Artist: Kanye West
Album: Late Registration
Song Title: Heard ’Em Say
概要
2005年にリリースされたカニエ・ウェストの2ndアルバム『Late Registration』のオープニングを飾る重要曲だ。マルーン5のアダム・レヴィーンを客演に迎え、鬼才ジョン・ブリオンとの共同プロデュースにより制作された。メロウで美しいピアノのループ(ナタリー・コールの「Someone That I Used to Love」をサンプリング)に乗せ、カニエは最低賃金の問題、構造的な人種差別、政府の陰謀論、そして「明日が必ず来る保証はない」という人生の儚さを切実にラップしている。ストリートの過酷な現実を浮き彫りにしながらも、どこか希望や哀愁を感じさせる詩的な響きを持つ名曲である。
和訳
[Intro]
West—Mr. West—Mr. West
ウェスト、ミスター・ウェスト。
Uh, yeah, uh, yeah
あぁ、イェー。
Uh, yeah, uh, yeah
あぁ、イェー。
[Verse 1: Kanye West]
And I heard 'em say
みんながこう言うのを聞いたぜ。
Nothing's ever promised tomorrow, today
今日の時点で、明日のことなんて何一つ約束されちゃいないってな。
From the Chi, like Tim, it's a harder way
ティムみたいにシカゴ(Chi)から抜け出すのはハードな道のりだ。
※Chi=シカゴ(カニエの地元)。Tim=ティム・ハーダウェイ(シカゴ出身の元NBA選手)。Harder wayとHardawayを掛けたワードプレイ。
So this is in the name of love like Robert say
だからこれはロバートが言うように「愛の名において」ってやつだ。
※Robert=R&BシンガーのR. Kelly(本名ロバート・ケリー。同じくシカゴ出身)の大ヒット曲「In the Name of Love」へのオマージュ。
Before you ask me to go get a job today
今日「仕事を探してこい」って俺に言う前に、
Can I at least get a raise on the minimum wage?
せめて最低賃金を上げてくれないか?
And I know the government administer AIDS
政府がエイズ(AIDS)をばら撒いてるってことくらい分かってるぜ。
※米国政府が黒人コミュニティを弱体化させるためにHIVウイルスを意図的に持ち込んだという、ストリートで根強く囁かれている陰謀論への言及。
So I guess we just pray like the minister say
だから俺たちは、牧師(minister)の言う通りに祈るしかないんだろうな。
Allāhu Akbar and throw in some hot cars
「アラー・アクバル(神は偉大なり)」ってな。そして盗難車に乗り込むんだ。
※Allāhu Akbar=アフリカ系アメリカ人コミュニティにおいて影響力を持つイスラム教(ネーション・オブ・イスラムなど)の祈りの言葉。hot cars=盗難車。
The things we seen on the screen is not ours
テレビの画面越しに見てるあんな贅沢は、俺たちのものじゃない。
But these niggas from the hood so these dreams not far
でもフッドの連中にとっちゃ、その夢はそんなに遠いもんじゃないんだ。
Where I'm from the dope boys is the rock stars
俺の地元じゃ、ドラッグの売人がロックスターなんだよ。
But they can't cop cars without seeing cop cars
でもあいつらは、パトカーに追われずに車を買うことはできない。
※cop cars(車を買う)とcop cars(警察車両)の同音異義語を用いた見事な言葉遊び。ドラッグマネーで高級車を買えば、必然的に警察に目をつけられるというジレンマを描いている。
I guess they want us all behind bars—I know it
奴ら(権力者)は俺たち全員を刑務所にぶち込みたいんだろうな。分かってるぜ。
[Chorus: Kanye West & Adam Levine]
Uh, and I heard 'em say (Ooh)
ああ、みんながこう言うのを聞いたぜ。
Nothing's ever promised tomorrow, today
今日の時点で、明日のことなんて何一つ約束されちゃいないって。
And I heard 'em say
みんながこう言うのを聞いたんだ。
Nothing's ever promised tomorrow, today
明日の保証なんてどこにもないってな。
(Nothing's ever promised tomorrow, today)
(明日の保証なんてどこにもない)
But we'll a find a way
でも俺たちはどうにかして道を見つけるさ。
And nothing lasts forever, but be honest, babe
永遠に続くものなんてない。でも正直になろうぜ、ベイビー。
It hurts, but it may be the only way
痛みを伴うけど、それが唯一の道なのかもしれない。
[Verse 2: Kanye West]
They say people in your life are seasons
人生で出会う人間は「季節」みたいなもんだってみんな言うよな。
※人の縁は季節のように移り変わるものだという表現。
And anything that happen is for a reason
起きることすべてに理由があるんだって。
And niggas gun clapping and keep to squeezing
そして黒人たちは銃をぶっ放し、引き金を引き続ける。
And Gran' keep praying and keep believing
ばあちゃんは祈り続け、信じ続けてる。
In Jesus, and one day that you see him
ジーザスをな。いつかお前も彼に会う日が来る。
'Til then walk in his footsteps and try to be him
それまでは神の足跡をたどり、神のような行いをするように努めるんだ。
The Devil is alive, I feel him breathin'
悪魔は実在するぜ、奴の息遣いを感じる。
Claiming money is the key, so keep on dreamin'
金がすべてだなんて言ってな。だから夢を見続けるんだよ。
And put them lottery tickets just to tease us
俺たちをからかうみたいに、宝くじなんてものを目の前にちらつかせやがって。
※貧しい人々から金を巻き上げるために、国が宝くじという「偽りの希望」を用意しているという社会批判。
My Aunt Pam can't put them cigarettes down
パムおばさんはタバコを手放せない。
So now my little cousin smokin' them cigarettes now
だから今じゃ、小さな従兄弟までタバコを吸ってる。
※悪い習慣や貧困のサイクルが世代間で連鎖していく様子を描写している。
His job try to claim that he too niggarish now
あいつの職場は、あいつが「黒人っぽすぎる(niggarish)」ってクレームをつけてきやがる。
Is it 'cause his skin blacker than licorice now?
あいつの肌がリコリス(黒いお菓子)より黒いからか?
※黒人特有の文化や外見に対する職場での差別(マイクロアグレッション)への言及。
I can't figure it out, I'm sick of it now
さっぱり理解できねぇよ、もうウンザリだ。
[Chorus: Kanye West & Adam Levine]
Ugh, and I heard 'em say (Ooh)
ああ、みんながこう言うのを聞いたぜ。
Nothing's ever promised tomorrow, today
今日の時点で、明日のことなんて何一つ約束されちゃいないって。
And I heard 'em say
みんながこう言うのを聞いたんだ。
Nothing's ever promised tomorrow, today (Nothing's ever promised tomorrow, today)
明日の保証なんてどこにもないってな。(明日の保証なんてどこにもない)
But we'll a find a way
でも俺たちはどうにかして道を見つけるさ。
And nothing last forever, but be honest, babe
永遠に続くものなんてない。でも正直になろうぜ、ベイビー。
It hurts, but it may be the only way
痛みを伴うけど、それが唯一の道なのかもしれない。
[Post-Chorus: Adam Levine]
With every worthless word, we get more far away
価値のない言葉を交わすたびに、僕らはどんどん遠ざかっていく。
And nothing's ever promised tomorrow, today
そして今日の時点で、明日のことなんて何一つ約束されちゃいない。
And nothing lasts forever, but be honest, babe
永遠に続くものなんてないんだ。でも正直になろう、ベイビー。
It hurts but it may be the only way
痛みを伴うけど、それが唯一の道なのかもしれない。
Ooh, ooh, ooh-ooh
Ooh, oh, oh-oh
Oh, woo-woo
Oh, ooh, ooh
(コーラス)
[Outro: Kanye West]
Uh, yea, uh, yea, uh, yea
ああ、イェー、ああ、イェー。
