Artist: Kanye West
Album: Graduation
Song Title: Good Morning
概要
カニエ・ウェストのキャリアを語る上で欠かせない「学校三部作」の最終章、『Graduation』(2007年)の幕開けを飾る重要なイントロダクションである。本作でカニエは、伝統的な教育システムや学歴社会への痛烈な皮肉を交えつつ、ストリートから這い上がり、自らの力で名声を勝ち取った自身の「卒業(=真の成功)」を高らかに宣言している。エルトン・ジョンの「Someone Saved My Life Tonight」から抽出した重厚なドラムブレイクに、浮遊感のあるシンセサイザーを絡めたビートは、スタジアム・ラップへと向かう当時の彼の新たな音楽的野心を見事に体現している。アウトロにはJAY-Zの「The Ruler's Back」のボーカルをサンプリングしており、文字通り「伝説の始まり」を告げる朝にふさわしいヒップホップ・クラシックだ。
和訳
[Intro: Kanye West]
Uh, uh
あぁ、あぁ。
Uh, uh
あぁ、あぁ。
[Chorus: Kanye West]
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
[Verse 1: Kanye West]
Wake up, Mr. West, Mr. West
起きなよ、ミスター・ウェスト。なあミスター・ウェスト。
※前作『Late Registration』のスキットで教師から投げかけられた「Wake up, Mr. West」というフレーズを引用。過去の自分を呼び覚まし、新たなステージの幕開けを示唆している。
Mr. Fresh, Mr. By Himself, he's so impressed
ミスター・フレッシュ、自力でのし上がった男。俺自身、感心しちまうよ。
I mean, damn, did you even see the test?
つーかマジで、テストの問題なんか見たか?
You got D's, motherfucker, D's, Rosie Perez
お前の成績はD判定だぜ、クソが。Dカップのロージー・ペレスみたいにな。
※D's=「D判定(落第点)」と、女優ロージー・ペレスの豊かな胸(Dカップ以上)を掛けたワードプレイ。ストリート映画の金字塔『Do the Right Thing』などに出演する彼女へのオマージュ。
And yer ass barely passed any and every class
どの授業だって、お前はギリギリでパスしただけだろ。
Lookin' at every ass, cheated on every test
女のケツばっか見て、テストじゃカンニングしまくりでさ。
I guess, this is my dissertation
まあ、これが俺なりの「学位論文」ってやつさ。
Homie, this shit is basic, welcome to Graduation
なあ兄弟、こんなの基本中の基本だろ。『Graduation(卒業)』へようこそ。
[Chorus: Kanye West]
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
[Verse 2: Kanye West]
Good mornin', on this day we become legendary
おはようさん。今日というこの日、俺たちは伝説になる。
Everythin' we dreamed of
夢見たもんすべてを手に入れるんだ。
I'm like the fly Malcolm X, buy any jeans necessary
俺はイケてるマルコムX。「どんなジーンズを使ってでも(Buy any jeans necessary)」さ。
※マルコムXの名言「By any means necessary(いかなる手段をとろうとも)」の"means"を"jeans"にモジったカニエらしいユーモア。
Detroit Red cleaned up
「デトロイト・レッド」が綺麗に更生したってわけだ。
※Detroit Red=マルコムXがブラック・モスレムに改宗する前、ストリートでハスラーとして活動していた頃の通り名。ストリート上がりのカニエ自身と重ね合わせている。
From the streets to the league, from an eighth to a key
ストリートからメジャーリーグへ。1/8オンスのハッパから、1キロのヤクの塊へ。
※eighth=1/8オンス(少量のドラッグ)、key=キログラム単位(大量のドラッグ)。扱う規模が格段に大きくなったこと、つまりヒップホップ界での大成功を表現したストリートのメタファーである。
But you graduate when you make it up outta the streets
けど、本当の「卒業」ってのは、ストリートから抜け出した時に果たすもんだろ。
From the moments of pain, look how far we done came
あの苦痛に満ちた日々から、俺たちがどこまで登り詰めたか見てみろよ。
Haters sayin' you changed, now you doin' your thing
ヘイターどもは「お前は変わっちまった」なんて言うが、今は自分のやりたいようにやってるだけさ。
[Chorus: Kanye West]
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin'
おはようさん。
Good mornin' and—
おはようさん、そして——
Good mornin'
おはようさん。
[Verse 3: Kanye West]
Good mornin' and look at the valedictorian
おはようさん。総代の優等生殿を見てみなよ。
Scared of the future while I hop in the DeLorean
あいつは未来にビビってるが、俺はデロリアンに飛び乗るぜ。
※valedictorian(卒業生総代)は学校システムでの勝者だが、実社会には怯えているという皮肉。一方カニエは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシン「デロリアン」で未来を自ら切り拓くという対比構造である。
Scared to face the world, complacent career student
世界と向き合うのを怖がって、ぬるま湯に浸かる万年学生さ。
Some people graduate, but be still stupid
学校を卒業できたって、いつまでもバカな奴らもいるんだよ。
They tell you, "Read this, eat this, don't look around
連中はこう言う。「これを読め、これを食え、よそ見はするな。
Just peep this, preach this, teach us, Jesus"
これだけ見て、これを説け、俺たちに教えろ、ジーザス」ってな。
※社会や学校の画一的なシステムによる洗脳を批判している。最後は盲目的な信仰への警鐘と、カニエ自身のヒット曲「Jesus Walks」のダブルミーニングになっている。
Okay, look up now, they done stole yo' streetness
いいか、顔を上げてみろ。奴らにお前のストリートの魂まで奪われちまったぞ。
After all of that, you received this
そんだけ全部やり遂げた挙句、お前が受け取ったのはこんなもん(卒業証書)だけだ。
[Chorus: Kanye West & JAY-Z]
Good mornin'
おはようさん。
Hustlers, that's if you're still livin', get on down
ハスラーたち、もしお前がまだ生き残ってるなら、ブチかませ。
※JAY-Zの楽曲「The Ruler's Back」のフレーズをサンプリング。過酷なストリートゲームを生き抜く仲間へのシャウトアウトとして機能している。
Every time that we hear them
奴らの声を耳にするたびにな。
Good mornin'
おはようさん。
Hustlers, that's if you're still livin', get on down
ハスラーたち、もしお前がまだ生き残ってるなら、ブチかませ。
Every time that we hear them
奴らの声を耳にするたびにな。
Good mornin'
おはようさん。
Hustlers, that's if you're still livin', get on down
ハスラーたち、もしお前がまだ生き残ってるなら、ブチかませ。
Every time that we hear them
奴らの声を耳にするたびにな。
Good mornin'
おはようさん。
Hustlers, that's if you're still livin', get on down
ハスラーたち、もしお前がまだ生き残ってるなら、ブチかませ。
[Outro: JAY-Z]
Get on down
ブチかませ。
Get— Get on down
ブチかませ。
Get on down
ブチかませ。
Get— Get on down
ブチかませ。
