Artist: Kanye West
Album: Graduation
Song Title: The Glory
概要
『Graduation』に収録された本作は、カニエ・ウェストが自身の成功と栄光を高らかに祝福する「ビクトリー・ラップ」的な一曲だ。Laura Nyroの「Save the Country」を早回しでサンプリングした、カニエの代名詞とも言えるソウルフルなチップマンク・サウンドが炸裂している。かつて母親のボルボを乗り回し、ガス代を削ってまで服につぎ込んでいた下積み時代と、グラミー賞で奇抜なタキシードを着こなし、ハイブランドを身に纏う現在のスーパースターとしての姿を対比。彼の強烈なエゴとファッションへの執着、そしてヒップホップ界の頂点に立ったという自負が痛快に描かれたクラシックである。
和訳
[Intro: Kanye West & Laura Nyro]
In my soul
魂の中で
Gonna take you to the glory
お前らを栄光へと連れてってやる
Goal, in my mind I can't study war, yeah, my
頭の中のゴール、争いごとなんてかまっちゃいられねえ
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
※サンプリング元であるLaura Nyroの「Save the Country」のフレーズ。「study war」は黒人霊歌に由来する言葉で、ここではラッパー同士のつまらないビーフや諍いに時間を割くのではなく、自身の成功と栄光(Glory)に集中するというカニエのスタンスを示している。
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
[Chorus: Kanye West & Choir]
Now where the South Side?
サウスサイドはどこだ?
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
Now where the West Side?
ウエストサイドはどこだ?
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
[Verse 1: Kanye West]
Can I talk my shit again? Even if I don't hit again?
また俺の言いたいこと言わせてもらうぜ? たとえ二度とヒット曲が出なくてもな。
Dawg, are you fucking kidding?
おい、冗談キツイぜ?
My hat, my shoes, my coat, Louis Vuitton stitch
俺のハット、シューズ、コート、どれもルイ・ヴィトンのステッチ入りだ
With Donatella Versace, that's Louis Vuitton, bitch
ドナテラ・ヴェルサーチと一緒にいるんだぜ、これがルイ・ヴィトンってもんよ、ビッチ。
※カニエのハイファッションへの異常な執着とコネクションの誇示。ルイ・ヴィトンのアイテムを身につけつつ、ヴェルサーチのデザイナーであるドナテラと親交があるという業界内のステータスを見せつけている。
I think Hennessy, I drink, I'm gone
ヘネシーを思い浮かべ、飲み干し、俺は飛ぶ
Off that Bacardí Limon and Corona, I'm zonin'
バカルディ・リモンとコロナのせいで、完全にゾーンに入っちまってる
Class back in session so I upped it a grade
授業再開だ、だから俺は成績(グレード)を一つ上げたぜ
In two years, Dwayne Wayne became Dwyane Wade
たった2年で、ドウェイン・ウェインがドウェイン・ウェイドになっちまったんだ。
※Dwayne Wayneは80年代のシットコム『A Different World』に登場するオタク気質のキャラクター。一方のDwyane Wadeは当時のNBAで頂点に立ったスーパースター。カニエ自身がデビューから短期間で「オタクっぽいプロデューサー」から「頂点に立つ大スター」へと変貌を遂げたことを巧みに掛けている。
And hey, please don't start me
だからおい、俺を怒らせるなよ
I'm like Gnarls Barkley meets Charles Barkley
俺はナールズ・バークレイとチャールズ・バークレーを掛け合わせたような存在だ。
※Gnarls Barkleyは「Crazy」の大ヒットで知られるソウル/ポップデュオ。Charles Barkleyは破天荒なプレイスタイルと発言で知られるNBAのレジェンド。自身の持つ「音楽的な天才性」と「歯に衣着せぬ過激なキャラクター」を同姓の二人を用いて表現している。
I'm pop the Barkers, I'm hood the Parkers
ポップさなら『ザ・バーカーズ』、フッド感なら『ザ・パーカーズ』ってとこか。
※『Meet the Barkers』は白人ロックスター(Travis Barker)のリアリティ番組。『The Parkers』は黒人家庭を描いたシットコム。メインストリームの白人層(ポップ)とストリートの黒人層(フッド)の両方から支持を得ているという自負。
While y'all was in limbo, I raised the bar up
お前らが宙ぶらりんで停滞してる間に、俺はハードル(バー)をぶち上げてやったんだよ。
※limbo(リンボーダンス、または停滞状態)の「バーの下をくぐる」という動作と、ヒップホップ界の基準(Bar)を「高く持ち上げる(raise)」ことを掛けた鮮やかなワードプレイ。
I touched on everything
俺はすべてを手に入れた
Married to the game, rock a chain 'steada wedding ring
このラップゲームと結婚したから、結婚指輪の代わりにチェーンを揺らしてんのさ。
Y'all bridesmaids catch the garter
お前らブライズメイド(花嫁介添人)ども、ガーターでも受け取っときな。
On nights when 'Ye romance, cameras flash so much
イェがロマンスを楽しむ夜は、カメラのフラッシュが炊かれまくるから
That I gotta do that Yayo dance
あの「イェイヨ・ダンス」をやんなきゃなんねえんだ。
※Yayo dance=G-UnitのラッパーTony Yayoが顔の前で手を振るアイコニックなダンス。パパラッチのまぶしいフラッシュから顔を隠す動作と重ねている。
I'm on a world tour with Common, my man
マイメンのコモンとワールドツアー中だ
After each and every show, a couple dykes in the van
ショーの後はいつも、バンに何人かレズビアンの姉ちゃんたちを連れ込んでるぜ。
It's easy, the hood love to listen to Jeezy and Weezy
簡単なことさ、フッドの奴らはジージーやウィージーを聴くのが大好きで
And, oh, yeah, Yeezy, I did it for the glory
そしてもちろん、イージー(俺)もな。俺は栄光のためにやったんだよ。
※Jeezy(Young Jeezy)、Weezy(Lil Wayne)という当時のストリートラップを牽引していた覇者たちと韻を踏みながら並び立ち、自身の愛称であるYeezyも同等にフッドで愛されていることを誇示している。
[Chorus: Kanye West & Choir]
Yeah, my
ああ
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
The glory
この栄光
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I did it for the glory
俺は栄光のためにやったんだ
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
The glory
この栄光
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
[Verse 2: Kanye West]
What I'm supposed to do now? Man, the game all messed up
今更どうしろってんだ? なあ、このゲームは完全に狂っちまってる
How I'm suppose to stand out when everybody get dressed up?
誰もが着飾ってる中で、俺はどうやって目立てばいいんだ?
So, yeah, at the Grammys, I went ultra Travolta
だからそうさ、グラミー賞じゃ「ウルトラ・トラボルタ」スタイルでキメてやった
Yeah, that tuxedo might have been a little guido
ああ、あのタキシードはちょっとイタリアのチンピラ(グイード)っぽかったかもな
※guido=イタリア系アメリカ人の若者を指すスラングで、しばしば派手な身なりをしたチンピラを揶揄する言葉として使われる。
But with my ego, I can stand there in a Speedo
でも俺のこのエゴがあれば、スピード社のブーメランパンツ一丁で立ったって
And be looked at like a fucking hero
クソみたいなヒーローとして見られちまうんだよ。
※カニエの異常なほどの自己肯定感の表れ。どんな奇抜な服装(あるいは半裸)であれ、自身の持つ圧倒的な存在感とエゴだけでシーンを制圧できるという自信を描いている。
The glory, the story, the chain, the polo, the night
栄光、物語、チェーン、ポロシャツ、あの夜
The grind, the empty bottles of No-Doz
泥臭い努力、空になった眠気覚まし(ノー・ドーズ)の瓶
Tank on empty, whipping my momma Volvo
ガソリンは空っぽで、お袋のボルボを乗り回してたっけ
I spent that gas money on clothes with logos
そのガス代すら、ロゴ入りの服につぎ込んでたんだ
The fur is Hermes, shit that you don't floss
今じゃファーはエルメスだ、お前らには見せびらかせない代物さ
The Goyard so hard, man, I'm Hugo's boss
ゴヤールもイケてるぜ、なあ、俺はヒューゴのボスなんだよ。
※ドイツのファッションブランド「Hugo Boss」と、「俺自身が最高責任者(Boss)である」ことを掛けたワードプレイ。
Why I gotta ask what that TUDOR cost?
なんでチューダーの時計の値段なんか気にしなきゃなんねえんだ?
House on the hill, two doors from Tracee Ross
丘の上の豪邸、トレイシー・ロスの家から2軒隣だぜ。
※Tracee Ellis Ross=ダイアナ・ロスの娘であり、女優。カニエがセレブリティのコミュニティに足を踏み入れたことを示している。
And I'm asking 'bout her girlfriends, yeah, the dark skin'ed ones
で、俺は彼女の女友達について尋ねてる、そう、ダークスキンの子たちさ
She asking 'bout the speed boats, yeah, I admit we rented 'em
彼女はスピードボートについて聞いてくる、ああ、あれはレンタルだって認めちまうか
When you meet me in person, what do you feel like?
直接俺に会った時、お前はどう感じる?
I know, I know, I look better in real life
分かってる、分かってるよ、実物の方がイケてるだろ?
I hear people compare themselves to big a lot
みんな自分のことを大物(ビッグ)とよく比べてるって聞くぜ
You know, B.I.G. and Pac, you know to get it hot
ほら、ビギー(B.I.G.)や2パックとかな、話題作りのためにな
I guess after I live, I wanna be compared to B.I.G
俺も生きた証として…生きてる間にビギーと比較されたいね
Any one: Big Pun, Big L or Notorious
ビッグ・パン、ビッグ・L、ノートリアス、誰でもいいぜ。
※ヒップホップ界の偉大な物故者である「Big」と名のつくレジェンドたち(The Notorious B.I.G., Big Pun, Big L)へのリスペクト。通常、アーティストは死後に神格化されて初めて彼らと比較されるが、カニエは「生きている間(after I live)」にそのレベルの評価と栄光を得たいと語っている。
'Till then, get money and stunt and stay glorious
それまでは、金を稼いで、フレックスして、栄光に輝き続けるだけさ
And I'ma stop killing these niggas soon as the chorus hit
そしてコーラスが入ったら、こいつらをブチ殺す(圧倒する)のはやめにしてやるよ
Yeah, I'ma stop killing these niggas soon as the chorus hit, uh
ああ、コーラスが入ったら手加減してやる
These haters be killing themselves, they wanna come and get the glory
ヘイターどもは自滅していくさ、あいつらもこの栄光を奪いに来たいんだろうけどな。
[Chorus: Kanye West & Choir]
Yeah my
ああ
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
The glory
この栄光
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
Now where the South Side?
サウスサイドはどこだ?
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
Now where the West Side?
ウエストサイドはどこだ?
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
I can't study, no, yeah, my
かまっちゃいられねえな
[Outro: Laura Nyro]
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
I can't study war, yeah, my
争いごとなんてかまっちゃいられねえ
