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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Several Species of Small Furry Animals Gathered Together in a Cave and Grooving with a Pict - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: Ummagumma

Song Title: Several Species of Small Furry Animals Gathered Together in a Cave and Grooving with a Pict

概要

1969年発表の2枚組アルバム『ウマグマ(Ummagumma)』のスタジオ盤に収録された、ロジャー・ウォーターズの単独制作による狂気的なミュージック・コンクレート作品である。タイトルは「小動物の群れと一緒に洞窟でグルーヴしているピクト人」を意味する。本作の最大の特徴は、一切の楽器を使用せず、手拍子やウォーターズ自身の肉声のテープ速度を操作(早送り・遅回し)することだけで、無数の動物たちの鳴き声や羽音を擬似的に創り出している点だ。後半では、古代スコットランドのケルト系先住民である「ピクト人」に扮したウォーターズが、強烈な訛りで暴力的なナンセンス詩をまくしたてる。論理的な言語を解体し、人間の深層心理に潜む野蛮な本能や狂気を純粋な音響として表現した前衛的な実験作であり、途中に忍ばせられた逆回転の隠しメッセージなど、ピンク・フロイドのアヴァンギャルドな一面が極限まで発揮された異端のトラックである。

和訳

[Birds Singing]
(小鳥のさえずり)
※テープ速度の操作によって作られた人工的な鳥の鳴き声。

[Animals In a Hubbub]
(ざわめく動物たち)
※すべてウォーターズの肉声によるノイズ・コラージュ。理性の及ばない野蛮で混沌とした洞窟(インナースペース)の情景を描写している。

[Fast Hand's Clap]
(高速の手拍子)

[Misread Spoken (Fading In The End)]
Come back, I mean
戻ってこい、つまり。

Come back, I mean
戻ってこい、つまりそういうことさ。
※何かに取り憑かれたように繰り返されるこのフレーズは、リズム楽器の代わりとして機能している。同時に、狂気の淵へ遠ざかっていくシド・バレット(あるいは自己の理性)に対する無意識の呼びかけのようにも響く。
(※以下、同様のフレーズが執拗に繰り返され、徐々にフェードアウトしていく)

C-c-come back, I mean
も、も、戻ってこい、つまり。

[Animals In a Hubbub]
(ざわめく動物たち)

C-c-come back, I mean
も、も、戻ってこい、つまり。

C-c-come back, I mean
も、も、戻ってこい、つまりそういうことさ。

[In Old Scot Spoken]
Aye an a bit o' mackerel, fiddler, rack and fear
ああ、少しばかりのサバと、ペテン師と、拷問台と恐怖。
※ここからウォーターズによる、古代スコットランドのピクト人を模した強烈な訛りの独白が始まる。意味の通った文章というよりも、音の響きと暴力的なイメージの羅列(言葉の解体)である。

And I rutted down by the hade and the furrow
俺は斜面と畝のそばで発情し。

Well, I slipped me in a flop and hit down and I shied
すってんころりと滑って打ち倒れ、俺は怯えたのさ。

And I cried, cried, cried
そして俺は叫んだ、叫んだ、叫んだんだ。
※原始的な感情(恐怖や性衝動)の剥き出しの表現。文明社会の抑圧から解放された、人間の動物的な本能を描いている。

The fear of fallin' down aft' taken, never back to rise
捕まった後に転落し、二度と這い上がれないという恐怖。

And then cried 'Mary!' and I tucked up
そして「メアリー!」と叫んで、俺は身を縮めた。

Wi' a Claymore out and about
クレイモア(スコットランドの長剣)を抜き放ち、振り回しながら。

And I run down, down the mechyn sty
俺は駆け下りた、忌まわしい豚小屋を駆け下りたんだ。

And beckoned the fiery whore
そして、炎のような娼婦を手招きした。

That was fallin' around the feet
そいつは足元に崩れ落ちていた。

"Never", I cried. "Never shall ye get me alive
「絶対にだ」俺は叫んだ。「絶対に俺を生きたまま捕らえられはしないぞ。

Ya rotten hound of the Burnie Brae"
バーニー・ブレイの腐った猟犬どもめ」

Well, I snapped for a blade and a Claymore cut and thrust
俺は刃を求めて噛みつき、クレイモアを斬りつけ、突き刺した。
※流血と狂気に満ちた古代の戦闘のヴィジョン。近代社会における理性的な対話が完全に崩壊し、圧倒的な暴力衝動が支配する世界である。

And I fell down before him 'round his feet
そして奴の足元、その目の前に崩れ落ちたのさ。

(That was pretty avant-garde, wasn't it?)
(なかなかアヴァンギャルドだっただろう?)
※この一文は楽曲内に「逆回転(バックワード・マスキング)」で密かに収録されている隠しメッセージである。極限の狂気を演じ切りながらも、それを客観的に冷笑するウォーターズの極めて理知的でシニカルな視点が浮き彫りになる瞬間だ。

Aye, a roar he cried! Frae the bottom of his heart
ああ、奴は咆哮したんだ!心の底からの叫びを。

That I would nay fall but dead, dead as a can by a feat deah...
俺が倒れるとしたら、死ぬ時だけだ。神業によって完全に死ぬ時だけ……。

And the wind cried meth
そして風は、薬物(あるいは死)を求めて泣き叫んだ。

[In English Spoken]
Thank you
ありがとう。
※狂気のパフォーマンスを終えた後、突然標準的な英語で発せられる丁寧な挨拶。狂気と正気の境界を自由に往来できるウォーターズの冷徹なコントロール能力を示し、リスナーを突き放すような不気味な余韻を残している。

 

Several Species of Small Furry Animals Gathered Together in a Cave and Grooving with a Pict

Several Species of Small Furry Animals Gathered Together in a Cave and Grooving with a Pict

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