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A Saucerful of Secrets (Live) - Pink Floyd 【和訳・解説】

Artist: Pink Floyd

Album: Ummagumma

Song Title: A Saucerful of Secrets (Live)

概要

1969年発表の2枚組アルバム『ウマグマ(Ummagumma)』のライブ盤に収録された、約13分に及ぶ大曲インストゥルメンタルである。シド・バレット脱退直後の危機的状況下でスタジオ版(1968年)として生み出された「戦争」をテーマとする4部構成の組曲を、ライブの生々しい熱量と圧倒的なインプロビゼーション(即興演奏)によって究極のサウンドスケープへと昇華させたテイクだ。暴力的なカオスから神々しいコーラスへの劇的な展開は、言葉を介さない「音響」のみで人間の狂気、死、そして魂の救済を描き切るピンク・フロイドの新たなアイデンティティの確立を証明した。のちの『ライブ・アット・ポンペイ』や『狂気』へと直結する、初期ライブ・パフォーマンスの金字塔である。

和訳

[Part I: Something Else]

[第1部:サムシング・エルス(異質な何か)]
※リチャード・ライトによる不穏なシンバルの擦過音と不気味なオルガンが、ライブ会場の静寂を切り裂いていく。戦争の火蓋が切られる直前の異常な緊張感、あるいはシド・バレットという中心を失ったバンドが直面した「先行きの見えない暗黒」を、圧倒的な没入感で音響化している。

[Part II: Syncopated Pandemonium]

[第2部:シンコペイテッド・パンデモニウム(切分法的な大混乱)]
※ニック・メイソンのトライバルで破壊的なドラム・ループと、ロジャー・ウォーターズの打ち鳴らすゴング、そしてデヴィッド・ギルモアの凶暴なノイズ・ギターが激しく衝突する「戦闘状態」のパート。スタジオ版以上に暴力性とカオスが剥き出しになっており、当時の彼らが抱えていた怒りや破壊衝動がライブという空間で爆発している。

[Part III: Storm Signal]

[第3部:ストーム・シグナル(嵐の予兆/警報)]
※戦闘の狂騒が突如として止み、荒涼とした静寂が訪れる。ライトのくぐもったオルガンが、死屍累々の戦場に鳴り響く鎮魂のサイレンのように響く。徹底した破壊の後に残された決定的な喪失感と虚無感が、ライブならではの息を呑むような間合いと残響で表現されている。

[Part IV: Celestial Voices]

[第4部:セレスティアル・ヴォイセズ(天上の声)]
※本作のハイライトにして、ロック史に残る最も美しい瞬間の一つ。ライトの荘厳なオルガンのコード進行に乗せ、ギルモアによる言葉を持たないスキャット・ボーカル(天上の声)が響き渡る。絶望的な死と喪失の果てに訪れる、絶対的な魂の救済と昇華。シド・バレットへの鎮魂歌(レクイエム)ともとれるこの祈りのパートは、ライブ演奏において神々しいまでのオーラを放ち、聴衆を圧倒的なカタルシスへと導く。

[Instrumental]

※言語(論理)を完全に放棄し、純粋な音響と人間の声の力だけで構築されたこの長尺の組曲は、ピンク・フロイドが「サイケデリック・バンド」から、空間と感情を支配する「プログレッシブ・ロックの王者」へと完全に脱皮した瞬間を記録している。彼らはシドの喪失という悲劇を乗り越え、自らの手で新たな神話を作り上げたのだ。

 

A Saucerful of Secrets (Live)

A Saucerful of Secrets (Live)

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