ。
※bad bitch=非常に魅力的な女性を称賛するスラング。
Let your hater be a motivator, I can't let you win
ヘイターの嫉妬をモチベーションに変えな、お前らには勝たせねえよ。
He a genius, human calculator, stack it by the ten
あいつは天才、歩く計算機だ、10万ドル単位で札束を積んでいく。
※human calculator=瞬時に金を計算し、ビジネスを回す有能さを誇示している。by the ten=10(10万ドル=約100k)単位で数えること。
Put the Lambo on the elevator, bring it to the den
ランボルギーニをエレベーターに乗せて、リビングまで運ぶんだ。
※den=くつろぐための部屋。高層の超高級ペントハウスには車用エレベーターがあり、部屋の中にスーパーカーを展示できるほどの圧倒的な富を表している。
Put the Mustang by the balcony, I'm fly like Peter Pan
マスタングをバルコニーのそばに停める、俺はピーターパンみたいに飛んでる(イケてる)ぜ。
※fly=「空を飛ぶ」ことと「イケている、服装がキマっている」というスラングのダブルミーニング。
I'm so glad they turned they back on me 'cause we wasn't really friends (No)
あいつらが俺に背を向けてくれて清々したよ、どうせ本当のダチじゃなかったんだ(ノー)。
And it ain't even ten and I woke up on a ten (Huh)
まだ10時にもなってねえのに、俺は10点満点の女と目を覚ました(ハッ)。
※10AM(午前10時)と、ルックスが10点満点(a ten)の女性を掛けている。
And I don't need no pen, no I don't need no pad (Wizop)
ペンなんていらねえし、メモ帳も必要ねえ(ウィゾップ)。
※Gucci Maneがスタジオで歌詞を紙に書かず、ブースの中で即興(フリースタイル)でレコーディングするスタイルであることを誇示している。Wizopは彼の別名。
[Chorus: Gucci Mane]
The sun ain't even up yet, I'm thinkin' 'bout the check (Huh)
日が昇る前から、金の計算をしてるぜ(ハッ)。
Woke up in the mornin', bust down me a brick (Skrrt)
朝起きてすぐに、ブリックを捌くんだ(スカート)。
Gave Metro a million, told him not to quit (Metro)
メトロに100万ドル渡して「辞めるな」って言ってやった(メトロ)。
East Atlanta, Zone 6, Gucci really rich
イースト・アトランタ、ゾーン6、グッチはマジで金持ちだ。
Plus, they keep bud in the kitchen, fuck some eggs and grits
それにキッチンにゃマリファナを常備してる、卵やグリッツなんかクソ食らえだ。
Jimmy Henchman with the shipment, I sold a lot of shit
ジミー・ヘンチマン並の出荷量、俺は死ぬほどブツを売ってきた。
Heard I killed a man allegedly, but I didn't bust a head
俺が人を殺したって噂されてるが、俺は誰も撃っちゃいねえよ。
The way they mixin' up the medicine, I might just grow some dreads
あいつらの薬の混ぜ方を見てると、俺もドレッドヘアを伸ばしたくなるぜ。
[Verse 2: Gucci Mane]
Gotta keep them snipers wit' me, dawg
スナイパー(用心棒)を常に連れ歩かなきゃならねえ、なあ。
※snipers=遠距離から狙撃する者、つまり武装した取り巻きやボディガードを指す。
I got more enemies than 50, dawg (Huh?)
俺には50 Centよりも敵が多いんだわ(ハッ?)。
※50=「Many Men (Wish Death)」などで数多くの敵から命を狙われていたラッパー、50 Centのこと。ビーフ(確執)が多かったGucci Mane自身の過去と重ねている。
He popped a Percocet, he noddin' off (Wow)
あいつはパーコセットをキメて、船を漕いでやがる(ワオ)。
※Percocet=オピオイド系鎮痛剤。乱用すると強烈な眠気や意識の混濁(nodding off=コックリコックリすること)を引き起こす。
On high alert, they just might pop it off (Shh)
こっちは厳戒態勢だ、あいつらいつ撃ち始めてもおかしくねえ(シッ)。
※pop it off=銃を撃ち始める、または喧嘩を始めること。
11 o'clock, she popped an Adderall (Huh?)
11時、あの子はアデロールを飲み込んだ(ハッ?)。
※Adderall=ADHD治療薬だが、集中力を高めたりテンションを上げるためのパーティードラッグとして乱用される。
That bitch so bougie, yeah she bad and all (Muah)
あの女は気取ってて、マジでイイ女なんだよ(チュッ)。
※bougie=bourgeois(ブルジョワ)の略で、高級志向や気取った態度を示すスラング。
That bitch so thick, you know she lit and all
あの女のケツはデカくて、マジで最高なんだ。
※thick=女性の体がグラマー(特にヒップや太ももが豊満)であることへの褒め言葉。lit=素晴らしい、盛り上がっている状態。
It's Gucci Mane, you know it's bricks involved (Skrrt, skrrt)
グッチ・メインの行くところ、当然ブリック(コカインの塊)が絡んでるに決まってるだろ(スカート、スカート)。
[Chorus: Gucci Mane]
The sun ain't even up yet, I'm thinkin' 'bout the check ('Bout it)
日が昇る前から、金の計算をしてるぜ(それについて)。
Woke up in the mornin', bust down me a brick
朝起きてすぐに、ブリックを捌くんだ。
Gave Metro a million, told him not to quit
メトロに100万ドル渡して「辞めるな」って言ってやった。
East Atlanta, Zone 6, Gucci really rich
イースト・アトランタ、ゾーン6、グッチはマジで金持ちだ。
Plus, they keep bud in the kitchen, fuck some eggs and grits
それにキッチンにゃマリファナを常備してる、卵やグリッツなんかクソ食らえだ。
Jimmy Henchman with the shipment, I sold a lot of shit
ジミー・ヘンチマン並の出荷量、俺は死ぬほどブツを売ってきた。
Heard I killed a man allegedly, but I didn't bust a head
俺が人を殺したって噂されてるが、俺は誰も撃っちゃいねえよ。
The way they mixin' up the medicine, I might just grow some dreads
あいつらの薬の混ぜ方を見てると、俺もドレッドヘアを伸ばしたくなるぜ。
[Outro]
When they don't understand the fight
奴らがこの戦いの意味を理解していない時。
I want you to tell them what you want them to do
あなたが彼らにどうして欲しいのか、伝えてほしいんだ。
Most of all save us
何よりも、私たちを救って。
I know you can
あなたならできるって分かってる。
Oh, I said...
ああ、私は言ったの...
Save the world
世界を救って。
Save the world
世界を救って。
Save the world
世界を救って。
I would like for the horns to talk to you right now
今度はホーン(管楽器)の音色に語りかけてもらいましょう。
※ヒップホップシーンを救済する「ヒーロー(プロデューサー)」としてのMetro Boominへのメッセージ。タイトル『NOT ALL HEROES WEAR CAPES(すべてのヒーローがマントを羽織っているわけではない)』というアルバムのコンセプトに直結しており、ビートのトランジションと共に荘厳なオーケストラサウンドへと繋がっていく劇的なアウトロである。
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