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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Stay - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: Obscured by Clouds

Song Title: Stay

概要

1972年発表のアルバム『雲の影(Obscured by Clouds)』(映画『ラ・ヴァレ』サウンドトラック)に収録された、ロジャー・ウォーターズ作詞、リチャード・ライト作曲・ボーカルによるメランコリックなバラードである。ライトが歌う前々作『おせっかい』の「Summer ’68」と同様に、ツアー中の行きずりの女性(グルーピー)との関係と、その翌朝に襲い来る圧倒的な虚無感を描写している。甘くロマンチックなピアノやデヴィッド・ギルモアのワウ・ギターが奏でる洗練されたサウンドとは裏腹に、ベッドを共にした相手の名前すら思い出せないという「コミュニケーションの完全な断絶」が歌われる。ロック・スターとしての成功がもたらす人間性の麻痺と絶対的な疎外感は、次作『狂気(The Dark Side of the Moon)』や後年の『ザ・ウォール(The Wall)』へと連なる、ウォーターズの冷徹な人間観察の萌芽だと言える。

和訳

[Verse 1]
Stay and help me to end the day
ここに留まって、僕がこの一日を終えるのを手伝ってくれないか。
※ツアーの孤独と疲労を紛らわすための、行きずりの相手への誘い。愛ではなく、単なる「一日の終わり(=空虚な時間の消費)」を埋めるための道具として他者を求めている。

And if you don’t mind
そして、もし君が嫌じゃなければ。

We’ll break a bottle of wine
ワインのボトルを一本空けよう。

Stick around and maybe we’ll put one down
そばにいてくれ。たぶん、もう一本くらい空けてしまうだろうから。

'Cause I wanna find what lies behind those eyes
なぜって、その瞳の奥に何が隠されているのかを見つけ出したいんだ。
※表向きは相手の内面に興味を示しているようなロマンチックな口説き文句だが、翌朝の結末を知ると、これが限りなく空虚で定型的なセリフであることが浮き彫りになる。

[Chorus 1]
Midnight blue
ミッドナイト・ブルー。

Burning gold
燃え盛るような黄金色。
※「ミッドナイト・ブルー」と「黄金色」は、夜の闇とワイン、あるいは部屋の明かりや情事の熱狂など、視覚的・色彩的なメタファーである。

A yellow moon
黄色い月が。

Is growing cold
次第に冷たく凍えていく。
※「月(狂気、孤独の象徴)」が冷えていくという描写は、一夜の情熱が急速に冷め、抗いがたい虚無感へと変わっていく過程を暗示している。

[Verse 2]
I rise, looking through my morning eyes
目を覚まし、朝のぼやけた視界で見渡すと。

Surprised to find you by my side
君が僕の隣にいることに驚いてしまうんだ。
※昨晩自ら誘っておきながら、朝になると相手の存在自体が異物(驚き)となっている。他者への無関心と感情の麻痺である。

Rack my brain and try to remember your name
頭をひねって、君の名前を思い出そうとする。

To find the words to tell you good-bye
君に「さよなら」を告げるための言葉を見つけるために。
※前夜に「瞳の奥を知りたい」と語った相手の名前すら覚えていないという残酷な事実。「Summer ’68」から一歩進んだ、人間同士の完全な断絶と疎外感の極致である。

[Chorus 2]
Morning dues
朝の代償。
※「dues(支払うべきもの、代償)」は、一夜の快楽の後に支払わされる精神的な疲弊や虚無感。あるいは朝露(morning dews)とのダブルミーニングとも解釈できる。

Newborn day
新しく生まれた一日。

Midnight blue
あのミッドナイト・ブルーの夜は。

Turned to gray
色あせたグレーへと変わってしまった。
※色彩の喪失。「燃え盛る黄金」から「グレー(灰、無彩色)」への変化は、情熱の鎮火と、ロック・スターの繰り返される退屈な日常の始まりを視覚的に表現している。

[Guitar Solo]
※デヴィッド・ギルモアによる、ワウ・ペダルを用いたメランコリックで浮遊感のあるギター・ソロ。気怠い朝の空気と、もはや怒りや悲しみすら麻痺してしまった空虚な精神状態を音響化している。

[Chorus 1]
Midnight blue
ミッドナイト・ブルー。

Burning gold
燃え盛るような黄金色。

A yellow moon
黄色い月が。

Is growing cold
次第に冷たく凍えていく。

 

Stay

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