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Superhero (Heroes & Villains) - Metro Boomin, Future & Chris Brown 【和訳・解説】

Artist: Metro Boomin, Future & Chris Brown

Album: HEROES & VILLAINS

Song Title: Superhero (Heroes & Villains)

概要

本作は、Metro Boominの傑作アルバム『HEROES & VILLAINS』(2022年)の核となるトラックであり、前半の「Superhero」と後半の「Villain」という明確な二部構成でアルバムのテーマを体現している。前半ではアトランタの盟友Futureが、リーンやピルといったドラッグによる陶酔感を「スーパーヒーローのパワー」に見立て、成功とストリートの生々しい現実をアグレッシブなトラップビートに乗せて誇示する。ビートスイッチ後の後半ではChris Brownが登場し、名声の重圧や成功者を憎む世間の嫉妬心を描き出す。JAY-Zの口を通した映画『ダークナイト』の有名な台詞の引用は、「成功すればするほど悪役に仕立て上げられる」というエンタメ界やヒップホップシーンの冷酷な真理を突いており、社会の二面性を抉る重層的な傑作である。

和訳

[Part I: "Superhero"]

[Intro: Future]
Yeah, yeah, tuh
イェー、イェー。

(Metro)
(メトロ)

Yeah, yeah
イェー、イェー。

[Verse 1: Future]
Drankin' dope turned me to a superhero, yeah, yeah
ドープ(シロップ)をキメたら、俺はスーパーヒーローになっちまった。
※Drankin' dope=咳止めシロップ(プロメタジン・コデイン)とスプライトなどを混ぜたドラッグ「リーン」を飲むこと。Futureの代名詞的ドラッグであり、これを飲むことで無敵のパワーを得るというメタファーである。

Hit that pill, turned me to a superhero, yeah, yeah (Super)
ピルをキメたら、スーパーヒーローになっちまった。
※pill=パーコセットやエクスタシーなどの錠剤型ドラッグ。

Boominati turned me to a superhero, yeah, yeah (Metro)
ブーミナティが俺をスーパーヒーローに変えたんだ。
※Boominati=Metro Boominのレーベル名「Boominati Worldwide」のこと。イルミナティのような絶対的な権力や秘密結社的なニュアンスを含ませている。

(If Young Metro don't trust you, I'm gon' shoot you)
(もしヤング・メトロがお前を信用しねえなら、俺が撃ち抜いてやる)
※Metro Boominの最も有名なプロデューサータグ。声の主はFuture自身である。

I'm on that dope again, I'm in that flow again
またドープをキメて、いつものフローに入ってるぜ。

Switch up the flow again, yeah, yeah (Switch it)
またフローを切り替えるぜ。

Flyer than a parachute, grippin' that pole again
パラシュートより高く飛んで、またあの銃を握る。
※pole=銃を指すストリート・スラング。

I'm on that oil again, yeah, yeah
またオイルをやってるぜ。
※oil=ここでは上質な大麻の抽出物(THCオイル)や、シロップ(リーン)の粘り気を指す。

Candy in the cup, gotta get paid (What?)
カップの中にはキャンディ、金はきっちり稼がねえとな。
※Candy in the cup=リーンを作る際、味付けのためにジョリーランチャーなどのキャンディをカップに入れるストリートの定番レシピ。

King in the streets (Yeah), young nigga made
ストリートの王、成り上がった若きハスラーさ。

Sprayin' up the crowd (What?), take it to the grave
群衆に向かってブッ放す、墓場まで持っていくぜ。
※Sprayin'=銃を乱射する様、あるいはシャンパンなどを派手に撒き散らす様。

[Chorus: Future]
Ain't havin' problems, I'm sippin' the Barre
問題なんかねえよ、俺はBarreをすすってる。
※Barre=Hi-TechやActavisに並ぶ、プロメタジン・コデインを含む咳止めシロップのブランド名。

Shout out to Dallas, my bitch is a star
ダラスにシャウトアウト、俺のビッチはスターだぜ。
※ダラスはシロップ文化と関わりが深く、ダラス発祥の言葉遊びやストリートの繋がりを示唆している可能性がある。

Nigga get rich, better take it to war (Yeah)
金持ちになったなら、戦争に持ち込む覚悟を決めな。

Piss on your casket, shoot at your broad
お前の棺桶に小便を引っ掛けて、お前の女も撃ち抜いてやる。

Do you somethin' nasty, roll you in a 'gar
エグいことしてやるよ、お前を葉巻で巻いて吸ってやる。
※roll you in a 'gar=敵を殺してその灰を葉巻(シガー)に混ぜて吸うという、究極のディスと勝利の誇示を意味するスラング「Smoking on (敵の名前)」の表現。

Bitch get graphic, fuck me in a car
ビッチが過激に迫ってくる、車の中でヤっちまうぜ。

I get you a brand-new Rollie tomorrow
明日には新品のロレックスを買ってやるよ。
※Rollie=ロレックス(Rolex)の時計。

I put that brand-new Rollie on your arm
その新品のロレックスを、お前の腕に着けてやる。

I ain't movin' slow, but I'm still on oil
動きは遅くならねえが、まだオイル(リーン)はキメてるぜ。
※リーンを飲むと動作が鈍くなる(slowed down)のが普通だが、Futureはそれに耐性があり、常に最前線で稼ぎ続けているというフレックス。

Tennis bracelets and they came with the frost
テニスブレスレット、霜が降りたみたいに凍りついてるぜ。
※frost=ダイヤモンドが密集して氷のように輝く様(Ice)を「霜」に例えている。

Cuban links all the way up to your jaw (All the way up)
キューバンリンクスのチェーンが、顎の高さまで積み上がってる。
※Cuban links=太くて重厚なゴールドチェーンの種類。大量のチェーンを首に巻いている金持ちアピール。

Step up the swag when I step on a broad
女に近づくときは、さらにスワッグを上げていくぜ。

[Verse 2: Future]
Two thousand half, ooh, that's the cheapest one
2500ドル、それが一番安い靴だ。
※Two thousand half=2500。高級ブランドのスニーカーや靴の値段を誇示している。

Stackin' these hundreds up like coupons
100ドル札をクーポンのように積み重ねる。

Told you from the begin, upper echelon
最初から言っただろ、俺は上流階級(アッパー・エシュロン)だってな。

I get to stackin' up, I'm untouchable
札束を積み上げりゃ、俺はアンタッチャブル(誰も触れられない存在)さ。

I get to represent, money multiple
俺がレペゼンする、金はどんどん倍増していく。

I'm at the top of the charts, unapproachable
チャートの頂点に君臨してる、誰も近づけねえよ。

Bread by the loaf, turbo the motor
パンは一斤まるごと、エンジンのターボを吹かすぜ。
※Bread=お金を意味するスラング。スライスではなく「loaf(一斤)」で稼ぐ=大金を手にするという意味。

Tic-tac-toe, kill another vulture
三目並べみたいに、ハゲタカ共をまた一人始末する。
※vulture=死肉を漁るハゲタカ。ここでは他人の成功に群がる偽物やハイエナのような連中を指す。

Sellin' the 'bows, bitch do yoga
マリファナの束を売りさばく、ビッチはヨガのポーズだ。
※'bows=elbowsの略で、1ポンド(約450g)のマリファナを意味するスラング。

I deserve awards, servin' these boulders
賞をもらってもいいくらいだ、こんな巨大なヤクを売りさばいてるんだからな。
※boulders=岩。ここでは大きな塊のクラック・コカインや極上のドラッグを指す。

A hundred grand large when I shop, that's the total
買い物をすりゃ10万ドル、それがお会計だ。
※A hundred grand=10万ドル。

Fill up the garage, bitch, I'm a mogul
ガレージを高級車で埋め尽くす、俺はもう大物(モーグル)だぜ。

Ain't no facadin', ain't no fugazi
見栄なんか張らねえ、偽物(フガジ)は一切ねえよ。
※fugazi=偽物、インチキを意味するスラング。

I jump it off, I get paid
俺が口火を切る、そして金を稼ぐ。

Drop-top Royce, I'm goin' crazy
オープンカーのロールスロイスで、狂ったように飛ばすぜ。

I push off, smokin' on haze (Woah)
車を発進させる、ヘイズ(上質な大麻)を吸いながらな。

Not tryna floss, Cartier shades
見せびらかすつもりはねえよ、カルティエのサングラスをかけてるだけだ。
※floss=自慢する、見せびらかすこと。

Candy in the cup, gotta get paid (What?)
カップの中にはキャンディ、金はきっちり稼がねえとな。

King of the streets (Yeah), young nigga made
ストリートの王、成り上がった若きハスラーさ。

Sprayin' up the crowd (What?), take it to the grave
群衆に向かってブッ放す、墓場まで持っていくぜ。

[Chorus: Future]
Ain't havin' problems, I'm sippin' the Barre
問題なんかねえよ、俺はBarreをすすってる。

Shout out to Dallas, my bitch is a star
ダラスにシャウトアウト、俺のビッチはスターだぜ。

Nigga get rich, better take it to war (Yeah)
金持ちになったなら、戦争に持ち込む覚悟を決めな。

Piss on your casket, shoot at your broad
お前の棺桶に小便を引っ掛けて、お前の女も撃ち抜いてやる。

Do you somethin' nasty, roll you in a 'gar
エグいことしてやるよ、お前を葉巻で巻いて吸ってやる。

Bitch get graphic, fuck me in a car
ビッチが過激に迫ってくる、車の中でヤっちまうぜ。

I get you a brand-new Rollie tomorrow
明日には新品のロレックスを買ってやるよ。

I put that brand-new Rollie on your arm
その新品のロレックスを、お前の腕に着けてやる。

I ain't movin' slow, but I'm still on oil
動きは遅くならねえが、まだオイル(リーン)はキメてるぜ。

Tennis bracelets and they came with the frost
テニスブレスレット、霜が降りたみたいに凍りついてるぜ。

Cuban links all the way up to your jaw (All the way up)
キューバンリンクスのチェーンが、顎の高さまで積み上がってる。

Step up the swag when I step on a broad
女に近づくときは、さらにスワッグを上げていくぜ。

[Part II: "Villain"]

[Intro: JAY-Z]
Dark Knight feeling, die and be a hero
ダークナイトの気分だ、死んでヒーローになるか。

Or live long enough to see yourself become a villain
それとも、自分が悪役(ヴィラン)になるのを見届けるまで長く生き延びるか。
※映画『ダークナイト』におけるハービー・デント(トゥーフェイス)の有名な台詞「You either die a hero, or you live long enough to see yourself become the villain」をJAY-Zが引用した音声をサンプリング。ヒップホップにおける成功と、それに伴う反感や「ヘイター」の存在を映画のテーマと重ねている。

[Verse: Chris Brown]
Soon as you up, these niggas wanna bring you down
お前が上り詰めた途端、あいつらはお前を引きずり下ろそうとする。

The weight of the world sit on my shoulders, hold the crown
世界の重圧が俺の肩にのしかかる、それでも王冠を握りしめるんだ。

I ain't got a cape so I can't save you now
俺にはマントが無いから、もうお前らを救ってやることはできない。
※前段の「スーパーヒーロー」のモチーフを受けて、自分は人々を無条件に救うコミックのヒーローではないと現実を突きつけている。

Niggas wanna hate (Yeah), would rather see you drown (Drown)
連中はヘイトしたがる、お前が溺れていく姿を見たがるんだ。

And the world keep spinnin' (Yeah)
それでも世界は回り続ける。

Like I'm the only one in it (Am I the only one?) Why?
まるでこの世界に俺一人しかいないみたいに。(俺だけなのか?) なぜなんだ?

They don't wanna see you winnin' (No, no, no, no, yeah-yeah)
連中はお前が勝つところなんて見たくないんだよ。

So who's really the villain? (Yeah, yeah, ooh)
なら、本当の悪役(ヴィラン)は一体誰なんだ?
※成功者を妬み、没落を願う大衆こそが真の「ヴィラン」ではないのかという鋭い問題提起。Chris Brown自身がメディアや大衆からバッシングを受けてきた経歴ともリンクする。

Who's the villain? Who's the villain?
ヴィランは誰だ? 本当の悪役は誰なんだ?

[Outro: JAY-Z]
Live long enough to see yourself become a villain
自分が悪役になるのを見届けるまで、長く生き延びてみろ。

 

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