Artist: Bruno Mars
Album: The Romantic
Song Title: Risk It All
概要
ブルーノ・マーズのコンセプチュアル・アルバム『The Romantic』に収録された「Risk It All」は、彼が長年追求してきたクラシック・ソウルとドゥーワップの美学が極限まで凝縮された珠玉のバラードである。モータウン黄金期のきらびやかなオーケストレーションを想起させつつも、洗練されたプロダクションによって、単なるノスタルジーに留まらない「現代のスタンダード」として成立している。本作のテーマは、文字通り「愛する人のために全てを懸ける」という古典的かつ普遍的なロマンスだ。マーヴィン・ゲイのような甘く情熱的なファルセットから力強いベルティングへとシームレスに移行するブルーノのボーカル・ワークは、圧倒的な表現力を見せつけている。大仰なまでの献身を歌いながらも、どこか余裕のある「プレイボーイの気品」を失わない彼のバランス感覚は、現代ポップシーンにおいて唯一無二の存在感を示していると言えよう。
和訳
[Verse 1]
For just the chance to win your heart
君の心を射止めるチャンスをもらえるなら
You could set the bar beyond the stars
星の彼方にだってハードルを設定してくれていいぜ
※「set the bar」は基準や目標を高く設定するという意味のイディオム。モータウン期によく見られた「宇宙」や「星」をモチーフにした、クラシカルで大袈裟な愛のメタファーを踏襲している。
I'll do anything, anything you ask me to
君が望むことなら、なんだってやってみせるよ
[Pre-Chorus]
Say you want the moon
「月が欲しい」って言ってみてごらん
Watch me learn to fly
俺が空の飛び方を覚えるのを見ててよ
※フランク・シナトラの「Fly Me to the Moon」を彷彿とさせる、古き良きアメリカン・ポップスへのオマージュ。ブルーノのルーツであるクラシック・スタイルへの深い敬意が表れている。
Ain't no mountain you could point to
君が指差すどんな高い山だって
I wouldn't climb
俺が登れない山なんてないのさ
※マーヴィン・ゲイとタミー・テレルの名曲「Ain't No Mountain High Enough」からの明白な引用。ソウル・ミュージックの歴史において「無償の愛」を表現する究極のクリシェを見事に現代へ昇華している。
[Chorus]
It's crazy, but it's true
狂ってるって思うかもしれないけど、本当なんだ
There's nothing I won't do
君のためならできないことなんてない
I'd risk it all for you
君のためなら、俺のすべてを懸けてみせるよ
※「risk it all」というフレーズは、カジノやギャンブルを強く想起させる。ブルーノ自身が持つ「ラスベガスのショーマン」としてのペルソナと、純粋な愛の告白が見事に重なり合うダブルミーニングとして機能している。
[Verse 2]
To hold your hand and call you mine
君の手を握って、俺の女だって呼べるように
I'm tryna be your man 'til the end of time
この命が尽きるまで、君だけの男になろうとしてるのさ
Oh, I'll do anything, anything you ask me to
ああ、君が望むことなら、なんだってやってみせるよ
[Pre-Chorus]
I would run through a fire
燃え盛る炎の中だって駆け抜けてみせる
Just to be by your side
ただ君のそばにいるためだけにね
If your heart's on the line
もし君の心が危機に晒されているなら
You could take mine
代わりに俺の心を持っていってくれ
※「on the line」は「危険に晒されて」「賭けられて」という意味。ここでは「心(命)を懸ける」という究極の献身を表現しており、R&B特有の「Pain(痛み)」を伴う愛の深さを強調している。
[Chorus]
It's crazy, but it's true
狂ってるって思うかもしれないけど、本当なんだ
There's nothing I won't do
君のためならできないことなんてない
I'd risk it all for you
君のためなら、俺のすべてを懸けてみせるよ
[Bridge]
I would swim across the sea just to show you
海だって泳いで渡ってみせるさ、君に証明するために
Sacrifice my life just to hold you
君を抱きしめるためなら、この命だって捧げよう
I could go on and on
どれだけでも言葉を並べられるよ
To prove that you belong here in my arms
君の居場所は俺の腕の中なんだって、証明するためにね
※「belong here in my arms」は、力強さと同時に包容力を感じさせるフレーズ。数々の極端な行動(海を泳ぐ、命を捧げる)を挙げた後に、最終的な目的が「ただ抱きしめること」に収束する点に、ロマンチストとしての真骨頂がある。
[Pre-Chorus]
Say you want the moon
「月が欲しい」って言ってみてごらん
Watch me learn to fly
俺が空の飛び方を覚えるのを見ててよ
Ain't no mountain you could point to
君が指差すどんな高い山だって
I wouldn't climb
俺が登れない山なんてないのさ
[Chorus]
It's crazy, but it's true
狂ってるって思うかもしれないけど、本当なんだ
There's nothing I won't do
君のためならできないことなんてない
I'd risk it all for you
君のためなら、俺のすべてを懸けてみせるよ
It's crazy, but it's true
狂ってるって思うかもしれないけど、本当なんだ
There's nothing I won't do
君のためならできないことなんてない
I'd risk it all for you
君のためなら、俺のすべてを懸けてみせるよ
