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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

Champion - Kanye West 【和訳・解説】

Artist: Kanye West

Album: Graduation

Song Title: Champion

概要

「Champion」は、華やかなシンセサウンドと力強いビートに乗せて、彼自身の父親への複雑な愛情と、自身のアイコンとしての責任感を綴った名曲だ。スティーリー・ダンの名曲「Kid Charlemagne」のワンフレーズを見事に早回し(チップマンク・ソウル)でサンプリングし、アルバム全体を覆うスタジアム・ロック的な高揚感を演出している。ヴァースでは、決して裕福ではなかった幼少期における父親の不器用な愛情表現や一攫千金の夢を、映画『幸せのちから』のウィル・スミスになぞらえて回顧。さらに、ローリン・ヒルやプリンスといった偉大な先人たちを引き合いに出しながら、「大学中退者(The College Dropout)」である自分が、今や若者たちに学校へ行くよう説くロールモデル(=チャンピオン)になったというアイロニーと誇りを、客観的かつエモーショナルに描き出している。

和訳

[Refrain]
Did you realize
気づいてたか?

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。
※スティーリー・ダンの「Kid Charlemagne」(1976年)からのサンプリング。原曲は伝説的なLSD密造者オウズリー・スタンリーをモデルにしたものだが、カニエはここで「父親」や「自分自身」へ向けた賞賛のメッセージとして文脈を書き換えている。

[Chorus: Kanye West]
Yes, I did
ああ、分かってたぜ。

So I packed it up and brought it back to the crib
だから荷物をまとめて、地元(家)に持ち帰ったんだ。
※crib=「家」「地元」を指すスラング。グラミー賞のトロフィーや成功の証を故郷のシカゴに持ち帰ったことを示唆している。

Just a lil' something, show ya how we live
ちょっとしたもんさ、俺たちがどう生きてるか見せてやるよ。

Everybody want it but it ain't that serious
誰もが欲しがるけど、そこまでマジになるようなもんじゃねえ。

Mhm, that's that shit
ああ、まさにこれだよ。

So if you gon' do it, do it just like this
もしお前がやるんなら、こんな風にやんな。

[Refrain]
Did you realize
気づいてたか?

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。

[Verse 1: Kanye West]
You don't see just how wild the crowd is?
観客がどれだけ熱狂してるか見えないのか?

You don't see just how fly my style is?
俺のスタイルがどれだけイケてるか分からないか?
※fly=「かっこいい」「イケてる」を意味するスラング。

I don't see why I need a stylist
なんで俺にスタイリストが必要なんだよ。

When I shop so much I can speak Italian
イタリア語が話せるくらい、現地のブランドで爆買いしてんのにさ。
※ハイブランドを愛好し、自らスタイリングを手がけるカニエのファッションへの強い自負が現れている。

I don't know, I just want it better for my kids
さあな、ただ俺は自分の子供たちにはもっといい暮らしをさせたいだけだ。

And I ain't sayin' we was from the projects
俺たちがプロジェクツ(低所得者層向け公営住宅)の出身だったとは言わねえけど。

But every time I wanted layaway or a deposit
でも、服の取り置きや頭金が必要なときにはいつも、

My dad'd say, "When you see clothes, close your eyelids"
親父は「服(clothes)を見たら、目をとじろ(close)」って言ってたな。
※clothes(服)とclose(閉じる)で踏韻したワードプレイ。カニエは決して裕福ではなく、欲しい服を自由に買えなかった幼少期のフラストレーションを描写している。

We was sort of like Will Smith and his son
俺たちはウィル・スミスと息子のジェイデンみたいな感じだった。

In the movie, I ain't talkin' 'bout the rich ones
映画の中の話だぜ、現実の金持ちな彼らのことじゃねえよ。
※映画『幸せのちから(The Pursuit of Happyness)』(2006年)でウィル・スミスが演じた貧困から抜け出そうと奮闘する父親と、カニエの父親レイ・ウェストを重ね合わせている。

'Cause every summer he'd get some
だって夏になるたびに、親父は何か企んでたからな。

Brand new hare-brained scheme to get rich from
一攫千金を狙った、新しいバカげた計画をよ。

And I don't know what he did for dough
親父が金を稼ぐために何をしてたかは知らねえけどさ。
※dough=「お金」を意味するスラング。

But he'd send me back to school wit' a new wardrobe, but ayy
新学期には新しい服を一式揃えて俺を学校へ送り出してくれたんだ、なあ。

[Refrain: Kanye West]
Did you realize
気づいてたか?

Ayy, ayy, ayy
エイ、エイ、エイ。

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。

[Chorus: Kanye West]
I think he did
親父も分かってたんだろうな。

When he packed it up and brought it back to the crib
荷物をまとめて、家に持って帰ってきた時にはさ。

Just a lil' somethin', show ya how we live
ちょっとしたもんさ、俺たちがどう生きてるか見せてやるよ。

Everything I wanted, man, it seem so serious
俺が欲しかったものはすべて、マジで深刻な問題に思えたもんだぜ。

Mhm, that's that shit
ああ、まさにこれだよ。

So if you gon' do it, do it just like this
もしお前がやるんなら、こんな風にやんな。

[Refrain]
Did you realize
気づいてたか?

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。

[Verse 2: Kanye West]
When it feel like living's harder than dyin'
生きる方が死ぬよりしんどく感じる時もあるけど。

For me, givin' up's way harder than tryin'
俺にとっちゃ、諦めることの方が挑戦するよりずっとハードなんだよ。

Lauryn Hill said her heart was in Zion
ローリン・ヒルは「心がザイオンにある」って歌ってたよな。

I wish her heart still was in rhymin'
彼女の心が、今でもライミング(ラップ)にあればよかったのにって思うぜ。
※ローリン・ヒルの楽曲「To Zion」(息子への愛を歌った曲)への言及。音楽業界のプレッシャーで第一線を退いた彼女に対し、シーンに留まってほしかったというカニエの切実な思いが込められている。

'Cause who the kids gon' listen to? Huh?
だって、キッズたちは誰の言うことを聞けばいいんだ?え?

I guess me if it isn't you
あんたがいないなら、俺がやるしかねえんだろ。

Last week, I paid a visit to the institute
先週、とある教育機関(学校)を訪問してきたよ。

They got the dropout keepin' kids in the school
彼らは「中退者(ドロップアウト)」である俺に、子供たちを学校に引き留める役割を任せてんだぜ。
※カニエのデビュー作『The College Dropout(大学中退)』との皮肉な対比。学校を辞めた自分が、今や若者に教育の重要性を説く立場にいるというパラドックスを突いている。

I guess I'll cleaned up my act like Prince'll do
プリンスみたいに、俺も素行を正さなきゃなんねえな。
※プリンスが宗教上の理由で後年、自らの楽曲から卑猥な言葉を排除したように、カニエ自身も次世代の模範となるよう振る舞うという決意表明である。

If not for the pleasure, least for the principle
喜びのためじゃなくても、少なくとも信念(道徳)のためにはよ。

They got the CD, they got to see me
キッズは俺のCDを手にして、俺の姿を見てるんだ。

Drop gems like I dropped out of PE
体育(PE)の授業をサボった(ドロップアウトした)時みたいに、至言を落としまくってる姿をな。
※Drop gems=「貴重な知恵や助言(宝石)を与える」という意味のヒップホップスラング。

They used to feel invisible
昔の彼らは「自分は透明人間(誰からも見られてない)」だと感じてた。

Now, they know they invincible
だけど今は、自分たちが「無敵」だってことを知ってるのさ。
※invisible(透明・無力)とinvincible(無敵)で韻を踏んだ美しいパンチライン。カニエの音楽が、声なき若者たちに自己肯定感を与えたことを表現している。

[Refrain: Kanye West]
Did you realize
気づいてたか?

Ayy, ayy, ayy
エイ、エイ、エイ。

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。

[Bridge: Connie Mitchell]
This is the story of a champion
これはチャンピオンの物語。

Runners on their mark and they pop their guns
ランナーたちが位置につき、ピストルが鳴らされる。

Stand up, stand up, here he comes
立ち上がれ、立ち上がれ、彼がやって来るぞ。

Tell me what it takes to be number one
ナンバーワンになるために必要なものを教えてくれ。

Tell me what it takes to be number one
ナンバーワンになるために必要なものを教えてくれ。

This is the story of a champion
これはチャンピオンの物語。

Runners on their mark and they pop their guns
ランナーたちが位置につき、ピストルが鳴らされる。

Stand up, stand up, here he comes
立ち上がれ、立ち上がれ、彼がやって来るぞ。

Tell me what it takes to be number one
ナンバーワンになるために必要なものを教えてくれ。

Tell me what it takes to be number one
ナンバーワンになるために必要なものを教えてくれ。

[Refrain]
Did you realize
気づいてたか?

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。

[Chorus: Kanye West]
Yes, I did
ああ、分かってたぜ。

So I packed it up and brought it back to the crib
だから荷物をまとめて、地元(家)に持ち帰ったんだ。

Just a lil' somethin', show ya how we live
ちょっとしたもんさ、俺たちがどう生きてるか見せてやるよ。

Everybody want it but it ain't that serious
誰もが欲しがるけど、そこまでマジになるようなもんじゃねえ。

Mhm, that's that shit
ああ、まさにこれだよ。

So if you gon' do it, do it just like this
もしお前がやるんなら、こんな風にやんな。

Like this
こんな風にな。

[Refrain]
Did you realize
気づいてたか?

That you were a champion in their eyes?
あんたが彼らの目には「チャンピオン」として映ってたってことに。

 

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