Artist: Kanye West
Album: Late Registration
Song Title: Skit #4
概要
今作は『Late Registration』全体を貫く架空の金欠学生団体「Broke Phi Broke」の物語が完結する最終スキットだ。コメディアンのデレイ・デイヴィス演じるリーダーが、密かにビートメイクで稼ぎ、「毎日飯を食い」「新しい靴を買い」「シャワーを浴びている」カニエを裏切り者として糾弾し、組織から追放する様子が描かれる。極端な貧困をアイデンティティとするコミュニティから、成功を収めた者が排除されてしまうというストリート特有の「サクセスストーリーの代償」と「地元(フッド)との決別」を、極めてコミカルかつ強烈なブラックジョークとして表現した見事なオチである。
和訳
[All whispering]
Broke, broke, broke phi broke (We ain't got it)
金欠、金欠・ファイ・金欠。(俺たちには金がねえ)
※Broke Phi Broke=徹底的な金欠(Broke)であることをスローガンに掲げる架空のフラタニティ(学生社交クラブ)。
Broke, broke, broke phi broke (We ain't got it)
金欠、金欠・ファイ・金欠。(俺たちには金がねえ)
[Louder]
Broke, broke, broke phi broke (We ain't got it)
金欠、金欠・ファイ・金欠。(俺たちには金がねえ)
Broke, broke, broke phi-
金欠、金欠・ファイ・
[Leader]
I've called this private meeting today because there is a imposter among us
今日、この極秘の集会を開いたのは、俺たちの中に「偽物(Imposter)」がいるからだ。
There is an imposter among us
俺たちの中に裏切り者がいるんだ。
This brother right here has been out making beats on the side, yes, he has
ここにいるこのブラザーは、裏でこっそりビートを作って稼いでいやがった。ああ、そうなんだよ。
※カニエがプロデューサーとして成功し、密かに金を稼ぎ始めていることを指摘している。
Pretending he's broke walking amongst us
俺たちの中に混ざって、金がないフリをして歩き回っていやがった。
This brother has been eating every day, can you believe that? Eating every day
このブラザーは毎日飯を食ってたんだぞ、信じられるか? 毎日飯を食ってたんだ!
※「毎日食事をとる」ことすら、この極貧コミュニティでは裏切り行為とみなされるという強烈なジョーク。
Pretending he's with us, he's not one of us
俺たちの仲間だというフリをしていたが、こいつは俺たちの仲間じゃねえ。
I did not want to believe this, but I walked into the brother Kanye's closet and I found new shoes
俺もこんなこと信じたくなかった。だが、ブラザー・カニエのクローゼットに入ったら、「新しい靴」を見つけちまったんだ。
I found new shoes!
新しい靴を見つけちまったんだよ!
Kanye, would you like to step forward and explain these new shoes?!
カニエ、前に出てきて、この新しい靴について説明してもらえないか?!
[Kanye (stammering)]
I was-you crazy, I wasn't, I didn't, um, I was just um, I was in here-
俺は…あんた狂ってるよ、俺はそんな…俺はしてない、えっと、俺はただ、あー…俺はここにいて…
※図星を突かれて、しどろもどろになるカニエ。
[Leader]
No, you speak up, brother!
ごまかすな、ハッキリ言え、ブラザー!
[Kanye]
I was gon' stick-I'm tryin' to stick to my roots and-
俺は自分のルーツ(貧困の精神)に固執しようと…固執しようとしてたんだ、それで…
[Leader]
What?
何だと?
[Kanye]
I wanna stick to my roots, and-
俺は自分のルーツに忠実でいたかったんだ、それで…
[Leader]
What?! You march your new shoes out of here, Kanye. Don't you ever come back in 'em.
何だと?! その新しい靴を履いて、さっさとここから出て行け、カニエ。そんな靴を履いて二度と戻ってくるな。
Don't you ever come back smellin' all good, taking showers and shit like that, alright?
いい匂いをさせて、シャワーなんか浴びやがって、そんな状態で二度と戻ってくるんじゃねえぞ、分かったか?
We don't appreciate that down here at Broke Phi Broke
ここ「Broke Phi Broke」じゃ、そんなふざけた真似は許されねえんだ。
※成功し、清潔で豊かな生活を送ることを「堕落」として糾弾している。フッドで成功した者が地元から嫉妬され、浮いてしまうという現実のカリカチュア。
What's next?
よし、次の議題は?
