Artist: Nas
Album: Illmatic
Song Title: Represent
概要
ヒップホップの歴史的金字塔であるデビューアルバム『Illmatic』(1994年)において、Nasの地元であるクイーンズブリッジ(QB)の過酷なストリートの日常を最もハードコアに描き出したアンセムである。プロデュースはDJ Premierが手掛け、Lee Erwinの「Thief of Baghdad」から不穏で煙たいオルガンをサンプリングしたトラックは、90年代東海岸ヒップホップ特有の緊張感を完璧に体現している。警察とのイタチごっこ、ドラッグディール、ギャングスタのメンタリティを冷徹な視点で綴りながら、ヒップホップ黄金期のビーフ(ロクサーヌ戦争やブリッジ・バトル)の歴史にも言及するなど、ストリートの住人としてのプライドとヒップホップへの愛が「Represent(レペゼン)」という言葉に集約された名曲だ。
和訳
[Chorus]
Represent, represent
レペゼンしろ、俺のシマを代表するぜ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
[Verse 1]
Straight up, shit is real
マジな話、ここはリアルな世界だ。
And any day could be your last in the jungle
このジャングルじゃ、いつ最後の日になってもおかしくねぇ。
Get murdered on a humble, guns'll blast, niggas tumble
あっけなく殺され、銃が火を吹き、連中が倒れていく。
※on a humble=「謙虚に」が転じて、ストリートでは「あっさりと」「気づかないうちに」という意味合いで使われる。
The corners is the hot spot, full of mad criminals
街角はホットスポット(危険地帯)で、イカれた犯罪者だらけだ。
Who don't care, guzzling beers
奴らは何も気にせず、ビールをがぶ飲みしてる。
We all stare at the out-of-towners
俺らはよそ者(アウト・オブ・タウナーズ)をジッと睨みつける。
(Ayo, yo, who that?) They better break North
(おい、あいつ誰だ?)奴らは北(逃げる方向)へ消えた方が身のためだぜ。
Before we get the four pounders and take their face off
俺らが44口径(フォー・パウンダー)を持ち出して、顔面を吹っ飛ばす前にな。
※four pounders=44口径の銃器。
The streets is filled with undercovers, homicide chasing brothers
ストリートは覆面警官だらけで、殺人課(ホミサイド)が黒人たちを追い回してる。
The D's on the roof tryin' to watch us and knock us
屋上の刑事(D)が俺らを監視して、パクろうと狙ってやがる。
※D's=Detectives(刑事)のスラング。
And killer coppers even come through in helicopters
人殺しのサツどもは、ヘリコプターでまで乗り込んでくる始末だ。
I drink a little vodka, spark a L and hold a Glock for
俺はウォッカを軽く飲み、L(ブラント)に火をつけ、グロック(銃)を構える。
The fronters, wannabe ill niggas and spot runners
イキってる奴ら、ワルぶりたい連中、それから密売所の元締め(スポット・ランナー)に向けてな。
Thinking it can't happen 'til I trap 'em and clap 'em
俺が罠にはめて撃ち殺す(クラップする)までは、自分にはそんなこと起こらないと思ってやがるんだ。
And leave 'em done, won't even run about gods
奴らを片付けちまう。神々(ゴッズ)の教えで逃げ回ったりもしねぇ。
※gods=Five Percent Nation(ファイブ・パーセンターズ)の教えや神の概念。Nasは従来の宗教的信念に縛られず、ストリートの掟に従う姿勢を示している。
I don't believe in none of that shit, your facts are backwards
俺はそんな戯言は一切信じねぇ、お前らの真実は逆さまなんだよ。
Nas is a rebel of the street corner
Nasは街角の反逆者(レベル)だ。
Pulling a TEC out the dresser; police got me under pressure
タンスからTEC-9(サブマシンガン)を引っ張り出す。警察が俺にプレッシャーをかけてくるからな。
[Chorus]
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
[Verse 2]
Yo, they call me Nas, I'm not your legal type of fella
ヨォ、俺はNasって呼ばれてる。お前らが知ってるような合法的な(真っ当な)男じゃねぇ。
Moët drinking, marijuana smoking street dweller
モエ(シャンパン)を飲み、マリファナを吸うストリートの住人さ。
Who's always on the corner, rolling up bless
いつも街角に立って、極上のネタ(ブレス)を巻いてる。
※bless=祝福されるような上質な大麻を指すスラング。
When I dress, it's never nothing less than Guess
服を着る時は、Guess(ゲス)以下のブランドなんてあり得ねぇ。
※Guess=90年代初期のヒップホップシーンで若者たちに絶大な人気を誇ったファッションブランド。
Cold be walking with a bop and my hat turned back
クールにリズムに乗って歩き(ボップ)、帽子は後ろ被りだ。
Love committing sins and my friends sell crack
罪を犯すのが好きで、ダチはクラックを売ってる。
This nigga raps with a razor, keep it under my tongue
俺はカミソリを舌の下に隠し持ったままラップするぜ。
※刑務所やストリートで、襲われた時の護身用として口内にカミソリの刃を隠し持つ生々しい描写。
The school drop-out, never liked the shit from day one
学校の中退者だ、最初っからあんなクソみたいな場所は好きじゃなかった。
‘Cause life ain't shit but stress, fake niggas, and crab stunts
だって人生なんてストレスと、フェイクな奴らと、くだらねぇ(クラブ)見栄の張り合いでしかねぇからな。
So I guzzle my Hennessy while pulling on mad blunts
だから俺は、大量のブラントを吸いながらヘネシーをがぶ飲みするのさ。
The brutalizer, buddha-sizer, accelerator
残忍な奴(ブルータライザー)、大麻を量る奴(ブッダ・サイザー)、そして事態を加速させる奴(アクセラレーター)だ。
The type of nigga who be pissing in your elevator
お前らの(団地の)エレベーターでションベンするようなタイプの黒人だよ。
Somehow the rap game reminds me of the crack game
どういうわけか、ラップゲームはクラックゲーム(麻薬取引)を思い出させるんだ。
Used to sport Bally's and Cazals with black frames
昔はBallyの靴と黒縁のCazal(サングラス)をキメてた。
※BallyのシューズとCazalのサングラスは、80年代のオールドスクール・ヒップホップにおける富と成功の象徴的アイテム。
Now I'm into fat chains, sex and TECs
今じゃ極太のチェーン、セックス、それにTEC(銃)に夢中だ。
Fly new chicks and new kicks, Heines and Beck's
イカした新しい女に、新しいキックス(スニーカー)、それにハイネケンとベックス(ビール)さ。
[Chorus]
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent, represent
レペゼンしろ、レペゼンしろ。
[Verse 3]
No doubt, see my stacks are fat, this is what it's about
間違いない、俺の札束(スタック)は分厚いぜ。これこそがすべてだろ。
Before the BDP conflict with MC Shan
BDP(ブギー・ダウン・プロダクションズ)とMCシャンが対立する前からな。
※BDP conflict with MC Shan=80年代後半に起こったブロンクスとクイーンズのヒップホップ発祥地を巡る伝説的なビーフ「ブリッジ・バトル」への言及。
Around the time when Shante dissed the Real Roxanne
ロクサーヌ・シャンテがリアル・ロクサーヌをディスってた頃のことさ。
※80年代中盤に起こった、多数のラッパーがアンサーソングを出し合ったヒップホップ史上初の巨大ビーフ「ロクサーヌ戦争」。Nasが幼少期からヒップホップの歴史の真っ只中(クイーンズ)で育ったことを示している。
I used to wake up every morning, see my crew on the block
毎朝目を覚ますと、ブロックに俺のクルーがいるのを見てた。
Every day's a different plan that had us running from cops
毎日が違う計画(悪事)で、サツから逃げ回ってたよ。
If it wasn't hanging out in front of cocaine spots
コカインの密売所(スポット)の前にたむろしてない時は、
We was at the candy factory, breaking the locks
キャンディ工場に行って、鍵をぶっ壊して(忍び込んで)たのさ。
※少年時代の無邪気なイタズラと、ドラッグビジネスが隣り合わせにあるゲットーの日常。
Nowadays, I need the green in a flash just like the next man
今じゃ、他の奴らと同じように、一瞬で大金(グリーン)が必要なんだ。
Fuck a yard, god, let me see a hundred grand
100ドル(ヤード)なんてクソくらえだ、ゴッド。10万ドル(ハンドレッド・グランド)を見せてくれよ。
※yard=100ドル。grand=1,000ドル。
Could use a gun, son, but fuck being the wanted man
銃を使うのもありだが、指名手配犯になるのは御免だ。
But if I hit rock bottom, then I'ma be the Son of Sam
だが、もしどん底(ロックボトム)に落ちたら、俺は「サン・オブ・サム」にでもなってやる。
※Son of Sam=1970年代後半にニューヨークを恐怖に陥れた連続殺人鬼、デビッド・バーコウィッツの異名。
Then call the crew to get live too, with Swoop
そしたらクルーを呼んで、スウープと一緒に暴れまわる(ゲット・ライブ)のさ。
Barkim, my brother Jungle, Big Bo cooks up the blow
バーキム、俺の弟ジャングル、ビッグ・ボーがコカイン(ブロウ)を調理(精製)する。
Mike'll chop it; Mayo, you count the profit
マイクがそれを切り分け、マヨ、お前が利益を数えろ。
My shit is on the streets, this way the Jakes'll never stop it
俺のシット(音楽/薬)はストリートにある。こうすればサツ(ジェイク)にも絶対止められねぇ。
※Jake=警察のスラング。自分の音楽がドラッグのようにストリートに蔓延し、誰も止められないことを示唆している。
It's your brain on drugs, to all fly bitches and thugs
これは「薬物によるお前の脳」さ。すべてのイカしたビッチとサグたちへ。
※It's your brain on drugs=1980年代のアメリカで行われた有名な麻薬撲滅キャンペーンのキャッチコピーを皮肉って引用している。Nasの音楽がいかに中毒性があるかというアピール。
'Nuff respect to the projects, I'm ghost, one love
プロジェクト(団地)に最大のリスペクト(ナフ・リスペクト)を。俺は消える(ゴースト)ぜ、ワン・ラブ。
[Chorus]
Represent y'all, represent
みんなレペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent y'all, represent
みんなレペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent y'all, represent
みんなレペゼンしろ、レペゼンしろ。
Represent y'all, represent
みんなレペゼンしろ、レペゼンしろ。
[Outro]
One time for your mothafuckin' mind
お前らのクソったれなマインドに一発カマすぜ。
This goes out to everybody in New York
これはニューヨークの全員に捧げる。
That's living the real fucking life in every projects, all over
すべてのプロジェクト(団地)で、リアルなクソ人生を生きてる奴らへ。
To my man Big Will, he's still here
俺のダチ、ビッグ・ウィルへ。アイツはまだここにいる。
The 40 side of Vernon, my man Big L.E.S
ヴァーノンの40サイド、俺のダチ、ビッグ・L.E.S.。
Big Cee-Lo from the Dime, Shawn Penn, the 40 busters
ダイムのビッグ・シーロ、ショーン・ペン、40バスターズ。
My crew the shorty busters, the 41st side of Vernon posse
俺のクルー、ショーティ・バスターズ、ヴァーノン41サイドのポッセ。
The Goodfellas, my man Cormega, Lakey the Kid
グッドフェローズ、俺のダチのコーメガ、レイキー・ザ・キッド。
Can't forget Drawz, the Hillbillies
ドローズ、ヒルビリーズも忘れちゃいけねぇ。
My man Slate, Wallethead, Black Jay, Big Oogie
俺のダチのスレート、ウォレットヘッド、ブラック・ジェイ、ビッグ・ウギー。
Crazy barrio spot, (Big Dove), we rock shit a lot, PHD
クレイジーなバリオ(地区)の溜まり場、(ビッグ・ダヴ)、俺らはよく暴れたな、PHD。
And my man Preemo from Gang Starr
そしてGang Starrの俺のダチ、プリーモ(DJ Premier)へ。
'94 real shit y'all (word up Harry O)
94年のリアルなシットだぜ、みんな(マジだぜ、ハリー・O)。
Fuck y'all crab-ass niggas though!
だけどよ、クソみてぇな(クラブ)お前らは全員クソくらえだ!
※クイーンズブリッジの仲間たち(Illmaticの他曲にも登場するCormegaやL.E.S.など)やプロデューサーへのシャウトアウトで締めくくられる。
[Nas' posse]
Bitch ass niggas! Bitch ass niggas!
ビッチみたいな野郎どもが!
You bitch ass motherfuckers!
このクソビッチ野郎どもが!
Come to Queensbridge, motherfucker!
クイーンズブリッジに来てみろよ、クソ野郎!
Yeah, yeah, let's bring it back
あぁ、あぁ、もう一回戻そうぜ。
That's just a warm up
今のはただのウォーミングアップだ。
‘Cause I can– on anybody, anybody
だって俺は誰だって、誰が相手だって(やっちまえる)からな。
