Artist: Kanye West
Album: Late Registration
Song Title: Wake Up Mr. West
概要
本作はカニエ・ウェストの2ndアルバム『Late Registration』のオープニングを飾るスキットである。前作『The College Dropout』から続く「学校・教育」のテーマを引き継いでおり、コメディアンのディレイ・デイヴィスが前作に引き続き教師(故バーニー・マックを模したキャラクター)を熱演している。「音楽業界」という新たな学校に足を踏み入れながらも、依然として既存のシステムや権威に対して居眠り(反抗)を続けるカニエの姿を描き出している。「Wake up, Mr. West(起きろ、ウェスト君)」という強烈なフレーズは、単なる教師の説教を超え、ブラックコミュニティに対する「目覚めよ」というメッセージや、世界へ向けた「俺の新しい音楽(授業)を聴け」という宣言としても機能する秀逸なイントロダクションだ。
和訳
[Skit: DeRay Davis]
Oh, ho-ho-ho!
おっと、ホホホ!
I knew I was gon' see, I knew I was gon' see you again! Knew I was gon' see you again!
また会うことになるって、またお前と会うことになるって分かってたぜ!また会うってな!
※前作『The College Dropout』で大学を中退(ドロップアウト)したはずのカニエが、再び学校(=『Late Registration』という新たなアルバム/ステージ)に戻ってきたことに対するメタ的な言及である。
Where your goddamn book bag at?
お前のその忌々しいバックパックはどこにやったんだ?
※book bag(バックパック)は初期カニエのトレードマーク。ギャングスタ・ラップ全盛期において、ポロのシャツにバックパックという彼のオタク的(バックパッカー)なスタイルはシーンの中で異端であった。
Always carryin' that lil' book bag, nobody wants to see that!
いっつもあの小せえバックパック背負いやがって、誰もあんなモン見たくねぇんだよ!
Goddamn 4th grader, sit your ass down!
まったく、小学4年生かよ、さっさと座りやがれ!
He wanna play it again like he got somethin' else to do
ほかにやることでもあるかのようなツラして、また同じことやりやがって。
You ain't got nuttin' else to do!
お前には他にやることなんか一つもねぇんだよ!
You ain't doin' nothin' wit' your life, notin' wit' your life!
自分の人生で何一つ成し遂げちゃいねぇんだ、何一つな!
※カニエのような夢を追う若者を見下す、社会や権威(ここでは威圧的な教師)のステレオタイプな冷笑を体現している。
You think this is?
これが何だと思ってんだ?(遊びだと思ってんのか?)
You better look at me when I'm talkin' to you!
俺が話してる時は、俺の目を見ろ!
You think this shit easy, don't you?
こんなもん楽勝だと思ってんだろ、あぁ?
You think this is promised!
将来が約束されてるって思い込んでんだろ!
Well, ain't nothin' promised to you!
いいか、お前には何一つ約束されてなんかねぇんだよ!
Look at my face, do I got a promised face?
俺の顔を見てみろ、将来が約束された顔に見えるか?
※過酷な現実を生きる黒人社会のリアリティや、夢を諦めた大人たちのルサンチマンを皮肉交じりに表現している。
Does it look like I promised you anything?
俺がお前に何か約束したように見えるかってんだよ?
Kanye, nigga-is you snorin' in my class?
カニエ、お前…俺の授業中にイビキかいてんのか?
Wake up, Mr. West!
起きろ、ウェスト君!
※単なる授業中の居眠りへの注意であると同時に、音楽業界や世間に対して「俺の才能に気づけ(目を覚ませ)」というカニエからのメッセージの反転、あるいはリスナーに向けた「アルバムが始まるぞ」という合図として機能している。
Wake up, Mr. West!
目を覚ませってんだよ、ウェスト君!
