Artist: Kanye West
Album: 808s & Heartbreak
Song Title: RoboCop
概要
2008年の傑作アルバム『808s & Heartbreak』に収録された本作は、過干渉で嫉妬深い恋人をSF映画のサイボーグ警官「ロボコップ」に見立てたシニカルな一曲だ。自身の携帯や過去の女性関係を徹底的に監視し、まるで仮釈放中の囚人のように扱うパートナーへの不満を、ユーモアを交えながら歌い上げている。シンセサイザーと808ドラムの無機質なビートに、流麗でシネマティックなオーケストラ・ストリングスを融合させたサウンドは、冷徹な「機械」と感情豊かな「人間」の対比を見事に音像化している。アルバム全体を覆う重苦しい失恋のトーンの中で、Kanye特有のコミカルな毒っ気と、LAのセレブ文化に対する痛烈な皮肉が光る異色作にして重要曲である。
和訳
[Verse 1]
'Bout the baddest girl I ever seen
俺が今まで見た中で、一番イケてる女の話さ。
Straight up out a movie scene
まるで映画のワンシーンからそのまま飛び出してきたようなな。
Who knew she was a drama queen
あいつが「ドラマ・クイーン」だったなんて、誰が知ってたよ?
※drama queen=些細なことを大袈裟に騒ぎ立てて、悲劇のヒロインを気取る女性のこと。
That'd turn my life to Stephen King's?
俺の人生をスティーヴン・キングのホラー小説みたいに変えちまうなんてさ。
※Stephen King=モダンホラーの巨匠。美しかった恋愛が、いつの間にか恐怖のサイコスリラーに変わってしまったことを示唆している。
Up late night like she on patrol
夜遅くまで起きてて、まるでパトロールしてるみたいだ。
Checking everything like I'm on parole
俺が仮釈放中の身であるかのように、何から何までチェックしやがる。
※parole=「仮釈放」。パートナーの執拗な束縛と監視を、警察と犯罪者の関係に例えている秀逸なラインである。
I told her there's some things she don't need to know
知らなくていいことだってあるだろ、って言ったのに。
She never let it go, oh
あいつは絶対に引き下がらないんだ、ああ。
[Chorus]
Okay, okay, okay, okay
オーケイ、オーケイ、分かったよ。
You will never stop it now
もう今さらお前は止められないんだろ。
You never stop it now
お前は絶対に止めないんだ。
Okay, okay, okay
オーケイ、オーケイ、分かったって。
You will never stop it now
もう今さらお前は止められないんだろ。
You need to drop it now
いい加減にしろよ。
※drop it=「その話をやめる」「諦める」の意。
Drop it, drop it
やめろって、いい加減にな。
[Post-Chorus]
'Cause I don't want no RoboCop
だって俺は「ロボコップ」なんて求めてねえんだから。
※RoboCop=1987年の同名SF映画の主人公。感情を持たず、プログラムされた通りに冷徹に法を執行するサイボーグ警官の比喩である。
You moving like a RoboCop
お前の動きはまるでロボコップじゃねえか。
When did you become a RoboCop?
お前はいつからロボコップになっちまったんだよ?
Now, I don't need no RoboCop
今の俺にロボコップなんて必要ねえんだよ。
[Verse 2]
Just looking at your history
お前の過去(ヒストリー)を見てみるとさ。
You're like the girl from Misery
お前はまるで映画『ミザリー』の女だな。
※Misery=スティーヴン・キング原作のサイコスリラー映画。主人公の作家を監禁し、狂気的な愛情を向ける女性ファンであるアニー・ウィルクスのこと。Verse 1のStephen Kingの伏線をここで回収している。
She said she ain't take it to this degree
あいつは「そこまではやってない」って言うけど。
Well, let's agree to disagree, ha
まあ、お互い分かり合えないってことで合意しようぜ、ハッ。
※agree to disagree=意見の不一致を認める、平行線であることを受け入れるという決まり文句。
Shorty kind of crazy, but it turn me on
あの娘はちょっとイカれてるけど、そこが俺を興奮させるんだ。
※turn me on=性的に興奮させる。狂気的な束縛を嫌がりながらも、その強い執着に惹かれてしまうKanyeの歪んだ愛情とエゴが垣間見える。
Keep it up enough to keep it going on
関係が続く程度には、その調子でやってくれよ。
I told her there's some things she don't need to know
知らなくていいことだってあるだろ、って言ったのに。
She never let it go, oh
あいつは絶対に引き下がらないんだ、ああ。
[Chorus]
Okay, okay, okay, okay
オーケイ、オーケイ、分かったよ。
You will never stop it now
もう今さらお前は止められないんだろ。
You never stop it now
お前は絶対に止めないんだ。
Okay, okay, okay
オーケイ、オーケイ、分かったって。
You will never stop it now
もう今さらお前は止められないんだろ。
You need to drop it now
いい加減にしろよ。
Drop it, drop it
やめろって、いい加減にな。
[Post-Chorus]
'Cause I don't want no RoboCop
だって俺は「ロボコップ」なんて求めてねえんだから。
You moving like a RoboCop
お前の動きはまるでロボコップじゃねえか。
When did you become a RoboCop?
お前はいつからロボコップになっちまったんだよ?
Somebody please make her stop
誰か頼むからあいつを止めてくれよ。
[Bridge]
Stop, drop, roll, pop
止まって、倒れて、転がって、弾けろ。
※Stop, drop, and roll=火事の際に衣服に火がついた時の対処法を教える米国の標語。ここでは、パートナーからの追及という「炎(トラブル)」から逃れようとする様をコミカルに表現している。
****, I'm cold
くそっ、俺だって冷酷だからな。
I ain't used to being told, "Stop"
俺は「止まれ」なんて命令されることには慣れてねえんだよ。
So I could never be your robot
だから俺がお前のロボットになることなんて絶対にねえ。
Fast or slow, you can stay or can go
早くても遅くても、お前はここに居てもいいし、出て行ってもいいぜ。
Now, now that you know
なあ、これで分かっただろ。
Now, now that you know
なあ、これで分かっただろ。
Yeah, I had her before, but that happened before
ああ、昔あの女とヤッたけど、それは過去の話だ。
※浮気や過去の女性関係を追求されている生々しい描写。
You get mad when you know, so just don't ask me no more
知ったらどうせキレるんだから、これ以上俺に聞くんじゃねえよ。
[Chorus]
Okay, okay, okay, uh, uh
オーケイ、オーケイ、分かったよ、アー、アー。
It ain't okay, okay, okay, uh
いや、全然オーケイじゃねえよ、アー。
[Outro]
You spoiled little L.A. girl
お前は甘やかされたLAの小娘さ。
※L.A. girl=ロサンゼルスの物質主義的で自己中心的なセレブ女性のステレオタイプ。Kanyeが直面していた虚栄心の強いハリウッドのライフスタイルに対する皮肉である。
You're just an L.A. girl
お前はただのLAの女なんだよ。
You spoiled little L.A. girl
甘やかされたLAの小娘。
You're just an L.A. girl
ただのLAの女さ。
You spoiled little L.A. girl
甘やかされたLAの小娘。
You're just an L.A. girl
ただのLAの女さ。
You need to stop it now
今すぐやめるべきだぜ。
You spoiled little L.A. girl
甘やかされたLAの小娘。
You're just an L.A. girl
ただのLAの女さ。
You need to stop it now
今すぐやめるべきだぜ。
Oh, you're kidding me
おい、冗談だろ。
You must be joking
冗談言ってるに決まってる。
Or you are smoking
それとも葉っぱでも吸って頭イカれてんのか?
※smoking=マリファナなどを吸っている状態。相手のありえない言動に対するストリートなツッコミである。
Oh, oh, you're kidding me
ああ、冗談だろ。
Oh, you're kidding me
ああ、冗談だろ。
Haha, that was a good one
ハハッ、今のウケるな。
Your first good one in a while
久々に聞いた傑作なジョークだぜ。
※相手の度を越した被害妄想や束縛を、もはや「悪い冗談」として笑い飛ばしているエンディング。
Your first good one in a while
久々に聞いた傑作なジョークだ。
You need to stop it now
いい加減にしろよな。
You need to stop it now
いい加減にしろって。
Oh, you need to stop it now
ああ、マジでいい加減にしてくれ。
