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Unraveling Genius: Music, Knowledge, Madness

PS118 - XG 【和訳・解説】

Artist: XG

Album: THE CORE - 核

Song Title: PS118

概要

「PS118」は、XGのラップライン(Jurin, Cocona, Maya, Harvey)が、圧倒的なスキルとマイクリレーで既存のヒップホップシーンに真っ向から勝負を挑む、ストロングスタイルのサイファー楽曲である。オールドスクールなサイファーを思わせる無骨なトラックの上で、彼女たちのアイデンティティである「宇宙(Space)」のメタファーが全開になっている。「口パク(リップシンク)」に頼るフェイクなアーティストたちを一蹴し、自らの実力だけで宇宙の果てまで到達するという強気なアティチュード(Boss energy)が漲る。Beastie BoysやGrandmaster Flashといったヒップホップ・クラシックへの深いリスペクトと、国境やジェンダーの壁を破壊する(Breaking Boundaries)力強さが、洗練されたフロウを通して証明された一曲だ。

和訳

[Intro: Jurin]
Aight, lemme talk to 'em
よし、あいつらに言ってやる。

[Verse 1: Jurin]
Destination out of this world, it's space travel
目的地はこの世界の外、つまり宇宙旅行よ。

New heights, I'm seeing new lights, I change levels
新たな高み、新しい光が見える、私は次元(レベル)を変えるの。

More space, this race an exhibition
もっと広い宇宙へ、このレースなんてただのエキシビション。

XG on an expedition, light speed go the extra distance
XGの遠征隊、光のスピードでさらに遠くまで行くわ。
※「exhibition」「expedition」「distance」で硬い脚韻を踏む。地球上の競争(race)は既に眼中に無く、未知の領域(宇宙)の開拓に向かっているというBoss energyの表れ。

Shooting stars so when you blink, then I bet you miss it
流れ星みたいにね、瞬きしたら絶対に見逃すわよ。

I want the galaxy, baby, you want the recognition
私が欲しいのは銀河、ベイビー、あなたが欲しいのはただの承認欲求でしょ。

Everything is moving the way that I plan it
すべてが私の計画通りに進んでいる。

I'm cutting transmission
通信を切るわ。
※宇宙船から地球のベースキャンプへの「通信切断」を意味し、地球(既存のシーン)の常識やノイズから完全に決別する姿勢(Breaking Boundaries)を示している。

[Verse 2: Cocona]
Off to the races, on to a spaceship
レースに出発、スペースシップに乗り込んで。

Breaking the boundaries, and all limitations
境界線も、すべての限界もぶち壊して進む。

All indications point to the stars now
すべての兆候が、今は星々を指し示しているの。

All in your faces, point, blank, all out
真正面から、至近距離(ポイントブランク)で、全力でぶつかるわ。
※「Off to the races」「spaceship」「faces」のライミング。さらに「point to the stars」と「point, blank」で「point」のダブルミーニングを巧みに使い分けるストリートの言語感覚。

Don't waste time looking back at the shadows
影を振り返って時間を無駄にしないで。

Our stature so big that it's castin' a shadow
私たちのスケールが大きすぎて、自ら巨大な影を落としているんだから。

Back on the saddlе, and back on the wave
再びサドルにまたがって、波に乗るの。

Didn't mean to shakе the globe, it just happened to rattle (Rattle)
地球を揺らすつもりなんてなかったけど、たまたま揺れちゃったみたい(ガラガラとね)。
※ヒップホップ特有の誇張表現(Braggadocio)を極めたパンチライン。彼女たちの存在自体が既存のポップシーンの重力圏を歪めるほどの質量を持っていることを示唆している。

[Verse 3: Maya]
That all Intergalactic, Beastie Girl mashing
完全にインターギャラクティック(銀河間)ね、ビースティ・ガールがぶっ潰す。
※Beastie Boysの1998年のクラシック「Intergalactic」からの鮮やかな引用。ヒップホップの枠を広げた彼らの姿勢を「Beastie Girl」として継承し、自らの宇宙のコンセプトと融合させている。

More flash than fashion, grand master blasted
ファッション以上の閃光(フラッシュ)、グランドマスターが爆破する。
※ヒップホップのパイオニアであるDJ、Grandmaster Flashへのオマージュ。表面的な着飾り(fashion)ではなく、カルチャーのルーツ(flash/grand master)に対する深いリスペクトを宣言している。

Way past the atmos, laughing at these rappers
大気圏(アトモス)をはるかに越えて、この辺のラッパーたちを笑い飛ばすの。

Y'all ain't hip-hop, you lipsyncing with captions
あなたたちヒップホップじゃないでしょ、キャプション付きで口パク(リップシンク)してるだけ。
※SNS向けの表面的なパフォーマンスや、実力を伴わないフェイクなアーティストたちを痛烈にディスる、リアルなラッパーとしてのアティチュード。

Half of y'all backing tracks is trash, trash it
あなたたちのバッキングトラックの半分はゴミね、捨てなさい。

Kill a verse, then drop back to back smash hits
ヴァースを完璧に仕留めて、連続でスマッシュヒットを落とす。

Hoping that this message will be landing on the right ears
このメッセージが、正しい耳に届く(着陸する)ことを願っているわ。

How many ideas? How many light-years? Uh
どれほどのアイデア? どれほどの光年? Uh。

[Verse 4: Harvey]
When XG come by with raps that'll slap you
XGがあなたを引っぱたくようなラップを持って現れた時、

Into next week sometime, oh, now they get it
来週のどこかまで吹き飛ばすの、oh、今ならあいつらも理解するでしょ。

We been hit different, thrift store garments
私たちは最初から次元が違うの、スリフトストア(古着屋)の服と、

And vintage lenses (Think big incentives, uh)
ヴィンテージのレンズを合わせて(大きな見返りを考えてみて、uh)。
※ハイブランドに頼らずとも、古着やヴィンテージで圧倒的なスタイル(Swag)を構築できるという、ストリート本来の美学を提示している。

In session with the best only
最高なヤツらとだけセッションする。

There's no stopping once we get going from the get go
最初から全開でいくから、一度動き出したらもう止まらない。

Led a normal life, but just less boring
普通の人生を送ってきたけど、ただ退屈じゃなかっただけ。

Nothing less than a success story, so check for me
間違いなくサクセスストーリーになるから、私に注目しておいて。

[Verse 5: Jurin, Cocona]
No place that I'd rather be
ここ以外にいたい場所なんてない。

Team solid free-falling, no gravity
チームの結束は固い、無重力空間をフリーフォール。

Me and my girls are co-pilots, all of us graduating from the academy
私とガールズたちは副操縦士(コ・パイロット)、全員がアカデミーを卒業した精鋭よ。

XG, all of them wolves, all of them besties
XG、全員が群れの狼(ウルヴズ)で、全員が大親友(ベスティ)。
※「wolves(一匹狼の集まりのような獰猛さ)」と「besties(親友)」という相反する言葉を並べ、XG独自の強固なシスターフッドを表現している。

All of us bosses, any challenges that come across us
全員がボスよ、どんな試練が立ち塞がろうと、

We like, "Yes, please," we been through so many things
私たちは「喜んで」って感じ、すでに多くのことを乗り越えてきたから。

That you couldn't process, they tried to test me
あなたが処理できないほどのことをね、あいつらは私を試そうとしたけど。

Me and my girls stayin' stress free
私とガールズたちは常にストレスフリーよ。

[Verse 6: Maya, Harvey]
You can tell by the way that we walked in, we awesome
私たちが歩いて入ってきただけで分かるでしょ、最高だって。

Waltz in, flossin' with everything shining
ワルツのように入り込んで、すべてを輝かせて見せつける(フロスする)。

Walk it, talk it, everything diamonds
有言実行(Walk it, talk it)、すべてがダイヤモンド。
※Migosの大ヒット曲「Walk It Talk It」のサンプリング。「口だけでなく行動で示す」というストリートの基本原則(Keep it real)を貫いている。

They all in the comments, they get the assignment
あいつら全員コメント欄にいる、彼らも役割(アサインメント)を理解してるのね。

How many times must we tell 'em that we told 'em?
「言ったでしょ」って、あと何回あいつらに教えなきゃいけないの?

Gotta let it soak in, welcome to the wolf den
じっくりと染み込ませてあげる、狼の巣穴(ウルフ・デン)へようこそ。
※圧倒的な実力差を時間をかけて「理解させる(let it soak in)」という知的な表現を用い、強者の余裕を見せつけている。

Hittin' it with both ends, both hands wavin' 'til it's broken
両端からぶっ叩く、壊れるまで両手を振りかざして。

Both feet kickin' 'til it's open
ドアが開くまで、両足で蹴り開けるの。
※既存のヒップホップシーンの重い扉を、自らの力で無理やりこじ開ける「Beasty」な姿を描写し、サイファーをタフに締めくくっている。

 

PS118

PS118

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