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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Cats - Mitski 【和訳・解説】

Artist: Mitski

Album: Nothing’s About to Happen to Me

Song Title: Cats

概要

2026年リリースのアルバム『Nothing’s About to Happen to Me』に収録された本楽曲は、終わりゆく関係の境界線で立ち尽くす主人公の静かな諦念を描いた小品である。別れの決断を相手に委ねながら、ベッドの傍らに眠る「2匹の猫」に無言の慰めを見出す姿は、あまりにも痛ましく美しい。ミニマルなサウンドの余白が、ミツキ特有の映画的な叙情性と生々しい感情の震えを際立たせている。愛と執着、そして他者の自由を最終的に肯定する本作は、インディー・シーンにおいて唯一無二の存在感を誇る彼女の、鋭利で文学的な観察眼が光る名曲だ。

和訳

[Chorus]

I won't leave you 'cause I still love you
私はあなたから離れないわ、だってまだ愛しているから

So it's up to you if you choose to go
だから、ここから去るかどうかを選ぶのはあなた次第なの

In the meantime, sleeping by my side
その間、私のそばで眠っているのは

Our two cats, making sure I'll be alright
2匹の猫たち、私が大丈夫か確かめるようにね
※破綻に向かう関係性の中で、決断の責任を他者に委ねる受動的な諦念が描かれている。動物(猫)の無償の寄り添いが、人間の愛情の複雑さと対置されるミツキらしい残酷で美しい情景である。

[Verse 1]

You say, "It's so hard"
あなたは「すごく難しい」って言うけれど

But it feels simple to me
私にとっては、とてもシンプルなことのように思えるの

It feels so simple to me
本当に、とてもシンプルに思えるのよ

So I've been trying to stop trying
だから、もう努力するのはやめようとしてきたの

To be like someone you'd still like
あなたが今でも好きでいてくれるような「誰か」になるための努力を

Maybe if I could, you already would
もし私がそうなれていたなら、あなたはとっくに私を愛してくれていたはずだもの
※「愛されるための自己変容」という虚しい努力からの解放。シンプルな愛情の非対称性が、無駄を削ぎ落とした言葉によって鋭く胸を突く。

[Chorus]

'Cause I still love you, so I won't leave you
だってまだ愛しているから、私はあなたから離れないわ

Guess it's up to you if you choose to go
去るかどうかを選ぶのは、あなた次第みたいね

In the meantime, rescues at my side
その間、私のそばで救いとなっているのは

Our two cats, both asleep by me tonight
2匹の猫たち、今夜も私のそばで眠っているわ

[Verse 2]

Maybe tomorrow night
もしかしたら明日の夜には

The cats will be nowhere in sight
この猫たちの姿も、どこにも見当たらなくなるかもしれない

But I'll be glad to know
でも、私は嬉しく思うはずよ

Thеy're out following their heart's dеlight
彼らが心の喜ぶほうへ、自由に外を歩き回っているのだと知れたなら
※最終連において、猫たちの不在(自由な選択)を肯定する主人公の姿が描かれる。これは、去りゆくであろう恋人の自由(heart's delight)を静かに許容し、自己の孤独を最終的に引き受けるという、ミツキ特有の崇高な自己犠牲と孤立のメタファーとして機能している。

 

Cats

Cats

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