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When You’re In - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: Obscured by Clouds

Song Title: When You’re In

概要

1972年発表のアルバム『雲の影(Obscured by Clouds)』(バルベ・シュローダー監督の映画『ラ・ヴァレ』のサウンドトラック)の2曲目に配置された、ヘヴィでグルーヴィーなインストゥルメンタル楽曲である。オープニング・タイトルの不穏なシンセサイザーのドローンからシームレスに繋がり、強烈なディストーション・ギターとリチャード・ライトのハモンド・オルガンが主導する反復的なリフへと雪崩れ込む。タイトルの「When You're In」は、バンドの元ロード・マネージャーであったイアン・ムーアの口癖(「入ってしまったら、もう後戻りはできない」といったニュアンス)に由来するとされている。神秘的で内省的なアプローチだけでなく、肉体的なハード・ロックのダイナミズムをも完全に掌握していた当時のピンク・フロイドの充実したアンサンブルを証明する一曲であり、次作『狂気(The Dark Side of the Moon)』における研ぎ澄まされたバンド・グルーヴへの確かな布石となっている。

和訳

[Instrumental]

※本楽曲には言語を用いた歌詞は存在しない。前曲「Obscured by Clouds」の電子的なドローン空間から切れ目なく続くこの重厚なアンサンブルは、映画『ラ・ヴァレ』において、主人公たちが文明社会の抑圧を捨て、未開の谷(ジャングル)の奥地へと物理的かつ精神的に踏み込んでいく際の「取り返しのつかない一歩(When You're In)」を音響的に表現している。同じリフを執拗に反復するロジャー・ウォーターズのベースとニック・メイソンの正確無比なドラミングは、抗いがたい運命の歯車や、抑圧されていた本能的な衝動の爆発を暗示している。言葉を排し、純粋な音の重量感と反復によって聴く者をトランス状態へと誘うこのアプローチは、ピンク・フロイドが単なるサイケデリックの残党から、空間と肉体の両方を支配するプログレッシブ・ロックの王者へと成熟したことを雄弁に物語っている。

 

When You're In

When You're In

  • ピンク・フロイド
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes