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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Mudmen - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: Obscured by Clouds

Song Title: Mudmen

概要

1972年発表のアルバム『雲の影(Obscured by Clouds)』(バルベ・シュローダー監督の映画『ラ・ヴァレ』サウンドトラック)に収録された、リチャード・ライトとデヴィッド・ギルモアの共作による重厚なインストゥルメンタル楽曲である。同アルバムのボーカル曲「Burning Bridges」のコード進行をベースに、テンポを大幅に落として再構築されている。映画において、ニューギニアのアサロ渓谷に住む「マッドメン(泥で全身を覆う部族)」が登場する象徴的なシーンで使用された。ライトのメランコリックなハモンド・オルガンと、ギルモアのむせび泣くようなエモーショナルなギター・ソロが極限の交感を果たしており、文明社会から隔絶された未開の地の神秘性、そして人間の無意識の深淵を見事に音響化している。この荘厳なサウンドスケープは、次作『狂気(The Dark Side of the Moon)』における「Any Colour You Like」などへの直接的な架け橋となる重要なトラックだ。

和訳

[Instrumental]

※本楽曲に言語を用いた歌詞は存在しない。同アルバムに収録された「Burning Bridges(燃える橋=過去との決別)」のメロディから言葉を完全に排除することで、映画の象徴である「マッドメン(泥人)」の異教的で土着的なエネルギーを、純粋な音響空間として提示している。西洋的な理性や論理(言語)が全く通用しない未開のジャングルにおいて、人間の本能や根源的な恐怖が呼び覚まされる様を、ギルモアのディストーションとディレイを効かせた強烈なギター・ソロが代弁しているのだ。文明社会の抑圧の壁が崩れ去り、自我が泥の中(大自然や無意識の底)へと同化していくようなこのサイケデリックなトリップ感覚は、のちの歴史的傑作群におけるフロイド特有の「言葉なき感情の爆発(ギターやキーボードによる非言語の絶叫)」という表現手法の確立を雄弁に物語っている。

 

Mudmen

Mudmen

  • ピンク・フロイド
  • ロック
  • ¥255
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